営業と現場管理を担う人材が一人前になるまで、最低1年、独り立ちには3年ほどかかる会社
首都圏でオフィスやビルの内装工事を手がける、社長を含めて5名弱の会社があります。自社で職人を抱える形ではなく、社員が営業と現場管理を担い、協力会社と連携しながら工事を進めています。
採用したいのは、単に仕事を取ってくる営業担当ではありません。顧客とやり取りし、現場で指示を出し、協力会社をまとめながら案件を完了まで運べる人材です。
そのため、採用してすぐに売上を任せられるわけではありません。社長の感覚では「最低でも丸1年はかかる。3年たって、ようやく一人で現場をこなせるようになる」という見立てでした。
現在の社員も未経験から入り、仕事を覚えている途中です。半年ほど在籍する社員が一人前になる前に、次の一人を採用し、育成を重ねていきたいという状況でした。
この会社にとって採用は、欠員を埋める活動ではなく、3年先の施工・管理体制をつくるための投資です。
1週間で 18件の相談 がありました
- 8月5日設備保全会社滋賀県人材確保の相談
- 8月5日プラント工事会社東京都協力会社探しの相談
- 8月4日プラント工事会社埼玉県利益率向上の相談
- 8月4日防水工事会社京都府原価管理の相談
- 8月4日造園会社群馬県原価管理の相談
- 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
- 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
- 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
- 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
- 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
- 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
- 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
- 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
- 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
- 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
1カ月から半年での離職が続き、独り立ちまでの教育投資を回収できない状態
悩みは、応募数の少なさだけではありません。求人媒体に費用をかけても応募が少なく、採用できた人が1カ月、3カ月、半年ほどで辞めるケースが続いていました。
建設業の仕事は、入社直後の短期間だけで向き不向きを判断しにくい面があります。社員ごとに得意不得意があり、何度か伝え、現場を経験することで少しずつ任せられる範囲が広がります。
ところが、その前に辞めてしまえば、教育に割いた社長や先輩社員の時間は回収できません。人が増えないため、上の人間が現場対応から離れられず、本来取り組みたい営業にも時間を使えない状態が続きます。
採用の判断も簡単ではありません。経験者には早期戦力化への期待がある一方、過去の進め方が固まっており、自社の仕事の進め方に合わせにくいことがあります。反対に、未経験者は素直に覚えやすい可能性があるものの、一人前になるまでの時間がかかります。
即戦力として自走できる経験者がいれば理想的ですが、「海のものとも山のものとも分からない段階で、大きな権限や給与を渡すことは難しい」という現実もあります。
経験者か未経験者かの二択だけでは、自社で長く育ち、顧客と現場を任せられる人かどうかは見極められません。
面接時の印象と入社後の実務に差があり、本人も会社も期待役割を確認し切れていない構造
早期離職が続く背景には、面接だけでは実際の働き方が見えにくいことがあります。応募者は面接対策をしてきますし、限られた時間のなかでは良い面を中心に伝えます。会社側も採用したい気持ちから、仕事の魅力や待遇を優先して説明しがちです。
その結果、入社後に初めて次のような現実が見えてきます。
- 営業だけでなく、現場管理や顧客対応も求められる
- 未経験なら、短期間で独り立ちできる仕事ではない
- 指示を待つだけでなく、徐々に担当範囲を広げる必要がある
- 会社独自の進め方や、顧客ごとの対応を覚える必要がある
- 経験者でも、過去の方法をそのまま持ち込めるとは限らない
給与水準だけを前面に出した採用にも注意が必要です。高い給与には相応の期待役割が伴いますが、本人が求められる水準に届かないと感じれば、「思っていた仕事と違う」「自分には無理だ」と早期離職につながることがあります。
一方で、現在長く働いている社員にも、得意分野の違いや習得速度の差があります。それでも、繰り返し経験することで仕事を覚え、任せられる範囲を増やしてきました。
早期離職の問題は、本人の意欲だけではなく、採用時の見極め、期待役割の共有、入社後の育成が分断されていると起きやすくなります。
経験年数ではなく適応力を見極め、面接から3年間の育成段階までを一つにつなぐ設計
必要なのは、採用基準と育成計画を別々に考えないことです。どのような人なら自社で育つのかを定め、その基準を面接、仕事内容の説明、入社後の育成、キャリアの提示まで一貫させます。
経験の有無と、自社への適性を分けて評価する
経験者を採るか未経験者を採るかは、優劣ではなく育成リスクの違いです。経験者は技術や業務知識を持っていても、自社の進め方を受け入れられるとは限りません。未経験者は知識がなくても、教わったことを繰り返し実践できれば着実に育つ可能性があります。
採用基準は、経験年数とは別に次の観点で整理すると判断しやすくなります。
- 自分のやり方に固執せず、会社や顧客に合わせられるか
- 分からないことを確認し、繰り返し覚えられるか
- 顧客や協力会社と落ち着いて意思疎通できるか
- 営業と現場管理の両方を担う仕事だと理解しているか
- 数年かけて担当範囲を広げる意思があるか
「何を経験してきたか」だけでなく、「自社のやり方をどう吸収できるか」を採用基準に加えることが重要です。
面接では実績より、行動の再現性を確認する
面接で人柄を完全に見抜くことは困難です。それでも、抽象的な自己評価ではなく、過去の具体的な行動を聞くことで判断材料は増やせます。
たとえば、仕事の進め方を変えるよう求められた経験、未経験の業務を覚えた方法、注意や指摘を受けた後の対応などを確認します。経験者には、自社と異なる手順でも対応できるかを聞きます。未経験者には、分からない状態から継続して習得した経験を聞くとよいでしょう。
回答のうまさだけで決めず、実際の行動が具体的に語られているか、他人のせいにせず振り返れているか、自社で求める働き方と矛盾がないかを見ます。
仕事内容と3年後までの期待役割を入社前に共有する
採用したいからこそ、仕事の良い面だけでなく、時間がかかる部分も事前に伝えます。この会社であれば、営業だけを行うのではなく、顧客対応、現場管理、協力会社への指示まで徐々に担うことが前提です。
あわせて、最低1年は基礎習得の期間であり、一人で現場をこなす目安は3年程度であることも共有します。経験者に対しても、最初からすべてを任せるわけではなく、自社の顧客や進め方を理解してから権限を広げると説明します。
これは応募者を遠ざけるためではありません。入社後の認識差を減らし、長く取り組める人に選んでもらうための情報提供です。
仕事内容の厳しさを隠すより、「どの段階で何を任せるか」を見せた方が、入社後の納得感をつくれます。
独り立ちまでを段階に分け、任せる範囲を明確にする
3年間を一括りにすると、本人には成長が見えにくく、教える側も判断が感覚的になります。実際の案件や会社の体制に合わせ、育成期間を段階に分けます。
一例として、次のような整理が考えられます。
- 入社から1カ月:仕事の流れ、顧客、協力会社、自社の進め方を理解する
- 1カ月から半年:先輩社員に同行し、顧客対応や現場管理の一部を担当する
- 半年から1年:小さな範囲から担当を持ち、上司の確認を受けながら進める
- 1年から3年:案件ごとに任せる範囲を広げ、一人で現場を完了できる状態を目指す
節目ごとに、「できるようになったこと」「次に任せること」「本人が困っていること」を確認します。評価は結果だけでなく、確認の仕方、報告、顧客対応、指摘後の改善も含めると、成長を捉えやすくなります。
長く働いた先に得られる役割を示す
定着には、給与や福利厚生だけでなく、働き続けた先の姿が見えることも大切です。
この会社では、最初は社長が顧客や案件を主導し、社員が仕事を覚えるにつれて担当を任せています。その先には、自分で顧客との関係をつくり、社長が直接関わっていない相手からも仕事を任される状態があります。
この道筋を入社時から伝えれば、「3年我慢する」という話ではなく、「3年間で顧客と現場を任される人材になる」という成長の意味を共有できます。
定着を促すには、在籍年数ではなく、時間とともに何を任され、誰の役に立てるようになるかを示すことが有効です。
まとめ
一人前になるまで数年かかる仕事で早期離職が続く場合、求人媒体を変えるだけでは根本的な改善になりにくいものです。
採用時には、経験の有無だけでなく、自社の進め方への適応力、学び続ける姿勢、顧客や協力会社とのコミュニケーションを見ます。そのうえで、営業と現場管理を担う実際の仕事内容、最低1年の基礎習得、3年程度の独り立ちまでの道筋を事前に共有します。
入社後も、いきなり一人前を求めるのではなく、任せる範囲を段階的に広げ、本人と会社の認識を定期的にそろえていくことが大切です。
採用、見極め、仕事内容の共有、育成、キャリアを一連の流れとして設計することで、教育投資が人材と会社の成長につながりやすくなります。
自社に合う採用基準と育成の道筋を整理したいときは
「経験者と未経験者のどちらを採るべきか」「面接で何を確認すればよいか」「独り立ちまでの育成をどう区切るか」は、会社の施工領域や顧客、社員構成によって変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、採用、組織、現場、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用媒体を選ぶ前の人材要件の整理や、面接基準、教育体制、キャリアの設計から一緒に考えることも可能です。
「うちの場合は何から整理すべきか」という段階でも問題ありません。無理に話を進めることはありませんので、社内だけでは整理しにくい点があれば気軽にお声がけください。






























