前提

岡山県で特殊造作まで対応する専門工事会社が、次の取引先をどう増やすか悩んでいる状況

岡山県を拠点に、店舗内装や造作家具、難易度の高い仕上げ工事まで対応している専門工事会社の話です。従業員規模は十数名ほど。都心の高級ブランド店舗や、意匠性の高い商業施設の造作にも関わってきた実績があり、単なる施工班ではなく、図面を読み、納まりを考え、現場で形にする力を持っている会社です。

一方で、売上と利益を伸ばしていくには、既存取引だけでは限界も見えてきます。そこで出てきたのが、「大手の内装・ディスプレイ会社との取引を広げるべきか」「地場の内装会社を複数開拓していくべきか」という悩みでした。

相談の中で印象的だったのは、社長の次の言葉です。

「大手と付き合えるなら、正直そっちの方が嬉しいです。ただ、10億、20億くらいの会社は、いつどうなるかわからないところもあるので」

この感覚は、多くの専門工事会社に共通するものだと思います。大手には案件量や信用力があります。一方で、入口が狭く、入れたとしても価格競争に巻き込まれる可能性があります。地場・中堅企業は接点を作りやすいものの、与信や継続性の見極めが必要になります。

つまり、新規顧客開拓は単に「大きい会社を狙うか、小さい会社を狙うか」ではありません。自社の強みがどこで一番高く評価されるかを見極める話です。

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課題

大手は魅力的だが、紹介や実績がないと入口で止まりやすい

大手企業との取引は、専門工事会社にとって大きな魅力があります。案件の母数があり、支払面の安心感もあり、実績としても次の営業に効きます。地方の会社であっても、大手の支店や営業所が近隣にある場合は、「ここに入れたら大きい」と感じるのは自然です。

ただし、大手ほど新規の協力会社を簡単には増やしません。既存の協力会社網があり、品質・安全・納期・与信・過去実績を慎重に見ます。担当者に直接連絡しても、関係性がなければ話を聞いてもらう前に止まることもあります。

実際、社長もこう話していました。

「こちらからぱっと営業に行っても、『誰ですか』で終わると思うんですよ。大手はまず対応してくれるかどうかですよね」

これは弱気な話ではなく、かなり現実的な見方です。大手開拓では、正面からの飛び込み営業よりも、信頼できる紹介ルートや実績の見せ方が重要になります。

一方で、地場・中堅の内装会社には別の可能性があります。年商10億〜20億規模で、エンドユーザーから直接仕事を受けている会社や、施工業者不足に悩んでいる会社であれば、協力会社を探しているケースがあります。大手ほど入口は硬くありません。

ただし、こちらも万能ではありません。社長が気にしていたように、地場・中堅企業は会社ごとの差が大きく、案件の継続性や支払面、利益率の見極めが必要です。「悪くはないが、とびきり良いとも限らない」という感覚は、かなり大事な判断材料です。

背景

誰でもできる工事ではなく、難しい納まりで選ばれる会社ほど営業先を間違えやすい

この会社の強みは、単価の安い量産工事を早くこなすことではありません。意匠性の高い店舗や、納まりの難しい造作、他社が少し嫌がるような案件で力を発揮するタイプです。

社長も、営業先を考える中でこう話していました。

「簡単な、誰でもできるものは安く取るところがあるでしょう。難しい案件は、なかなか誰でも手を出さないところがありますからね。うちは最高のものができるとは言わないけど、ある程度のものはできる。そこをメインに営業したいです」

この発言には、専門工事会社の営業戦略の核心があります。

新規開拓で失敗しやすいのは、自社の強みと相手の発注ニーズがずれている状態です。難しい造作に強い会社が、単純な価格比較の現場ばかり受けに行くと、技術力が評価される前に見積金額だけで比べられます。逆に、特殊対応が必要な発注者に出会えれば、「多少高くても安心して任せたい」という判断になりやすくなります。

大手企業でも同じです。大手だから必ず良いわけではありません。標準化された工事を大量に回す部署に入ると、価格と手離れが重視されます。一方で、特殊店舗・高級商材・短納期改装・難しい納まりが多い部署や担当者に入れれば、自社の技術が評価される余地があります。

地場・中堅企業も同じです。単に売上規模で選ぶのではなく、次のような観点で見る必要があります。

  • 自社の施工力を必要とする案件を持っているか
  • 価格だけでなく、納まりや品質を評価する会社か
  • 単発ではなく、継続的に相談が来る可能性があるか
  • 支払条件や与信に大きな不安がないか
  • 既存取引先との関係を壊さずに入れる商圏・案件か

特に地方の内装・造作業界では、横のつながりや既存取引先への配慮も無視できません。「このエリアではやりにくい」「この会社に入るなら一言通した方がいい」といった感覚は、営業戦略にきちんと織り込むべきです。

解決

大手一本化ではなく、紹介ルートと中堅開拓を分けて顧客ポートフォリオを作る進め方

このような会社にとって、現実的な進め方は「大手か中堅か」を一つに決め切ることではありません。おすすめしたいのは、大手開拓と地場・中堅開拓を役割分担して進めることです。

まず、大手については、正面突破よりも紹介ルートを優先します。大手の担当者に近い人、過去に店舗開発や内装発注側にいた人、協力会社選定に影響力のある人など、信頼の橋渡しができるルートを探します。

このとき重要なのは、「大手に入れれば何でもよい」と考えないことです。最初に狙うべきは、自社の強みが伝わりやすい案件領域です。たとえば、特殊造作、短納期対応、意匠性の高い什器、現場での納まり調整が必要な案件などです。

営業資料や紹介時の伝え方も、単なる会社案内では弱くなります。次のような情報を整理しておくと、相手が判断しやすくなります。

  • 過去に対応した難易度の高い工事の概要
  • どの工程から関われるか
  • 製作と現場施工のどこまで対応できるか
  • 対応可能エリアと応援体制
  • 得意な案件、逆に合わない案件
  • 品質・納期・安全面で大事にしていること

一方で、地場・中堅の内装会社は、複数社を並行して開拓するのが基本です。1社に依存するのではなく、数社から継続的に相談が来る状態を目指します。

ただし、リストを作って一斉に電話するだけでは不十分です。年商規模だけでなく、施工領域、エンドユーザーとの距離、協力会社不足の有無、支払条件、過去の評判を見ながら、優先順位をつける必要があります。

進め方としては、次の順番が現実的です。

  1. 既存実績を「難しい案件」「短納期案件」「造作対応」などに分類する
  2. 大手向けには紹介者経由で刺さる実績を準備する
  3. 地場・中堅向けには、協力会社不足がありそうな会社を優先して接点を作る
  4. 初回案件では利益率だけでなく、継続性と相性を見る
  5. 半年〜1年で、売上構成が偏りすぎていないか確認する

大事なのは、案件量・利益率・信用力・入りやすさを同時に見ることです。大手は信用力と案件量が魅力ですが、入口が狭く、価格が厳しい場合もあります。中堅は接点を作りやすい反面、与信や継続性にばらつきがあります。

だからこそ、大手は「紹介で狙う特別ルート」、中堅は「複数社で基盤を作る通常ルート」と分けて考えると、営業判断がしやすくなります。

まとめ

内装・造作・専門工事会社の新規顧客開拓では、大手元請けを狙うべきか、地場・中堅の内装会社を増やすべきかで迷う場面がよくあります。

大手は魅力的です。案件量、信用力、実績としての見え方は大きな武器になります。ただし、関係性や紹介がないと入口で止まりやすく、入れたとしても自社の強みが活きない案件では価格競争になりやすいです。

地場・中堅企業は接点を作りやすく、施工業者不足のタイミングに合えば早く案件につながる可能性があります。一方で、与信、継続性、利益率の見極めは欠かせません。

結論としては、大手一本化でも、中堅だけでもなく、自社の強みが活きる顧客ポートフォリオを作ることが大切です。難しい納まり、特殊造作、意匠性の高い店舗工事に強い会社であれば、営業先も「価格で選ぶ会社」ではなく「技術と安心感を必要としている会社」に寄せるべきです。

「どこに営業するか」は、「どんな仕事で利益を出したいか」と同じ話です。新規開拓を始める前に、自社が選ばれるべき案件を言語化しておくことが、遠回りに見えて一番の近道になります。

自社に合う営業先を整理したいときに考えたいこと

新規顧客開拓は、リストを作って動き出す前の整理で成果が大きく変わります。大手を紹介で狙うべきか、地場・中堅を複数開拓すべきか、あるいは両方をどう組み合わせるべきかは、会社の強み、施工体制、既存取引、地域性によって変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大、元請け開拓、顧客ポートフォリオの整理を、現場事情や組織体制も含めて一緒に考えています。「うちの場合は大手に行くべきなのか」「まずどの会社から当たるべきかわからない」という段階でも大丈夫です。

無理に何かを進めるのではなく、現状を整理したうえで、次の一手を一緒に考える形です。必要であれば、お問い合わせはこちらからご相談ください。