前提

九州北部の専門工事会社が「営業しなくても仕事は来る」中で次の販路を考えている状況

九州北部で専門工事を手がける、20名弱規模の建設会社の相談です。

現状、仕事そのものには困っていません。代表は「特に営業しなくても、仕事はずっと回ってきている」と話していました。自社の社員数や協力業者の人数に合わせて、受ける仕事を調整している状態です。

一方で、今後を考えると、既存の流れだけに頼り切るのではなく、伸ばしたい現場領域や提案したい材料があります。特に話に出ていたのは、建築よりも土木寄りの現場、新しい材料の提案、そして既存のリース会社や取引関係との折り合いです。

代表の言葉を借りると、悩みはとても現場感のあるものでした。

「うちらがやりよる仕事って、変なしがらみじゃないけど、そういうのもある中でね。一業者じゃたどり着けんようなところもあるんですよ」

販路拡大の論点は、単に新規顧客を増やすことではなく、既存の商流を壊さず、自社が本当に入りたい現場・相手・提案テーマを整理することにあります。

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  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
  • 6月8日防水工事会社兵庫県
  • 6月8日電気設備工事会社神奈川県
  • 6月8日内装工事会社大阪府
  • 6月5日リフォーム会社愛知県
  • 6月5日プラント工事会社香川県
  • 6月5日ビルメンテナンス兵庫県
  • 6月5日内装工事会社長崎県
  • 6月4日防水工事会社東京都
  • 6月4日内装工事会社東京都
  • 6月3日総合建築埼玉県
  • 6月3日空調設備工事会社香川県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

ゼネコンに直接入りたいわけではなく、入りたい現場と提案したい材料に届かないこと

この会社の悩みは、「大手ゼネコンと取引したい」という単純な話ではありませんでした。

代表は、ゼネコン案件について「ゼネコンさんは二次でだいたい入る」「いいところがいるから」と話していました。地場ゼネコンについても、二次請けの形で十分に仕事が成り立っている感覚があります。

つまり、課題は元請け化そのものではありません。

むしろ、代表が言っていたのは次のようなことです。

「ゼネコンさんが欲しいわけじゃないっちゃうんだ」

ここが大事です。販路拡大という言葉を使うと、どうしても「大手元請けとの口座を増やす」「直接取引を増やす」という方向に寄りがちです。しかし、実際の建設業では、直接取引が増えればよいとは限りません。

二次請けでも利益が出る。地場企業との関係が安定している。既存の元請けやリース会社との関係もある。そうした中で無理に上流へ入り込もうとすると、かえって角が立つこともあります。

この会社が本当に考えたいのは、次のような問いです。

  • どのゼネコン・地場企業と付き合いたいのか
  • 元請けか二次請けか、どちらが自社に合うのか
  • 建築と土木のどちらの現場を伸ばしたいのか
  • 新しい材料を誰に提案すれば採用に近づくのか
  • 既存のリース会社や協力先との関係をどう保つのか

販路拡大で最初に整理すべきなのは、「大手に入りたいか」ではなく、「自社が伸ばしたい工種・現場・提案材料に合う顧客は誰か」です。

背景

既存商流・二次請け・リース会社の関係があるため現場に直接提案しづらい構造

建設業の販路拡大が難しいのは、商品を持っていけばすぐ買ってもらえる世界ではないからです。

今回の会社も、現場側にはすでに提案をしていました。新しい材料を使ってみないかという話もしていたようです。ただ、そこで止まってしまう理由がありました。

「現場のほうには提案しとったんやけどね。なかなかこっちのリース屋さんと折り合いがつかないといけない」

この一言に、建設業の販路拡大の難しさがかなり詰まっています。

現場担当者が良いと思っても、採用されるとは限りません。材料や機材の採用には、リース会社、購買、工務、元請け側の判断、既存の協力会社との関係などが絡みます。さらに、すでに現場に入っている業者や取引先がある場合、一業者が正面から提案すると、既存の関係に割って入るように見えてしまうこともあります。

そのため、提案先を間違えると、良い材料や工法であっても進みません。

たとえば、現場に伝えるべきことと、元請け側の判断者に伝えるべきことは違います。

現場には、施工性や段取りのしやすさ、安全面、工期への影響が伝わる必要があります。一方で、元請け側や管理側には、品質、コスト、手戻り防止、採用時のリスクの低さが伝わる必要があります。リース会社や既存の供給側には、在庫・手配・運用の現実性が見えなければ話が進みません。

建設業の販路拡大では、「誰に会うか」だけでなく、「その人が何を判断しているか」まで分けて考える必要があります。

また、この会社はすでに仕事が回っている会社です。だからこそ、新規開拓に大きく舵を切るというより、既存の信用を守りながら、次の柱になりそうな領域を少しずつ作る進め方が合っています。

仕事がないから営業するのではなく、今ある仕事の延長線上で、より入りたい現場・より提案価値のある領域へ広げていく。この順番が大切です。

解決

販路拡大は「会いたい会社」ではなく「通したい提案」から逆算する進め方

販路拡大を進めるときは、まず「どの会社に会えるか」から考えないほうが整理しやすくなります。

今回のように、新しい材料や現場領域を広げたい場合は、「その提案を通すために、誰の理解と合意が必要か」から逆算することが重要です。

進め方は、大きく4つに分けられます。

1. まず既存取引の位置づけを整理する

最初に、自社の今の仕事がどの商流で成り立っているかを見ます。

今回の会社でいえば、ゼネコン案件は二次請けで入ることが多く、地場ゼネコンも二次請けで十分にやりやすいという感覚がありました。この場合、無理に一次請けを狙うより、二次請けとして入ることで利益や現場運営が安定する顧客を見極めるほうが現実的です。

整理する項目は、難しく考えすぎなくて大丈夫です。

  • 今、利益が出ている取引先はどこか
  • 現場がやりやすい相手はどこか
  • 追加提案を聞いてくれる相手はどこか
  • 元請け直より二次請けのほうが動きやすい案件はどれか
  • 逆に、直接関係を作ったほうがよい相手は誰か

ここを曖昧にしたまま「新規開拓をしよう」とすると、会えた相手に合わせて動くことになり、自社の強みが薄まりやすくなります。

販路拡大の土台は、既存取引を否定することではなく、今の商流の中で勝てている理由を見える化することです。

2. 伸ばしたい現場領域を決める

次に、自社が伸ばしたい現場領域を決めます。

今回の会社では、「建築よりも土木のほうの現場」という言葉が出ていました。ここが決まると、会うべき相手が変わります。

建築の現場を増やしたいのか、土木寄りの現場で材料提案を広げたいのか。地場企業との関係を深めたいのか、特定の現場で採用実績を作りたいのか。ここが定まらないと、紹介してもらう相手も、提案資料の中身もぼやけます。

伸ばしたい領域を決めるときは、売上規模だけで見ないほうがよいです。

見るべきなのは、次のような観点です。

  • 自社の職人・協力業者で安定して施工できるか
  • 現場管理の負荷が過度に高くないか
  • 既存取引先との関係を壊さず広げられるか
  • 材料や工法の提案余地があるか
  • 実績化したときに横展開しやすいか

「どこでもやります」より、「この現場領域なら自社の施工力と提案が生きる」と言えるほうが、販路は広げやすくなります。

3. 新しい材料や工法は、相手ごとに伝える内容を変える

新しい材料を提案するとき、説明を1種類にしてしまうと通りにくくなります。

現場担当者、元請けの管理側、リース会社や供給側では、見ているポイントが違うからです。

現場には、使いやすさ、作業時間、職人の負担、安全性などが響きます。管理側には、品質の安定、コスト、工程への影響、事故や手戻りの防止が大事になります。リース会社や関連業者には、手配のしやすさ、既存運用との相性、在庫やメンテナンスの負担が見られます。

同じ材料でも、相手ごとに伝えるべきことは変わります。

  • 現場向け:施工手順、作業性、安全面、段取りへの影響
  • 管理側向け:品質、コスト、工期、リスク低減
  • リース会社・供給側向け:運用方法、手配、既存商流との整合性
  • 経営層向け:採用実績、差別化、長期的なメリット

今回のように「現場には提案しているが、リース会社との折り合いがある」という場合、現場だけを説得しても進みにくい可能性があります。現場の反応を材料にしながら、リース会社や管理側が判断しやすい情報に整える必要があります。

新しい材料の提案は、良さを熱く語るより、採用に関わる人それぞれの不安を先回りして整理するほうが進みやすくなります。

4. 既存取引先に角が立たない接点づくりを設計する

「一業者ではたどり着けない」と感じる相手に入るときは、紹介や同席の使い方も大切です。

ただし、誰かに会わせてもらえば解決するわけではありません。紹介を受ける前に、何を提案するのか、既存商流とどう共存するのか、相手にどんなメリットがあるのかを整理しておく必要があります。

特に建設業では、いきなり「直接取引したい」と見える動きは警戒されることがあります。そうではなく、まずは既存の関係を尊重しながら、特定の現場や材料について意見交換する形のほうが入りやすい場合があります。

たとえば、次のような順番です。

  1. 既存取引先との関係を整理する
  2. 伸ばしたい現場領域を決める
  3. 提案したい材料・工法の採用メリットを相手別に整理する
  4. 現場・管理側・供給側のどこに接点が必要かを決める
  5. 紹介や同席の場では、売り込みではなく採用可能性の確認から入る
  6. 小さな現場で試し、実績を作って横展開する

この順番なら、既存取引先との関係を壊しにくくなります。

販路拡大は、強引に商流を飛び越えることではなく、関係者が納得しやすい順番で接点を作ることです。

まとめ

仕事が回っている専門工事会社ほど、販路拡大の考え方は慎重でよいです。

大手ゼネコンと直接つながることが正解とは限りません。二次請けでも利益が出て、現場が回り、地場企業との関係が安定しているなら、その強みを崩す必要はありません。

一方で、新しい材料を提案したい、土木寄りの現場を広げたい、今の商流では届かない相手に話を聞いてもらいたい。そうした次の一手を考えるなら、最初に整理すべきことがあります。

販路拡大で大事なのは、「誰に会えるか」ではなく、「どの現場で、何を提案し、誰の合意が必要か」を整理することです。

今回の会社のように、「ゼネコンが欲しいわけじゃない」「一業者じゃたどり着けない」「リース会社との折り合いがある」という悩みは、建設業では珍しくありません。

だからこそ、既存取引を大切にしながら、伸ばしたい工種・現場領域・提案材料を決め、相手ごとに伝える内容を変えていくことが大切です。販路拡大は、営業力だけの問題ではありません。商流を読み、関係者の判断軸をそろえ、小さな採用実績を作る仕事です。

自社に合う販路拡大の進め方を整理したいときは

新しい取引先を増やしたい、提案したい材料がある、既存の商流に配慮しながら接点を作りたい。そう感じていても、どこから整理すればよいか迷うことはあります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大、原価管理、人材確保、組織づくり、デジタル活用まで、現場と経営の両方を見ながら整理し、実行まで支援しています。

「うちの場合は、元請けを狙うべきなのか」「二次請けのまま広げたほうがよいのか」「誰に何を提案すればよいのか」といった段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、考えを整理する場としてご活用ください。

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