前提

20名弱の住宅系専門工事会社で、40代の主力監督3人が売上と現場を支えている状態

埼玉県のある住宅系専門工事会社では、監督・事務・協力会社を含めた体制で、大手住宅会社からの工事やリフォーム系の案件を受けています。現場の需要はあり、施工体制を広げられれば受けられる仕事も増える見込みがあります。

一方で、社内の中心は40代前後の監督3人です。そのうち1人は工事部長に近い立場で、20代の若手2人の育成も担っています。若手はこれから覚えていく段階のため、残業は抑え気味にしています。結果として、難しい案件、売上、残業、育成の負担が、できる監督に寄っています。

経営側からは、こんな声が出ていました。

「このまま50歳、55歳になった時に、今と同じ現場の持ち方ができるのかと聞くと、『無理だ、きつい』と言うんです」

この会社の課題は、単に残業時間が多いことではなく、売上を担う人ほど仕事を手放せず、若手を育てる時間まで背負っていることです。

1週間で 19件ダウンロード されました

  • 7月16日外構工事会社東京都
  • 7月16日塗装工事会社大阪府
  • 7月16日内装工事会社群馬県
  • 7月16日総合建築岐阜県
  • 7月15日工務店東京都
  • 7月15日内装工事会社神奈川県
  • 7月15日塗装工事会社奈良県
  • 7月15日内装工事会社鳥取県
  • 7月14日配管工事会社高知県
  • 7月14日配管工事会社広島県
  • 7月14日防水工事会社神奈川県
  • 7月12日配管工事会社京都府
  • 7月12日ビルメンテナンス佐賀県
  • 7月12日リフォーム会社茨城県
  • 7月11日総合建築福島県
  • 7月11日総合土木大阪府
  • 7月11日造園会社愛知県
  • 7月11日外構工事会社茨城県
  • 7月10日電気設備工事会社京都府
  • 7月8日総合土木愛知県
  • 7月8日工務店山形県
  • 7月8日外構工事会社群馬県
  • 7月6日工務店兵庫県
  • 7月6日電気設備工事会社神奈川県
  • 7月6日防水工事会社東京都
  • 7月5日塗装工事会社神奈川県
  • 7月5日プラント工事会社福島県
  • 7月5日リフォーム会社東京都
  • 7月5日総合土木福井県
  • 7月4日外構工事会社千葉県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

残業削減だけを進めても、できる監督に仕事が戻ってしまう構造

残業時間は毎月見えています。個別にも声をかけています。固定残業の枠を超えた分も把握しています。それでも、なかなか平準化できません。

理由ははっきりしています。できる監督が持っている仕事は、単なる作業量ではなく「責任」と「判断」と「売上」が一体になっているからです。

難しい案件を任せられる人は限られます。元請けや顧客とのやり取り、職人の段取り、現場の先読み、トラブル対応、引き渡しまでの責任を考えると、「この案件はあの人にお願いするしかない」となりがちです。

さらに、その監督は若手にも教えています。自分の現場を回しながら、若手に説明し、確認し、失敗しないように見ている。本人の業務時間の中には、現場管理だけでなく、育成の負荷も含まれています。

ここで残業だけを見て「減らそう」と言っても、現場は回りません。売上も落とせません。若手に丸投げもできません。結果として、本人の責任感に頼る形になり、また同じ人に仕事が戻ります。

残業の偏りは、勤怠の問題というより、現場監督の仕事が個人完結型になっているサインです。

背景

一人で現場を完結できる監督ほど、仕事を分ける経験をしていない

この会社では、以前から「一人で現場を持ち切る」働き方が強くありました。60歳近くまで現場を持ち、難しい案件も自分で抱えて動いていたベテランもいました。周囲から見ると、まさにスーパーマン型の監督です。

ただ、その働き方には弱点があります。本人が優秀であればあるほど、仕事の中身が見えにくくなり、次の人に渡せる形になりにくいことです。

「俺はこれを考えてやってきたから、これは守る」という感覚は、品質を守るうえでは大切です。しかし、組織としては、その判断の中身を少しずつ分解していかないと、次の監督が育ちません。

若手側にも事情があります。一度教えてもらっても、もう一度聞きづらい。聞いたら「前に言ったよね」と受け取られるかもしれない。上司側に悪気がなくても、できる人ほど「このくらいは分かるだろう」という前提で話してしまうことがあります。

その結果、若手は育つまで時間がかかり、主力監督はさらに抱え込みます。育成の負荷が増えるほど、余裕がなくなり、周囲への言い方も強くなりやすい。すると、また若手が質問しにくくなります。

問題の根は、能力の高い監督がいることではなく、その能力を会社の仕組みに移せていないことにあります。

解決

監督の仕事を分解し、若手に渡す業務と育成時間を会社の予定に入れること

最初にやるべきことは、残業時間を減らす号令ではありません。主力監督が抱えている仕事を分解し、「本人しかできない仕事」と「若手に渡せる仕事」を分けることです。

現場監督の仕事は、すべてを一気に任せるか、何も任せないかの二択ではありません。たとえば、次のように段階を分けて考えます。

  • 現場写真、書類、図面確認など、手順化しやすい業務
  • 職人や事務への依頼など、説明の型を作れる業務
  • 工程の一部確認など、判断基準を添えれば任せられる業務
  • 顧客・元請け対応や難しい調整など、まだ主力監督が持つべき業務

大事なのは、若手に任せる業務を「空いた時間に教える」のではなく、最初から業務として設計することです。

育成は善意や余力で行うものではなく、会社が売上を維持するための仕事として扱う必要があります。

そのためには、ミドル層の会議で次の3点を見える化します。

  1. 誰がどの案件を持っているか
  2. その案件の中で、若手に渡せる業務は何か
  3. 教える時間・確認する時間が、誰の予定に入っているか

ここで注意したいのは、売上を担う人にいきなり「仕事を手放して」と言わないことです。本人からすれば、案件を持たなければ評価や収入が下がるのではないか、難しい現場で失敗が起きたら自分の責任になるのではないか、という不安があります。

だからこそ、手放す判断軸を会社側で示す必要があります。

任せるべき仕事は、「売上に直結する大事な仕事」ではなく、「若手が経験すれば再現でき、主力監督の確認で品質を守れる仕事」から始めるのが現実的です。

また、工事部長や主力監督には「案件を多く持つこと」だけでなく、「若手がどの業務をできるようになったか」も役割として明確にします。評価や会議の中で育成を扱わなければ、忙しい人ほど自分の現場を優先するのは自然です。

進め方としては、半年から1年程度の幅で見るのがよいです。最初の数か月で業務を分解し、若手に任せる範囲を決める。その後、運用しながら、月次の会議で負荷と育成状況を確認する。いきなり制度を大きく作るより、実際の現場に合わせて調整しながら形にする方が、中小の専門工事会社には合いやすいです。

目指す状態は、主力監督の残業を単に削ることではなく、主力監督が「現場を抱える人」から「現場を任せられる人を育てる人」へ少しずつ移れる状態です。

まとめ

40代前後の主力監督に残業と売上が偏っている会社では、残業時間だけを見ても根本解決にはなりにくいです。背景には、難しい案件を任せられる人が限られ、若手育成まで同じ人に集中している構造があります。

本人も、今は責任感で動けます。しかし、5年後、10年後に同じ働き方を続けられるとは限りません。経営側が早めに向き合うべきなのは、誰かを楽にする話ではなく、会社として監督を育てる仕組みを作る話です。

まずは、できる監督の仕事を分解すること。次に、若手へ渡す業務を決めること。そして、育成時間を正式な業務として会議と予定に入れることです。

この順番で進めると、残業の偏りは単なる個人差ではなく、組織で扱える課題になります。売上を守りながら、次の監督を育てる道筋も見えやすくなります。

監督の負荷と育成の進め方を整理したいときは

主力監督に仕事が寄っている状態は、外から見るよりも複雑です。売上、責任感、若手育成、元請けとの関係、職人の段取りが絡んでいるため、社内だけでは「どこから手をつけるか」が見えにくいこともあります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。今回のように、監督の負荷平準化や若手育成の仕組みづくりも、会社ごとの体制に合わせて一緒に整理できます。

「うちの場合、誰の仕事をどう分ければいいのか」「育成を会議や評価にどう入れればいいのか」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは状況整理の相手としてご相談ください。

お問い合わせはこちら