社長一人と協力会社で9,000万円規模を回す空調・冷凍設備会社の採用は、求人票だけでは解けない
東海地方で空調・冷凍設備工事を手がける、ある専門工事会社の話です。社員は実質社長一人。現場は協力会社、下請け会社、個人事業主の職人とつながりながら回しています。
仕事の中身は、エアコン、換気扇、ダクト、電気まわりまで幅広く、業務用冷凍機、プレハブ冷蔵庫、冷凍倉庫、食品工場の冷水設備やチラーユニットなども扱います。家庭用エアコンを数多くさばくというより、既存顧客やメーカー系の仕事、まとまった改修工事を中心に進めている会社です。
売上は年によって9,000万円前後から1億円強。大きい仕事を取れば売上は上がりますが、利益率が下がることもあるため、社長は「売上だけ倍にしても、利益が伴わないと意味がない」と話していました。
採用については、過去に求人検索サイトへ掲載したことがあります。実際に入社した人もいましたが、「去年一回入ったんですけど、半年ぐらいで辞めちゃったんで」という状況でした。
ここで大事なのは、応募数が足りないことだけが問題ではないという点です。社長自身も「税金も高いので、雇うメリットがあまり見出せない」と感じています。人が増えれば仕事の幅は広がる。でも、辞められたときの負担も大きい。少人数の専門工事会社では、この感覚はかなり自然です。
求人媒体に出す前に見るべきなのは、『なぜ来ないか』より先に『なぜ続かなかったか』です。
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- 7月8日総合土木愛知県
- 7月8日工務店山形県
- 7月8日外構工事会社群馬県
- 7月6日工務店兵庫県
- 7月6日電気設備工事会社神奈川県
- 7月6日防水工事会社東京都
- 7月5日塗装工事会社神奈川県
- 7月5日プラント工事会社福島県
- 7月5日リフォーム会社東京都
- 7月5日総合土木福井県
- 7月4日外構工事会社千葉県
- 7月2日防水工事会社茨城県
- 6月30日ビルメンテナンス北海道
- 6月30日ビルメンテナンス福岡県
- 6月29日総合建築千葉県
- 6月29日総合建築東京都
- 6月28日配管工事会社富山県
- 6月27日リフォーム会社山口県
- 6月27日内装工事会社大阪府
- 6月26日塗装工事会社秋田県
- 6月26日配管工事会社三重県
- 6月26日工務店宮崎県
- 6月25日内装工事会社長野県
- 6月23日プラント工事会社神奈川県
- 6月23日外構工事会社岐阜県
- 6月19日空調設備工事会社兵庫県
- 6月19日総合建築鳥取県
- 6月19日配管工事会社東京都
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
半年で辞めてしまう背景には、採る人の種類と任せたい役割のズレがある
採用がうまくいかないとき、つい「良い人がいない」「若い人が続かない」「媒体が合わない」と考えがちです。もちろん、それも一部あります。ただ、今回のような少人数の空調・設備工事会社では、もっと手前に課題があります。
採りたい人が、職人なのか、見習いなのか、社長の右腕なのかが曖昧なまま求人を出してしまうことです。
社長の話を整理すると、単純に「作業員が一人ほしい」だけではありませんでした。
現場を自分で動く仕事もある。協力会社にお願いする仕事もある。会社に管理込みで任せることもある。新築や大きめの案件に入るなら、協力会社にそのまま流すだけではなく、自社として管理に入る必要がある。
そのうえで社長は、こう話していました。
「管理する人間がやはりいたほうがいいですよね」
つまり、本当に必要なのは、単なる人手ではなく、社長の判断を一部引き受けられる管理寄りの人材です。協力会社との段取り、現場の進み具合、元請け・取引先とのやり取り、職人への依頼、場合によっては施工内容の判断まで含めて、社長の横で動ける人です。
一方で、求人票では「空調設備工事スタッフ」「未経験歓迎」「経験者優遇」のように書かれがちです。これでは、入社する側から見ると、何を期待されているのかが見えにくくなります。
未経験者は、何をどの順番で覚えればいいかわからない。経験者は、自分が職人として手を動かすだけなのか、管理も求められるのかがわからない。右腕候補として期待されている人は、権限や待遇、将来像が見えない。
採用後のミスマッチは、入社前の説明不足ではなく、会社側の役割設計不足から起きることが多いです。
社長一人に技術判断と指示が集まる会社ほど、新人は仕事の全体像をつかみにくい
少人数の専門工事会社では、社長の頭の中に仕事の進め方が集まっています。どの協力会社に頼むか。どの仕事は自社で見るか。どの取引先は無理を言いやすいか。どの工事は利益が残りやすいか。どの案件は受けても消耗しやすいか。
こうした判断は、長年の経験がある社長にとっては当たり前です。ただ、入社した人にとっては、かなり見えにくいものです。
今回の会社でも、仕事は決して単純ではありません。ルームエアコンの取り付けを大量にこなす会社ではなく、業務用設備、工場系の冷水設備、スポット空調、まとまった改修工事など、案件ごとに中身が変わります。
社長は「人間が増えれば、販路の拡大はできるんでしょうけど、無理にしてとは考えていないです」と話していました。さらに、「あんまり大きくして、辞められた時に困っちゃう」とも話していました。
この言葉には、少人数会社の採用の本音が詰まっています。
人を雇えば、社会保険や税金、教育の時間、現場でのフォローが発生します。うまく育てば会社の力になりますが、半年で辞めれば、教えた時間も段取りの手間も社長に返ってきます。
だからこそ、採用は『人が足りないから出す』ではなく、『この役割を任せるために採る』に変える必要があります。
特に社長一人の会社では、入社後の指示系統が曖昧になりやすいです。
たとえば、現場で新人が迷ったとき、誰に聞けばよいのか。社長が別現場にいるとき、協力会社の職人に聞いてよいのか。図面や見積、材料、工程、写真管理、客先連絡のうち、どこまでを社員に任せるのか。
このあたりが決まっていないと、本人は「自分は何を期待されているのか」が見えません。社長側も「言わなくても見て覚えてほしい」となり、だんだんお互いに疲れてしまいます。
また、将来像の共有も重要です。
社長は会社を大きくしすぎたいわけではありません。一方で、将来的に後を任せられる人がいれば、事業承継も考えられるという温度感でした。
この場合、求人で伝えるべきなのは「急成長を目指す会社です」ではありません。むしろ、既存顧客と協力会社のつながりを大切にしながら、社長の横で技術と管理を身につけていく仕事であることを伝えるべきです。
ここが曖昧なまま採用すると、求職者は会社の将来を想像できません。社長も、入社した人にどこまで期待してよいのかわからないままになります。
求人を出す前に、未経験者・即戦力・右腕候補を分けて受け入れ方を決める
採用を再開する前にやるべきことは、求人媒体を選ぶことではありません。最初に決めるべきは、誰を採るのかではなく、どの役割を会社に増やすのかです。
同じ「採用」でも、未経験者を育てる採用と、即戦力を迎える採用と、右腕候補を採る採用では、設計がまったく違います。
未経験者を採るなら、最初から管理を任せるのは難しいです。まずは現場の安全、工具、材料、写真、片付け、職人との会話、簡単な補助作業など、覚える順番を決める必要があります。
この場合は、求人票にも「半年後にどこまでできるようになってほしいか」を書くほうがよいです。
たとえば、以下のように整理します。
- 入社1か月目は、現場同行と基本作業の理解を中心にする
- 入社3か月目は、材料準備や写真、簡単な作業補助を任せる
- 入社6か月目は、小さな改修工事の流れを一人で説明できる状態を目指す
- 1年後に、協力会社や取引先とのやり取りの一部を担えるようにする
ここまで決めておくと、本人も「何を覚えれば評価されるのか」がわかります。
一方、即戦力を採るなら、技術経験だけを見ても足りません。空調・冷凍設備の経験があるかだけでなく、協力会社を使った現場運営に慣れているか、客先とのやり取りができるか、社長不在時に判断を止めないかを見る必要があります。
特に今回のように、社長が「管理する人間がいたほうがいい」と感じている会社では、即戦力採用の条件は次のように具体化したほうがよいです。
- 業務用空調・冷凍設備の施工経験がある
- 改修工事や保守・修理の流れを理解している
- 協力会社や個人事業主の職人とやり取りできる
- 工程、材料、写真、客先連絡のどこかを任せられる
- 社長の判断を確認しながら、現場管理を少しずつ引き受けられる
右腕候補を採る場合は、さらに踏み込む必要があります。
右腕候補は「できる職人」だけではありません。社長の代わりに一部の現場を見て、取引先との関係を守り、協力会社との距離感を調整し、会社として利益が残る動き方を考えられる人です。
そのため、求人票には良いことばかりを書かず、会社の現在地も正直に伝える必要があります。
「今は社長一人と協力会社で現場を回しています」
「大きく拡大するより、利益と無理のない体制を大切にしています」
「将来的には、現場管理や取引先対応を任せられる方に来てほしいです」
こうした伝え方のほうが、合う人には刺さります。逆に、ただ作業だけをしたい人や、組織が整いきった会社を求める人は、入社前に違うと判断できます。それは悪いことではありません。
採用で大事なのは、応募数を増やすことではなく、辞めにくい人と出会う確率を上げることです。
そのために、求人前に最低限整理したい項目は次の5つです。
1つ目は、任せたい仕事です。エアコン、換気、ダクト、電気まわり、冷凍設備、工場系設備など、会社の仕事を並べたうえで、入社者にどこから関わってもらうのかを決めます。
2つ目は、社長が直接教える範囲です。社長一人の会社では、すべてを丁寧に教える時間は限られます。だからこそ、最初に教えることと、現場で見て覚えることを分けておく必要があります。
3つ目は、協力会社との関わり方です。新しく入った人が、協力会社の職人にどう接するのか。どこまで質問してよいのか。誰の指示を優先するのか。ここが曖昧だと、現場で動きにくくなります。
4つ目は、半年後の状態です。前回半年で辞めているなら、次は「半年後に何ができていれば続きやすいか」を先に決めるべきです。半年は、採用の成否を見るひとつの区切りになります。
5つ目は、将来像です。会社を大きくしたいのか、少人数で利益を守りたいのか、右腕を育てたいのか、将来的に事業を任せたいのか。ここをぼかすと、入社した人は自分の未来を描きにくくなります。
求人票は、採用活動のスタートではなく、受け入れ体制を言語化した結果として作るものです。
まとめ
職人が長続きしないとき、求人媒体や給与条件を見直すことも大切です。ただ、少人数の空調・設備工事会社では、その前に見るべきものがあります。
半年で辞めてしまう理由は、仕事内容そのものよりも、入社後に何を期待され、どう成長すればよいかが見えないことにあります。
社長一人で仕事を回している会社ほど、社長の判断や段取りが暗黙知になっています。協力会社との関係、取引先との距離感、利益が残る仕事の選び方、現場管理の勘所。これらをいきなり新人が理解するのは難しいです。
だからこそ、求人を出す前に、未経験者を育てるのか、即戦力を迎えるのか、右腕候補を採るのかを分けて考える必要があります。
人を採らない選択も、悪い判断ではありません。社長が無理なく回せていて、利益も守れているなら、急いで採用する必要はありません。
ただし、「人がいれば、もう少しできる仕事がある」「管理を任せられる人がいれば、協力会社との仕事の幅が広がる」と感じているなら、採用はもう一度検討する価値があります。
そのときは、求人を出す前に、任せる仕事・教える順番・指示系統・半年後の状態・将来像を整理することが、定着への一番の近道になります。
うちの採用は何から整えるべきかを一緒に整理する
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用や定着の課題を、現場の仕事内容、社長の役割、協力会社との関係、教育体制まで含めて整理しています。
「求人を出すべきか迷っている」「未経験を採るべきか、即戦力を探すべきかわからない」「右腕候補がほしいが、条件をどう決めればよいかわからない」という段階でも大丈夫です。
採用だけを切り出すのではなく、ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して、会社に合う進め方を一緒に考えます。無理な営業はいたしませんので、まずは状況整理の場としてお使いください。

































