首都圏の内装系専門工事会社が40期を前に、個人事業主の職人依存から社員職人体制へ動き始めた状況
首都圏で内装仕上げ系の専門工事を手がける、30名弱規模の会社での話です。
同社は来期で40期を迎えます。施工は長年、個人事業主の職人に支えられてきました。専属に近い職人も多く、会社と一緒に年を重ねてきた関係です。
一方で、職人の年齢層は50代後半から60代が中心になってきました。社長は、5年後、10年後、15年後を見据えて、施工体制そのものを組み替えようとしています。
「ここ5年で技術職を5人ぐらい増やして、今いる社員職人を頂点に6人体制にしたいんです」
社内には、未経験から入社して10年目になる社員職人がいます。苦労しながら現場で育ち、いまは技術部の中心に近い存在です。
社長が考えているのは、単なる採用強化ではありません。個人事業主の職人に依存してきた施工体制から、社員職人を社内で採り、育て、技術をつないでいく体制への移行です。
これは、多くの専門工事会社にとって他人事ではありません。仕事はある。お客様もいる。けれど、5年後に施工できる人がどれだけ残っているかが読みにくい。そんな局面に入っています。
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- 6月15日総合土木千葉県
- 6月15日内装工事会社島根県
- 6月15日設備保全会社群馬県
- 6月14日内装工事会社栃木県
- 6月14日塗装工事会社神奈川県
- 6月13日解体工事会社神奈川県
- 6月11日総合建築和歌山県
- 6月11日総合土木静岡県
- 6月11日プラント工事会社京都府
- 6月11日空調設備工事会社神奈川県
- 6月11日空調設備工事会社茨城県
- 6月11日総合土木長野県
- 6月10日総合建築広島県
- 6月10日総合土木奈良県
- 6月10日総合建築東京都
- 6月10日内装工事会社愛知県
- 6月9日設備保全会社京都府
- 6月9日総合土木北海道
- 6月9日設備保全会社山口県
- 6月8日防水工事会社兵庫県
- 6月8日電気設備工事会社神奈川県
- 6月8日内装工事会社大阪府
- 6月5日リフォーム会社愛知県
- 6月5日プラント工事会社香川県
- 6月5日ビルメンテナンス兵庫県
- 6月5日内装工事会社長崎県
- 6月4日防水工事会社東京都
- 6月4日内装工事会社東京都
- 6月3日総合建築埼玉県
- 6月3日空調設備工事会社香川県
5人採用するだけでは足りず、誰が何を教えて何年で現場戦力にするかが決まっていないこと
社員職人への移行で最初に詰まりやすいのは、採用人数ではありません。採った後に、どの技能を、誰が、どの順番で教えるかです。
同社では「5年で5人、技術職を増やす」という方向性は見えています。ですが、ここから先はもう一段具体化が必要です。
たとえば、次のような整理です。
- 5年後に必要な施工職種・技能は何か
- そのうち、社員職人が担うべき範囲はどこか
- 既存の個人事業主の職人から移すべき技術は何か
- 未経験者が現場に出る前に、最低限できるようにする作業は何か
- 指導役を、今いる社員職人だけに任せてよいのか
この整理がないまま採用だけを始めると、若手は現場に入った瞬間に戸惑います。現場側も、忙しい中で「何から教えればいいか」が曖昧になります。
社内の若手社員からも、近い感覚の声が出ていました。
「いきなり現場にポンと入って、あれやれこれやれではなく、成長させて一緒に仕事をしていく感じがあると入りやすいと思います」
この言葉は大事です。
社員職人を育てるには、採用の入口だけでなく、入口の先にある育成環境まで見せる必要があります。若手が知りたいのは、入社できるかどうかだけでなく、入社後に職人として育っていけるかどうかです。
腕一本で稼ぐ時代から、安定した場で技術を磨きたい若手を迎える時代に変わっていること
職人のなり手がいない、と言い切るのは少し早いかもしれません。
社長は、若い人の中にも「ものづくりが好きな人」は必ずいると考えています。ただし、昔とは入口の見え方が変わりました。
「30年前の職人さんは、腕一本で稼ぐ、というギラギラした感じがありました。でも今は、ある部分では安定が求められていると思うんです」
この見方は、かなり現場に近いものです。
今の若手が建設業を見たとき、不安に感じるのは仕事の厳しさだけではありません。むしろ、次のような点です。
- ちゃんと教えてもらえるのか
- 何年でどんな技術が身につくのか
- 収入はどう上がっていくのか
- 休みや働き方に納得感があるのか
- 失敗しても育ててもらえる環境なのか
同社の社員職人も、20代・30代の目線で他社の採用情報を見ながら、年収モデルやキャリアアップの見え方に反応していました。
「技術を身につけて、どこまで行けるのかがわかると、やる気につながると思います」
営業管理側の若手社員からも、環境づくりへの反応がありました。
「会社が一方的にこういう人が欲しいと言うだけではなく、失敗しても前向きに捉えられる環境や、成長を実感できる環境をつくっていることが伝わるのが大事だと思いました」
つまり、社員職人化は雇用形態の変更だけではありません。若手にとって“ここなら職人として育てそうだ”と思える会社の器をつくることです。
そして、その器づくりは社内の技術継承とも直結します。
既存の職人は、会社を支えてきた大切な存在です。ただ、60代に差しかかった職人に、これまでと同じ現場量をお願いし続けるのは現実的ではありません。だからこそ、現場の第一線から少しずつ、教える役割へ移ってもらう選択肢も出てきます。
技術を持つベテランが現場から完全に離れる前に、若手へ移す時間を確保すること。ここが5年後の施工体制を左右します。
採用人数からではなく、5年後の技能配置と現場投入前教育から逆算して社員職人化を進めること
社員職人への移行は、採用計画ではなく施工体制の再設計として進めるのが合っています。
順番としては、次の4つを先に整理すると動きやすくなります。
1. 5年後に必要な「技術6人体制」の中身を決める
まずは、5年後に社員職人がどの範囲を担うのかを決めます。
同社の場合、「今いる10年目の社員職人を中心に、5人を増やして6人体制にする」という大枠があります。ここに、技能の内訳を入れていきます。
たとえば、内装系であれば、軽量下地、天井、足場まわりの段取り、技能検定につながる作業など、会社として残したい技能を分けて考えます。
ここで大事なのは、全員を万能職人にしようとしないことです。最初の5年は、会社が失いたくない技能から優先順位をつけて育てるほうが現実的です。
整理の切り口は、次の3つです。
- すぐに若手へ移したい基本技能
- 3年かけて任せたい現場作業
- 5年後に社内の柱にしたい技能
この順番で考えると、採用する人の人数だけでなく、育成の時間割が見えてきます。
2. ベテラン職人から若手へ移す技術を棚卸しする
次に、既存の職人が持っている技術を棚卸しします。
ここでのポイントは、「あの人は何でもできる」で終わらせないことです。現場の技術は、言葉にすると細かく分かれます。
- 段取りの読み方
- 材料の扱い方
- 現場での安全判断
- 仕上がりの基準
- 若手がつまずきやすい作業
こうした技術を、誰が教えられるのかまで整理します。
社長の構想では、今いる社員職人が技術部の中心になります。ただ、指導をその一人に集中させると、現場も育成も抱え込むことになります。
そこで、現場量を少し抑えたいベテラン職人に、基本技能の指導役として関わってもらうという考え方が有効です。
社長も、技術は持っているが現場が大きすぎると厳しい職人に、指導を依頼する選択肢を考えていました。これは、技術継承とベテラン活躍を両立しやすい進め方です。
3. 現場に出す前の練習環境をつくる
未経験者をいきなり現場に入れると、本人も現場も負担が大きくなります。
同社では、倉庫の一部を活用して練習スペースをつくる構想が出ていました。壁材を組む。軽量を組む。天井を組む。立ち馬や足場をかける。そうした基本作業を、現場に出る前に練習できる場所です。
これはかなり実務的な打ち手です。
現場投入前に“最低限ここまではできる”という基準をつくると、若手も現場側も安心しやすくなります。
練習スペースをつくる場合は、場所だけでなくカリキュラムも必要です。
最初は大きなものでなくても構いません。
- 1週目に覚える作業
- 1か月目にできるようにする作業
- 3か月目に現場で任せる補助作業
- 半年後に確認する技能
このくらいの粒度で十分です。
大事なのは、若手に「見て覚えろ」だけでなく、練習してから現場に出られる入口を用意することです。
4. 若手に見せるキャリアと働き方を整える
社員職人を採用するなら、育成体制とあわせて、キャリアの見え方も必要になります。
同社の若手社員たちは、他社の採用情報を見ながら、休日の選択、年収モデル、資格取得、評価制度に反応していました。
ここで重要なのは、待遇を派手に見せることではありません。働く時間、賃金、成長、環境に納得感を持てるようにすることです。
若手は、残業そのものをすべて嫌がっているわけではありません。頑張った分がどう返ってくるのか。技術を身につけた先に、どんな役割や収入があるのか。休み方をどう考えている会社なのか。そこに納得できるかを見ています。
社員職人化では、次のようなものを言葉にしておくと採用後のズレが減ります。
- 入社後1年目、3年目、5年目の成長イメージ
- 資格取得や技能検定への支援方針
- どの技能が評価につながるのか
- 休日や働き方の考え方
- 会社として求める人材像、求めない人材像
社長はすでに、求める人物像として「価値観に共感してくれる人」「誠実な人」「探求心が高い人」「素直さと行動力がある人」などを言葉にしていました。一方で、感謝の気持ちが少ない人や、他人の批判・悪口が多い人は採用しないとも決めています。
このような基準は、社員職人化ではとても大切です。技術は入社後に育てられても、会社の価値観に合うかどうかは採用前に確認する必要があるからです。
まとめ
社員職人への移行は、採用広告を出すだけでは進みません。
個人事業主の職人に支えられてきた専門工事会社ほど、5年後の施工体制を考えると、次の整理が必要になります。
- 5年後に、どの技能を何人体制で持つのかを決める
- ベテラン職人から若手へ移す技術を棚卸しする
- 未経験者を現場に出す前の練習環境を用意する
- 指導役を一人に集中させず、社内外の職人を巻き込む
- 若手が納得できるキャリア、評価、働き方を見せる
同社の社長は、「ものづくりをつないでいく」という言葉を大切にしようとしていました。
この言葉は、採用のためだけの言葉ではありません。5年後、10年後に会社が施工力を持ち続けるための軸です。
社員職人化は、若手を採る話であると同時に、会社に残したい技術を決める話です。
仕事があるうちに、教えられる人がいるうちに、若手が育つ場をつくる。そこから始めるのが、いちばん現実的です。
社員職人の採用・育成体制を自社に合わせて整理したいときは
社員職人への移行は、会社ごとに答えが変わります。
施工領域、職人の年齢構成、今いる社員職人の力量、倉庫や練習スペースの有無、採用したい若手像によって、最初に整えるべき順番も変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。社員職人の採用や育成についても、「何人採るか」だけでなく、技能継承、教育体制、キャリア設計、採用時の伝え方まで一緒に整理できます。
「うちの場合は、まず何から考えるべきか」「今いる職人から若手へ、どう技術を移せばよいか」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、状況整理の場として気軽にご相談ください。






























