前提

北関東で防水を柱にしながら、内装・軽量の施工力に先行き不安を抱える会社の現在地

職人不足の問題は、単に「採用できない」という話だけではなく、どの技能を自社に残し、誰が教え、どう定着させるかという施工力の設計の問題です。

北関東のある専門工事会社では、防水工事を利益の柱にしながら、塗装や内装も含めて幅広く対応していました。人数は十数名規模。拠点には50代以上の社員が多く、地域の協力会社や一人親方とも付き合いながら現場を回している会社です。

足元の仕事はあります。むしろ忙しい時期には、職人も管理も足りなくなります。一方で、社長の頭の中には数年先への不安がありました。

「防水や塗装はまだ教えられる。でも、軽量だけは苦しい。軽量の職人を社員で欲しいんだよ」

この言葉に、今の専門工事会社が抱える悩みがかなり詰まっています。防水や塗装のように自社で教えやすい領域もあれば、軽量・ボード・クロスのように、職人の層が薄く、腕のある人ほど一人親方化していて、社員として抱えづらい領域もあります。

現場ごとの波もあります。忙しい時は単価が上がり、人も集めやすい。暇になると仕事の取り合いになり、価格も突っ込みやすくなる。そうした波の中で、社員職人を抱えるには固定費もかかります。社会保険、給与、休み、教育期間。昔のように「親方について、見て覚えて、嫌なら独立」という流れだけでは、会社として施工力を積み上げにくくなっています。

だからこそ、これからの社員職人づくりは、根性論ではなく、「内製化する職種」「外部と組む職種」「育て方」「残り方・独立の仕方」を分けて設計することが大事になります。

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  • 7月8日総合土木愛知県
  • 7月8日工務店山形県
  • 7月8日外構工事会社群馬県
  • 7月6日工務店兵庫県
  • 7月6日電気設備工事会社神奈川県
  • 7月6日防水工事会社東京都
  • 7月5日塗装工事会社神奈川県
  • 7月5日プラント工事会社福島県
  • 7月5日リフォーム会社東京都
  • 7月5日総合土木福井県
  • 7月4日外構工事会社千葉県
  • 7月2日防水工事会社茨城県
  • 6月30日ビルメンテナンス北海道
  • 6月30日ビルメンテナンス福岡県
  • 6月29日総合建築千葉県
  • 6月29日総合建築東京都
  • 6月28日配管工事会社富山県
  • 6月27日リフォーム会社山口県
  • 6月27日内装工事会社大阪府
  • 6月26日塗装工事会社秋田県
  • 6月26日配管工事会社三重県
  • 6月26日工務店宮崎県
  • 6月25日内装工事会社長野県
  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

一人親方に頼るほど現場は回るが、若手に技能が残らない構造

一人親方依存の怖さは、今日の現場が回る一方で、5年後・10年後の施工力が会社の中に残りにくいことです。

内装、とくに軽量のような仕事では、腕のある職人が社員として会社に残り続けるとは限りません。ある程度できるようになると、独立した方が稼げる。出来高で動いた方が自由度も高い。会社側から見ると、せっかく覚えた人ほど外に出ていきやすい構造があります。

相談の中でも、次のような話が出ていました。

「昔はすぐ独立できちゃった。今も、できる人は一人親方とか個人事業主が多い」

「社員で育てても、覚えたら独立していく」

これは、特定の会社だけの問題ではありません。建設業全体で、職人の年齢層が上がっています。50代でも若い方、主力は60代以上という現場も珍しくありません。しかも、その上の世代は人に教える余力があるとは限りません。自分の仕事で手一杯だったり、「背中を見て覚えろ」の時代で育ってきたりして、教えること自体に慣れていない場合もあります。

問題は、若手がいないことだけではありません。若手を受け入れても、教える人・教える順番・成長後の処遇が決まっていないと、定着しにくいことです。

採用だけを頑張っても、社内の受け皿が弱いと、ザルに水を入れるような状態になります。せっかく入った若手が、「何を覚えればいいのか分からない」「誰に聞けばいいのか分からない」「この先、給料がどう上がるのか見えない」と感じれば、別の会社や別の仕事に移ってしまいます。

社長が感じていた不安は、まさにここでした。

「本当は20代のうちから育てて、給料を上げて、定着させていかなきゃいけない。でも、それができていない」

この課題は、採用、人件費、教育、協力会社との関係、将来の受注方針がつながっています。だから、一つずつ切り分けて考える必要があります。

背景

軽量・内装は「教えられる社員職人」が少なく、外注化しやすい業種になっている

軽量や内装の難しさは、仕事そのものの技能に加えて、材料ロス・段取り・複数業種との絡みがあり、教える側にも高い経験が必要な点にあります。

防水や塗装は、もちろん簡単な仕事ではありません。ただ、社長の感覚としては、ロス率や段取りの見通しが立てやすく、自社で教えやすい部分がある。一方、内装は「貼り物」「切り物」が多く、現場によって材料の出方やロスが変わります。軽量、ボード、クロスなどが絡み、監督や他業種の段取り次第で利益が削られることもあります。

「防水や塗装はロス率が分かる。内装は段取りが悪いと食い込む」

この感覚は、社員職人化を考えるうえで重要です。教える内容が単純な作業手順だけでは済まないからです。軽量の職人を育てるなら、手元作業から始めて、墨出し、下地、材料の拾い、現場での納まり、他業種との絡みまで、段階的に覚えさせる必要があります。

しかし、そこまで教えられる職人が社内に少ない。いても高齢化している。外部の一人親方は、自分の仕事で稼いだ方がよく、人を育てる時間を取りにくい。こうなると、会社としては「欲しいのは分かっているが、どう育てればいいのか分からない」という状態になります。

さらに、若手側の価値観も変わっています。昔のように、長時間働いて、土曜も出て、見て覚えて当然という前提だけでは選ばれにくくなっています。給与水準も上がっています。休みも見られます。屋外作業の暑さ、重量物、体への負担も、若手はかなり現実的に見ています。

一方で、希望がないわけではありません。手に職をつけたい人、机上の仕事より体を動かす仕事に向いている人、チームで現場を納めることにやりがいを感じる人はいます。ただ、その人たちに対して、会社が「ここに入ったらどう育つのか」を見せられていないと、候補者には届きません。

社員職人づくりは、採用広報の前に、社内の育成設計を見える形にすることから始まります。

解決

社員で抱える職種を絞り、教育担当・動画・OJT・独立後の関係まで一体で設計する

最初に決めるべきことは、すべての職種を社員化することではなく、自社の将来に必要な技能を絞って内製化することです。

防水が利益の柱で、内装は売上があるが利益が薄い。軽量は将来必要だが、教えられる人が少ない。このような会社であれば、まず次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

  • 自社で必ず抱える職種
  • 協力会社・一人親方と組み続ける職種
  • 将来的に社員化または専属化を検討する職種

軽量を社員で欲しいなら、いきなり何人も採用するより、まずは「教育担当になれる人」をどう確保するかが先です。社内にいる年配職人に任せるのか、外部のベテランを週数日だけ教育役として迎えるのか、協力会社の親方に教育費込みで一定期間伴走してもらうのか。ここを決めずに若手だけ採ると、現場に出して終わりになりやすいです。

教育の仕組みは、完璧な学校のように作る必要はありません。最初は、3か月単位で十分です。

たとえば、次のように分けます。

  • 1か月目:道具、材料名、安全、掃除、現場での動き方
  • 2か月目:手元作業、材料運び、簡単な下地作業
  • 3か月目:先輩の横で部分作業を担当し、日報で振り返る

相談の中でも、別会社の事例として「1階を研修センターのようにして、3か月後に現場に出す」という話がありました。大きな会社でなければ同じ規模ではできませんが、考え方は使えます。現場に出す前に、最低限の作業・安全・道具の扱いをそろえるだけでも、若手の不安と現場側の負担はかなり下がります。

動画教材も相性があります。軽量や内装の技能は、言葉だけでは伝わりにくい部分があります。スマートフォンで短い動画を撮り、社内用に残すだけでも、教え方のばらつきは減らせます。

最初から立派な教材を作る必要はありません。

  • 道具の名前と使い方
  • 現場に入る前の準備
  • よくある失敗
  • ベテランが見ている納まりのポイント
  • 材料ロスを減らす考え方

こうしたテーマを、1本3〜5分程度で残していく。若手は現場前や移動中に見られます。教育担当も、毎回同じ説明を繰り返す負担が減ります。さらに、採用時にも「うちはこうやって育てています」と見せられます。

定着を考えるなら、給与と休みの設計も避けて通れません。若手は、稼ぎたい人と休みを重視したい人に分かれます。どちらか一方だけに合わせると、採れる人の幅が狭くなります。

一つの考え方として、働き方を複線化する方法があります。

  • しっかり出勤して稼ぐコース
  • 休みを確保しながら長く続けるコース
  • 技能を高めて職長を目指すコース
  • 将来、協力会社として独立するコース

ここで大事なのは、独立を敵にしないことです。もちろん、育てた人がすぐ辞めてしまうのは痛いです。ただ、腕のある人ほど独立志向がある業界で、「独立は絶対にだめ」とすると、そもそも入ってこない人もいます。

むしろ、一定年数働いた後に協力会社として関係を続ける道を用意する。独立後も仕事を流す条件、品質基準、単価、社会保険や安全書類の考え方を早めに話しておく。そうすれば、社員として残る人と、協力会社としてつながる人の両方を会社の施工力にできます。

社員職人化の目的は、全員を囲い込むことではなく、自社の施工品質と供給力を安定させる関係を増やすことです。

もし教育担当そのものが足りない場合は、近い業種の会社との提携や、後継者に悩む小規模会社との連携も選択肢になります。人を採るだけでなく、供給力を確保するために会社同士で組む発想です。すぐに買収や統合を考える必要はありませんが、「技能を持った人とどう長くつながるか」という視点は、今後さらに重要になります。

進め方としては、次の順番が現実的です。

  1. 5年後に自社で持っていたい職種を決める
  2. その職種を教えられる人を社内外から洗い出す
  3. 3か月分の育成メニューを作る
  4. 動画・日報・チェック表で教え方をそろえる
  5. 給与、休み、職長、独立後の関係を見える化する
  6. その内容を採用時に伝える

この順番であれば、採用だけが先走りません。若手にとっても、「入ってからどうなるか」が分かりやすくなります。

まとめ

職人の高齢化と一人親方依存は、採用だけで解ける問題ではありません。施工力を会社にどう残すかを設計する問題です。

とくに軽量や内装のように、教えられる人が少なく、腕のある人ほど独立しやすい業種では、社員職人を増やす前に、内製化する職種を絞ることが大切です。

そのうえで、教育担当を確保し、3か月程度の研修メニューを作り、動画やOJTで教え方をそろえる。若手には、給与・休み・職長への道・独立後の関係まで含めて、将来像を見せる。ここまで整えると、採用の言葉にも説得力が出ます。

「職人は欲しい。でも、育てる人がいない」

この悩みは、多くの専門工事会社に共通しています。だからこそ、いきなり大きな仕組みを作るより、まずは一職種、一人の教育担当、一つの育成表から始めるのが現実的です。

社員として残る人、協力会社としてつながる人、その両方を含めて施工力を設計できる会社が、これからの地域の現場を支えやすくなります。

うちの職人育成をどこから整理するか考えたいときは

職人の採用・育成・定着は、会社ごとに事情が違います。防水を柱にする会社と、内装一式を広げたい会社では、社員で抱えるべき職種も、教育担当の探し方も変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。職人を社員で育てるべきか、協力会社化も含めて関係を設計すべきか、研修や動画教材をどう作るかといった段階から一緒に整理できます。

「うちの場合は軽量を内製化すべきなのか」「若手を採っても辞めない体制になっているのか」など、まだ考えがまとまっていない段階でも大丈夫です。無理な営業を前提にした場ではなく、次に何を整理すべきかを一緒に確認する時間としてご相談いただけます。

職人育成や定着の進め方を整理したい方は、お問い合わせはこちらからご連絡ください。