前提

売上3億円前後まで伸びても、売上目標を置かず利益の残る仕事を選ぶ専門工事会社

神奈川県を拠点とする、売上3億円前後のある専門工事会社があります。創業時は外装工事を中心としていましたが、現在は内装、電気、設備、大工、建具なども含め、新築の躯体工事以外は幅広く対応しています。

正社員を大きく増やすのではなく、約50社の協力会社と連携し、案件に応じてチームを組む体制です。小規模な修繕から数千万円規模の設備工事まで受けられ、首都圏外でも宿泊費、移動費、滞在費が条件に含まれれば対応できます。

売上は長年にわたって増加してきました。一方で、経営者は3年後や5年後の売上目標をあえて置いていません。

「売上を上げても、利益が出ていなければ意味がありません。売上が小さくなっても、十分な利益が残るなら、そちらに集中します」

この言葉に、案件選びの軸がよく表れています。1日で終わる十数万円規模の工事も、数千万円規模で数カ月かかる工事も、金額の大小だけでは判断しません。

大切なのは受注金額の大きさではなく、その案件に人、時間、協力会社を配分した結果、いくら利益が残るかです。

1週間で 18件の相談 がありました

  • 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
  • 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
  • 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
  • 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
  • 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
  • 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
  • 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
  • 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
  • 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
  • 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
  • 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
  • 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
  • 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
  • 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
  • 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
建設業界のプロ人材による360度経営支援 資料ダウンロード
課題

売上高や受注件数を追うほど、利益を生まない案件で現場が埋まる受注判断

建設会社にとって、案件があること自体はありがたいことです。ただし、売上高や件数だけを基準に受け続けると、忙しいのに利益が残らない状態になりやすくなります。

特に、一式工事を受けて複数の専門業者を手配する会社では、受注金額がそのまま自社の成果になるわけではありません。外注費や材料費に加えて、工程調整、協力会社同士の打ち合わせ、現場管理にも時間がかかります。

遠方案件なら、移動費や宿泊費だけでなく、移動に使う時間や滞在中に他の案件へ対応しにくくなる影響も見なければなりません。数カ月拘束される工事では、その期間に入ってくる緊急工事や高採算案件を受けられない可能性もあります。

この会社は、価格条件に対する姿勢を明確にしています。

「下請けの仕事も入りますが、うちの見積金額が通らない限りはやりません」

受注を断ること自体が目的ではありません。必要な原価と利益を反映した見積金額が認められない案件を受けると、受注した時点で利益を残しにくい構造が決まってしまうためです。

売上を増やす動きと利益を増やす動きは、必ずしも同じではありません。売上規模の大きな案件でも、外注比率が高く、長期間拘束され、追加対応が多ければ、最終的な利益は薄くなります。反対に、小さな工事でも、短期間で完了し、既存の体制で対応できるなら、利益を確保しやすいことがあります。

背景

案件ごとにチームを組む経営では、金額より人員と拘束期間が利益を左右する構造

同社が利益を優先する背景には、固定された施工班ではなく、案件ごとに協力会社を組み合わせる事業構造があります。

電気工事は電気工事会社、内装工事は内装工事会社というように専門業種へ発注し、自社は工程、役割分担、スケジュールを組み立てます。案件によっては一式で協力会社へ任せ、不足する工種を自社側で補うこともあります。

この体制では、対応できる工事の幅を広げられます。その一方で、案件を受けられるかどうかは、話が来た時点で対応チームを組めるかによって変わります。

「条件を見て、対応できるチームを組めるかどうかをその場で判断します。条件さえ合えば、幅広く対応できます」

ここでいう条件は、工事金額だけではありません。少なくとも次の要素が絡みます。

  • 見積金額から外注費や材料費を引いた後に残る粗利
  • 現場を管理する期間と必要な人員
  • 必要な工種を担える協力会社の確保状況
  • 遠方の場合の移動費、宿泊費、滞在費
  • 工程変更や追加対応が発生した場合の負担
  • その案件を受けることで対応できなくなる他案件

同社には、外壁タイルの落下や雨漏りなど、早急な対応を求められる仕事もあります。小規模工事なら翌日から動けることがある一方、数千万円規模で3カ月ほどかかる工事は、着工まで1〜2カ月の準備が必要です。

つまり、同じ売上1,000万円でも、短期間で終わる案件と、複数の協力会社を長く拘束する案件では、経営への影響が異なります。

利益率だけでなく、利益額を得るまでに何人を何日拘束するのかを見ることで、案件の本当の採算性が見えてきます。

解決

粗利、拘束期間、必要人員、出張経費を同じ表で比べる案件選び

案件選びでは、受注金額の横に「利益」と「経営資源の使用量」を並べて判断できる形をつくることが有効です。難しい仕組みから始める必要はなく、まずは見積時に次の項目を1枚にまとめます。

判断項目

確認する内容

受注金額

追加工事を含めず、現時点で確定している金額

直接原価

材料費、外注費、運搬費、機材費など

出張経費

交通費、宿泊費、滞在費、車両費など

粗利額

受注金額から直接原価と出張経費を引いた金額

粗利率

粗利額を受注金額で割った割合

拘束期間

準備、施工、検査、手直しまでを含む期間

必要人員

自社の管理者と協力会社を含む人数

追加対応リスク

工程変更、夜間対応、手直し、追加手配の可能性

他案件への影響

その人員と期間を押さえることで断る可能性がある仕事

この表で重要なのは、粗利率だけで判断しないことです。粗利率が高くても粗利額が小さく、管理負担が重い案件もあります。反対に、粗利率が多少低くても、粗利額が大きく、信頼できる協力会社へまとまって任せられる案件であれば、選択肢になることがあります。

「粗利額」「拘束期間」「必要人員」の3つをセットで比較すると、売上規模に引っ張られにくくなります。

進め方は、次の順番が現実的です。

  1. 過去の案件を規模別に3〜5件振り返る

小規模な短期工事、中規模工事、数カ月の大型工事を選び、見積時と完工後の粗利を比べます。

  1. 利益を押し下げた費用を特定する

外注費、移動・宿泊費、追加手配、工程延長など、見積時に不足していた項目を確認します。

  1. 自社が確保したい最低条件を決める

一律の粗利率だけではなく、拘束期間や必要人員に応じた最低粗利額を置きます。遠方案件なら、移動・宿泊・滞在にかかる費用を発注条件へ含められるかも確認します。

  1. 条件が合わない案件は見積段階で調整する

単価を下げて受注する前に、施工範囲、工期、支給条件、追加工事の扱いを調整します。それでも必要な利益が残らないなら、無理に受けない判断も必要です。

  1. 完工後に見積との差を戻す

実際の外注費、拘束日数、追加対応を記録し、次回の見積条件へ反映します。

判断基準は、会社の体制によって変わります。自社施工が中心の会社と、協力会社を組み合わせて一式工事を管理する会社では、同じ工事でも費用の出方が異なるからです。

他社の粗利率をそのまま目標にするのではなく、自社の人員構成、協力会社への発注方法、対応エリアに合わせて受注基準をつくることが重要です。

まとめ

売上が増えている会社ほど、「さらに何件受けるか」より「どの案件へ限られた人と時間を使うか」が重要になります。

案件の大小や工種だけで良し悪しを決めることはできません。1日で終わる小規模工事にも、数千万円規模の長期工事にも、それぞれ利益を残せる条件があります。

確認したいのは、次の点です。

  • 必要な見積金額が通るか
  • 外注費や出張経費を引いた後に粗利が残るか
  • 何人をどの程度の期間拘束するか
  • 協力会社を無理なく組めるか
  • 追加対応の負担を条件へ反映できているか
  • 他の高採算案件を受ける余力が残るか

売上を伸ばすことより、利益の残る案件へ経営資源を配分すること。その判断を見積段階で行える会社ほど、忙しさを持続的な成長につなげやすくなります。

自社に合った受注基準から整理したいときに

「利益は見ているつもりだが、案件ごとの基準が決まっていない」「外注費や拘束期間を、受注判断へどう反映すればよいかわからない」という段階でも、整理できることはあります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の収支管理を、現場体制、協力会社への発注、原価管理まで含めて横断的に整理し、実行まで支援しています。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、まずは自社の案件構成や見積方法を確認するところから一緒に考えます。

無理にサービスを勧めることはありません。「うちの場合は、何から見直すべきか」という段階でも差し支えありません。

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