東海地方の足場工事会社が、初めて高卒新卒向けのハローワーク求人票を作る場面
東海地方で足場・とび工事を手がける、15名弱の専門工事会社がありました。
これまでは中途採用が中心です。現場経験者や未経験の中途を、必要に応じて採る形でした。
そこから初めて、高卒新卒の採用に踏み出すことになりました。対象は翌年度に卒業する高校生です。ハローワークの高卒求人は、一般の中途求人とは扱いが違います。6月に求人票を準備し、学校や生徒に見られる前提で内容を整える必要があります。
ここで大事なのは、求人票を「いつもの中途採用の延長」で作らないことです。
高卒新卒の求人票は、18歳の未経験者本人だけでなく、保護者と学校の先生にも読まれる書類です。
社長も、入力画面を見ながら一つひとつ確認していました。
「この画面、見たことないです」
初めてであれば当然です。ハローワークの求人者マイページには、求人区分、対象年度、仕事内容、賃金、休日、応募前見学、研修制度、資格取得支援など、細かい項目が並びます。
中途求人なら流していた項目でも、高卒新卒では意味が変わります。
特に建設業の場合、仕事内容が伝わりにくいです。足場、とび、解体、現場入場、安全作業、資格取得。業界の中では当たり前の言葉でも、高校生にはまだ景色が浮かびません。
求人票は、会社が伝えたいことを書く書類ではなく、未経験の高校生が「ここで働く自分」を想像できるようにする書類です。
ここを揃えるだけで、書き方はかなり変わります。
1週間で 12件ダウンロード されました
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
- 6月18日防水工事会社岡山県
- 6月16日配管工事会社青森県
- 6月16日総合建築神奈川県
- 6月16日電気設備工事会社東京都
- 6月15日総合土木千葉県
- 6月15日内装工事会社島根県
- 6月15日設備保全会社群馬県
- 6月14日内装工事会社栃木県
- 6月14日塗装工事会社神奈川県
- 6月13日解体工事会社神奈川県
- 6月11日総合建築和歌山県
- 6月11日総合土木静岡県
- 6月11日プラント工事会社京都府
- 6月11日空調設備工事会社神奈川県
- 6月11日空調設備工事会社茨城県
- 6月11日総合土木長野県
- 6月10日総合建築広島県
- 6月10日総合土木奈良県
- 6月10日総合建築東京都
- 6月10日内装工事会社愛知県
- 6月9日設備保全会社京都府
- 6月9日総合土木北海道
- 6月9日設備保全会社山口県
- 6月8日防水工事会社兵庫県
- 6月8日電気設備工事会社神奈川県
- 6月8日内装工事会社大阪府
- 6月5日リフォーム会社愛知県
- 6月5日プラント工事会社香川県
求人票を出すだけでは、18歳には仕事内容も安心材料も伝わりにくい
高卒新卒採用で最初につまずきやすいのは、求人票の中身が大人向けのままになっていることです。
たとえば、職種名に「とび工」「足場工」と書くだけでは、建設業を知らない高校生には伝わりません。
「危なそう」 「きつそう」 「何をするのかわからない」
そんな印象で止まることがあります。
今回の会社でも、仕事内容の欄は初心者向けに作り直していました。
足場の組立、階段まわりの作業、最初は資材運びから始めること、先輩が一緒について教えること。そうした基本的な流れを、専門用語を抑えて説明する形です。
担当者はこう確認していました。
「高卒の未経験者対象ですから、うちの会社はこんなことをやっていますよ、最初はこういう作業から始めますよ、先輩が一緒に教えますよ、ということを分かりやすく説明します」
これは求人票づくりの本質です。
高卒新卒向けの仕事内容欄では、“できる人に伝わる説明”ではなく、“知らない人でも不安が減る説明”が必要です。
同じことは労働条件にも言えます。
正社員なのか。雇用期間の定めはあるのか。試用期間は何ヶ月か。試用期間中の条件は同じか。休日はどうなっているか。残業はどのくらいか。通勤手当はあるのか。入居できる住宅はあるのか。
大人の中途採用なら、面接で聞けば済むこともあります。
でも高校生の場合は違います。本人だけで判断しません。学校の先生も見ます。保護者も見ます。
条件面のあいまいさは、応募前の不安になります。
たとえば今回の会社では、次のような項目を一つずつ確認していました。
- 雇用形態は正社員
- 雇用期間の定めはなし
- 試用期間は3ヶ月
- 試用期間中も同条件
- 就業時間は8時から17時
- 休憩は120分
- 休日は日曜ほか、月平均2日程度の交代休、GW・お盆・年末年始あり
- 年間休日は約105日
- 月平均残業は実態に合わせて5時間程度
- 通勤手当は月額上限1万円
- 入居可能住宅は単身用を含めて記載
どれも特別な制度ではありません。
ただ、求人票に書くときは「会社の中でなんとなく運用している」では足りません。数字と言葉に落とす必要があります。
社長も、項目を見ながら何度かこういう反応をしていました。
「覚えてないよ、前回」 「いきなり言われても出てこないです」
これもよくあることです。採用のために求人票を作っているようで、実際には会社の労務条件や育成方針を棚卸しする作業になります。
高卒新卒の求人票づくりは、採用広報であると同時に、自社の働き方を整理する作業でもあります。
高卒採用では、本人・保護者・学校が“入社後の見通し”を見ている
高卒採用で見られるのは、給与だけではありません。
もちろん初任給は大事です。今回の会社でも、18歳未経験者の月給、通勤手当、賞与実績などを確認していました。
ただ、それだけでは決まりません。
高校生本人は、「自分にできるのか」を見ています。
保護者は、「安全に働けるのか」「ちゃんと面倒を見てもらえるのか」を見ています。
学校の先生は、「送り出して大丈夫な会社か」を見ています。
だからこそ、求人票の細部が効いてきます。
たとえば応募前見学です。
高卒求人では、応募前見学を受け入れるかどうかが大きな要素になります。実際に見学した生徒は、応募意欲が高まりやすいです。会社側にとっても、入社前のミスマッチを減らしやすくなります。
ただ、建設業では簡単ではありません。
今回の会社でも、現場見学について社長がこう話していました。
「見学しようがないですよね。現場行く以外」
そして、現場に入場できるかどうかが論点になりました。
建設現場は、安全管理、元請けのルール、入場手続き、保険、服装、タイミングなどがあります。高校生を連れていける現場ばかりではありません。
「現場は入れないけど、会社で説明する」という選択肢もあります。ただ、この会社の場合は、事務所だけでは仕事のイメージが伝わりにくいという事情がありました。
応募前見学は、受け入れるかどうかだけでなく、“どこまで見せられるか”を現場入場の可否まで含めて決める必要があります。
無理に受け入れて、当日に見せられるものがない状態になるのは避けたいところです。
一方で、見学を完全に閉じると、未経験の高校生にとっては判断材料が減ります。
そのため、建設会社の場合は次のように考えると整理しやすくなります。
- 現場入場が可能な案件があるか
- 安全上、見学者を連れていけるタイミングがあるか
- 現場に入れない場合、資材置き場や会社で仕事説明ができるか
- 写真や道具を使って、作業の流れを説明できるか
- 誰が説明役になるか
ここを決めずに「見学可」と書くと、あとで現場が困ります。
逆に、ここを整理したうえで受け入れられれば、かなり強い安心材料になります。
もう一つ大事なのが、育成体制です。
今回の求人票では、研修、資格取得支援、メンター制度、キャリア面談にあたる項目も確認していました。
ただし、ここでも過剰に書かないことが大切です。
たとえば外部講習について、社長は「今のところないです」と確認していました。そこで外部講習は削る方向になりました。
一方で、社内で先輩が教えること、資格取得に向けて声をかけること、一人に先輩がついて相談に乗ることは、実態としてありました。
メンター制度の説明では、難しい文言をかみ砕いていました。
「ちゃんと一人ひとりに先輩がつきますか、ということです」
社長はすぐに答えています。
「それは大丈夫だと思います。つかないとやれないですからね」
建設業では、正式な制度名をつけていなくても、実態として育成が行われていることがあります。
ただし、求人票に書くなら言葉を整える必要があります。
制度として大げさに見せるのではなく、実際にやっている面倒見を、学校や保護者にも伝わる言葉に置き換えることが大切です。
資格取得支援も同じです。
費用を会社が出すのか。受験を促すだけなのか。先輩がフォローするのか。何年以内に退職した場合の扱いはあるのか。
細かい条件まで求人票に全部書く必要はありません。
ただ、社長自身が説明できる状態にはしておくべきです。
担当者が途中で言っていた言葉が印象的でした。
「嘘は書けないんで」
求人票は、良く見せるための作文ではありません。
実態にないことを書くと、入社後のギャップになります。実態にあることを書かないと、応募前に伝わりません。
この間をどう整えるかが、高卒新卒採用の求人票づくりです。
求人票は“初心者に伝える欄”と“誤解をなくす欄”に分けて整える
高卒新卒向けのハローワーク求人票は、項目を順番に埋めるよりも、先に考え方を分けると作りやすくなります。
大きく分けると、次の2つです。
一つ目は、18歳の未経験者に仕事をイメージしてもらう欄です。
仕事内容、補足事項、研修、資格取得支援、メンター制度、キャリア面談などがここに入ります。
ここでは、専門用語を減らします。
たとえば「足場工事全般」だけではなく、次のように分解します。
- 建物の外側に作業用の足場を組み立てる
- 最初は資材の名前を覚える
- 先輩と一緒に資材運びや片付けから始める
- 慣れてきたら組立・解体の補助に入る
- 安全ルールを覚えながら、必要な資格取得を目指す
このくらいまで下げて書くと、高校生にも伝わります。
大事なのは、かっこよく書きすぎないことです。
「最初から職人として活躍」よりも、「最初は資材運びから、先輩が横について教える」のほうが、高卒新卒には安心材料になります。
二つ目は、保護者や学校が誤解しないようにする欄です。
雇用形態、試用期間、賃金、休日、残業、通勤、住宅、応募前見学などです。
ここでは、あいまいさを減らします。
特に確認したいのは、次の項目です。
- 正社員採用なのか
- 雇用期間の定めはないのか
- 試用期間は何ヶ月か
- 試用期間中の給与や条件は同じか
- 基本給と手当をどう分けるか
- 固定残業代はあるのか、ないのか
- 通勤手当は月額いくらまでか
- 残業時間は実態として何時間程度か
- 休日は日曜以外にどう取るのか
- 年間休日数は何日か
- 入居可能住宅は使えるのか
今回の会社では、試用期間は3ヶ月、同条件と整理していました。
これは求職者にとって分かりやすいです。
試用期間中に給与が下がる場合は、もちろん正確に書く必要があります。ただ、同条件であれば、そのまま明記することで安心材料になります。
残業時間も同じです。
社長は「10時間もやったことない」と話していました。最終的に、実態に合わせて月平均5時間程度という表現に寄せていました。
残業時間は、少なく見せるためではなく、実態に近い数字を出すことが大切です。
休日も、建設業では説明が必要です。
「日曜、その他」だけでは分かりません。
月平均2日程度の交代休があるのか。GW、お盆、年末年始は休みがあるのか。会社カレンダーによるのか。
そうした情報を補足に入れるだけで、かなり印象が変わります。
建設業の休日は、制度名よりも“実際にどう休むのか”が伝わる書き方にしたほうが親切です。
応募前見学は、別枠で判断したほうがいい項目です。
受け入れる場合は、見せる場所と説明者を先に決めます。
受け入れが難しい場合も、ただ「不可」にするのではなく、代替案がないか考えます。
たとえば、現場に入れないなら、次のような形です。
- 会社で仕事内容を説明する
- 資材や道具を見せる
- 先輩社員が1日の流れを話す
- 写真を使って現場の雰囲気を伝える
- 安全面の理由で現場入場が難しいことを説明する
もちろん、実際にできないことは書かないほうがいいです。
ただ、高卒新卒では見学が応募のきっかけになりやすいです。受け入れ可否を現場任せにせず、会社として決めておきたい項目です。
育成体制は、実態に合わせて言葉を選びます。
外部講習がないなら、無理に書かなくて大丈夫です。
その代わり、社内でやっていることを整理します。
- 入社後は先輩社員がついて教える
- 道具や資材の名前から覚える
- 安全ルールを現場で確認する
- 必要な資格は会社が取得を促す
- 技能の習得状況を見ながら声をかける
- 困ったときに相談できる先輩を決める
これらは、建設会社では当たり前にやっていることかもしれません。
でも、高校生には当たり前ではありません。
担当者が言っていた通りです。
「言わないと伝わらないから、あえて書いています」
高卒採用では、“うちでは普通にやっていること”こそ求人票に書く価値があります。
最後に、求人票を出す前には、社長だけでなく現場側にも確認しておくと安心です。
特に、見学、育成担当、資格取得支援、休日、残業は、現場の実態とズレると入社後に負担が出ます。
求人票は採用担当だけの書類ではありません。
入社後に現場が受け止められる内容にすることが、結果的に定着にもつながります。
まとめ
高卒新卒採用のハローワーク求人票は、単に項目を埋めるだけではもったいないです。
18歳の未経験者、保護者、学校の先生が読む前提で、仕事内容と条件を整える必要があります。
特に大事なのは、次の5つです。
- 仕事内容は、専門用語ではなく初心者に伝わる言葉で書く
- 正社員採用、試用期間、休日、残業、通勤手当などの条件を誤解なく整理する
- 応募前見学は、現場入場の可否まで含めて受け入れ方を決める
- 研修や資格取得支援は、実態にないことを盛らず、実際にできる支援を書く
- メンターや面談など、普段の面倒見を言葉にして伝える
建設業の高卒採用では、派手な言葉よりも、入社後の見通しが伝わることのほうが効きます。
「最初は何をするのか」 「誰が教えてくれるのか」 「休みや残業はどうなっているのか」 「資格はどう取っていくのか」
このあたりが見える求人票は、本人にも保護者にも学校にも届きやすくなります。
高卒新卒の求人票づくりは、採用活動の入口であり、自社の育て方を整える入口でもあります。
高卒採用の求人票づくりを、自社の実態に合わせて整理したいときは
高卒新卒採用は、求人票を出して終わりではありません。
仕事内容の見せ方、学校や保護者への伝わり方、応募前見学の受け入れ方、入社後の育成体制まで、つながっています。
「うちの場合は、何を求人票に書けるのか」 「見学を受け入れたいけれど、現場に入れられるか不安」 「資格取得支援やメンター制度を、どこまで書いていいかわからない」
こうした段階でも、整理する価値があります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用、人材確保、組織づくり、原価管理、デジタル活用まで横断して、建設企業の持続的成長を支援しています。高卒採用の求人票づくりも、現場の実態に合わせて、無理なく伝わる形に整えることができます。
無理な営業はいたしません。まずは「何から整理すべきか」を一緒に確認するところからでも大丈夫です。


































