北関東の10名弱の専門工事会社でも、若手採用の悩みは「人が来ない」だけでは終わらない
北関東で内装系の専門工事を手がける、従業員10名弱の会社の話です。
社長は、現場のことも、人のことも、かなり腹落ちして考えている方でした。若い人を採る必要性も感じています。育てなければ先が続かないことも分かっています。
ただ、話の中で何度も出てきたのは、採用条件そのものよりも、「若い人が入って、何を目標にして働くのかが見えにくい」という悩みでした。
社長はこう話していました。
「若い人が入って、何を目標にしてやっていくかって、難しいよね」
この感覚は、多くの建設会社に共通します。
求人票に給与を書く。休日を書く。仕事内容を書く。もちろん大事です。けれど、若手や未経験者から見ると、それだけではまだ足りません。
入社後に何を覚えられるのか。どんな人になれるのか。どれくらい稼げるようになるのか。独立も含めて、将来の選択肢が広がるのか。
そこまで見えないと、「この会社に入る理由」がつくりにくくなっています。
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- 7月10日電気設備工事会社京都府
- 7月8日総合土木愛知県
- 7月8日工務店山形県
- 7月8日外構工事会社群馬県
- 7月6日工務店兵庫県
- 7月6日電気設備工事会社神奈川県
- 7月6日防水工事会社東京都
- 7月5日塗装工事会社神奈川県
- 7月5日プラント工事会社福島県
- 7月5日リフォーム会社東京都
- 7月5日総合土木福井県
- 7月4日外構工事会社千葉県
- 7月2日防水工事会社茨城県
- 6月30日ビルメンテナンス北海道
- 6月30日ビルメンテナンス福岡県
- 6月29日総合建築千葉県
- 6月29日総合建築東京都
- 6月28日配管工事会社富山県
- 6月27日リフォーム会社山口県
- 6月27日内装工事会社大阪府
- 6月26日塗装工事会社秋田県
- 6月26日配管工事会社三重県
- 6月26日工務店宮崎県
- 6月25日内装工事会社長野県
- 6月23日プラント工事会社神奈川県
- 6月23日外構工事会社岐阜県
- 6月19日空調設備工事会社兵庫県
- 6月19日総合建築鳥取県
- 6月19日配管工事会社東京都
- 6月18日総合土木東京都
社長の中にある教育や独立支援の考えが、外からは見えていない
若手・未経験者採用で苦戦する会社は、条件が悪いから選ばれないとは限りません。
むしろ、社長の中には良い考えがたくさんあります。
たとえば、この会社の社長は、若手に対してかなり広い目線を持っていました。
「10年たって、俺ができるからって独立しちゃう。それでもいい」
「辞めてどこへ行ったって構わない。自由だよ」
「間違えたところが分かれば、次はできる。他に行ったってできる」
かなり懐の深い考え方です。
会社に縛りつけるというより、一人前になって、どこでも通用する人間になればいいという育て方です。これは、若い人にとって大きな魅力になり得ます。
ところが、こうした考えは求人票にはほとんど出てきません。
社長にとっては当たり前だからです。
「一緒にいれば分かるでしょ」
「現場に出ていれば覚えるでしょ」
「普段から言っているんだから伝わるでしょ」
そう考えたくなる気持ちはよく分かります。建設業は、近くで見て、手を動かして、時間をかけて覚える仕事です。
ただ、採用の入口ではまだ一緒に働いていません。若手は、社長の人柄も、会社の空気も、育て方も知りません。
つまり、発信されていない強みは、採用市場では存在しないのとほとんど同じになってしまいます。
「見て覚えろ」で育った世代の当たり前が、18歳の未経験者には伝わりにくい
背景にあるのは、世代間の仕事観の違いです。
社長は、自分が若いころのことも話していました。
「金が欲しいのがまず第一だった。遊びたい金もいるし、何か買うにも金がいる」
「人の倍働いて、人の倍出せるから、稼げるのは当たり前だと思っていた」
一方で、今の若い人についてはこうも話していました。
「土曜は休みたい、日曜は出てこない、5時に帰る。どうやって稼ぐのって思う」
ここには、どちらが正しいという話ではなく、仕事に求めるものが変わってきているという現実があります。
昔は、「稼ぎたいなら長く働く」「現場で盗んで覚える」「怒られながら身につける」という感覚が自然でした。
今は、若手側も次のようなことを気にします。
- この会社で何を教えてもらえるのか
- 何年でどの仕事を任されるのか
- どのくらい稼げるようになるのか
- 休みや働き方はどう考えられているのか
- 将来、職長になるのか、独立できるのか
- 未経験でも置いていかれないのか
特に未経験者は、建設業の中身が分かりません。
「職人」と聞いても、何をするのか。どれくらい大変なのか。どんな成長があるのか。想像しきれません。
さらに、入社後の教え方にも不安があります。
話の中では、こんな例も出ていました。
1か月目はAさん、2か月目はBさん、3か月目はCさんにつく。すると、全員の教え方が違う。Aさんに「これでいい」と言われたやり方をBさんの現場でやると怒られる。
若手からすると、誰を真似していいか分からなくなります。
社長や職長から見れば、「みんな同じことを言っている」「現場ごとに考えればいい」と感じるかもしれません。
でも、未経験者にはその違いを判断する基準がありません。
その結果、技術の問題ではなく、「言っていることが人によって違う」「自分が何を目指せばいいか分からない」という不安になりやすいのです。
採用発信で大事なのは、ここです。
若手に対して、会社を大きく見せる必要はありません。きれいごとを並べる必要もありません。
ただ、入社後の見通しを、社長の言葉で分かるようにしておくことが大切です。
求人条件の前に「この会社で得られるもの」をターゲット別に棚卸しする
若手採用で最初に整理したいのは、求人媒体の選び方ではありません。
まず、自社に入った人が何を得られるのかを言葉にすることです。
給与や休日はもちろん必要です。ただ、それだけで比べられると、大手や条件の良い会社に埋もれやすくなります。
中小の専門工事会社には、中小だからこそ伝えられる魅力があります。
社長との距離が近い。早く現場を任される。仕事の全体が見える。独立に必要な考え方まで学べる。失敗を見ながら育ててもらえる。こうしたことは、求人票に書かなければ伝わりません。
整理する順番は、次の流れが現実的です。
1. 採りたい若手をひとくくりにしない
「若い人がほしい」だけだと、発信がぼやけます。
同じ未経験でも、高校生と異業種転職者では気にすることが違います。中卒で手に職をつけたい人と、20代後半で収入を上げたい人でも響く言葉は違います。
まずは、採用したい相手を分けます。
- 高校新卒を採りたいのか
- 10代後半から20代前半の未経験者を採りたいのか
- 異業種からの転職者を採りたいのか
- 将来の職長候補を採りたいのか
- 独立志向のある人でも受け入れるのか
ここを分けるだけで、伝える内容が変わります。
高校生なら、親御さんや学校の先生が安心できる情報も必要です。異業種転職者なら、収入の上がり方や前職経験の活かし方が気になります。独立志向の人なら、何年で何を任せるのかが重要です。
採用ターゲットが違えば、同じ会社の魅力でも伝える順番が変わります。
2. 社長の「当たり前」を強みに変える
次に、社長が普段から当たり前にやっていることを棚卸しします。
たとえば、こんな内容です。
- 未経験者に最初の3か月で何を教えるか
- 1年目に任せる仕事は何か
- 何ができるようになれば給与が上がるのか
- 職長になるには何を覚える必要があるのか
- 独立したい人に何を教えられるのか
- 道具、資格、移動、休みなどを会社がどう支えているのか
- 失敗したときにどうフォローするのか
相談の中でも、「次の社長にするつもりで、いろんなことを教えられた」という話が出ていました。
本人は当時、「なんでこんなことまでやるんだ」と思っていたそうです。でも、今になって役に立っている。
こういう経験は、採用発信ではかなり強い材料です。
「うちは見て覚えろです」で終わらせず、「将来どこでも通用するように、現場以外の考え方も教えます」と言葉にする。
それだけで、受け取られ方は変わります。
3. 給与の考え方を「人情」だけにしない
中小の建設会社では、社長の人情で給与を決めていることも少なくありません。
「あいつは頑張っているから」
「この子は家庭があるから」
「そろそろ上げてやりたいから」
悪いことではありません。むしろ、社長の温かさが出る部分です。
ただ、採用ではそれだけだと伝わりにくくなります。
若手から見ると、何を頑張れば給与が上がるのかが分からないからです。
細かい評価制度まで作り込む必要はありません。まずは、ざっくりで構いません。
たとえば、次のように整理します。
- 入社時は何から始めるのか
- 半年後に何ができれば評価されるのか
- 1年後にどの作業を任されるのか
- 職長補佐になると何が変わるのか
- 現場を任せられると収入がどう変わるのか
社長が話していた「5,000万円受けて2,000万円残すなら、やり方は何でもいい。ただ、材料、手間、入れ替わりを頭に入れなさい」という考え方も、本来は育成方針になります。
単なる根性論ではありません。
稼げる職人になるには、手を動かすだけでなく、現場のお金の流れも分かる必要があるというメッセージです。
ここまで言葉にできると、若手にとって「この会社で学べること」が見えます。
4. 独立支援を隠さず、会社の器として伝える
建設業では、育てた人が独立することがあります。
社長にとっては痛い面もあります。せっかく育てた人が抜ける。現場の戦力が減る。そう考えるのは自然です。
一方で、独立を完全に否定しない会社は、若手にとって魅力になります。
今回の社長も、「出ていってもいい」「戻ってくることもある」と話していました。
これは、かなり大きな強みです。
ただし、採用発信では言い方が大切です。
「独立できます」だけだと軽く見えます。
そうではなく、独立できるくらい、技術・段取り・お金の考え方・人との付き合い方まで教える会社として伝えると、会社の育成姿勢が伝わります。
もちろん、全員が独立したいわけではありません。
長く職人として働きたい人。職長になりたい人。将来は番頭のような立場を目指したい人。いろいろな道があります。
だからこそ、発信では複数のキャリアを見せるとよいです。
- 職人として腕を磨く道
- 職長として現場をまとめる道
- 社内の中核人材になる道
- 将来独立する道
若手は、入社時点で将来を決めきれません。選択肢が見えること自体が安心材料になります。
5. 発信先ごとに言葉を変える
棚卸しした内容は、出す場所によって少し変えます。
ハローワークの求人票なら、仕事内容と条件を分かりやすく書く必要があります。高校訪問なら、先生や保護者にも伝わる安心感が必要です。面接では、社長自身の言葉で「うちで何を学べるか」を話すことが大切です。
最初から完璧な採用ページを作る必要はありません。
まずは、次の3つをそろえるだけでも変わります。
- 求人票に書く「入社後に覚えること」
- 面接で話す「育て方と給与の考え方」
- 学校や紹介者に伝える「安心して送り出せる理由」
特に高校生採用を考えるなら、いきなり外部に任せる前に、ハローワークへの出し方や高校訪問を一度自社でやってみるのも現実的です。
やってみると、自社に足りない説明が見えてきます。
「何を聞かれるのか」
「どこで反応が薄いのか」
「先生に何を不安がられるのか」
この情報があると、次の改善がしやすくなります。
採用発信は、一度作って終わりではなく、相手の反応を見ながら言葉を磨く仕事です。
まとめ
若手・未経験者を採用できない理由は、給与や休日だけでは整理しきれません。
もちろん条件は大切です。けれど、中小の専門工事会社が本当に伝えるべきなのは、「この会社に入ったら、どんな人になれるのか」です。
社長が当たり前にやっている教育。失敗を許す幅。職長への育て方。独立を含めた将来の考え方。給与を上げる基準。現場のお金の見方。
そうしたものは、社内では空気のように存在していても、外からは見えません。
若手は、入社前にその空気を読めません。
だからこそ、言葉にする必要があります。
採用で選ばれる会社は、条件が一番良い会社とは限りません。入社後の未来が具体的に見える会社です。
まずは、自社の中にある「当たり前」を書き出すところからで十分です。
社長の言葉で構いません。
「うちはこう育てる」
「ここまでできれば給与を上げる」
「独立したいなら、ここまで教える」
「長く働きたい人には、こういう道がある」
この言葉がそろうと、求人票も、面接も、学校訪問も変わります。
若手に合わせすぎる必要はありません。ただ、若手が判断できる材料は渡したいところです。
そこから採用の入口は少しずつ変わっていきます。
若手採用で伝えるべき自社の強みを整理したいときは
若手採用は、求人媒体を増やす前に、会社の中にある教育・給与・キャリアの考え方を整理するだけで打ち手が見えやすくなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。
「うちの場合、若手に何を伝えればいいのか」「高校生と中途未経験で言葉を変えるべきか」「社長の考えを求人票や面接でどう表現すればいいか」といった段階でも大丈夫です。
ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、無理な営業はいたしませんので、まずは状況整理の場としてお使いください。





























