前提

外国人材の受け入れ経験はあるものの、社内教育の壁から継続を見送った電気工事会社

西日本で電気工事を手がけるある専門工事会社では、過去に外国人材を受け入れた経験がありました。しかし、実際に一緒に働くなかで見えてきたのは、採用経路や在留資格以前の問題でした。

担当者の言葉は率直です。

「やっぱり社内の教育体制がないと難しい。日本人も十分に育てられていない状態で、いきなり外国人材を受け入れるとハードルが上がる」

そのため、一度は受け入れを止めています。一方で、建設業の人手不足を考えると、外国人材という選択肢そのものを諦めたわけではありません。海外で一定の訓練を受けた人材を採用する構想や、送り出し・受け入れに関わる機関への情報収集も進めていました。

ただし、検討を進めるほど「どの職種で、どの程度の技能を持つ人が必要なのか」「入社後、誰がどのように教えるのか」という自社側の課題が浮かび上がってきます。

外国人材の採用は、人を連れてくる仕組みだけでは成立せず、入社後に育てる仕組みまで含めて設計する必要があります。

1週間で 18件の相談 がありました

  • 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
  • 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
  • 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
  • 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
  • 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
  • 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
  • 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
  • 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
  • 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
  • 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
  • 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
  • 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
  • 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
  • 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
  • 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
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課題

人手不足を埋めるための採用が、既存社員の教育負荷を増やしてしまう構造

外国人材を採用しても定着・戦力化できない会社では、本人の能力より先に、受け入れる会社側の教育負荷が問題になりやすいものです。

建設現場の仕事は、口頭での指示や経験則に支えられている部分が少なくありません。複数の現場が同時に動き、「何が揃っていて、何が揃っていないか分からない」という状態では、日本人の新人であっても仕事を覚えるのに時間がかかります。

そこへ、建設用語や作業指示、安全上の注意を日本語で理解する必要がある外国人材が加われば、指導担当者の負担はさらに大きくなります。忙しい職長や先輩社員が、通常業務の合間にその都度説明する形では、教える内容や順番も人によって変わってしまいます。

結果として、次のような状態に陥りがちです。

  • 任せる仕事が決まらず、補助作業のまま時間が経つ
  • 指導担当者によって作業方法や判断基準が異なる
  • 本人が理解したつもりでも、安全上の認識に差が残る
  • どこまでできるようになったのか、社内で共有できない
  • 現場側が疲弊し、「外国人材の受け入れは難しい」という結論になる

外国人材の受け入れが頓挫する原因は、採用の失敗ではなく、教育を現場任せにしたまま採用を始めてしまうことにあります。

背景

必要な職種と技能レベルが曖昧なまま、送り出し・受け入れの仕組みから調べてしまう順序

受け入れを検討する会社が最初に調べやすいのは、どの国から採用できるか、どの機関を通すか、どのような制度を使うかといった外部の仕組みです。もちろん、これらも欠かせません。

ただ、自社に合う人材を判断するには、その前に「どのような人材を求めているのか」を具体化する必要があります。相談企業でも、「実際にどのような職種の人材が必要なのか。建設業のなかでも、業種によって変わる」という点が整理事項として挙がっていました。

同じ建設人材でも、求められる作業、技能、安全知識、現場でのコミュニケーションは異なります。それにもかかわらず、「若くて意欲がある人」「建設経験がある人」といった大きな条件だけで採用すると、入社後に現場とのずれが生じます。

もう一つの背景は、社内にある仕事の進め方が標準化されていないことです。熟練者は問題なく作業できても、その判断過程が言葉や資料になっていなければ、新人には再現できません。外国人材への教育では、曖昧な指示を文脈から読み取ってもらうことが難しいため、この差がより表面化します。

確認すべきなのは、送り出し機関の実績だけではありません。

  • 入社後に担当させる工程は決まっているか
  • 最初は補助から始めるのか、一定の経験者を採るのか
  • 何か月後に、どの作業を任せたいのか
  • 指導できる社員は誰か、その時間を確保できるか
  • 安全教育を理解できたか確認する方法があるか
  • 技能の習得状況を誰がどの基準で評価するか

「どこから採るか」より先に、「何を任せ、どう育てるか」を決めることが、受け入れ体制づくりの出発点です。

解決

職種の具体化から小規模受け入れまでを順番に設計する進め方

外国人材の採用を進める場合は、最初から人数を増やすのではなく、自社の教育体制を確認しながら段階的に進める方法が現実的です。

1.必要な職種と技能レベルを一枚にまとめる

最初に、採用したい人物像を「経験者」「未経験者」といった区分だけで終わらせず、任せたい仕事まで落とし込みます。

整理する項目は、次の程度から始められます。

  • 配属する工事領域と現場
  • 入社直後に担当する作業
  • 指導を受けながら行う作業
  • 将来的に単独で任せたい作業
  • 必須となる安全知識
  • 入社時点で必要な経験と、入社後に教える技能

ここが曖昧なままだと、海外で事前教育を行っても、自社が必要とする技能とのずれを防げません。採用要件は、人材会社へ渡す条件表ではなく、入社後の教育計画の土台としてつくることが大切です。

採用要件は「どんな人が欲しいか」ではなく、「入社後にどの仕事を任せるか」から逆算します。

2.作業手順と安全教育を共通化する

次に、指導担当者の頭のなかにある作業手順を、他の人も使える形にします。最初から分厚いマニュアルをつくる必要はありません。頻度が高い作業や、間違えると安全・品質に影響する作業から優先します。

文章だけでは伝わりにくい場合は、写真、図、短い動画、確認表などを組み合わせます。建設業では新人教育を動画化し、図面の読み方などを繰り返し学べるようにする取り組みも進んでいます。外国人材向けにも、同じ内容を何度でも確認できる形が有効です。

安全教育では、「説明したか」ではなく「本人が理解し、行動できるか」を確認します。口頭で返事をもらうだけで終わらせず、本人に手順を説明してもらう、実際の動きを確認するといった方法まで決めておくと、認識のずれを減らせます。

3.指導担当者と教育時間を先に確保する

受け入れ人数は、採用できる人数ではなく、教えられる人数から決めます。

主担当と副担当を置き、質問先を明確にします。指導担当者が複数現場を抱えている場合は、教育時間を確保できるかも確認が必要です。通常業務に教育を上乗せするだけでは、担当者にも本人にも負担が偏ります。

判断すべきなのは、「外国人材を採用できるか」ではなく、次の条件を満たせるかです。

  • 日常的に作業を確認できる社員がいる
  • 指導内容を担当者間で共有できる
  • 教育に使う時間を工程に織り込める
  • 問題が起きた際の相談先を決められる

受け入れ可能人数は、求人への応募数ではなく、自社の教育余力によって決まります。

4.言語支援は「翻訳」より「伝わる業務」にする

言語支援は、すべてを母国語へ翻訳することだけではありません。現場で使う日本語を絞り、同じ意味の指示を毎回同じ表現で伝えることも重要です。

作業名、安全に関わる言葉、禁止事項、報告の仕方などを共通化し、図や写真とセットで確認できるようにします。本人の日本語力だけに頼らず、会社側も伝わりやすい指示へ変えていくことで、教育の再現性が高まります。

5.技能評価の基準を段階に分ける

「仕事ができるようになった」という感覚的な評価では、担当者によって判断が変わります。技能ごとに、たとえば次のような段階を設けます。

  1. 説明を受けて内容を理解できる
  2. 指導者と一緒に作業できる
  3. 見守りがあれば作業できる
  4. 単独で作業できる
  5. 注意点を他者へ説明できる

評価結果を簡単に記録すれば、現場が変わっても本人の習得状況を共有できます。本人にとっても、次に何を覚えればよいかが見えやすくなります。

6.最初は小規模に受け入れ、仕組みを検証する

初回から大人数を受け入れると、教育上の問題が起きた際に修正しにくくなります。まずは指導が届く小規模な受け入れから始め、一定期間ごとに検証する進め方が適しています。

見るべきなのは、本人の技能だけではありません。

  • 指導担当者の負担は想定内だったか
  • 教材や手順書で説明できない部分は何か
  • 安全上の認識にずれはなかったか
  • 配属現場によって教え方が変わっていないか
  • 次の受け入れ前に改善すべき点は何か

この検証を通じて、採用人数を増やせるのか、指導者を増やすべきなのか、採用する技能レベルを変更すべきなのかを判断します。

小規模受け入れは慎重策ではなく、自社に合う採用・教育モデルをつくるための検証期間です。

まとめ

外国人材の採用を定着・戦力化につなげるには、送り出し機関や受け入れ制度を調べるだけでは足りません。自社が必要とする職種と技能レベルを決め、作業手順、安全教育、言語支援、指導担当者、技能評価を一つの流れとして設計する必要があります。

過去に受け入れがうまくいかなかったとしても、外国人材との相性だけが原因とは限りません。「日本人社員を含め、新人を育てる仕組みが整っていたか」という視点で見直すと、改善箇所が見えやすくなります。

外国人材の受け入れ体制を整えることは、外国人材だけのためではなく、誰が入社しても育ちやすい会社をつくることにつながります。

採用を急ぐ前に、自社の教育余力を確認し、まずは少人数で検証できる形まで整える。それが、無理なく受け入れを続けるための現実的な一歩です。

自社に合う外国人材の受け入れ方を整理するために

「どの職種から受け入れるべきか」「現場の誰が教えられるのか」「今の教育体制で始めてよいのか」といった段階では、採用施策だけを切り離さず、現場の業務や組織体制と一緒に整理することが大切です。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の人材課題を、現場の作業手順、教育体制、組織づくり、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。「うちの場合は何から決めればよいか分からない」という段階でも構いません。無理にサービスを勧めることはありませんので、次の整理先として気軽にお声がけください。

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