前提

応募は月50〜60件あるが、採用を代表が片手間で回している成長企業

首都圏で事業を伸ばしている10名弱の会社から、採用体制について相談がありました。社内は若手中心で、既存メンバーは横断的に動きながら事業を回している状態です。採用も重要だと分かっているものの、代表がほぼ一人で担っていました。

「事業が伸びてきていて、採用がすごく大事だとは思っているんですけど、ずっと片手間になってしまっています」

この言葉は、建設業の中小企業にもかなり近いものがあります。現場、見積、元請け対応、協力会社対応、資金繰り、採用まで、経営者や幹部が何役も担っている会社は少なくありません。

今回の会社では、応募数そのものは月平均で50〜60件ほど集まっていました。数字だけ見ると、採用に困っていないようにも見えます。しかし実際には、採用したい人に会えていない感覚が強くありました。

「応募自体は平均で50、60とか集まってくるんですけど、やっぱり質はあまり良くないんです」

ここで大事なのは、応募数が多いことと、採用したい人に会えていることは別物だという点です。母集団形成は、単に応募者を増やす活動ではありません。自社が本当に会いたい人に、必要な情報が届き、応募後も温度感を落とさず選考に進んでもらうための設計です。

建設業でも同じです。現場職、施工管理、営業、バックオフィス、人事担当など、職種が違えば響く情報も違います。応募数があるのに採用が進まない場合、まず見るべきは「媒体が足りないか」ではなく、誰に、何を、どの順番で伝えているかです。

1週間で 19件ダウンロード されました

  • 7月16日外構工事会社東京都
  • 7月16日塗装工事会社大阪府
  • 7月16日内装工事会社群馬県
  • 7月16日総合建築岐阜県
  • 7月15日工務店東京都
  • 7月15日内装工事会社神奈川県
  • 7月15日塗装工事会社奈良県
  • 7月15日内装工事会社鳥取県
  • 7月14日配管工事会社高知県
  • 7月14日配管工事会社広島県
  • 7月14日防水工事会社神奈川県
  • 7月12日配管工事会社京都府
  • 7月12日ビルメンテナンス佐賀県
  • 7月12日リフォーム会社茨城県
  • 7月11日総合建築福島県
  • 7月11日総合土木大阪府
  • 7月11日造園会社愛知県
  • 7月11日外構工事会社茨城県
  • 7月10日電気設備工事会社京都府
  • 7月8日総合土木愛知県
  • 7月8日工務店山形県
  • 7月8日外構工事会社群馬県
  • 7月6日工務店兵庫県
  • 7月6日電気設備工事会社神奈川県
  • 7月6日防水工事会社東京都
  • 7月5日塗装工事会社神奈川県
  • 7月5日プラント工事会社福島県
  • 7月5日リフォーム会社東京都
  • 7月5日総合土木福井県
  • 7月4日外構工事会社千葉県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

応募数はあるのに欲しい人に会えない原因が求人票と選考前の情報設計に残っている

この会社の課題は、採用活動の入口がまだ十分に設計されていないことでした。求人票もこれから作る段階で、求める人物像も「人材紹介経験者がよさそう」「新卒採用の知見があるとうれしい」「事業にも関わりたい人が合いそう」といった形で、方向性はあるものの、まだ言葉として固まりきっていませんでした。

採用したいのは、単なる事務的な人事担当ではありませんでした。中途採用と新卒採用の両方を見ながら、募集母集団をつくり、オペレーションを回し、代表や社員と相談しながら改善していける人です。

「基本的には、募集母集団形成のためにできることをしっかりやる、というところがメインミッションだと思います」

一方で、評価制度や研修づくりを最初から任せたいわけではありません。採用担当といっても、人によって期待する仕事内容は大きく異なります。候補者側も、採用実務をガンガン回したい人もいれば、制度設計や組織開発に関わりたい人もいます。

ここが曖昧なままだと、応募は増えてもミスマッチが増えます。

たとえば求人票に「人事」「採用担当」とだけ書いても、候補者は次のように受け取り方が分かれます。

  • 採用広報やスカウトをやる仕事なのか
  • 面接調整などのオペレーション中心なのか
  • 新卒採用の企画まで任されるのか
  • 評価制度や研修も担当するのか
  • 一人目人事としてゼロから立ち上げるのか
  • すでにある採用フローを改善するのか

相談企業では、「完全なゼロからではなく、代表がそれなりに作ってきたものを、最初はオペレーションとして回してほしい」という前提がありました。これは求人票や候補者説明で必ず伝えるべき情報です。

応募の質を上げるには、仕事内容を広く見せるより、最初に任せる仕事と任せない仕事をはっきりさせることが重要です。特に中小企業では「何でもやってほしい」が本音になりがちですが、そのまま出すと、候補者には忙しさだけが伝わり、自社に合う人ほど判断しづらくなります。

背景

若手中心で横断的に働く会社ほど、採用したい人物像がカルチャーと業務範囲にまたがる

この会社では、社員の平均年齢が30歳前後で、創業期に近い雰囲気が残っていました。メンバーはチームで働くことを重視し、社内の情報はオープンに共有され、ロープレやナレッジ共有も行われています。日々の業務では、複数の役割を兼ねることも珍しくありません。

「個人で働くことよりも、チームで働くことを重んじています」

「一方で、一人目人事みたいなポジションになるので、それなりに自分で進めていかないといけない側面はあります」

この2つは、一見すると矛盾しているようで、実は中小企業採用ではよくある条件です。

チームで働ける人がいい。けれど、誰かが細かく指示し続ける余裕はない。会社の考え方に共感してほしい。けれど、ただ馴染むだけではなく、自分で採用業務を前に進めてほしい。

建設業でも、まったく同じ構造があります。現場を大事にする会社ほど、協調性や人柄を重視します。一方で、少人数の会社では、担当者が自分で段取りを組み、元請けや職人、協力会社、社内メンバーと調整しながら進める力も欠かせません。

このような採用では、スキル条件だけを並べても、欲しい人には届きません。

たとえば「採用経験3年以上」「新卒採用経験歓迎」「自走できる方」と書いても、その会社で働くイメージは伝わりません。むしろ、候補者からすると「結局どこまで任されるのか」「どんな人が評価されるのか」「入社後に孤立しないのか」が見えにくくなります。

相談企業では、自社の記事発信を候補者に見てもらうことも重視していました。カルチャーや働き方を事前に知ってもらうためです。

「記事発信をしているので、候補者さんに案内いただくときには活用してほしいです」

これは非常に大事です。母集団形成は求人票だけで完結しません。求人票、会社紹介、社員の声、選考中の説明、面談での会話がつながって初めて、候補者の理解が深まります。

特に中小企業は、大手のように知名度で応募を集めにくい一方で、会社の考え方や距離の近さ、任される範囲、成長機会を丁寧に伝えれば、刺さる人には強く刺さります。だからこそ、「うちは何を大事にしている会社なのか」を採用導線の中に組み込む必要があります。

解決

媒体を増やす前に、会いたい人が応募前に判断できる採用導線をつくる

応募の質を改善する最初の打ち手は、媒体や紹介会社を増やすことではありません。まずは、会いたい人が応募前に自分に合うか判断できる状態をつくることです。

今回のように応募数が月50〜60件あるなら、入口の量は一定あります。そこでさらに応募数だけを増やすと、確認すべきレジュメや面談数が増え、採用担当の負担が重くなる可能性があります。代表や幹部が採用を兼務している会社ほど、応募数の増加がそのまま採用力向上につながるとは限りません。

見直す順番は、次の5つです。

1. 求める人物像を「経験」ではなく「任せたい動き」から決める

まず整理したいのは、経験年数や前職業界ではなく、入社後にどんな動きをしてほしいかです。

相談企業では、人材紹介の経験だけでなく、事業会社での経験や、新卒採用の知見、採用オペレーションを回す力が重視されていました。さらに、チームで働きながらも自分で前に進める力も必要でした。

この場合、求人票では「人材業界経験者歓迎」と書くだけでは足りません。次のように、動き方まで落とし込む必要があります。

  • 中途・新卒採用の応募経路ごとの数値を見て改善できる
  • 求人票や候補者向け資料を更新しながら応募の質を上げられる
  • 面接官や現場メンバーと連携し、選考の温度感を保てる
  • 代表と相談しながら、採用要件を言語化できる
  • 制度づくりよりも、まずは採用実務を前に進めることにやりがいを持てる

建設業であれば、施工管理採用でも職人採用でも同じです。「経験者歓迎」だけではなく、どの現場規模を見てほしいのか、元請け対応が必要なのか、若手育成も含むのか、書類作成まで任せるのかを整理します。

採用したい人を決めるとは、経歴を絞ることではなく、入社後に再現してほしい動きを決めることです。

2. 求人票では「やること」と同じくらい「最初はやらないこと」を書く

採用のミスマッチは、任せる仕事が広く見えすぎると起きやすくなります。

今回の会社では、人事担当を探していましたが、最初から評価制度や研修を任せたいわけではありませんでした。メインは採用リクルーティングです。中途採用と新卒採用の母集団形成、応募者対応、選考オペレーション、候補者への情報提供が中心です。

この場合、求人票には次のような整理が必要です。

  • 主業務:採用活動の設計・運用・改善
  • 対象:中途採用と、今後取り組む新卒採用
  • 入社初期:既存の採用フローを理解し、運用を安定させる
  • 将来的:採用広報や新卒採用の仕組み化にも関与
  • 当面の対象外:評価制度、研修制度などの人事制度全般は主担当ではない

これを出すことで、制度設計をやりたい人は応募前に違いを理解できます。一方で、採用実務を通じて事業成長に関わりたい人には、仕事の輪郭が伝わります。

建設業の採用でも、「施工管理」と書くだけでは足りません。現場代理人なのか、補助からなのか、写真管理中心なのか、協力会社手配まで含むのか。ここを曖昧にすると、応募者の期待と現場の実態がずれます。

求人票は人を集めるためだけのものではなく、合わない応募を自然に減らすためのものでもあります。

3. 候補者への訴求は、条件よりも「なぜ今この人が必要か」を伝える

中小企業の採用では、給与や休日だけで大手と比較されると不利になりやすい場面があります。だからこそ、条件を隠すのではなく、条件以外の意味をきちんと伝える必要があります。

今回の会社で候補者に伝えるべきなのは、「人事担当を募集しています」ではなく、「事業が伸び、代表が片手間で採用を回す段階を越えつつあるため、採用を専任に近い形で前に進める人が必要になっている」という背景です。

この背景があると、候補者は自分の役割を想像しやすくなります。

  • なぜ今採用するのか
  • 入社後に何を改善してほしいのか
  • 代表や社員とはどう関わるのか
  • どこまで裁量があるのか
  • 会社として何を大事にしているのか

「新卒採用もやりたいが、今のままでは代表一人では難しい」という話も、候補者にとっては重要な情報です。単なる忙しさではなく、会社が次のフェーズに進もうとしていることが伝わります。

建設業でも、「人が足りないから募集」だけではなく、「元請け案件が増えてきた」「若手を育てる体制をつくりたい」「現場を任せられる人を増やしたい」といった背景を伝えることで、候補者の受け取り方は変わります。

欲しい人に会うには、募集背景を会社都合ではなく、候補者が参加したくなる役割として翻訳することが必要です。

4. 選考導線は早さだけでなく、理解が深まる順番にする

相談企業では、二次面談とオファー面談を同日に行うこともあり、対面で1時間半ほど時間を取るケースがありました。判断は比較的スピーディーです。

スピードは中小企業採用の大きな強みです。ただし、応募の質を上げたい場合は、早く進めるだけでなく、候補者の理解が深まる順番に設計することが大切です。

たとえば、次のような流れです。

  • 応募前:求人票と会社紹介記事で、仕事内容とカルチャーを伝える
  • 一次面談:候補者の志向と、任せたい業務の一致を確認する
  • 二次面談:一緒に働く社員も入り、チームの雰囲気を伝える
  • 最終面談:期待役割、働き方、入社後90日で任せたいことをすり合わせる

今回の会社では、社員が二次面談に出る仕組みがありました。これは、候補者にとっても会社理解を深める機会になります。代表だけでなく、実際に一緒に働く人の言葉を聞けると、入社後のイメージが具体的になります。

建設業でも、社長面接だけで終わらせず、現場責任者や若手社員と話す機会をつくると、候補者の不安は減りやすくなります。特に現場の雰囲気、教え方、チームの関係性は、求人票だけでは伝わりません。

選考は見極めの場であると同時に、候補者が自社を理解して選ぶための場です。

5. 応募数ではなく、選考に進めたい人の比率を見て改善する

応募が月50〜60件ある会社では、まず応募数を追うよりも、応募後の質を見たほうが改善点が見えやすくなります。

見たい指標は、たとえば次のようなものです。

  • 応募数のうち、書類を見て会いたいと思える人数
  • 一次面談に進んだ人数
  • 一次面談後に二次へ進めたい人数
  • 候補者側から辞退された人数と理由
  • 内定を出した人数
  • 入社後に期待役割とずれがなかったか

応募数が多いのに会いたい人が少ない場合は、求人票の訴求が広すぎる可能性があります。一次面談後の辞退が多い場合は、応募前に伝えていた情報と面談で伝わる実態にずれがあるかもしれません。最終段階で迷われる場合は、入社後の役割や評価、働き方の説明が不足している可能性があります。

大切なのは、感覚で「質が悪い」とまとめず、どの段階でずれているのかを見ることです。

母集団形成の改善は、応募者を増やす活動ではなく、会いたい人が残る確率を上げる活動です。

まとめ

応募が月50〜60件あるのに採用したい人に会えないとき、最初に疑うべきは媒体数ではありません。求める人物像、求人票、訴求内容、選考導線、候補者への情報発信がつながっているかを見直すことが先です。

今回の会社では、採用を代表が担いながら、事業成長に合わせて一人目の採用担当を迎えようとしていました。欲しいのは、制度づくり中心の人事ではなく、採用リクルーティングを実務として回し、代表や社員と相談しながら母集団を改善できる人でした。

このような場合、求人票には「人事募集」と書くだけでは足りません。

誰に会いたいのか。入社後に何を任せるのか。何は当面任せないのか。会社のどんなカルチャーに合う人なのか。候補者は選考前に何を見れば理解できるのか。

このあたりを整えるだけでも、応募の質は変わります。

建設業の採用でも、状況は同じです。応募数を増やす前に、現場で本当に必要な人の動き方を言語化し、その人に届く求人票と選考導線をつくることが大切です。採用に大きな予算や専任担当を置けない会社ほど、入口の設計が効いてきます。

欲しい人に会うための採用導線を一緒に整理する

「応募は来るが、会いたい人に会えない」「求人票をどう直せばよいか分からない」「採用を社長や幹部が兼務していて、改善まで手が回らない」という悩みは、中小・専門工事会社でもよく起きます。

ネクスゲートでは、建設業の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用についても、単に求人媒体を増やすのではなく、求める人物像、求人票、候補者への訴求、選考導線まで含めて、会社の状況に合わせて一緒に考えることができます。

「うちの場合は、応募数を増やすべきなのか、求人票を見直すべきなのか分からない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは次の整理先としてご活用ください。

お問い合わせはこちら