首都圏近郊で年商2億円台の防水工事会社が、下請け中心からエンドに近い受注を増やしたい状況
首都圏近郊で防水工事を手がける、20名弱規模の専門工事会社の話です。売上は2億円台で、現状の仕事は比較的安定しています。ただし、その中身は入札案件を追いかける営業代行会社や、元請け・一式業者経由の仕事が中心でした。
「安定はしているけれど、これ以上それだけで増えるかというと、そうでもない」という感覚があります。そこで出てきたのが、下請けのまま受け身で待つのではなく、エンドユーザーに近いところから仕事を取っていきたいという方向性です。
ただ、防水工事会社がエンド直や元請けに近い受注を狙う場合、やみくもに建物所有者へ営業しても効率は上がりません。防水工事は、建物の種類によって工事の出方も、発注のされ方も、自社で施工しやすい範囲も大きく変わります。
特に検討対象になったのは、次のような建物・発注者でした。
- 工場
- 倉庫、物流施設
- 地場の不動産管理会社が管理するビルや賃貸物件
- マンション管理会社、大規模修繕会社
- 小規模なアパート、賃貸マンションの外装・防水改修
この中で大事なのは、「建物が大きいか」ではなく、「防水工事会社が単体または小規模元請けとして入りやすい構造か」です。
1週間で 19件ダウンロード されました
- 6月15日総合土木千葉県
- 6月15日内装工事会社島根県
- 6月15日設備保全会社群馬県
- 6月14日内装工事会社栃木県
- 6月14日塗装工事会社神奈川県
- 6月13日解体工事会社神奈川県
- 6月11日総合建築和歌山県
- 6月11日総合土木静岡県
- 6月11日プラント工事会社京都府
- 6月11日空調設備工事会社神奈川県
- 6月11日空調設備工事会社茨城県
- 6月11日総合土木長野県
- 6月10日総合建築広島県
- 6月10日総合土木奈良県
- 6月10日総合建築東京都
- 6月10日内装工事会社愛知県
- 6月9日設備保全会社京都府
- 6月9日総合土木北海道
- 6月9日設備保全会社山口県
- 6月8日防水工事会社兵庫県
- 6月8日電気設備工事会社神奈川県
- 6月8日内装工事会社大阪府
- 6月5日リフォーム会社愛知県
- 6月5日プラント工事会社香川県
- 6月5日ビルメンテナンス兵庫県
- 6月5日内装工事会社長崎県
- 6月4日防水工事会社東京都
- 6月4日内装工事会社東京都
- 6月3日総合建築埼玉県
- 6月3日空調設備工事会社香川県
工場や大手管理会社に広く営業しても、防水単体で入りにくい先が混ざってしまう
エンド直を増やそうとすると、まず「建物をたくさん持っていそうな会社」に目が向きます。工場、物流会社、不動産管理会社、マンション管理会社などです。
ところが、防水工事の場合は、建物を持っていることと、防水工事を発注してくれることは同じではありません。
たとえば工場は、確かに建物数も多く、雨漏りしている建物も少なくありません。しかし、ある防水会社の担当者は工場についてこう話していました。
「工場は雨漏りしている建物も多いんですけど、屋根は金属屋根が多いので、いっても補修になる感じです」
工場で大きな防水工事が出る場合もあります。ただし、それがトラック搬入用の駐車場床や、立体駐車場のような床防水に近い工事になると、自社の得意な防水範囲から外れることがあります。「大きい工事だと、普段使わない外注先に頼むような工事になる」という感覚です。
つまり工場は、建物数は多くても、自社施工で利益を出しやすい防水工事が継続的に出るとは限らないのです。
もう一つ注意したいのが、大手マンション管理会社や大規模修繕会社です。一見すると、マンションは屋上防水やバルコニー防水があり、専門工事会社に向いているように見えます。しかし実際には、発注構造が壁になります。
「大手の管理会社は、防水単体では出さないと思います。現場監督がいて、一式業者に投げる形になりやすい」
大規模修繕では、足場、外壁、シーリング、防水、塗装などをまとめて一式で動かすケースが多くなります。防水だけを切り出して専門工事会社へ直接発注する場面は限られます。
もちろん、屋上防水だけが予算の都合で後回しになり、後日、管理組合に資金がたまってから単体工事になるケースもあります。ただ、それを狙って営業するにはタイミング依存が強く、再現性は高くありません。
そのため、大手管理会社や大規模修繕会社は「名前が大きいから狙う」のではなく、防水単体で発注される余地があるかを先に見る必要があります。
屋根形状・発注構造・自社施工範囲を見ないと、営業先の数だけが増えてしまう
専門工事会社がエンドに近づこうとするとき、最初にぶつかるのは「営業先の候補が多すぎる」問題です。
企業データベースで地域を絞ると、物流会社、製造業、不動産管理会社だけでも数百社、広域で見れば数千社単位の候補が出てきます。東京、千葉、神奈川、埼玉、北関東まで広げれば、リストはいくらでも作れます。
しかし、リストが多いことは、そのまま営業効率の良さにはなりません。防水工事では、案件が発生するタイミングに周期性があります。雨漏り、劣化、改修計画、予算取り、管理会社やオーナーの判断などが重なって初めて工事になります。
そのため、「どこに電話するか」より前に、「どの建物なら自社に合う工事が出やすいか」を絞ることが重要です。
この会社では、工場と倉庫の違いが一つの判断材料になりました。
工場は金属屋根が多く、補修中心になりやすい。一方で倉庫については、見方が変わります。
「倉庫のほうがいいかもしれないです。陸屋根でどかっとした倉庫があると、それはすごくいい感じです」
この言葉には、防水会社ならではの判断軸が詰まっています。
陸屋根の倉庫であれば、屋上防水や外装改修の余地が見えやすくなります。雨漏り対応から入って、調査、補修、改修提案へつながる可能性もあります。物流会社や倉庫保有会社は建物を事業に使っているため、雨漏りや劣化が荷物・操業に影響しやすい点もあります。
一方、地場の不動産管理会社も有力な対象です。過去には、ある管理会社からホームページ経由で「雨漏りしているから見てほしい」と連絡が入り、そこから複数の見積もり、外壁補修工事につながった経験がありました。
「4、5年前まではよくやっていました。雨漏りを見て、そこから外壁の補修工事が決まった感じです」
この流れは、防水会社にとって非常に自然です。雨漏り相談は入口であり、実際には屋上、外壁、シーリング、笠木、開口部まわりなど、建物全体の劣化確認につながります。
さらに、小規模な賃貸物件やアパートであれば、足場から外装、防水までを一括で管理できる可能性があります。大規模マンションほど専任常駐の現場監督が求められるわけではなく、巡回管理で対応できるサイズ感の物件もあります。
「3階建て、6階建てくらいのアパートクラスなら、不動産会社から直接一括でもらって、足場から管理する形はあり得ます」
ここに、下請けから一段上がる現実的な道筋があります。大規模修繕の一式元請けをいきなり狙うのではなく、自社の施工範囲と管理範囲に合う建物から元請け化するという考え方です。
防水工事会社の営業先は、建物名ではなく「入りやすさ」と「続きやすさ」で優先順位を付ける
防水工事会社がエンド直・元請け寄りの受注を増やすなら、営業先は次の順で整理すると進めやすくなります。
第一候補は、陸屋根の倉庫や物流施設です。
倉庫は、屋根形状が合えば防水工事の余地が見えやすくなります。特に陸屋根で面積がある建物は、雨漏り対応、部分補修、改修提案へつながる可能性があります。物流会社そのものだけでなく、倉庫を保有・管理している会社も対象になります。
ただし、倉庫であっても金属屋根中心の建物は、工場と同じく板金補修寄りになる可能性があります。営業前のリスト段階で、航空写真、ストリートビュー、会社ホームページの施設写真などから、屋根形状を確認できると精度が上がります。
第二候補は、地場の不動産管理会社が管理するビル・賃貸物件です。
特に、地域密着で賃貸物件、収益物件、小規模ビル、アパートを多数管理している会社は、防水会社と相性があります。管理会社はオーナーとの接点を持っており、雨漏りや外壁劣化の相談を受ける立場にあります。
この層に対しては、単に「防水工事できます」と伝えるより、次のような入口を持つほうが自然です。
- 雨漏り調査から対応できる
- 屋上防水だけでなく外壁補修も見られる
- 小規模賃貸物件なら足場を含めて段取りできる
- 入居者やテナントに配慮した工程調整ができる
- 緊急補修と計画改修の両方を相談できる
管理会社にとっては、工事会社を探す手間、オーナー説明、入居者対応、見積比較などが負担になります。そこに対して、「雨漏りを見に行って終わり」ではなく、「原因確認から必要工事の整理までできる会社」として伝えることが大事です。
第三候補は、小規模な賃貸マンション・アパートを持つ不動産会社やオーナー系企業です。
3階建てから6階建て程度の建物であれば、防水工事会社が足場、外壁、防水をまとめて管理できる余地があります。ここは、大規模修繕会社の土俵とは少し違います。常駐管理が前提の大規模現場ではなく、巡回管理で回せるサイズの改修を狙うイメージです。
この領域では、元請け化のハードルが比較的現実的です。もちろん、協力会社の体制、足場業者との連携、近隣対応、工程管理は必要です。ただ、いきなり大規模マンション全体を請けるより、専門工事会社が自社の延長線上で広げやすい範囲です。
一方で、優先順位を下げてもよいのが、金属屋根中心の工場です。
工場は完全に対象外ではありません。補修をきっかけに関係を作り、将来的に大きな改修や別棟の相談につながる可能性はあります。ただし、初期の営業対象として大量に当たるには、効率が落ちやすい先です。
「工場は優先順位は低いです。補修をちょこちょこ進めて、大掛かりな工事が出たときに声がかかるプランはありです」
この見方が現実的です。工場は、関係構築型の中長期ターゲットとして残す。ただし、最初に成果を見たい段階では、倉庫や不動産管理会社を優先する。この切り分けが必要です。
また、大手マンション管理会社や大規模修繕会社は、防水単体で発注される例外案件を狙うより、基本的には優先順位を下げるほうが無理がありません。分離発注されにくく、一式業者に流れる構造があるためです。
営業先を決めるときは、次の5つの判断軸で並べ替えると、迷いにくくなります。
- 屋根形状:陸屋根か、金属屋根か。防水工事の余地があるか。
- 発注構造:防水単体または小規模一式で発注される可能性があるか。
- 工事規模:自社の管理能力・施工体制に合うサイズか。
- 自社施工範囲:外注頼みになりすぎず、利益を残せる工事か。
- 継続性:一度の補修で終わらず、管理物件や複数棟へ広がる可能性があるか。
この5つで見ると、優先順位はおおむね次のようになります。
- 最優先:陸屋根の倉庫、物流施設
- 優先:地場の不動産管理会社が管理するビル・賃貸物件
- 優先:3〜6階建て程度の賃貸マンション・アパート改修
- 中長期:工場の雨漏り補修、金属屋根建物
- 低優先:大手マンション管理会社、大規模修繕会社への防水単体営業
ここで大切なのは、最初から完璧なリストを作ることではありません。仮説を持って当たり、反応を見て、営業先の優先順位を更新することです。
たとえば、倉庫に当たっても金属屋根ばかりで反応が薄ければ、物流会社ではなく不動産管理会社寄りに比重を移す。管理会社から雨漏り相談が出るなら、トークを「防水工事」ではなく「雨漏り・外装劣化の初期確認」に寄せる。小規模賃貸物件の外装改修が出るなら、足場込みの管理体制を整える。
営業は、対象選定と実行を分けずに回すほうが現実に合います。特に専門工事会社では、社長や職長が現場に出ているため、新規開拓に十分な時間を割きにくい会社も多いはずです。だからこそ、最初の段階では、少数の紹介を待つより、狙うべき属性を決めて一定量当たり、反応データを取ることが有効です。
まとめ
防水工事会社が元請け・エンド直を増やすとき、営業先は「建物を持っていそうか」だけで選ばないほうがよいです。
工場は建物数が多くても、金属屋根が中心で補修に寄りやすく、自社施工で大きく伸ばす対象としては優先順位が下がることがあります。大手マンション管理会社や大規模修繕会社も、発注が一式になりやすく、防水単体では入りにくい構造があります。
一方で、陸屋根の倉庫、地場の不動産管理会社が管理する賃貸物件、3〜6階建て程度の小規模賃貸マンション・アパートは、防水会社が入りやすい余地があります。
狙うべきは、建物の大きさではなく、防水工事が発生しやすく、自社の施工範囲で利益を残せて、継続的な相談につながる先です。
そのためには、屋根形状、発注構造、工事規模、自社施工範囲、継続性の5つで営業先を並べ替えることが出発点になります。最初から全方位に営業するのではなく、「まず倉庫と地場管理会社」「次に小規模賃貸物件」「工場は中長期」といった優先順位を持つだけで、動き方はかなり整理されます。
下請けから一段上がる道は、いきなり大手の元請けになることだけではありません。自社が責任を持って管理できるサイズの建物から、エンドに近い受注を積み上げることが、専門工事会社にとって現実的な一歩になります。
自社に合う営業先を整理したいときは、まず建物と発注構造から見直す
エンド直や元請け化を考えるとき、「どこに営業すればよいか」が最初の悩みになりやすいです。ただ、実際には会社ごとに得意な施工範囲、協力会社の体制、対応できる現場規模、地域の商圏が違います。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大、原価管理、人材確保、組織づくり、デジタル活用まで、建設業の経営課題を横断して整理し、実行まで支援しています。
「うちの場合は倉庫を狙うべきか」「不動産管理会社向けにどう打ち出せばよいか」「営業を内製化する前に反応を見たい」といった段階でも構いません。無理な営業はいたしませんので、何から整理すべきかを一緒に確認する場としてご活用ください。





























