営業3名の育成と現場調整を社長が直接担う、関東圏の専門工事会社
関東圏で十数名が働く、ある専門工事会社の事例です。新たに営業職を3名採用し、一人ずつ先輩をつけて育てる体制をつくろうとしていました。
一方で、営業目標を決め、戦略を立て、進捗を確認する役割は社長が担っています。営業から現場への引き継ぎや、社内で止まった案件の調整も社長に集まります。
「できる人がいないので、私がやっています」
社長自身がトップ営業として動くだけではありません。若手への同行、提案の確認、現場とのすり合わせまで担っています。そのため、経営や新しい事業に向き合いたくても、目の前の案件に穴を開けないことが優先されます。
「この役割を任せられる人が入れば、私はそこから抜けられる。経営のほうにも時間を使えるんです」
社長の仕事が多いというより、営業管理と現場調整を引き受ける役割が社内に定義されていない状態です。
1週間で 12件の相談 がありました
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
- 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
- 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
- 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
- 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
- 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
- 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
- 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
- 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
- 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
- 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
- 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
- 7月18日リフォーム会社千葉県人材育成の相談
- 7月17日塗装工事会社栃木県協力会社探しの相談
- 7月17日リフォーム会社岩手県人材確保の相談
トップ営業でも現場の熟練者でも埋まらない、営業と施工の間の管理機能
必要なのは、単に仕事を取れる人ではありません。現場に詳しいだけの人でも足りません。
社内には、人脈が広く、ゼネコンの担当者とも関係をつくれる26歳の営業社員がいました。「会う人、会う人に声をかけて、とにかく人に入り込むのがうまい」と期待されています。
ただし、現場経験はまだ十分ではありません。周囲を説得し、複数の社員を動かすための整理力も、これから育てる段階です。
一方、現場には技術面で頼れるプロがいます。しかし、営業メンバーの数字を見ながら方針を決めたり、営業と施工を横断して全体をまとめたりする役割とは別です。
複数のベテランを柔軟に動かせる社員もいますが、数字を整理して管理する役割には向き不向きがあります。「頑張っているから幹部にする」だけでは、本人にも会社にも無理が生じます。
仕事を取る力、施工する力、人をまとめる力は別の能力です。社長の代わりに必要なのは、数字を管理し、人を動かし、営業と現場をつなぐ人材です。
ここを曖昧にしたまま「幹部候補」を探すと、トップ営業型の人材と現場責任者型の人材が同じ求人に混ざります。採用できても、社長が手放したい仕事を引き受けてもらえない可能性があります。
営業戦略、部下育成、案件の収まりを社長が抱えることで生まれる時間不足
社長が抜けられない背景には、案件を最後まで収める責任があります。
営業社員が仕事を取ってきても、提案内容や現場条件が整理されていなければ、そのまま施工へは渡せません。判断できないことを放置せず、社内へ確認する。顧客や管理会社とやり取りする。必要な情報を工程管理や手配の担当者へ渡す。こうした流れを誰かがつながなければ、最後は社長が対応することになります。
「全部の案件を収めなければいけない。穴を開けるわけにはいかないんです」
加えて、新しい営業社員の育成もあります。既存社員に教育を任せても、教え方や判断基準にばらつきが出れば、社長が個別に状況を確認し、助言や担当の組み替えを行うことになります。
DXも同じです。写真整理やデータベースなどの構想があっても、進捗を継続的に確認し、関係者と連絡を取る人がいなければ、社長が再び動かざるを得ません。
求められる幹部が、DXツールを自分で開発できる必要はありません。ただ、生産性向上への関心を持ち、社内外の詳しい人を巻き込み、途中で止めずに進める姿勢は必要です。
社長への業務集中は、個々の社員の能力不足だけが原因ではありません。数字、育成、現場調整、改善活動を最後までつなぐ責任者がいないことが大きな背景です。
任せたい業務を先に定め、既存社員の育成と外部採用を並行する進め方
最初に整理したいのは、役職名ではなく、社長から移す業務です。「営業部長」「幹部候補」といった肩書だけでは、入社後の役割が定まりません。
この会社で移譲を検討できるのは、次のような業務です。
- 営業目標の設定と進捗確認
- 営業メンバーとの戦略整理と日常的なコミュニケーション
- 提案内容や顧客情報の確認
- 営業から工程管理・手配部門への引き継ぎ
- 営業社員の育成と、行動が止まったときのフォロー
- 生産性向上やDXに関する課題整理と関係者の調整
すべてを一度に渡す必要はありません。まずは営業会議の運営や案件進捗の確認など、結果を確認しやすい仕事から任せます。その後、部下育成や現場との調整へ範囲を広げるほうが、双方に無理がありません。
社長に残すのは、大きな投資判断、新規事業の方向づけ、重要顧客との関係づくりなどです。権限移譲は「社長の仕事を丸ごと渡すこと」ではなく、日常の判断と調整を段階的に移すことです。
既存社員を育てる場合
人脈と営業力を持つ若手社員には、大きな可能性があります。すでに社内の期待を集め、顧客との接点もつくれています。
ただし、売上をつくる力と管理する力を同時に求めすぎないことが大切です。まずは本人の強みを生かしながら、次の役割を一つずつ経験してもらいます。
- 自分以外の営業案件も含めて進捗を整理する
- 営業と現場の双方から情報を集める
- 会議で課題と次の行動を簡潔に伝える
- 自分で判断できない問題を、選択肢とともに社長へ上げる
任せた後は、「売上が上がったか」だけでなく、案件が途中で止まっていないか、周囲が動きやすくなったかを見ます。
外部から採用する場合
外部採用では、建設業界の経験年数だけに寄せすぎないほうが候補者を探しやすくなります。現場経験が豊富でも、数字管理や部下育成の経験がなければ、今回の役割とは合わないことがあるためです。
採用要件として確認したいのは、次の4点です。
- 目標と実績の差を数字で把握し、行動へ落とせるか
- 年齢や職種が異なる社員を巻き込めるか
- 営業と現場の意見が食い違ったときに調整できるか
- DXの専門スキルがなくても、生産性向上へ関心を持てるか
面接では「マネジメントができますか」と聞くだけでは見極めにくいものです。過去の具体的な場面を聞きます。
たとえば、「目標に届かなかった部下へ、どのように関わったか」「営業と現場が対立した際、何を確認して決めたか」「業務改善を途中で終わらせず、定着させた経験があるか」といった質問です。
幹部候補の見極めでは、肩書や業界経験より、数字を見て人を動かし、仕事を最後までつないだ経験を確認します。
既存社員の育成か、外部採用かを最初から一つに決める必要はありません。この会社でも「両方を出してみて、見ながら進める」という方向が検討されました。
社内の若手には成長機会を渡す。同時に、外部では不足する管理経験を持つ人材を探す。両方を並行させれば、採用できるまで社長が抱え続ける状態も、若手一人に過度な期待をかける状態も避けやすくなります。
まとめ
社長が営業管理と現場調整から抜けられないとき、必要なのは、もう一人のトップ営業とは限りません。現場で最も技術に詳しい社員を、そのまま幹部にすることでもありません。
求めたいのは、営業数字を管理し、部下を育て、現場と営業をつなぎ、改善活動を前へ進める人材です。
そのためには、まず社長が手放したい業務を具体的にします。そのうえで、既存社員には強みを生かした成長機会を渡し、足りない経験は外部採用で補います。
「誰を幹部にするか」より先に、「社長から何を移し、その人にどんな結果を任せるか」を決めることが出発点です。
社長から移す業務と幹部要件を整理するために
自社の場合、既存社員を育てるべきか。外部から経験者を迎えるべきか。そもそも、社長が手放せる業務がどこまであるのか。社内だけで考えていると、判断が難しいこともあります。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。幹部人材の役割整理や採用要件の設計など、「うちの場合は何から整理すればよいか」という段階からでもご相談いただけます。
ものづくりに集中できる建設業界へ。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、社内の状況を整理する場として気軽にお声がけください。



























