前提

首都圏近郊の元請け中心の内装会社にも、ビジネスホテル改修の相談が入り始めている現在地

首都圏近郊で創業30年前後、元請け比率が高く、店舗・飲食・クリニックなどの設計施工を手がけてきた会社があります。

現場監督は5名弱。社内設計は2名ほど。外部の設計者ともほぼ専属に近い形で動いています。

もともとは店舗系に強い会社です。飲食店や商業施設の改装を多く経験してきました。案件規模は1,000万円台もありますが、コンペで狙うなら3,000万円以上が動きやすい。そんな感覚を持っています。

その会社が、最近の案件傾向として気にしていたのがホテルです。

「今、まだホテルが元気なんだと思います。ビジネスホテルをアップデートするような感じですね」

現場感として出ていたのは、昔ながらの一人用ビジネスホテルを、インバウンドや家族・グループ利用に合わせて変えていく動きです。

たとえば、客室を2室つなげて1室にする。部屋を広げる。グループ利用や家族利用に対応する。宿泊単価を上げる。

この流れは、建設会社にとって受注機会になります。

ただし、何でも前向きに追えばよいわけではありません。

既存ホテルを改修する案件と、マンションなどをホテルに用途変更する案件では、確認すべき条件が大きく違います。

ここを初期で見誤ると、設計も見積もりも進めたのに、後から「そもそも成立しにくい案件だった」と分かることがあります。

1週間で 9件ダウンロード されました

  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
  • 6月8日防水工事会社兵庫県
  • 6月8日電気設備工事会社神奈川県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

ホテル需要は伸びていても、受けるべき改修案件と慎重に見るべき案件が混ざっている

ホテル改修の相談で難しいのは、需要そのものよりも、案件の見極めです。

インバウンドが戻り、宿泊単価が上がっています。

「1万5,000円だった部屋が、4万円、5万円で動いていることもあります」

このような状況では、発注者側も前向きになります。

既存ホテルを買ってリブランディングしたい。ビジネスホテルを一段上の価格帯にしたい。客室を広げて単価を上げたい。古いホテルをインバウンド向けに整えたい。

こうした話は、建設会社から見ると魅力的です。

一方で、同じ「ホテル案件」でも、中身はかなり違います。

大きく分けると、初期判断は次の2つです。

  • 既存ホテルを改修・アップグレードする案件
  • マンションや他用途の建物をホテルに変える案件

前者は、既にホテルとして使われている建物を、客室構成・内装・設備・共用部などの範囲で見直す話です。

後者は、そもそも建物の用途を変える話です。

ここには法規制、消防、避難、設備、条例、旅館業の許可、近隣対応などが絡みます。

「マンションをホテルにできないか、という話は来ます。ただ、法的になかなか難しくて、成立しないケースが多いんじゃないかと思います」

この感覚はかなり大事です。

ホテル需要があることと、その建物がホテルとして成立することは別問題です。

建設会社としては、最初から細かい設計に入る前に、案件の性格を切り分けておく必要があります。

背景

一人用のビジネスホテルを家族・グループ向けに変える動きが、単価上昇と結びついている

ホテル改修が増えている背景には、単なる老朽化対応だけではない事情があります。

昔のビジネスホテルは、一人利用を前提にした客室が多くあります。コンパクトな部屋。シングル中心の構成。短期出張向けのつくりです。

しかし今は、インバウンドや国内旅行の需要が変わっています。

家族で泊まりたい。友人同士で泊まりたい。荷物が多い。滞在中の快適性も求めたい。

そのため、発注者側は客室の使い方を見直します。

「部屋を壊して、2個1にして広げる。昔のビジネスホテルは一人用じゃないですか。今はグループ利用や家族用が多いんじゃないかと思います」

ここで狙っているのは、単なる見た目の刷新ではありません。

客室単価を上げるための改修です。

1室あたりの面積を広げる。ベッド構成を変える。水回りを見直す。内装のグレードを上げる。共用部やサインも整える。

そうすると、以前はビジネス客向けに1泊1万5,000円で売っていた部屋が、観光・家族・グループ利用で4万円、5万円の価格帯を狙える可能性があります。

もちろん、すべてのホテルで同じように成立するわけではありません。

立地、客層、既存の客室面積、構造、設備容量、避難計画、工事中の営業可否によって変わります。

ただ、発注者の狙いが「古くなったから直す」ではなく、「単価を上げるために商品を変える」になっている点は、建設会社として押さえておきたいところです。

もう一つの背景は、ホテルを投資対象として見る動きです。

既存ホテルを買う。リブランディングする。少し上の価格帯に引き上げる。ファンド系や不動産側からも、そうした相談が出てきます。

この場合、建設会社に求められるのは、単なる施工力だけではありません。

工事費をかけた結果、発注者が狙う客室単価・稼働率・ブランド転換に見合うかを、初期段階で一緒に見られることです。

ここに、ホテル改修ならではの面白さと難しさがあります。

解決

初期相談では法的条件・事業性・改修範囲・発注者の狙いを先に切り分ける

ホテル改修を受注機会に変えるには、初期段階で案件を4つの軸に分けて見ると進めやすくなります。

最初に見るべきは、法的条件です。

特に、既存ホテルの改修なのか、他用途からホテルへの転用なのかで確認の重さが変わります。

既存ホテルの場合でも、客室を2室1室にする、廊下や共用部を触る、水回りや設備を大きく変えるとなれば、建築基準法、消防、避難、排煙、防火区画、バリアフリー、自治体条例などの確認が必要になります。

用途変更の場合は、さらに慎重です。

マンションをホテルにする話では、用途地域、建物用途、避難経路、消防設備、区分所有や管理規約、旅館業許可、近隣との関係など、成立性に関わる論点が増えます。

「ホテル需要があるからできる」ではなく、「その建物でホテル営業が成立する条件を満たせるか」を先に見ることが大切です。

次に見るべきは、事業性です。

発注者が何を狙っているのかを確認します。

  • 客室単価を上げたいのか
  • 稼働率を上げたいのか
  • インバウンド向けに客層を変えたいのか
  • 既存ホテルを買ってリブランディングしたいのか
  • 一部客室だけ先に改修して反応を見たいのか

この狙いが曖昧なまま工事範囲の話に入ると、見積もりが膨らみやすくなります。

逆に、狙いがはっきりしていれば、優先順位をつけられます。

たとえば、単価向上が目的なら、客室の広さ、ベッド構成、水回り、照明、内装グレード、写真映えするポイントなどが重要になります。

稼働率向上が目的なら、全室改修よりも、一定の客室タイプを増やす方が合う場合もあります。

リブランディングが目的なら、客室だけでなく、ロビー、サイン、共用部、外観の見え方まで影響します。

3つ目は、改修範囲です。

ホテル改修では、見た目の内装だけでなく、設備側の負荷が出やすくなります。

客室を広げる。水回りを変更する。空調・換気を変える。消防設備を触る。工事中も営業を続ける。

こうなると、工程も難しくなります。

店舗改装のように短工期で一気に仕上げる発想だけではなく、営業区画を分ける、フロアごとに進める、繁忙期を避けるなどの組み立てが必要になります。

建設会社としては、最初の見積もり前に「どこまで触る案件か」を粗くてもよいので分けておくと、無理な受け方を避けやすくなります。

4つ目は、発注者の意思決定の温度感です。

ホテル改修は、発注者側にも複数の関係者がいます。

オーナー、運営会社、不動産会社、設計者、金融機関、場合によってはファンドや管理会社も関わります。

誰が最終決定するのか。予算はどこまで固まっているのか。営業停止を許容できるのか。ブランド方針は決まっているのか。

ここが見えないまま進めると、設計提案だけが先行し、工事化まで遠くなります。

受けるべき案件か慎重に見るべき案件かは、次のように整理できます。

受けに行きやすい案件は、既存ホテルの改修で、発注者の狙いが明確で、改修範囲と予算感がある程度そろっている案件です。

たとえば、ビジネスホテルの一部客室を家族向けに広げる。既存ホテルを買って、客室と共用部を段階的にリブランディングする。こうした案件は、設計施工側の経験を活かしやすいです。

慎重に見るべき案件は、マンションなどからホテルに変える話で、法的成立性が未確認の案件です。

この場合、いきなり概算工事費を出すよりも、まずは用途変更の可否、許認可、消防、管理規約、近隣条件などを確認する段階を置いた方が安全です。

案件を断るというより、順番を変えるイメージです。

「設計できます」「施工できます」の前に、「この建物でホテル化が成立するかを先に見ましょう」と伝える。

それだけで、建設会社側の無駄な見積もり工数も減ります。発注者側にとっても、後戻りの少ない進め方になります。

まとめ

ホテル改修は、建設会社にとって分かりやすい追い風です。

インバウンド需要があります。宿泊単価も上がっています。昔のビジネスホテルを、家族・グループ利用向けに変える動きも出ています。

ただし、案件の中身は一枚岩ではありません。

既存ホテルのアップグレードなのか。他用途からホテルへの用途変更なのか。ここを最初に分けることが重要です。

既存ホテルの改修なら、客室単価や稼働率に対して、どの工事が効くのかを見ます。

用途変更なら、法的条件と営業成立性を先に見ます。

そして、発注者が何を狙っているのかを確認します。

単価を上げたいのか。客層を変えたいのか。リブランディングしたいのか。物件取得後の投資回収を見ているのか。

この整理ができると、ホテル改修は単なる流行案件ではなく、自社の設計力・施工力・工程管理力を活かせる受注機会になります。

反対に、初期確認を飛ばすと、見積もりや提案に時間を使ったあとで、成立しにくい案件だと分かることもあります。

ホテル案件は、前向きに見る。ただし、最初に条件を分ける。

このくらいの距離感が、今の市場には合っているように感じます。

ホテル改修を自社の受注機会にするための整理先

ホテル改修は、店舗改装や住宅リノベーションに近い部分もありますが、法規制、設備、営業中工事、発注者の事業性まで絡むため、最初の整理が大切です。

「うちの会社でもホテル改修を受けに行けるのか」「用途変更の相談が来たとき、どこまで確認すればよいのか」「発注者に何を聞けば見積もり前の判断ができるのか」と感じる場合は、案件の入口を一緒に整理するだけでも進めやすくなります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。ホテル改修のような新しい受注機会についても、自社の体制や得意領域に合わせて、どこを狙うべきかを一緒に考えられます。

何から整理すべきかわからない段階でも問題ありません。無理な営業はいたしませんので、自社の場合の考え方を確認したいときは、お問い合わせはこちらからご相談ください。