20名弱の内装系専門工事会社で、紙の決裁や出面管理を残しながら営業・現場管理だけでも前に進めたい状況
北関東のある内装系専門工事会社では、社員は20名弱、営業担当は6名ほど。現場には協力会社も入り、日々の出面や材料の拾い、積算、現場進捗の確認が重なっています。
一方で、会社の土台には長く続いてきた紙文化があります。決裁も紙ベース。出面も職長が紙でまとめる。協力会社からの請求時に「この日はこっちの現場じゃなかったよね」と確認が入ることもあります。
現場の実感としては、すでに変えたい気持ちはあります。
「今までのやり方を変えるのは抵抗があります。ただ、営業面だけでもデジタルにできる部分があれば進めたいんです」
この温度感は、多くの専門工事会社に近いはずです。会社全体を一気に変えるのではなく、まずは営業・現場管理・積算・材料拾いなど、時間がかかっている業務から小さくデジタル化する。ここが現実的な入口になります。
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- 6月18日総合土木東京都
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便利そうな現場管理ツールは多いが、自社に必要な機能と投資効果が見えにくいこと
デジタル化で最初に迷いやすいのは、「既製ツールを入れるのか」「自社用に作るのか」です。
現場管理アプリ、積算ソフト、原価管理システム、経費精算、勤怠、出面管理。いろいろなサービスがあります。外部ツールを組み合わせる方法もありますし、自社の業務に合わせてシステムを作る方法もあります。
ただ、ここで難しいのは費用そのものではありません。今まで使っていなかった無形のものにお金をかける以上、「どの業務がどれだけ楽になるのか」が見えないと判断しづらいことです。
実際、相談の中でもこうした言葉がありました。
「やるからには当てに行きたいんです。会社のお金なので、数打てばいいというわけにはいかない」
この感覚は自然です。建設業は、材料や人工のように目に見えるものには価値を置きやすい一方、システムや業務設計の価値は比べにくいものです。
だからこそ、最初にやるべきことはツール探しではありません。誰が、何に、どれだけ時間を使っているかを洗い出すことです。
積算・材料拾い・出面確認に時間がかかり、職長の施工時間まで圧迫していること
この会社で特に時間がかかっていたのは、積算と材料拾いでした。
「圧倒的に時間をかけているのは、積算と材料の拾いです。職長に任せていると、その時間はボードを貼れないわけです」
ここに、専門工事会社らしい大事な視点があります。職長が材料を拾っている時間は、単なる事務時間ではありません。本来なら現場で施工しているはずの人が、施工以外に時間を使っているということです。
出面管理にも同じ構造があります。紙で出してもらい、月末や請求時に照合する。間違いがあれば手帳を見返す。協力会社に確認する。現場名のずれ、日付のずれ、人員数のずれが出る。
こうした業務は、1回あたりは小さく見えます。しかし月末にまとまると、営業責任者や事務方、職長の時間をじわじわ使います。
また、現場ごとの粗利や外注費の増加を早めに見たいというニーズもありました。
「赤字になりそうな時に、危険を察知して先に手が打てる管理機能があるとありがたい」
これは単なる効率化ではありません。現場ごとの資材費、外注費、進捗、請求・入金状況を見える化できれば、赤字の兆候に早く気づけるようになります。
つまり、この会社のデジタル化の本質は「紙をなくすこと」ではありません。施工時間を守ること、確認作業を減らすこと、現場の損益を早く見えるようにすることです。
最初に業務時間を棚卸しし、既存システムの拡張・外部ツール・自社システムを順番に比べる進め方
進め方はシンプルです。最初から大きなシステムを作る必要はありません。まずは業務ごとに、時間と困りごとを並べることから始めるのが良いです。
たとえば、次のように分けます。
- 積算に誰が何時間使っているか
- 材料拾いを誰が担当し、その間に施工できない時間がどれだけあるか
- 出面確認で月末に何時間かかっているか
- 協力会社との請求照合でどんなズレが多いか
- 経費精算や領収書確認に事務方がどれだけ時間を使っているか
- 現場ごとの粗利、外注費、進捗を誰がどの頻度で見たいか
ここまで出すと、「便利そうな機能」ではなく「削減効果が大きい機能」が見えてきます。
たとえば、積算・材料拾いの時間が一番大きいなら、最初の検討対象は積算支援や材料拾いの効率化です。出面のズレが請求時に多いなら、スマホ打刻や職長承認、協力会社ごとの出面確認が候補になります。現場損益を早く見たいなら、現場ごとの資材費・外注費・進捗率・アラート機能が候補になります。
そのうえで、選択肢は大きく3つです。
1つ目は、今使っている原価管理システムを拡張する方法です。すでに社内で共通利用されている仕組みがあるなら、そこに足りない機能を足せないかを確認します。新しいツールを増やすより、現場の抵抗が少ない場合があります。
2つ目は、外部ツールを部分的に使う方法です。積算、現場管理、勤怠、経費など、目的ごとに既製サービスを選びます。初期負担を抑えやすく、早く試せるのが利点です。一方で、ツールが増えると入力先が分かれ、社内共有が複雑になることもあります。
3つ目は、自社用に必要機能を絞って作る方法です。現場一覧、粗利管理、外注費、経費、勤怠、出面、カレンダーなどを一つの画面にまとめられます。管理者、営業、職長、現場作業者、協力会社で見える範囲を分けることもできます。将来人数が増えた時に使い続けやすい形を作れる点が利点です。
ただし、自社システム化で注意したいのは機能の増やしすぎです。
「こんなのがあったら便利」を全部入れると、使わない機能が増えます。画面が見づらくなります。結果として、現場が使わなくなります。
そのため、進め方としては、欲しい機能を一度すべて出し、その後に本当に必要な機能だけに削るのが向いています。最初から最小限で考えると、後から「あれも欲しい」「これも欲しい」と増えやすいからです。
判断軸は、次の3つで十分です。
- その機能で、誰の時間がどれだけ減るか
- 現場や職長が無理なく入力できるか
- 人数が増えた時にも使い続けられるか
この3つに答えられない機能は、いったん後回しで構いません。
まとめ
紙ベースの現場管理をデジタル化する時、最初に必要なのはツール名を集めることではありません。
最初に見るべきは、自社の中で時間を食っている業務です。
積算なのか、材料拾いなのか。出面確認なのか、経費精算なのか。現場ごとの粗利確認なのか。そこが見えれば、既存システムを広げるべきか、外部ツールで足りるのか、自社用に作るべきかが判断しやすくなります。
特に15〜30名規模の専門工事会社では、今後人が増えた時に「今のやり方では回らない」場面が出てきます。だからこそ、いきなり全部を変えるのではなく、時間削減効果が大きい業務から順番にデジタル化するのが現実的です。
紙をゼロにすることが目的ではありません。営業、職長、事務方が本来の仕事に使える時間を増やすこと。現場の赤字兆候を早く見つけること。協力会社との確認をスムーズにすること。
そのための一歩として、まずは「誰が・何に・どれだけ時間を使っているか」を書き出してみるのが良いです。
自社の現場管理をどこからデジタル化するか整理したいときは
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。
「うちは既存システムを広げるべきか」「外部ツールで足りるのか」「自社用に作るほどの効果があるのか」といった段階でも大丈夫です。まずは業務の棚卸しから一緒に整理できます。
ものづくりに集中できる建設業界へ。無理な営業はいたしませんので、何から考えればよいかを確認する場としてご活用ください。































