工事部門の責任者が不在で、社長が出張や現場対応まで担っている会社の現在地
関東圏に拠点を置く、10名弱の設備系工事会社では、職人が数名在籍し、協力会社も確保できていました。既存の販売部門には任せられる社員がいる一方、工事部門には全体を動かす責任者がおらず、社長自身が案件の判断や現場対応に入っている状態でした。
仕事量はあり、週の大半を遠方への出張に充てることもあります。さらに、新しいサービスの構想や公共工事の入札にも手応えがありました。しかし、構想を具体化し、継続的に動かす人がいません。
社長からは、次のような言葉がありました。
「右腕なのか秘書なのか分からないけれど、一人つくらないと、やりたいことが全部できないままになってしまう」
この会社に必要なのは、単純な人手の補充ではありません。社長に集中している仕事を引き取り、工事部門や新規事業を前に進める役割の設計です。
1週間で 14件の相談 がありました
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
- 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
- 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
- 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
- 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
- 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
- 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
- 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
- 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
- 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
- 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
- 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
- 7月18日リフォーム会社千葉県人材育成の相談
- 7月17日塗装工事会社栃木県協力会社探しの相談
- 7月17日リフォーム会社岩手県人材確保の相談
- 7月17日総合土木山形県案件獲得の相談
- 7月17日電気設備工事会社愛知県利益率向上の相談
- 7月16日外構工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月16日塗装工事会社大阪府人材育成の相談
- 7月16日内装工事会社群馬県案件獲得の相談
- 7月16日総合建築岐阜県原価管理の相談
職人や事務員を増やしても、社長の判断業務が減らない採用のずれ
人が足りなくなると、職人や事務員の募集を考えるのは自然です。ただし、社長が現場対応から離れられない原因が「作業者の人数」ではなく「判断と管理を担う人の不在」にある場合、同じ採用を繰り返しても状況は大きく変わりません。
この会社でも、工事を行う職人や協力会社は一定数確保できています。足りないのは、次の仕事を社長に代わって進める人です。
- 工事部門の案件と人員を整理し、関係者を動かす
- 大量に届く入札情報から、自社が参加すべき案件を絞る
- 仕様書を確認し、入札するかどうかの判断材料をまとめる
- 新規事業の構想を、実行手順や必要な体制に落とし込む
- 社長への確認事項を整理し、判断しやすい形で上げる
つまり、採用すべきなのは、社長の指示を待つ補助者とは限りません。必要なのは「手を動かす人」よりも、情報を整理し、一定の判断を加えて仕事を前に進められる人です。
ここを曖昧にしたまま、「秘書」「社長室」「工事担当」といった職種名だけを決めると、応募は集まっても、入社後の期待がずれる可能性があります。
やりたいことが多い一方で、社長の頭の中に判断基準が残っている状態
右腕採用が難しくなる背景には、社長の仕事が言語化されていないことがあります。
たとえば入札業務では、案件情報が毎日のように届き、その中から対象を選びます。仕様書に書かれた機器の条件を読み、自社の取扱製品で対応できるかを確認し、現地対応の距離や工事体制も踏まえて参加を判断します。
ところが、「どういう案件なら入札するのか」と尋ねられると、社長自身も「実際に見ないと判断できない」と感じていました。これは判断力がないのではなく、長年の経験で行ってきた判断が、チェック項目や手順になっていないということです。
新規事業でも同じことが起きます。構想や顧客との接点、協力者の候補はあります。しかし、誰に何を確認し、どの順番で検証し、どこまで進んだら本格化するのかが整理されていなければ、担当者を採っても動きにくくなります。
過去には、建物管理の責任者を経験したという人を採用したものの、実際に仕事を任せると、表計算ソフトの操作や入札案件の整理が十分にできなかったこともありました。案件を探すよう依頼しても、情報をピックアップするところで止まり、その先の判断材料まではまとめられなかったそうです。
「経験があります」という自己申告と、自社で必要な実務を遂行できることは別物です。右腕候補ほど、肩書や話しぶりではなく、実際の仕事に近い形で能力を確かめる必要があります。
社長の業務を棚卸しし、移管する仕事から右腕の職種と選考方法を決める進め方
右腕採用では、最初に募集職種を決めるのではなく、社長の業務を棚卸しします。「どんな人が欲しいか」より先に、「社長から何を外したいか」を決めることが出発点です。
1.社長の業務を「実務・判断・構想」に分ける
まず、社長が現在行っている仕事を、次の三つに分けます。
- 実務:入札情報の確認、資料作成、案件情報の入力など
- 判断:入札参加の可否、工事体制、優先順位の決定など
- 構想:新規事業の設計、外部との連携、事業の方向づけなど
すべてを一度に移管する必要はありません。まず実務を任せ、判断材料の作成まで担当範囲を広げ、その後に一定の判断を委ねる進め方もあります。
大切なのは、「社長を楽にする」という曖昧な目的ではなく、たとえば「入札案件を三段階で絞り、社長には最終候補だけを上げる」まで具体化することです。
2.最初に解消すべき詰まりから役割を決める
棚卸しができると、秘書、社長室、工事責任者、事業責任者のどれで募集すべきかが見えてきます。
- 工事の手配や人員配置が社長に集中しているなら、工事部門の管理責任者
- 社長の指示を整理し、複数案件を進行させたいなら、社長室や事業推進担当
- 新規事業の検証と具体化を任せたいなら、事業責任者候補
- 日程、資料、連絡、確認事項の整理が中心なら、秘書・経営補佐
今回のように、工事部門の責任者が不在で、新規事業や入札も止まっている場合、最初からすべてを任せる「万能な右腕」を求めると採用条件が広がりすぎます。
最優先で移管する仕事を一つ決め、その仕事を中心に職種名と求人原稿をつくる方が、必要な人材に届きやすくなります。「秘書なら応募が来やすい」という理由だけで職種名を選ぶのではなく、入社後の実務と一致させることが重要です。
3.社内登用と外部採用を、役職ではなく遂行能力で判断する
社内登用が向いているのは、すでに社長が不在でも担当領域を回せており、周囲からの信頼もある人です。一方、現在の業務で手いっぱいの場合や、判断・管理の経験を持つ人がいない場合は、外部採用を検討しやすくなります。
判断時には、次の点を確認します。
- 社長が不在でも、担当部門の仕事を止めずに進められるか
- 情報を集めるだけでなく、優先順位をつけられるか
- 不明点を放置せず、確認事項として整理できるか
- 現在の担当業務を移しても、社内全体に無理が出ないか
- 新しい役割を本人が希望し、責任範囲を理解しているか
社内に候補が見当たらないこと自体は、珍しいことではありません。その場合は、外部採用を前提にしつつ、入社後に判断基準を渡せる状態を社内で整えることが必要です。
4.必要な能力を、経験年数ではなく行動で表す
右腕候補の要件は、「頭の回転が速い」「主体性がある」といった表現だけでは見極めにくくなります。実際の仕事に置き換えると、必要な能力が明確になります。
今回のケースなら、求める行動は次のように表せます。
- 大量の案件情報から、自社に合う候補を抽出できる
- 仕様書を読み、製品条件や工事条件を一覧にできる
- 表計算ソフトを使い、比較しやすい資料にまとめられる
- 分からない点と確認先を切り分けられる
- 社長の断片的なアイデアを、期限と担当を含む行動計画に直せる
求人原稿には人物像だけでなく、「入社後に整理してほしい情報」「任せたい判断」「社長への報告方法」まで書くと、候補者も仕事を具体的に理解できます。
5.面接では、実際の仕事に近い課題を試してもらう
面接だけで実務能力を判断するのは難しいため、選考には小さな実技を入れます。過度に複雑な課題ではなく、入社後に行う仕事の一部で十分です。
たとえば、個別情報を伏せた入札案件や仕様書を使い、次の作業を依頼します。
- 案件の要点を整理する
- 入札を検討するうえで足りない情報を挙げる
- 参加するかどうかの判断材料を表にまとめる
Elisa4. 社長に確認すべき事項を短く報告する
表計算ソフトの操作が必要なら、その場で基本的な入力や整理も試してもらいます。新規事業を担当する役割なら、構想を聞いたうえで、最初の数週間に何を確認するかをまとめてもらう方法もあります。
見るべきなのは、模範解答にたどり着くかどうかだけではありません。
- 情報をどのように分類するか
- 分からないことをどう扱うか
- 判断の根拠を説明できるか
- 相手が判断しやすい形にまとめられるか
右腕候補の選考では、自己申告よりも「実際に整理し、考え、報告する過程」を見る方が、入社後のずれを減らせます。
まとめ
社長が現場対応に追われ、新規事業が進まないとき、必要なのは必ずしも職人や事務員の増員ではありません。先に確認したいのは、社長に集中している業務の中身です。
右腕採用は、人を探す活動ではなく、社長の仕事を移管できる形に整える活動でもあります。
進める順番は、次のように整理できます。
- 社長の業務を実務・判断・構想に分ける
- 最初に移管する仕事を決める
- その仕事に合わせて職種名を選ぶ
- 社内登用と外部採用を遂行能力で比較する
- 必要な能力を具体的な行動として求人原稿に落とす
- 面接では実務に近い課題で確認する
右腕は、最初から社長と同じ判断ができる人でなくても構いません。まず情報整理と判断材料の作成を任せ、少しずつ責任範囲を広げる方法もあります。一人の万能人材を探すより、社長から移す仕事と育て方を明確にする方が、現実的な採用につながります。
自社に必要な右腕の役割から整理したい方へ
「秘書、社長室、事業責任者のどれで募集すべきか分からない」「社長の仕事を棚卸ししたいが、何から手をつけるべきか迷っている」という段階でも、整理を始められます。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、必要な人材像の言語化から実行まで支援しています。自社に必要な右腕の役割や、社内登用と外部採用の判断軸を一緒に整理することも可能です。
無理に採用や契約を勧めることはありません。「うちの場合は誰に何を任せるべきか」という段階から、気軽にお話しください。




























