40期を迎える内装系専門工事会社が、専属職人中心から社員職人を育てる会社へ舵を切ろうとしている段階
東海地方で内装系の専門工事を手がける、創業40年前後の会社の話です。これまでは、長く付き合いのある専属職人とともに現場を支えてきました。景気の波がある中でも、職人に安定して仕事を出すことを大切にし、「安心して技術を発揮してもらえる関係」を築いてきた会社です。
一方で、建設業全体と同じように、職人の高齢化は避けて通れません。相談の中でも、建設業就業者がピーク時から大きく減り、50代・60代が多く、若い人が少ないという認識が共有されていました。
その中で、社長は次のように話していました。
「技術を見るためには時間がかかるんです。5年から10年は最低でも見ておかないといけない」
ここに、社員職人育成の難しさがあります。社員職人は、採った瞬間に戦力になる人材ではなく、5年・10年単位で会社の技術と文化を渡していく存在です。
そのため、採用人数についても、単に「毎年1名ずつ」ではなく、「2名ずつ採って、相談相手がいる状態にした方がいいのではないか」という話が出ていました。若手を孤立させず、同期やバディのような関係を作る発想です。
社員職人づくりは、採用活動ではなく、育成・定着・技術継承を含めた経営テーマとして考える必要があります。
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- 6月30日ビルメンテナンス北海道
- 6月30日ビルメンテナンス福岡県
- 6月29日総合建築千葉県
- 6月29日総合建築東京都
- 6月28日配管工事会社富山県
- 6月27日リフォーム会社山口県
- 6月27日内装工事会社大阪府
- 6月26日塗装工事会社秋田県
- 6月26日配管工事会社三重県
- 6月26日工務店宮崎県
- 6月25日内装工事会社長野県
- 6月23日プラント工事会社神奈川県
- 6月23日外構工事会社岐阜県
- 6月19日空調設備工事会社兵庫県
- 6月19日総合建築鳥取県
- 6月19日配管工事会社東京都
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
- 6月18日防水工事会社岡山県
- 6月16日配管工事会社青森県
- 6月16日総合建築神奈川県
- 6月16日電気設備工事会社東京都
- 6月15日総合土木千葉県
- 6月15日内装工事会社島根県
- 6月15日設備保全会社群馬県
- 6月14日内装工事会社栃木県
- 6月14日塗装工事会社神奈川県
- 6月13日解体工事会社神奈川県
- 6月11日総合建築和歌山県
- 6月11日総合土木静岡県
「見て覚えろ」の現場任せでは、若手が不安なまま現場に出てしまう
今回の大きな課題は、若手を採った後に、どう育てるかがまだ手探りだという点でした。
社長は、社員職人を育てたいという方向性を持っています。採用したい人物像も、「ものづくりが好きな若い人」「技術を磨けば食べていけることに魅力を感じる人」といった輪郭が見えています。
ただし、その人たちが入社した後に、何をどの順番で教え、どの段階で現場に出し、誰が見て、どのように成長を確認するのか。ここがまだ十分に形になっていません。
相談の中で、印象的だった言葉があります。
「昔は見て覚えろでよかった。でも今は、ある程度の教育を受けて、基本的なものを習得した上で現場に行かないと合わないのかなと思っています」
これは、多くの専門工事会社に共通する実感ではないでしょうか。
昔の現場では、厳しい先輩の背中を見て、叱られながら覚えるのが当たり前でした。けれど今の若手に同じやり方をそのまま求めると、技術が身につく前に不安や違和感が先に立ってしまいます。
特に内装や設備、防水、解体、電気、足場などの専門工事は、現場ごとに条件が違います。図面通りにいかないこともあります。材料の納まり、他業種との絡み、搬入条件、現場の空気、安全面の判断など、教科書にしづらいことが多い仕事です。
だからこそ、現場任せにすると、若手から見るとこうなりがちです。
- 何ができれば一人前に近づいているのかわからない
- 先輩によって教え方や言うことが違う
- 失敗してはいけない空気だけが強く、練習する場がない
- 質問してよいタイミングがわからない
- 仕事の面白さを感じる前に、しんどさだけが残る
若手が辞める原因は、根性がないからではなく、成長の道筋が見えないまま現場に置かれてしまうことにあります。
ベテランの技術はあるのに、教える側がマネジメントを学んできていない
この課題の背景には、建設業特有の技術継承の難しさがあります。
まず、ベテラン職人の技術は高度です。長年の経験で、「この現場ならこう納める」「この材料ならこう扱う」「この順番で進めないと後で詰まる」といった判断が身体に入っています。
しかし、その判断は言葉になっていないことが多いです。本人にとっては当たり前すぎて、なぜそうするのかを説明しづらい。若手から見ると、何を見ればよいのかがわからない。
相談の中でも、別の会社の例として、ベテランの技術を動画やテキスト、AIを使って残そうとしている話が出ていました。背景にあるのは、「その人がいないとできない」状態を減らし、会社として技術を残す必要性です。
もう一つ大きいのが、ミドル層・リーダー層の問題です。
現場で頼られる中堅やベテランは、施工技術は持っています。しかし、人を育てる方法、若手との話し方、注意の仕方、成長を見守る方法を体系的に学んできた人は多くありません。
「私たちは、そういうことを学んでいない。どうやって今の若手と話したらいいのか」
こうした声は、どの会社でも出やすいものです。
たとえば、会社のルールとしてタイムカードや予定表への記入を決めても、年上の職人が守らない場合、若いリーダーはどう声をかければよいのか。強く言えばぶつかる。何も言わなければルールが崩れる。こうした場面は、建設業の現場では珍しくありません。
ここで必要なのは、精神論ではなく、先輩側にも「教え方」「伝え方」「関係の作り方」を学ぶ機会を用意することです。
若手だけを教育しても、受け入れる現場が変わらなければ定着しません。逆に、先輩側だけに「優しく教えろ」と言っても、何をどう変えればよいかわからないままです。
社員職人の育成は、若手教育と同時に、現場リーダー教育でもあります。
初期研修・バディ・練習場・技能ステップ・ナレッジ化を組み合わせて育成を設計する
社員職人を育てるには、ひとつの施策で解決しようとしないことが大切です。研修だけでも足りません。動画マニュアルだけでも足りません。優しい先輩をつけるだけでも、技術の習得は安定しません。
若手が安心して学び、先輩が教えやすくなり、会社が成長を確認できる状態を作るには、複数の仕組みを小さく組み合わせることが現実的です。
今回の相談内容から考えると、まず整理したいのは次の5つです。
1. 現場に出す前の初期研修を決める
最初に必要なのは、「入社後すぐに何を教えるか」を決めることです。
安全、道具の名前、材料の扱い、現場でのあいさつ、先輩への確認の仕方、やってはいけない行動。こうした基本を、現場に出てから都度教えるのではなく、初期研修としてまとめます。
ここで大切なのは、完璧な研修を作ろうとしないことです。最初は半日でも、1日でもかまいません。
「現場に出る前に最低限これだけは揃える」という基準を作るだけで、若手の不安も、現場側の負担も減ります。
2. バディ・メンター制度で若手を孤立させない
社長が話していた「2名ずつ採った方がいいのでは」という考え方は、定着の面で非常に重要です。
若手が1人だけで入ると、比べる相手も相談相手もいません。先輩に聞くほどではない小さな不安を抱え込みやすくなります。
同期がいれば、「自分だけができないわけではない」と思えます。さらに、年齢の近い先輩や、面倒を見る役割のバディ・メンターを決めておけば、質問の入口ができます。
ただし、バディは「面倒見のよい人に何となく頼む」だけでは続きません。
- 週1回、10分だけでも話す
- 困っていることを聞く
- 次に覚える作業を確認する
- 現場で注意された内容を一緒に振り返る
このくらいの軽い型を決めておくと、属人的になりにくくなります。
3. 社内練習場で「失敗して覚える場」を作る
相談の中で、倉庫の一部を改修して、余った材料を使いながら練習できる場所を作りたいという話がありました。
これは、社員職人育成にかなり相性のよい打ち手です。
現場は本番です。納期も品質も安全もあります。若手が思いきり試すには、どうしても緊張感が強い場所です。
一方、社内の練習場であれば、失敗できます。材料の扱いを試せます。危ない動作も、なぜ危ないのかを体験的に学べます。
「余った材料で練習してもらう。安全面でも、こういうところをやったら危ないんだと体験してもらう」
この考え方は、現場に出す前の橋渡しになります。
練習場は、技術を教える場所であると同時に、若手が仕事の面白さを感じる場所にもなります。自分の手で形ができる。少しずつ上達する。それが見えると、ものづくりの実感が生まれます。
4. 技能習得ステップを見える化する
「5年から10年かかる」と言われる技術でも、すべてを一気に覚えるわけではありません。
最初の1ヶ月、3ヶ月、半年、1年で、何ができるようになっていればよいのか。ここを分解すると、若手も先輩も動きやすくなります。
たとえば、次のように段階を置きます。
- 1ヶ月目:道具・材料・安全ルールを覚える
- 3ヶ月目:先輩の補助として基本作業を理解する
- 6ヶ月目:決まった作業を一部任せられる
- 1年目:現場の流れを理解し、次の準備ができる
- 2年目以降:品質・段取り・後輩への説明を覚える
もちろん、業種や会社によって中身は変わります。重要なのは、「一人前」という大きな言葉を、若手が追える小さな階段に分けることです。
このステップがあれば、評価や面談にも使えます。給与や等級制度まで一気に作り込まなくても、まずは「今どこにいるか」を話せるだけで育成は進みます。
5. 動画・マニュアル・AIで職人の判断を残す
建設業の仕事は、現場ごとに条件が違います。だからこそ、製造業のように完全な手順書を作るのは難しい面があります。
ただ、「現場ごとに違うからマニュアル化できない」と考えると、いつまでも属人化が残ります。
現実的には、すべてを標準化するのではなく、まずは繰り返し出てくる基本作業や判断を残すところから始めるのがよいです。
- 道具の使い方を短い動画にする
- よくある失敗を写真で残す
- ベテランが判断しているポイントを聞き取り、文章にする
- 現場ごとの注意点を記録する
- 若手がつまずいた質問をFAQ化する
最近は、動画や音声をもとに文章化したり、AIを使って整理したりする選択肢も増えています。
大事なのは、立派なマニュアルを一度で作ることではありません。ベテランの頭の中にある「この場合はこうする」を、少しずつ会社の資産に変えていくことです。
6. 若手と先輩のコミュニケーション研修を入れる
最後に欠かせないのが、コミュニケーションです。
若手には、質問の仕方、報告の仕方、注意された時の受け止め方を教える必要があります。一方で先輩には、注意の仕方、任せ方、声のかけ方を学ぶ機会が必要です。
特に建設業では、昔ながらの言い方が悪気なく残っていることがあります。本人は普通のつもりでも、若手には強く感じられる。逆に、若手の反応が薄く見えて、先輩が「やる気がない」と受け取ってしまう。
ここで必要なのは、どちらかを責めることではありません。
若手と先輩の間にある受け取り方の違いを、会社として翻訳する場を作ることです。
チームビルディング、1on1、アサーティブな伝え方、リーダー向けの育成研修などは、そのための手段になります。小さく始めるなら、月1回の振り返り会でも十分です。
まとめ
社員職人の育成は、採用してから考えるのでは間に合いません。採用活動と同時に、受け入れ方、教え方、練習の場、成長ステップ、先輩側の関わり方を整えていく必要があります。
今回の会社も、すでに「若い人を採りたい」だけではなく、「ものづくりを次の世代につなぎたい」「社員職人が安心して技術を磨ける会社にしたい」というところまで考えていました。
その上で、次に整理すべきことは明確です。
- 入社後、最初に何を教えるのか
- 誰が若手を見るのか
- 現場に出る前にどこで練習するのか
- 1年目・2年目で何ができればよいのか
- ベテランの技術をどう残すのか
- 先輩側にどんな教え方を身につけてもらうのか
「見て覚えろ」を否定する必要はありません。見て覚える力は、職人にとって今でも大切です。
ただし、今の若手には、見る前の準備、見た後の振り返り、次に何を覚えるかの道筋が必要です。
社員職人を育てる会社に変わるとは、現場を甘くすることではありません。技術を渡すために、会社として教える仕組みを持つことです。
うちの会社に合う育成の型を整理したいときは
社員職人を育てたいと思っても、「初期研修から作るべきか」「バディ制度を先に入れるべきか」「動画やマニュアル化から始めるべきか」は、会社の規模や現場の状況によって変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。社員職人の採用や育成についても、会社ごとの現状を見ながら、無理なく進められる順番を一緒に考えることができます。
「うちの場合は何から始めるべきか」「若手を入れる前に、社内で何を整えるべきかわからない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは状況整理の場としてご活用ください。
































