既存顧客と紹介で回ってきた首都圏の専門工事会社が、営業担当へ引き継ぎを始めた段階
首都圏で改修・仮設まわりの工事を請ける、20名弱の専門工事会社の話です。
これまで仕事の入口は、社長の既存顧客と、その顧客からの紹介が中心でした。社長自身も「新規の営業は僕自身はやっていないです」と話しており、会社としてはすでに一定の取引基盤があります。
一方で、半年ほど前から営業担当に動いてもらい始めました。その担当者は現場にも出ながら、現場で知り合った人との関係づくりや、社長が持っていた主要顧客の一部対応も担い始めています。
社長の関心は、売上を一気に伸ばすことよりも、人を育てることにありました。
「僕自身が狙っているのは、そいつの成長だけです」
この言葉が、かなり本質を表しています。今の課題は、新規案件を増やすことそのものではなく、社長の営業を営業担当が再現できる状態に近づけることです。
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- 6月23日プラント工事会社神奈川県
- 6月23日外構工事会社岐阜県
- 6月19日空調設備工事会社兵庫県
- 6月19日総合建築鳥取県
- 6月19日配管工事会社東京都
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
- 6月18日防水工事会社岡山県
- 6月16日配管工事会社青森県
- 6月16日総合建築神奈川県
- 6月16日電気設備工事会社東京都
- 6月15日総合土木千葉県
- 6月15日内装工事会社島根県
- 6月15日設備保全会社群馬県
- 6月14日内装工事会社栃木県
- 6月14日塗装工事会社神奈川県
- 6月13日解体工事会社神奈川県
- 6月11日総合建築和歌山県
- 6月11日総合土木静岡県
- 6月11日プラント工事会社京都府
- 6月11日空調設備工事会社神奈川県
- 6月11日空調設備工事会社茨城県
- 6月11日総合土木長野県
- 6月10日総合建築広島県
- 6月10日総合土木奈良県
- 6月10日総合建築東京都
- 6月10日内装工事会社愛知県
- 6月9日設備保全会社京都府
- 6月9日総合土木北海道
- 6月9日設備保全会社山口県
社長の人脈で取れていた仕事を、半年目の営業担当だけで再現するのは難しい
営業担当に任せ始めたものの、現時点では大きな成果はまだ出ていません。社長も、細かく関与し続けているというよりは、様子を見ながら「ちょこちょこ軌道修正している」状態に近いようでした。
これは珍しい話ではありません。
建設業の中小企業では、社長が長年かけて作ってきた関係性で仕事が回っていることが多いです。相手の担当者の癖、見積りの出し方、現場で嫌がられるポイント、どこまでなら無理を聞けるか。そうした情報は、社長の頭と体に入っています。
そのため、営業担当に「既存顧客を見ておいて」「新規も少し動いて」と渡しても、本人からすると何を基準に動けばよいのか分かりにくくなります。
特に今回のように、営業担当が現場にも出ている場合はなおさらです。現場対応をしながら営業活動を進めるには、限られた時間で優先順位を決める必要があります。
しかし、ターゲットが曖昧なままだと、動きは散らばります。
- どの会社に行くべきか
- 既存顧客の誰を優先すべきか
- 新規先には何を伝えるべきか
- 初回接点の後、何を確認すべきか
- 社長にどのタイミングで相談すべきか
このあたりが決まっていないと、営業担当は「頑張っているけれど成果につながりにくい」状態になりやすいです。
営業担当を育てるうえで最初に必要なのは、根性論ではなく、社長が無意識にやっている営業判断を見える形にすることです。
新規開拓より先に「誰に、何を、どう渡すか」が社内でまだ固まりきっていない
社長は、今すぐ会社を大きくしたいというより、今の体制とのバランスを気にしていました。
「現状で手一杯なのに新規を増やしても、社員か協力業者が必要になる」
この感覚はとても現実的です。
仕事を増やすだけなら、営業量を増やせばよいかもしれません。ただ、建設業では受け皿がなければ現場が苦しくなります。職人、協力会社、番頭、見積り、段取り。どこかに無理が出れば、既存顧客への対応にも影響します。
だからこそ、営業担当の育成は「とにかく新規を取る」ではなく、会社として受けられる仕事の範囲を見極めながら進める必要があります。
今回の会社では、既存顧客と紹介で成り立ってきた分、「明確に開拓したい先はまだない」という状態でもありました。これは悪いことではありません。むしろ、ここを曖昧にしたまま外へ出ると、営業担当が迷いやすくなります。
整理すべきは、次のようなことです。
- 既存顧客の中で、営業担当に任せてもよい先はどこか
- 社長がまだ直接見るべき重要顧客はどこか
- 新規で狙うなら、地場の元請け、管理会社、不動産系、同業周辺のどこが合うか
- 受けたい工事と、今は無理に受けない工事は何か
- 新規を増やす前に、協力会社の確保が必要か
営業担当の成長を目的にするなら、開拓先を広げる前に「この会社なら勝ちやすい」という営業範囲を絞ることが先です。
社長の紹介営業は、実はかなり高度です。紹介者の信頼を借り、相手の状況を読み、無理なく受けられる仕事を選び、次につなげています。これを半年目の担当者にいきなり任せるのは、ハードルが高いです。
だから、社長の営業を分解して、渡せる部分から渡していく必要があります。
営業担当を育てる入口は、アポ数よりも営業の型を一緒に作って渡すこと
営業担当を一人前に育てるには、まず「動き方の型」を作ることです。外部の営業支援や研修を使う場合も、単に接点数を増やすだけではもったいないです。
目指すべきは、外部が動いて終わりではなく、自社の営業担当が同じ動きを再現できる状態にすることです。
進め方は、大きく6つあります。
1. ターゲットを「取りたい会社」ではなく「受け切れる会社」から決める
最初に決めるべきは、どこへ営業するかです。
ただし、売上規模だけで選ぶと危険です。今の人員と協力会社で受け切れるか。既存顧客に迷惑をかけないか。見積りや段取りの負荷は重すぎないか。ここを見ます。
今回の会社のように、社長が「新規を増やすなら社員か協力業者が必要」と感じている場合は、特に大事です。
最初は、次のような先から考えると現実的です。
- 既存顧客の別部署、別担当者
- 既存顧客から紹介されやすい周辺会社
- 自社の施工範囲と相性がよい地場企業
- 小さく始められ、継続につながりやすい元請け
営業担当の育成初期は、大きな会社を狙うより、勝ち筋を学びやすい相手を選ぶ方が効果的です。
2. 営業リストには「なぜ行くか」まで書く
リストは会社名を並べるだけでは足りません。
営業担当が自分で判断できるようにするには、リストに理由を入れる必要があります。
たとえば、次の項目です。
- 会社名
- 所在エリア
- 想定される工事内容
- 自社と相性がよい理由
- 既存顧客とのつながりの有無
- 初回接点の方法
- 次に確認すること
ここまで入ると、営業担当は「なぜこの会社に行くのか」を理解できます。
社長が頭の中でやっている選別を、リスト上に落とすイメージです。
3. 初回接点では、売り込みよりも確認項目を決める
初回の電話や問い合わせフォーム、紹介後の挨拶では、いきなり仕事を取りにいくより、相手の状況を確認することが大切です。
確認すべきことは、難しくありません。
- どんな工事が多いか
- 今困っている協力会社領域はあるか
- 見積り依頼の流れはどうなっているか
- 既存業者に不満があるとしたら何か
- 小さく試せる案件はあるか
営業担当には、話す内容だけでなく「聞く内容」を渡す方が育ちやすいです。
建設業の営業では、上手に話すことより、相手の現場事情を聞き取ることの方が成果につながりやすいです。
4. 社長は最初から任せ切らず、数回は同行して判断基準を見せる
既存顧客の引き継ぎも、新規先への訪問も、最初から担当者だけに任せ切ると学びにくくなります。
社長が同行する目的は、代わりに話すことではありません。判断基準を見せることです。
たとえば、打ち合わせ後にこう振り返ります。
- なぜこの案件は前向きに見るのか
- なぜこの条件は慎重に考えるのか
- どの発言から相手の本気度を見たのか
- 次回までに何を確認すべきか
- 見積りを急ぐべきか、少し様子を見るべきか
これを数回繰り返すだけでも、営業担当の見え方は変わります。
社長の営業は、言葉にすると教えられます。言葉にしないままだと、担当者は雰囲気で学ぶしかありません。
5. 既存顧客の引き継ぎは、担当者名簿ではなく「関係性の地図」を渡す
既存顧客を引き継ぐときは、会社名と担当者名だけでは不十分です。
必要なのは、関係性の地図です。
- 誰が実質的に決めているか
- 誰に先に相談すべきか
- 過去にどんな工事をしたか
- 相手が嫌がることは何か
- 見積りのスピード感はどれくらいか
- 社長が守ってきた約束は何か
これがないと、営業担当は表面的な対応になります。逆にここまで渡せば、既存顧客対応は育成の場になります。
既存顧客の引き継ぎは、売上の引き継ぎではなく、信頼の扱い方を渡す仕事です。
6. 毎週の振り返りで、行動量より「次の判断」を確認する
営業担当の育成では、振り返りの型が重要です。
時間は長くなくて構いません。週1回、30分でも十分です。
見るべき項目は、行動量だけではありません。
- どこに接点を取ったか
- どんな反応だったか
- 相手は何に困っていそうか
- 次に何を確認するか
- 社長判断が必要な点は何か
- 担当者自身はどう動くつもりか
この確認を続けると、営業担当が自分で次の一手を考えるようになります。
外部の営業支援を入れる場合も、この振り返りに自社の営業担当を入れることが大切です。外部が作ったリスト、初回接点の反応、話し方、断られた理由を、担当者に共有します。
最初の1〜2か月は外部が前に出て基盤を作り、その後は営業担当が引き継ぐ。必要に応じて同行やロールプレイで補う。こうした流れなら、外部支援が一過性で終わりにくくなります。
外部に任せる目的は、営業を丸投げすることではなく、自社に営業の型を残すことです。
まとめ
社長の紹介と既存顧客で成り立ってきた会社では、営業担当を育てるときに「とりあえず外へ出てこい」だけでは成果が出にくいです。
社長の営業には、長年の関係性、案件の見極め、現場負荷の判断、紹介者への配慮が詰まっています。それを営業担当に渡すには、順番があります。
大事なのは、次の流れです。
- まず、受け切れる範囲からターゲットを決める
- 営業リストに、狙う理由と次の確認事項を入れる
- 初回接点では、売り込みより聞く項目を決める
- 社長が数回同行し、判断基準を言葉にする
- 既存顧客は、関係性の地図ごと引き継ぐ
- 毎週の振り返りで、次の判断を一緒に確認する
営業担当の成長を目的にするなら、接点数だけを追うより、再現できる型を作る方が近道です。
「今すぐ大きく拡大したいわけではない。でも、任せられる営業担当には育ってほしい」
そう感じている会社ほど、営業の仕組み化はちょうどよいテーマになります。
営業担当を自走させるために、まず自社の型を整理する
営業担当に何を任せ、社長がどこまで見るべきかは、会社ごとに違います。既存顧客の状況、協力会社の余力、受けたい工事、営業担当の経験値によって、進め方は変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、人材確保、組織づくり、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで伴走しています。
営業担当の育成についても、単に接点づくりを代わりに行うだけでなく、自社に営業の型が残り、担当者が自走できる状態を一緒に考えることができます。
「うちの場合は、既存顧客の引き継ぎから考えるべきか」「新規開拓の前にターゲットを整理した方がよいのか」といった段階でも大丈夫です。無理にサービスを勧めることはありませんので、まずは状況整理の場としてご相談ください。



































