前提

首都圏で40名台を維持する専門工事会社が、冬場の案件集中と翌月の落差に向き合っている状況

首都圏に拠点を置く、40名台の専門工事会社の話です。イベント・イルミネーション・電気設備まわりの案件を中心に、一定数の社員が外部先に常駐する形も取りながら、会社全体としては50名弱の規模を維持してきました。

この会社では、繁忙期になると一気に人手が必要になります。一方で、山を越えた翌月から急に案件が薄くなることがあります。

相談の中で印象的だったのは、次の言葉です。

「繁忙期をバーッと乗り越えた翌月から、パタッと仕事がなくなる。そこから辞める判断に行ってしまうメンバーもいるんです」

この悩みは、単に「営業を増やせばよい」という話ではありません。仕事量の波が激しい会社では、採用・定着・協力会社・利益率の問題が、すべて同じ根っこでつながりやすくなります。

忙しい時期には人が足りない。閑散期には人を抱え続ける負担が出る。社員から見ると、将来の見通しが読みづらい。協力会社から見ると、急な依頼には応えにくい。こうした構造が重なると、経営側が思っている以上に、現場の不安定さが人の動きに影響します。

1週間で 8件ダウンロード されました

  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

繁忙期だけ人手が必要になり、閑散期の落差が退職判断と外注不足を生んでいること

この会社の課題は、仕事がないことではありません。むしろ繁忙期には、相当な仕事量があります。問題は、仕事の山と谷の差が大きすぎることです。

繁忙期には、社員も協力会社も総動員になります。ところが、その山を越えると急に仕事量が落ちる。すると、社員の中には「この先も安定して働けるのか」と感じる人が出てきます。

もちろん、退職理由は一つではありません。人間関係、評価、育成、働き方など、いろいろな要素が絡みます。ただ、仕事量の波が大きい会社では、退職のきっかけが生まれやすくなります。

忙しすぎる時期には疲弊し、急に暇になる時期には将来が見えにくくなる。この振れ幅が、社員の定着に影響します。

協力会社側にも同じことが起きています。以前は数名体制で動けた職人会社が、今は親方一人になっている。昔は頼めた会社が、今は人数を出せない。こうした話も出ていました。

「3人でやっていた会社が、2人抜けて1人しかいない、みたいなことがあるんです」

この状態では、繁忙期に「あと何人ほしい」と思っても、すぐには集まりません。繁忙期の人手不足は、繁忙期に探しても間に合いにくいのです。

背景

案件領域が季節要因に寄り、上流工程へ広げるにも物・人・責任範囲の壁があること

仕事量の波が大きくなる背景には、案件領域の季節性があります。イルミネーションやイベント関連の工事は、どうしても特定の時期に集中しやすい領域です。

では、販売先や案件領域を広げれば解決するのか。方向性としては有効です。ただし、ここで注意したいのは、仕事を広げることと、会社が背負う責任を広げることは同じではないという点です。

例えば、今より上流の立場で案件を受けると、利益率が上がる可能性はあります。一方で、責任範囲も広がります。元請けに近づけば、単に自社の施工範囲だけを見ればよいわけではなくなります。映像、音響、照明、仮設、工程、調整、安全、品質、トラブル対応など、周辺領域まで含めて見る必要が出てきます。

相談の中でも、上流に上がることについて、次のような懸念が語られていました。

「上がれば上がるほど責任を負いますし、映像だったり音響だったりも含まれてくる。それを自分たちで分担してやるとなると、なかなか難しさがあります」

また、イベント・展示会・映像関連の案件では、「作業だけ」で回そうとすると人件費勝負になりやすい面もあります。物を持つ、設備を持つ、企画や管理を持つ、協力会社を束ねるなど、どこで付加価値を取るかを決めないと、忙しい割に会社に利益が残りにくくなります。

つまり、平準化のために新しい案件を取りにいく場合でも、見るべきは売上額だけではありません。

  • その案件は、閑散期を埋めるのか
  • 既存の社員の技術で対応できるのか
  • 新たに物や設備を持つ必要があるのか
  • 協力会社を束ねる責任が増えるのか
  • 人件費だけの勝負にならないか
  • 事故や遅延時の責任をどこまで負うのか

平準化のための案件開拓は、「仕事を増やす活動」ではなく、「会社が背負える仕事を選ぶ活動」です。

解決

販売先・公共案件・協力会社の選択肢を増やし、繁忙期前から仕事量をならす設計

仕事量を平準化するには、いきなり大きく事業を変えるよりも、まずは現在の強みを起点に、山を低くし、谷を浅くする設計が現実的です。

大きくは、次の3つの方向で整理できます。

1つ目は、既存領域に近い販売先を広げることです。

イルミネーションやイベント系の工事をしている会社であれば、周辺には展示会、商業施設、映像設備、音響設備、仮設電気、サイン、演出まわりなど、近い領域があります。ただし、近いからといってすべて取りにいけるわけではありません。

見るべきは、既存の技術・人員・協力会社網で対応できるかです。例えば展示会ブースやイベント会場の工事は、一見すると近い領域に見えますが、工程の短さ、夜間対応、搬入出、他業種との調整など、独自の難しさがあります。

そのため、最初から大きな案件を狙うよりも、既存顧客の周辺工事や、責任範囲を限定できる案件から試すほうが進めやすいです。

2つ目は、公共案件や自治体案件を検討することです。

相談の中でも、区や都道府県などの入札案件に触れられていました。公共案件は、入札に負けることもありますし、書類や手続きの手間もあります。ただ、自社で案件を選びやすい面があります。

特に、繁忙期の谷を埋める目的であれば、売上規模の大きさだけでなく、時期・施工範囲・必要人数・利益率を見ながら選べることが重要です。

公共案件を平準化に使う場合は、次のように考えると整理しやすくなります。

  • 繁忙期と重ならない時期の案件か
  • 自社単独で完結できる範囲か
  • 書類対応や管理負荷を吸収できるか
  • 利益よりも稼働安定を優先する案件か
  • 実績づくりとして意味がある案件か

公共案件は、売上を一気に伸ばす手段というより、仕事量の底をつくる選択肢として見ると扱いやすくなります。

3つ目は、繁忙期前に協力会社の選択肢を増やすことです。

繁忙期に人が足りなくなる会社ほど、協力会社開拓を繁忙期に始めてしまいがちです。しかし、相手も同じ時期に忙しくなります。だからこそ、閑散期のうちに接点を持っておくことが大切です。

相談の中では、「3〜4社くらい選択肢があると違う」という感覚も出ていました。これはとても現実的です。いきなり何十社と関係を作る必要はありません。まずは、繁忙期に声をかけられる会社を数社増やすだけでも、受けられる案件の幅は変わります。

協力会社を探すときは、単に「電気工事ができますか」だけでは足りません。次のような条件を見ておくと、繁忙期の実戦で使いやすくなります。

  • イルミネーションやイベント系の経験があるか
  • 少人数でも機動力があるか
  • 首都圏の移動に対応できるか
  • 夜間・短工期に対応できるか
  • 繁忙期が自社と完全に重ならないか
  • 親方一人ではなく、応援を組める余地があるか

ここで大切なのは、協力会社を「足りない時に呼ぶ先」ではなく、「繁忙期を一緒に越える選択肢」として関係を作ることです。

小さな案件で一度一緒に動く。閑散期に情報交換しておく。相手が仕事を探している時期にこちらから紹介できるものがないかを見る。こうした関係づくりが、繁忙期のキャパシティになります。

平準化の順番としては、次の流れが現実的です。

  1. 月別の売上・粗利・必要人工を棚卸しする
  2. 繁忙期と閑散期の差を数字で見る
  3. 閑散期に入れたい案件領域を3つ程度に絞る
  4. 上流化する範囲と、しない範囲を決める
  5. 繁忙期前に協力会社候補を3〜4社増やす
  6. 小さな案件で関係性と対応力を確認する

仕事量の平準化は、一発で解決する施策ではなく、案件ポートフォリオと協力会社網を少しずつ組み替える取り組みです。

まとめ

繁忙期と閑散期の波が激しい会社では、人手不足と退職が別々の問題に見えて、実はつながっていることがあります。

繁忙期は人が足りず、社員にも協力会社にも負荷がかかる。山を越えた翌月に仕事が急に減ると、社員は将来の見通しを持ちにくくなる。協力会社も年々人数が減り、急な依頼に応えられなくなる。こうした構造が重なると、現場の安定感が弱くなります。

打ち手は、単純に営業量を増やすことではありません。自社が背負える責任範囲を見極めながら、販売先・案件領域・公共案件・協力会社の選択肢を増やすことです。

特に、上流工程へ広げる場合は慎重に見る必要があります。利益率が上がる可能性がある一方で、物・人・調整・責任範囲も広がります。自社がどこまで持つのか、どこからは協力会社や元請けとの分担にするのかを決めないまま広げると、忙しさだけが増える可能性があります。

まずは、月別の仕事量を見える化し、閑散期を埋める候補を整理し、繁忙期前に協力会社の選択肢を増やすことから始めるのが現実的です。

仕事量の波をならすことは、社員を安心させるためだけでなく、会社が次の案件を選べる状態をつくるための経営課題です。

自社の仕事量の波をどこから整えるか考えたいときは

繁忙期と閑散期の差は、会社ごとに原因が違います。案件の季節性が強いのか、販売先が偏っているのか、協力会社の選択肢が少ないのか、上流化の判断に迷っているのか。まずは、その構造を整理するだけでも次の打ち手が見えやすくなります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、協力会社開拓、人材確保、組織活性化、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。

「うちの場合は、販売先を広げるべきか」「公共案件を見た方がよいのか」「繁忙期前に協力会社をどう増やすか」といった段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、状況整理の場としてご活用ください。

お問い合わせはこちら