東海エリアで50年以上続く専門工事会社が、採用より協力会社の確保を急いでいる状態
三重県北部で長く専門工事を続けてきた、10名弱規模の会社の話です。創業から半世紀以上。大手元請けとの付き合いも長く、以前は数億円規模の仕事をこなしていた時期もありました。
ただ、ここ数年は仕事量に波があります。主力の元請けからの仕事は残っているものの、売上は以前より小さくなり、現場を回す人手も限られています。
社内採用については、積極的に広げるよりも、縁故や紹介を中心に見ています。求人媒体やハローワークも試したことはありますが、応募者の希望条件や仕事への理解にばらつきがあり、「採ったらすぐ現場を任せられる」という状態にはなりにくいようです。
相談者の言葉にすると、かなり率直です。
「採用って、今からやって戦力になるのは2、3年後なんですよ。即効性で考えるなら、協力会社に頼むのが一番早いです」
中小建設会社にとって、職人採用は大事でも、すぐに施工力を増やす手段にはなりにくいことがあります。 そのとき現実的な選択肢になるのが、協力会社との関係づくりです。
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昔からの協力会社が減る一方で、数だけ集めても現場を任せきれないこと
目の前の課題は、協力会社を増やしたいのに、簡単には増やせないことです。
親の代から付き合っていた協力会社が数社ありました。しかし、1社は廃業。別の1社も代替わりし、できる工事範囲が以前より限られてきました。社長自身が見つけてきた協力会社も数社ありますが、常に十分な施工力を確保できるわけではありません。
ここで難しいのは、協力会社は「多ければよい」わけではない点です。
「いっぱい集めただけじゃダメなんです。管理もいりますから。番頭がいないんですよね」
この言葉は、多くの専門工事会社にそのまま当てはまります。
協力会社を増やすほど、現場ごとの段取り、品質確認、安全対応、元請けとの調整を担う人が必要になります。 施工力を増やしたつもりが、社長や一部の現場担当に確認業務が集中し、かえって現場が重くなることもあります。
特に、長年の付き合いがある協力会社なら、細かく言わなくても伝わる部分があります。ところが新しい協力会社では、同じ感覚では進みません。
どこまで任せられるか。どの工種が得意か。どの元請けの安全基準に慣れているか。書類や報告の水準は合うか。
この見極めをしないまま現場に入れると、社内の負担は増えます。
採用難・高齢化・代替わりが重なり、昔の人脈だけでは施工力を維持しにくくなっていること
背景には、採用難だけでなく、協力会社側の高齢化と代替わりがあります。
相談企業では、以前からの協力会社が自然に残ってくれていた時期がありました。親の代からの付き合い。現場で一緒になった縁。元請けの担当者との長い関係。こうしたつながりが、仕事を支えていました。
ただ、その関係も少しずつ変わります。
職人が高齢になれば、対応できる現場は限られます。会社をたたむところも出ます。代替わりすれば、先代と同じ施工範囲、同じ対応力を期待できるとは限りません。
一方で、新しく人を採るのも簡単ではありません。未経験者を採っても、現場で使えるようになるまで時間がかかります。経験者はそもそも市場に少なく、条件面も合いにくい。応募があっても、会社の仕事に合うかは別問題です。
「採用で内製化する」「協力会社で外部施工力を確保する」のどちらか一択ではなく、時間軸を分けて考える必要があります。
短期では協力会社を活用する。中期では社内の現場管理者を育てる。長期では採用・育成で自社の施工力を少しずつ戻す。
この3つを混ぜて考えると、打ち手がぼやけます。まずは、今すぐ必要な施工力と、将来社内に残したい機能を分けて整理することが大切です。
協力会社を増やす前に、任せる工種・基準・番頭役を決めておくこと
協力会社を増やすときは、最初に「何社集めるか」ではなく、「何を任せるか」を決めるのが現実的です。
特に整理したいのは、次の4つです。
- 対応してほしい工種
- 任せられる施工範囲
- 必ず守ってほしい品質基準
- 元請けごとに外せない安全基準
協力会社開拓は、名簿を増やす活動ではなく、自社の現場基準に合う施工体制をつくる活動です。
たとえば、すべての現場を任せられる会社を探すのは難しいかもしれません。ですが、「この規模の現場なら任せられる」「この作業だけなら安定している」「この元請けの安全書類に慣れている」という形なら、候補は見つけやすくなります。
最初から大きく任せず、小さな範囲から一緒に動くのも有効です。1現場だけで判断せず、段取り、報告、手戻り、安全面の感覚を見ます。そこで合う会社とは、少しずつ任せる範囲を広げます。
同時に、社内側の番頭役も必要です。
番頭役といっても、最初から完璧な幹部でなくてよいはずです。見るべきポイントを絞り、協力会社とのやり取りを少しずつ任せていく形が現実的です。
たとえば、最初は次のような役割から始められます。
- 現場ごとの協力会社手配の確認
- 施工前の注意点共有
- 写真・報告・安全書類の確認
- 元請けからの指摘事項の社内共有
- 次回も頼める会社かどうかの簡単な振り返り
協力会社を育てるには、社内にも協力会社を見られる人を育てる必要があります。 ここを社長だけが抱えると、協力会社を増やすほど社長の負担が増えます。
採用についても、職人だけを見るのではなく、現場管理や協力会社管理を担える人材をどう確保するかという視点が必要です。施工を全部できる人より、段取りを覚え、基準を守らせ、元請けと会話できる人のほうが、今の課題には合う場合があります。
まとめ
職人採用は、会社の将来にとって大切です。ただ、すぐに施工力を増やす手段としては時間がかかります。未経験者が育つまでには年単位の時間が必要で、経験者採用も簡単ではありません。
そのため、短期的には協力会社の活用が現実的です。
ただし、協力会社は数を集めるだけでは機能しません。工種、施工範囲、品質基準、安全基準を明確にし、少数でも信頼できる会社と関係を深めることが重要です。
そして、その協力会社を見られる社内の番頭役をどうつくるか。ここが、現場を回すうえでの分かれ目です。
採用は中長期の施工力づくり、協力会社は短期の施工力確保、番頭役はその両方をつなぐ要です。 この3つを分けて整理すると、次に打つ手が見えやすくなります。
うちの協力会社体制をどう組むか整理したいときは
協力会社を増やしたいと思っても、「どの工種から探すべきか」「何を基準に見ればよいか」「社内に番頭役を置けるのか」は、会社ごとに違います。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。協力会社の開拓だけでなく、社内の管理体制や人材配置まで含めて、ものづくりに集中できる建設業界へ向けた体制づくりを一緒に考えます。
「うちの場合は、採用と協力会社のどちらを優先すべきか」「番頭役をどう置けばよいかわからない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、状況整理の場として気軽にご相談ください。




























