代表1人と協力会社で1億円前後を回す空調・冷凍設備会社の現在地
関西圏で空調・冷凍設備の設計、施工、修理、保守を手がける、ある専門工事会社の話です。
従業員は実質的に代表1人。現場によって、個人事業主の職人、協力会社、施工管理まで含めて任せられる外注先と組んで仕事を回しています。売上は年によって上下しながらも、概ね9,000万円から1億2,000万円前後。大手空調メーカー系、ビル設備会社、冷熱プラント系の仕事が中心です。
扱う工事は、ルームエアコンを大量にさばくような家庭用中心ではありません。業務用の冷凍機、プレハブ冷蔵庫、冷凍倉庫、食品工場の冷凍設備、チラーユニット、冷水設備、水を使った空調設備など、一定の専門性が必要な領域です。
代表は、会社を大きくすること自体には強い関心を持っていませんでした。むしろ、はっきりこう話していました。
「売上だけ倍にしても、利益が伴わないと意味がないです。利益率が悪いのに、売上を倍にしようとは思わないです」
この感覚は、少人数で専門工事会社を運営している経営者ほど、かなり近いものがあるはずです。売上を増やせる余地があることと、増やした売上が会社に残ることは別問題です。
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- 7月8日総合土木愛知県
- 7月8日工務店山形県
- 7月8日外構工事会社群馬県
- 7月6日工務店兵庫県
- 7月6日電気設備工事会社神奈川県
- 7月6日防水工事会社東京都
- 7月5日塗装工事会社神奈川県
- 7月5日プラント工事会社福島県
- 7月5日リフォーム会社東京都
- 7月5日総合土木福井県
- 7月4日外構工事会社千葉県
- 7月2日防水工事会社茨城県
- 6月30日ビルメンテナンス北海道
- 6月30日ビルメンテナンス福岡県
- 6月29日総合建築千葉県
- 6月29日総合建築東京都
- 6月28日配管工事会社富山県
- 6月27日リフォーム会社山口県
- 6月27日内装工事会社大阪府
- 6月26日塗装工事会社秋田県
- 6月26日配管工事会社三重県
- 6月26日工務店宮崎県
- 6月25日内装工事会社長野県
- 6月23日プラント工事会社神奈川県
- 6月23日外構工事会社岐阜県
- 6月19日空調設備工事会社兵庫県
- 6月19日総合建築鳥取県
- 6月19日配管工事会社東京都
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
大型案件や新築系を受けるほど売上は増えても利益率と管理余力が削られる構造
この会社の課題は、仕事がないことではありません。むしろ需要はあります。代表も「人間が増えれば、販路拡大はできると思います」と話していました。
ただし、受ける案件を間違えると、売上は伸びても利益率が落ちます。特に代表が慎重だったのは、ゼネコン関係や新築系の工事です。
「ゼネコン関係は、あまり人間がいないと利益が見込めないので、あまりやっていないです」
「無理も言われるので、付き合いはあまりしていないです」
言葉だけを見ると、ゼネコン案件を避けているようにも見えます。ただ、実態は好き嫌いではなく、かなり合理的な判断です。
新築系や大型案件は、金額が大きくなりやすい一方で、次の負荷が増えます。
- 工期が長く、入金までの期間も長くなりやすい
- 現場調整、工程調整、手戻り対応が増える
- 自社で管理者を置かないと、協力会社任せにしきれない
- 協力会社をそのまま入れるだけでは、自社の存在価値が薄くなる
- 価格競争や追加対応で、利益率が下がりやすい
代表は、大きい仕事を受けた年について「売上が上がった分、やっぱり利益率が下がる」とも話していました。
少人数の会社にとって、本当に見るべきなのは売上高ではなく、案件ごとの利益率と管理負荷のバランスです。ここを見誤ると、忙しさだけが増えて、手元に残る利益は増えません。
メーカー系・保守メンテナンスは安定しやすく、ゼネコン直下や新築は管理者不在だと重くなる
この会社が現在の規模で無理なく回せている理由は、取引先と案件種別をある程度選んでいるからです。
大手メーカー系やビル設備会社からの仕事は、すべてが高利益というわけではありません。それでも、既存のつながりがあり、設備の性質も理解していて、保守・修理・改修など継続性のある仕事が含まれます。代表も、景気や物価の影響で月ごとの波はあるとしながら、整備や保守系については「少し安定する」と話していました。
一方で、新築系やゼネコン関係は構造が違います。
施主、設計、ゼネコン、サブコン、専門工事会社という階層の中で、下に行くほど価格と工程のしわ寄せを受けやすくなります。もちろん、すべてのゼネコン案件が悪いわけではありません。ただ、代表1人で現場も管理も見る会社にとっては、調整負荷が一気に大きくなります。
さらに、協力会社に丸ごと任せるだけでは済まない問題もあります。
「結局それをやっていても、管理でうちが入らないと。職人とサブコンが直接つながってしまう話にもなるので」
ここには、少人数経営のリアルがあります。協力会社を使えば売上は増やせます。しかし、自社が管理・品質・調整に入らなければ、単なる紹介役に近くなり、利益を取る理由が薄くなります。かといって代表がすべて管理すると、現場と調整で手いっぱいになります。
そのため、この会社では「右腕になるような管理者がいれば」という前提が何度も出てきました。受注できるかどうかではなく、受注後に自社が価値を出しながら管理できるかどうかが分岐点になっています。
もう一つ大事なのは、代表が無理に規模を追っていないことです。
「あまり大きくして、辞められた時に困るので」
これは消極的な発言ではありません。人を増やして、仕事を増やして、固定費を増やした後に、採用した人が定着しなければ、残るのは案件の責任と管理負荷です。だからこそ、今ある大手取引先に声をかけ、できていない仕事を少し拾うくらいから進める、という感覚を持っていました。
人員体制が固まっていない段階で、売上目標だけを先に置くと、受注判断が粗くなります。この順番の違いが、利益が残る会社と、忙しいだけの会社を分けます。
案件を「売上額」ではなく利益率・管理負荷・自社の関与度で選ぶ
受注判断では、案件を大きいか小さいかで見るより、まずは「自社に合っているか」で分けることが大切です。
この会社のように、代表1人と協力会社で回している場合、判断軸は大きく5つあります。
1つ目は、利益率です。売上が大きくても、外注費、材料費、現場管理の手間、追加対応の吸収で利益率が下がるなら、無理に追う必要はありません。特に大型案件は、見積時点では利益が出るように見えても、工期中の調整や手戻りで削られます。
2つ目は、管理負荷です。現場に誰が入り、工程を誰が見て、追加変更を誰が判断するのか。ここが曖昧なまま受けると、代表がすべて背負うことになります。代表が現場に出ないと成立しない案件は、売上が大きいほど経営の自由度を奪います。
3つ目は、自社の関与度です。協力会社に任せるとしても、自社が設計判断、施工方針、品質管理、顧客調整のどこに価値を出すのかを決めておく必要があります。ここがない案件は、利益を乗せにくくなります。
4つ目は、継続性です。保守、修理、改修、設備更新につながる仕事は、一度きりの新築案件よりも、少人数会社に合いやすい場合があります。特に空調・冷凍設備は、設置して終わりではなく、点検、修理、更新需要があります。単発の売上より、次の接点が残る案件のほうが経営は安定しやすくなります。
5つ目は、取引条件です。価格交渉が毎回厳しい、工期変更が多い、支払いサイトが長い、追加対応が認められにくい。こうした条件が重なると、案件規模が大きいほど資金と時間を圧迫します。
実務では、案件を次のように分類すると判断しやすくなります。
案件種別 | 売上規模 | 利益率 | 管理負荷 | 少人数会社との相性 |
|---|---|---|---|---|
既存メーカー系の保守・修理 | 中 | 比較的守りやすい | 低〜中 | 相性がよい |
既存顧客の改修・更新工事 | 中〜大 | 条件次第で守りやすい | 中 | 取り組みやすい |
業務用冷凍設備・食品工場系 | 中〜大 | 専門性で差別化しやすい | 中〜高 | 管理者がいれば伸ばしやすい |
新築系の大型案件 | 大 | 下がりやすい | 高 | 体制がないと重い |
ゼネコン直下の価格競争案件 | 大 | 下がりやすい | 高 | 慎重に判断すべき |
もちろん、これは一律の正解ではありません。新築でも利益が出る案件はありますし、ゼネコン案件でも関係性が良ければ安定する場合があります。ただ、少人数の会社では、まず「受けられるか」ではなく「受けた後に利益と品質を守れるか」を見るべきです。
進め方としては、いきなり新規の大型案件を取りに行くより、次の順番が現実的です。
- 既存の大手取引先に、今受けきれていない工事や保守領域がないか確認する
- 自社が得意な設備領域を、業務用冷凍設備、工場空調、改修、保守などに分けて粗利を見直す
- 代表が現場に出なくても回る案件と、代表が入らないと危ない案件を分ける
- 協力会社に任せる範囲と、自社が管理する範囲を案件ごとに決める
- 右腕となる管理者が入った場合にだけ受ける案件を、あらかじめ決めておく
売上を増やす前に、増やしてよい売上と、増やすと苦しくなる売上を分けることが先です。
この整理ができると、「今は無理に受けない」という判断も前向きな経営判断になります。逆に、管理者が入ったタイミングでは、サブコンとの取引拡大、設計段階に近い提案、工場系や冷凍設備の高付加価値案件など、攻める方向も見えやすくなります。
まとめ
専門工事会社にとって、売上拡大はもちろん大事です。ただし、少人数で回している会社ほど、売上だけを追うと利益率と管理余力が削られます。
今回のような空調・冷凍設備会社では、需要はありました。大手メーカー系とのつながりもあり、業務用設備の専門性もあります。それでも代表は、無理にゼネコン案件や新築系を追うのではなく、「利益が伴うか」「人間がいるか」「管理できるか」を冷静に見ていました。
売上を伸ばすことより、利益が残る受注の型をつくることが先です。
特に、代表1人と協力会社で回す会社では、次の3つを整理するだけでも受注判断が変わります。
- どの取引先・案件種別が利益を残しているか
- どの案件で代表の管理負荷が重くなっているか
- どの案件なら、右腕や協力会社を活かして拡大できるか
無理に規模を追わない経営は、守りではありません。自社の人員体制に合う案件を選び、利益率を守りながら伸ばせる余地を残す経営判断です。
利益が残る受注の型を一緒に整理したいときは
「うちも売上はあるのに、思ったほど利益が残らない」「大型案件を受けるべきか迷っている」「協力会社を使って伸ばしたいが、管理負荷が不安」という悩みは、専門工事会社では珍しくありません。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、人材確保、組織づくり、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。受注先を増やす前に、どの案件を受けるべきか、どの案件は今は見送るべきか、といった整理からでも大丈夫です。
無理な営業はいたしませんので、「まず自社の場合はどう考えるべきか」を確認したい段階でも、必要な範囲でお話しできます。

































