岡山県の5名規模の内装・木材会社が、退職した番頭クラスの穴を急いで埋めたい状況
中国地方のある内装・木材会社では、木材販売と内装工事を両輪で進めています。年商は2億円弱、材料・家具まわりと工事がほぼ半分ずつ。創業者である社長は長く材木の世界に携わり、木の種類や納まり、設計者からの難しい相談に応えてきた会社です。
一方で、内装工事を見ていた人材が退職し、次の案件が動き出したときに対応できるかという不安が出ていました。
「今ちょうど工事は少し切れていますけど、入ってきたときに対応できないかもしれない。施工管理ができる番頭さんを早めに見つけたいんです」
この悩みは、専門工事会社ではかなり身近です。売上を伸ばしたい、次の現場を受けたい。でも、現場を任せられる番頭・施工管理がいないために、受注にも採用にもブレーキがかかる。そんな状態です。
しかも、採りたいのは「誰でもいい」わけではありません。木材の知識、内装の納まり、設計者や元請けとのやり取り、職人との調整まで含めて、現場を前に進められる人です。条件だけで集まる人材ではなく、会社の仕事の面白さに反応してくれる人を探す必要がありました。
求人媒体や人材紹介に任せても、施工管理・番頭候補に会社の魅力が届いていない状態
一番の課題は、採用活動をしていないことではありません。むしろ、求人媒体や人材紹介は使っています。それでも手応えが弱いことです。
人材紹介からは何名か候補者が来ていました。ただ、書類を見ると、30代前後で転職回数がかなり多い人もいました。社長は「この人は定着が難しいかもしれない」と感じていました。一方で、スーパーで10年以上働いてきた未経験者のように、人物面では気になる候補もいましたが、施工管理経験はありません。
つまり、現状はこうです。
- 経験者の施工管理・番頭はなかなか応募してこない
- 紹介される人材も、定着面で不安が残ることがある
- 未経験まで広げれば可能性はあるが、急ぎの穴埋めには時間がかかる
- 求人媒体や紹介会社に任せても、自社らしい候補者に届いていない
ここで大事なのは、「採用市場に人がいない」だけで片づけないことです。もちろん施工管理・番頭クラスは取り合いです。給与を上げれば簡単に採れるわけでもありません。むしろ給与だけで動いた人は、次により高い条件が出たときにまた動く可能性もあります。
だからこそ、給与以外の理由をつくる必要があります。
この会社には、その材料がありました。木材を100種類近く扱ってきた知識、高級店やこだわりのある設計案件に関わってきた経験、木の材質を見て提案できる力。ところが、それが求人票や採用ページでは十分に伝わっていませんでした。
社長自身も、こう話していました。
「いろんな媒体に頼んでいるけど、こっちからどういう文章で、どうアプローチすればいいのかが分からない。正直、お任せになっていました」
採用で苦戦している会社ほど、実は採用活動をしていないのではなく、“伝えるべき中身”を外に預けすぎていることがあります。
木へのこだわりや難しい納まりの面白さが、求人票とホームページにまだ出きっていないこと
この会社の強みは、単なる内装工事会社という言葉では表しきれません。
もともとは材木の世界から始まり、住宅だけでなく、店舗、飲食店、こだわりのある設計事務所の案件にも関わってきました。社長の言葉を借りると、一般的な材木屋なら10種類ほど知っていれば仕事になる場面でも、自社ではもっと多くの木を扱い、相談に応えてきたという感覚があります。
「木のことを相談してもらえるんです。難しいものがあると声がかかる。そういう材木屋は今、少なくなっています」
これは、施工管理・番頭候補にとっても魅力になり得ます。単に工程を追うだけではなく、素材を理解し、設計者の意図をくみ取り、職人と一緒に納まりを考える仕事だからです。
ただし、その魅力は、求職者には自動的に伝わりません。
たとえば求人票に「内装工事の施工管理」「現場管理」「経験者歓迎」とだけ書いても、求職者から見ると他社との違いは見えません。給与、休日、勤務地だけで比較されます。そこで少しでも条件が弱ければ、候補から外れてしまいます。
さらに、媒体ごとに掲載内容が微妙に違う場合も注意が必要です。ハローワーク、求人検索媒体、人材紹介会社向けの求人情報で、給与表記や仕事内容、求める人物像が少しずつ違っていると、求職者は違和感を持ちます。
求職者は、求人票を見たあとに会社のホームページを見ます。そこで知りたいのは、会社概要よりも「ここで働く人の雰囲気」「どんな仕事に誇りを持っているか」「自分が入ったら何を任されるか」です。
この会社の場合、もう一つ悩ましい事情がありました。過去に納めた有名店舗や質の高い仕事の写真を、権利や取引先との関係で自由に載せられないことです。
「最初はホームページに載せていたんですけど、上のほうからこれはダメ、これもダメとなって、結構削除しました。載せられるものが減ってしまって」
これは建設業ではよくあります。ゼネコン、設計事務所、施主の都合で、実績をそのまま出せない。だから採用広報が止まってしまう。
しかし、完成写真が出せないから採用で何も伝えられない、というわけではありません。完成物を見せられないなら、仕事の考え方、納まりに向き合う姿勢、社員の言葉、現場で大事にしている判断基準を見せることができます。
施工管理・番頭候補が知りたいのは、写真の華やかさだけではありません。「この会社に入ったら、自分の経験をどう活かせるのか」「どんな仕事を任されるのか」「社長や次世代の人と合いそうか」です。
給与を上げる前に、欲しい人材へのラブコールを求人票から面接前までそろえること
施工管理・番頭採用では、まず「どんな人が欲しいか」を深く言語化することが出発点です。
ただし、「経験者が欲しい」「現場を任せられる人が欲しい」だけでは足りません。それはどの会社も言っています。必要なのは、もう一段具体的な人物像です。
たとえば、この会社なら次のように整理できます。
- 木材や素材に興味があり、単なる工程管理だけでは物足りない人
- 設計者や元請けの要望を聞き、納まりを一緒に考える仕事に面白さを感じる人
- 小規模な会社で、社長や後継者と近い距離で仕事をつくっていきたい人
- 大量生産型の内装より、こだわりのある案件に関わりたい人
- 番頭として、職人・協力会社・顧客の間に立つことを前向きに捉えられる人
採用は、広く薄く呼びかけるよりも、「あなたのような人に来てほしい」と伝わる言葉をつくるほうが強いです。
そのうえで、求人票、採用媒体、人材紹介会社への依頼、面接前後のコミュニケーションをそろえていきます。
求人票は「仕事内容」ではなく「仕事の面白さ」まで書く
求人票には、業務内容として「内装工事の施工管理」「工程管理」「協力会社との調整」「見積・発注」などを書く必要があります。ただ、それだけだと他社と同じです。
この会社なら、たとえば次のような要素を入れると伝わり方が変わります。
「木材の知識を活かし、設計者や顧客のこだわりを形にする内装工事」
「量産型の現場ではなく、素材や納まりに向き合う仕事」
「社長が培ってきた木の知識を、次の工事事業に活かしていく番頭候補」
こうした言葉は、給与条件を上回る万能薬ではありません。ただ、条件だけで比較していた求職者の中に、「少し話を聞いてみたい」と思う人を生みます。
採用媒体ごとの表記を統一する
媒体ごとに内容が違うと、求職者は小さな不信感を持ちます。仕事内容、給与、休日、求める人物像、会社の特徴は、まず一本化した原稿を作るべきです。
そのうえで、媒体ごとに見せ方を調整します。
最初に作るべきは、媒体ごとの原稿ではなく、自社の採用メッセージの原本です。そこからハローワーク、求人検索媒体、人材紹介会社向け資料、採用ページへ展開すると、情報がぶれにくくなります。
人材紹介会社には「求人票」ではなく「口説き文句」まで渡す
人材紹介会社に依頼するときも、「施工管理経験者を紹介してください」だけでは動きません。紹介会社側も、多くの求人を抱えています。候補者に勧めやすい理由がなければ、優先順位は上がりません。
紹介会社には、少なくとも次の情報を渡したいところです。
- なぜ今、番頭・施工管理を採りたいのか
- 入社後に任せたい役割
- 自社の仕事が他社と違う点
- どんな経験者に向いているか
- 逆に、合わない人はどんな人か
- 社長や後継者が大事にしている考え方
- 面接で候補者に伝えてほしい魅力
紹介会社を本気にさせるには、候補者を口説けるだけの材料を渡すことが必要です。紹介会社任せにするのではなく、自社の言葉で「この人にはこう伝えてほしい」と依頼する感覚です。
面接前のメールで、候補者の気持ちを温める
施工管理・番頭候補は、面接に来る前から複数社を見ています。面接当日に初めて魅力を伝えるのでは遅い場合があります。
応募や紹介があった段階で、短いメールでも構いません。
「当社は木材販売から始まり、素材の知識を活かした内装工事を広げています。単なる現場管理ではなく、設計者や職人と納まりを考える仕事を大切にしています。これまでのご経験をどのように活かせそうか、ぜひ一度お話しできればと思っています」
この程度でも、受け取り方は変わります。
面接前のコミュニケーションは、候補者に対する最初のラブコールです。条件確認だけで終わらせず、「あなたに関心がある」「うちの仕事にはこういう面白さがある」と伝えることが大切です。
ホームページは会社案内だけでなく、採用ページとして見直す
小規模な専門工事会社では、ホームページが取引先向けの会社案内になっていることが多いです。もちろん実績や会社概要も必要です。ただ、採用で見る人にとっては、それだけでは足りません。
施工管理・番頭候補が見たいのは、次のような情報です。
- どんな人が働いているか
- 社長や後継者がどんな考えを持っているか
- どんな仕事にこだわっているか
- 現場で何を大事にしているか
- 入社後にどんな役割を期待されるか
完成写真が使えない場合でも、社長の言葉、社員の言葉、仕事の進め方、素材への考え方は出せます。
この会社なら、木へのこだわりを前面に出すことができます。たとえば「木を知り、納まりを考え、空間をつくる」という方向性です。大げさに飾る必要はありません。自社が当たり前にやってきたことを、求職者に伝わる言葉に翻訳するだけで、採用ページの見え方は変わります。
まとめ
施工管理・番頭を採用できないとき、最初に考えがちなのは給与や媒体の追加です。もちろん条件面の見直しは必要です。ただ、中小の専門工事会社が大手と同じ条件競争に入ると、どうしても不利になります。
だからこそ、給与以外で選ばれる理由を言語化することが重要です。
今回のような木材と内装に強みを持つ会社であれば、武器はすでに社内にあります。木の知識、難しい納まりへの対応、こだわりある設計案件への関わり、社長と後継者の距離の近さ、小規模だからこそ任される幅の広さ。これらを求人票、採用媒体、人材紹介会社への依頼、面接前のメール、ホームページまで一貫して伝えることです。
採用は、媒体に出すことではなく、欲しい人に届く言葉をつくることから始まります。
施工管理・番頭採用で見直す順番は、給与の前に「誰に」「何を」「どの順番で」伝えるかです。
いま応募が少なくても、会社に魅力がないとは限りません。伝える材料が社内に眠ったままになっているだけ、というケースは少なくありません。まずは、自社の仕事を面白がってくれる人はどんな人か。その人に何を伝えれば振り向いてもらえるか。そこから整理していくと、採用活動の打ち手が見えやすくなります。
施工管理・番頭採用を、自社らしい言葉から整理したいときは
施工管理や番頭クラスの採用は、求人媒体を増やすだけでは解決しにくい領域です。自社の強み、求める人物像、紹介会社への依頼内容、面接前後の伝え方までをそろえていくことで、ようやく候補者に届きやすくなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。施工管理・番頭採用についても、「うちの場合は何を打ち出せばいいのか」「求人票や紹介会社への伝え方をどう変えるべきか」という段階から一緒に整理できます。
無理に進める前提ではなく、まずは現状を言葉にするところからで大丈夫です。何から整理すべきかわからない段階でも、お気軽にご相談ください。






























