埼玉県南部の店舗内装会社が、現場監督4名で30坪超の店舗改修から大型施設改修まで対応している状態
埼玉県南部に拠点を置く、店舗内装・商業施設改修を中心に手がけるある専門工事会社の話です。創業から30年ほど、飲食店、クリニック、テナントビル内の改修、ホテル内レストランの大規模改修まで、店舗系の内装を幅広く対応してきました。
社内は、設計施工側が7名ほど、別事業を含めると15名弱の体制です。そのうち、現場監督は4名。最近は30坪台から100坪超の店舗が多く、金額規模も数千万円から1億円弱まで上がってきています。
首都圏の案件だけでなく、名古屋、大阪、札幌方面まで対応することもあります。ただし、遠方になるほど施工体制の組み方は一気に難しくなります。実際、北海道内の案件では「札幌の協力業者では距離的に難しく、現地側の協力業者にお願いした」という場面もありました。
この会社の特徴は、設計施工で受けつつ、施工はかなり細かく分離していることです。内装、給排水、電気、空調、防災など、それぞれの協力業者を組み合わせて現場を動かします。材料も自社側で手配し、コストを抑える工夫をしています。
その分、現場監督の負荷は軽くありません。担当者の言葉にも、現場の実感が出ていました。
「基本的には、よほどのことがなければ監督1人で1現場くらいの動きになります。細かく分離しているので、なかなか現場を抜けられないんです」
店舗改修に強い会社ほど、この感覚はよくわかると思います。現場数を増やしたい。遠方や大型の話も受けたい。でも、監督の人数がそのまま受注上限になりやすい。ここをどう崩すかが、次の成長の分かれ目です。
遠方や大型改修を受けるほど、監督4名体制では現場を同時に回しにくくなる
店舗内装や商業施設改修は、単純に「職人を入れれば回る」仕事ではありません。
特に、営業中施設の改修、夜間工事、短工期の店舗改装、クリニックや飲食店の設備が絡む案件では、現場監督が見なければならないことが多くなります。搬入経路、近隣対応、既存設備との取り合い、工程の前後関係、施設側ルール、消防・防災の確認、オーナーやテナントとの調整。どれか一つが遅れると、全体工程に響きます。
この会社でも、ホテル内のビュッフェレストラン改修では、約350坪規模の案件を1年近くかけて進めた経験がありました。こうした大型改修になると、内装だけでなく設備工事の比重も大きくなります。
実際、その案件ではすべてを自社側で抱え込まず、空調・防災は施設側の指定業者、給排水・電気は自社の協力業者という形で区分していました。これは、とても現実的な判断です。大型施設では、竣工後のメンテナンスや既存設備との関係を考えると、施設側業者に任せた方が安全な工種があります。
一方で、分担を増やすほど調整は複雑になります。
- 誰が工程全体を見るのか
- どの工種の遅れを誰が吸収するのか
- 施設側業者との取り合いを誰が決めるのか
- 追加や変更が出たとき、誰の責任範囲なのか
- 遠方の場合、緊急時に誰が現地へ行けるのか
ここが曖昧なまま受けると、監督が現場に張りつき続けるしかなくなります。結果として、4名の監督がいても、同時に4現場以上を安定して動かすのが難しくなります。
とくに遠方案件では、移動時間も監督の稼働を圧迫します。首都圏の感覚で「日帰りで見に行ける」と思っていた現場が、実際には移動だけで半日以上かかる。現場で少しトラブルが出ると、他の現場の確認が止まる。こうしたことは珍しくありません。
つまり課題は、人が足りないという単純な話ではなく、監督が現場から抜けられない施工体制になっていることです。
細かい分離発注と設備比率の高い店舗改修では、責任範囲を曖昧にしたまま外注化しにくい
この会社は、協力業者を多く持ち、分離発注にも慣れています。だからこそ、店舗内装では柔軟に動けます。コストも読みやすくなります。工種ごとの得意業者を当てられるため、品質も安定しやすいです。
ただし、分離発注は良い面ばかりではありません。
一式請負であれば、現場内の調整責任は比較的まとめやすくなります。しかし、細かく分けるほど、監督がハブになります。内装屋、電気屋、設備屋、空調、防災、施設側業者、場合によっては施主側の指定業者。それぞれが別々に動くため、現場監督が交通整理をし続ける必要があります。
そのため、外部監督を入れれば解決する、とは言い切れません。外部監督に任せるなら、少なくとも次の情報が共有されている必要があります。
- 工種ごとの発注範囲
- 図面と現場の差異が出たときの判断権限
- 施主・設計者・施設管理者との連絡窓口
- 工程変更時の決裁ルート
- 追加工事の拾い方と見積提出の流れ
- 是正指示や検査対応の責任者
ここを決めずに外部監督だけ入れても、結局は社内の担当者に確認が集中します。すると「外注したのに楽にならない」という状態になります。
また、設備比率が高い案件では、建設業許可や工種ごとの請負範囲にも注意が必要です。会話の中でも、電気や管工事の金額が大きくなると、内装より設備の比重が高くなるという話がありました。たとえば、電気だけで数千万円規模になると、内装会社としてどこまで一式で受けるのか、どこから設備業者側の責任にするのかを整理しておく必要があります。
店舗改修では、内装が見た目の中心に見えます。しかし実際の現場では、電気・給排水・空調・防災が工程とリスクを握ることが多いです。とくに飲食、クリニック、ホテル、商業施設ではなおさらです。
遠方や大型案件を受ける前に大事なのは、「協力業者がいるか」だけではありません。誰が現場全体の責任を持ち、誰が各工種の判断をするかまで決めておくことです。
受注前に地域協力業者・外部監督・工種責任を切り分けて、監督が張りつかない形を作る
遠方や大型改修を受けるときは、見積前の段階で施工体制を組み立てておくのが現実的です。受注してから慌てて協力業者を探すと、金額も工程も責任範囲も崩れやすくなります。
まず整理したいのは、案件を3つに分けて見ることです。
1つ目は、自社監督が常駐に近い形で見るべき案件です。初めての施主、設計変更が多い案件、施設側ルールが厳しい案件、設備の取り合いが多い案件は、無理に任せきらない方が安全です。大型改修の初回や、今後の取引につながる重要案件もここに入ります。
2つ目は、外部監督を入れても回せる案件です。図面が固まっている、工種分担が明確、施主との連絡窓口が整理されている、協力業者が慣れている。こうした案件なら、外部監督に日々の現場管理を任せ、社内監督は定例確認と要所判断に回る形が作れます。
3つ目は、地域協力業者を主軸にすべき遠方案件です。札幌の業者で北海道内すべてを見るのが難しいように、同じ都道府県内でも距離の問題はあります。遠方案件では、地元で動ける内装・設備・電気の協力先を持てるかが重要です。
このとき、地域協力業者を「職人手配先」とだけ見ない方がよいです。現地調査、搬入確認、近隣対応、緊急時の一次対応まで任せられるか。ここまで見ておくと、社内監督の移動負担をかなり減らせます。
受注前には、最低限次の項目を確認しておきたいところです。
- 現場監督は常駐か、巡回か、要所立会いか
- 外部監督に任せる範囲はどこまでか
- 内装、電気、給排水、空調、防災の発注範囲
- 施設側指定業者が入る工種と、その調整窓口
- 分離発注時の工程責任と遅延時の対応
- 遠方で不具合が出たときの一次対応者
- 追加変更の見積・承認ルート
- 工事後のメンテナンス対応者
特に大事なのは、外部監督と地域協力業者を同じものとして扱わないことです。
外部監督は、現場管理の目を増やすための存在です。一方、地域協力業者は、施工力と現地対応力を持つ存在です。両方を兼ねられる会社もありますが、必ずしもそうではありません。
たとえば、遠方の店舗改修であれば、社内監督が全体責任を持ち、現地の協力業者が日々の施工と一次対応を担い、外部監督が工程・品質・安全の確認を補う形もあります。反対に、設備比率が高い案件では、設備業者側に現場調整力があるかを見て、内装側は仕上げと施主対応に集中する組み方もあります。
判断軸はシンプルです。
社内監督が現地にいないと止まる工程が何かを先に洗い出すことです。
そこがわかれば、任せられる業務と任せてはいけない業務が見えてきます。現場写真の共有、定例会の参加、是正指示、職長会議、施主確認、消防や施設管理者との調整。これらを全部社内監督が抱えるのか、一部を外に出せるのか。案件ごとに決めていくと、受注判断がしやすくなります。
もう一つは、初回案件で無理をしすぎないことです。遠方や大型改修では、最初から利益を最大化しようとするより、次回も同じ体制で再現できるかを重視した方が安定します。協力業者の癖、現地の段取り、施設側のルール、移動時間、報告の精度。1件目でこれを把握できれば、2件目以降の読みが良くなります。
まとめ
現場監督4名で店舗内装・商業施設改修を回している会社にとって、遠方や大型案件は大きなチャンスです。一方で、受け方を間違えると、監督の稼働が一気に詰まります。
ポイントは、単に人を増やすことではありません。監督が現場から抜けられない理由を分解することです。
細かい分離発注をしているなら、工種ごとの責任範囲を明確にする。設備比率が高いなら、電気・給排水・空調・防災の調整責任を決める。遠方なら、地域協力業者と外部監督の役割を分けて考える。大型改修なら、施設側指定業者との取り合いを受注前に確認する。
これだけでも、受けられる案件と慎重に見るべき案件がはっきりします。
店舗改修は、経験の蓄積が強みになります。だからこそ、次の規模に進むときは、案件ごとに頑張る体制から、再現できる協力業者体制へ少しずつ変えていくことが大切です。
受注前の施工体制を一緒に整理したいときは
遠方案件や大型改修は、案件が見えてから急いで体制を組むより、事前に「どこまで自社で見るか」「どこを外部に任せるか」を整理しておくと動きやすくなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場体制、協力業者づくり、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。
「うちの監督人数でどこまで受けてよいか」「遠方の協力業者をどう組めばよいか」「分離発注の責任範囲を整理したい」といった段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、状況整理の相手として気軽にお声がけください。

































