前提

東海地方のシーリング・防水会社が、数名体制で2億円台後半を維持している現在地

東海地方でシーリング・防水工事を手がける、数名体制の専門工事会社があります。売上は長く2億円台後半。外から見ると「もう少し伸ばせそう」「3億、5億を目指せそう」と見える規模です。

ただ、社長の感覚は違いました。

「3億はやりたくないかな。大変になるから」

この言葉には、単に忙しくなるという意味だけではありません。大型案件を受けると、専門工事だけで済まなくなります。足場、周辺工種、工程調整、品質確認、協力会社の手配。売上は一気に上がりますが、社長が背負う責任も一気に増えます。

この会社は、売上を伸ばせない会社ではありません。むしろ、伸ばそうと思えば伸ばせる場面がある会社です。だからこそ、「どこまでなら自社が責任を持てるか」を基準に、あえて売上規模を抑えているのです。

専門工事会社にとって、成長は大事です。ただし、売上だけを追う成長が、必ずしも会社を楽にするとは限りません。売上の上限は、営業力ではなく、責任を持てる現場の上限から考える必要があります。

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  • 7月6日工務店兵庫県
  • 7月6日電気設備工事会社神奈川県
  • 7月6日防水工事会社東京都
  • 7月5日塗装工事会社神奈川県
  • 7月5日プラント工事会社福島県
  • 7月5日リフォーム会社東京都
  • 7月5日総合土木福井県
  • 7月4日外構工事会社千葉県
  • 7月2日防水工事会社茨城県
  • 6月30日ビルメンテナンス北海道
  • 6月30日ビルメンテナンス福岡県
  • 6月29日総合建築千葉県
  • 6月29日総合建築東京都
  • 6月28日配管工事会社富山県
  • 6月27日リフォーム会社山口県
  • 6月27日内装工事会社大阪府
  • 6月26日塗装工事会社秋田県
  • 6月26日配管工事会社三重県
  • 6月26日工務店宮崎県
  • 6月25日内装工事会社長野県
  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
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課題

3億を超えるための大型案件ほど、社長の管理範囲が一気に広がる構造

専門工事会社が売上を伸ばそうとすると、どうしても大型案件に目が向きます。単価の大きい仕事を受ければ、売上は早く積み上がります。

この会社でも、過去に一件で数千万円規模の現場を受けたことがありました。数字だけ見れば大きな案件です。ただ、実際には管理の重さが違います。

「うちらの専門の話だけだったらいいけど、全部受けちゃうと、横の商売まで見ないといけない」

シーリングや防水の専門工事だけであれば、自社の技術と経験で判断できます。ところが、元請けに近い立場になったり、足場や関連工種まで含めて受けたりすると、話が変わります。

見なければいけない範囲が増えます。

  • 足場の段取り
  • 他工種との調整
  • 協力会社の手配
  • 現場ごとの品質確認
  • 不具合時のやり直し判断
  • 元請け・管理会社・施主側への説明

売上は増えます。けれど、売上が増えた分だけ、社長が直接見切れない領域も増えていくのです。

この会社の社長は、品質にかなり厳しい方でした。協力会社が施工した現場でも、最終的には自分が確認し、良くなければやり直しを求めます。

「お客さんは細かいところまで分からない。こっちがキャッチするから、いけないならやり直しさせる」

この姿勢が、会社の信用を支えています。だからこそ、見切れない仕事を増やすことには慎重になります。

売上拡大の本当の課題は、仕事量ではなく、社長の品質判断と責任範囲が限界を超えることです。

背景

協力会社を増やせば受けられるが、知らない相手の仕事までケツを持つ難しさ

人を増やせば売上を伸ばせる。協力会社を増やせば大きな現場も受けられる。理屈としてはその通りです。

ただ、現場はそこまで単純ではありません。

この会社では、過去に社員が独立していった経緯もあり、現在は元社員や紹介でつながった職人・協力会社に仕事を依頼しています。まったく知らない会社をいきなり使うことには、かなり慎重です。

「なるべく全然知らないところは使いたくない。何が起こるか分からないし、俺がケツを持たないといけない」

この感覚は、多くの専門工事会社に共通するはずです。

協力会社は、人数合わせではありません。自社の名前で現場に入る以上、品質や対応の責任は元請け側・発注側から自社に返ってきます。口では「できます」と言えても、実際にどこまで任せられるかは、現場を見ないと分かりません。

そのため、協力会社を増やすときも、単純に「数を増やす」のではなく、次のような見極めが必要になります。

  • 施工品質をどの程度まで任せられるか
  • 仕上がりの基準が自社と合っているか
  • 是正を求めたときに対応できるか
  • 現場で勝手な判断をしないか
  • 元請けや管理会社とのやり取りに支障がないか

この会社の社長は、「ちゃんとできる人たちなら、うちの仕事もやってほしい」とも話していました。つまり、協力会社を増やしたくないわけではありません。

増やすなら、信頼できる相手に限る。ここが大事です。

専門工事会社の成長余地は、受注先の数よりも、責任を共有できる協力会社をどれだけ確保できるかで決まります。

もう一つの背景は、元請けに近づくほど「やる意味」が変わることです。

独立系の管理会社やビル管理系の仕事を直接受ければ、売上は伸びやすくなります。ただし、自社が頭に立つと、足場や周辺工事まで含めて面倒を見る場面が増えます。

「頭に立っちゃうと面倒くさい。足場だったり、いろいろな話になる。それをやったら売上は上がる」

ここに、適正規模を考えるうえでの重要な分岐があります。

売上を上げる仕事と、自社が得意な仕事は、必ずしも同じではありません。

解決

3億か5億かではなく、自社が見切れる工事範囲から売上の上限を決める考え方

専門工事会社が成長を考えるときは、「いくら売るか」より先に、「どの責任まで持つか」を決めるほうが現実的です。

売上目標から逆算すると、どうしても大型案件や元請け化に寄りやすくなります。一方で、責任範囲から逆算すると、受けるべき仕事と受けないほうがよい仕事が見えやすくなります。

まず整理したいのは、工事を次のように分けることです。

  • 自社の専門範囲だけで完結する工事
  • 専門範囲に近いが、周辺工種との調整が必要な工事
  • 足場や他工種まで含めて、自社が頭に立つ工事
  • 一件の売上は大きいが、社長の確認負荷が重い工事

この分類をすると、「売上は大きいが疲れる仕事」と「売上はほどほどでも利益と品質を守りやすい仕事」が分かれます。

適正規模を決める判断軸は、主に4つです。

1. 自社が責任を持てる工事範囲

専門工事会社の強みは、特定領域の品質にあります。シーリング、防水、塗装、内装、電気、設備など、それぞれに「ここなら自社で判断できる」という範囲があります。

その範囲を超えて受けると、売上は増えますが、管理の難易度も上がります。

まずは「自社が頭に立っても品質と説明責任を持てる範囲」と「誰かに頭を張ってもらったほうがよい範囲」を分けることが大切です。

2. 社長が品質を見切れる現場数

数名体制の会社では、最終判断が社長に集まりやすくなります。品質にこだわる会社ほど、ここは避けて通れません。

現場数が増えたとき、社長が確認できるのは何件までか。大型案件を同時に何件まで抱えられるか。協力会社の施工をどの頻度で見に行けるか。

この上限を曖昧にしたまま売上を増やすと、品質確認が後追いになります。

社長が見切れる現場数は、会社の売上上限を決める重要な数字です。

3. 協力会社を「増やす」前に「任せられる条件」を決める

協力会社が増えれば、大きな仕事を断らずに済む場面は増えます。ただし、誰でもよいわけではありません。

この会社のように、紹介や過去のつながりを重視する会社は多いです。それは閉鎖的だからではなく、責任の所在を分かっているからです。

協力会社を増やすなら、先に条件を決めておくと判断しやすくなります。

  • 初回は小工事から依頼する
  • 仕上がり基準を写真で共有する
  • 是正対応の姿勢を見る
  • 現場での報告頻度を決める
  • 自社名で任せられるかを数回確認する

協力会社の開拓は、受注拡大の手段ではなく、品質責任を守るための体制づくりとして進めるほうが合います。

4. 売上ではなく、残る利益と疲弊度で見る

3億を超えるかどうか、5億を目指すかどうか。数字だけを見ると、成長している会社に見えます。

しかし、現場の負担、事務の負担、確認の負担、協力会社対応の負担まで含めると、必ずしも良い成長とは限りません。

一件あたりの利益はあるのか。手離れはよいのか。やり直しや調整で社長の時間が吸われていないか。既存の信頼関係を崩してまで取りに行く仕事なのか。

ここを見たうえで、売上の上限を置く必要があります。

適正規模とは、会社が小さくまとまることではなく、利益・品質・責任のバランスが崩れない規模のことです。

この会社にとっては、2億円台後半がちょうどよい規模でした。別の会社では、1億円かもしれません。5億円かもしれません。

大事なのは、世間一般の成長目標ではなく、自社の現場構造から決めることです。

まとめ

専門工事会社にとって、売上拡大は分かりやすい目標です。ただ、売上を伸ばすほど現場が苦しくなる会社もあります。

特に数名体制で、社長が品質を見て、協力会社を動かし、取引先との信頼関係も守っている会社では、売上の伸び方に注意が必要です。

今回のような会社では、3億円を超えるかどうかが問題ではありません。自社が責任を持てる工事範囲を超えていないか、社長が品質を見切れるか、任せられる協力会社がいるか、利益がきちんと残るかが判断軸になります。

売上を止めることは、後ろ向きな判断ではありません。

「ちょうどいい規模」を決めることは、会社の信用と現場の品質を守るための経営判断です。

3億を目指す会社もあれば、あえて2億円台で強く残る会社もあります。どちらが正しいという話ではありません。自社の責任の持ち方に合っているかどうかです。

自社にとっての適正規模を整理したいときに

売上を伸ばすべきか、今の規模を守るべきか。大型案件を受けるべきか、専門範囲に絞るべきか。協力会社を増やすべきか、信頼できる先だけで回すべきか。

こうした判断は、会社ごとの現場体制や取引構造によって変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、協力会社体制、原価管理、採用・組織、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。

「うちの場合は、どこまで伸ばすのがちょうどいいのか」「売上を増やす前に何を見直すべきか」という段階でも大丈夫です。無理な営業はせず、状況の整理から一緒に考えます。

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