前提

年商5億円前後から次の成長を目指す、20名弱の通信設備工事会社

兵庫県を拠点に、関西・関東・北陸で通信設備工事を手がける会社があります。創業から約9年。従業員は20名弱で、協力会社や個人事業主とのネットワークも60社以上あります。

年商は5億円前後。数年以内に10億円規模へ成長する目標を掲げています。仕事の相談は多く、社長が積極的に営業しなくても電話で依頼が入ります。

一見すると、売上を伸ばす条件はそろっています。ただ、社長が重視しているのは売上高だけではありません。

「何でもかんでも仕事を受ければ、売上をつくるのは難しくないんです」

「でも、売上だけ大きくても、中身が伴っていなければ意味がないと思っています」

目指しているのは、現場数を増やして忙しくなる会社ではありません。利益に加えて、経営者と社員に時間のゆとりが残る成長です。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
  • 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
  • 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
  • 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
  • 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
  • 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
  • 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
  • 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
  • 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
  • 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
  • 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
  • 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
  • 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
  • 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
  • 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
  • 7月18日リフォーム会社千葉県人材育成の相談
  • 7月17日塗装工事会社栃木県協力会社探しの相談
  • 7月17日リフォーム会社岩手県人材確保の相談
  • 7月17日総合土木山形県案件獲得の相談
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課題

現場数を増やすほど外注費と管理負担が積み上がる薄利案件

売上目標を優先すると、受注できる案件をできるだけ多く引き受けたくなります。ところが、自社施工だけで対応できない案件が増えれば、協力会社への発注も増えます。

協力会社を使うこと自体が問題なのではありません。この会社も、社員を急激に増やすより、協力会社や業務委託先と連携して施工力を確保してきました。

難しいのは、案件が一時期に集中することです。

「案件がグッと寄ったときに、頼みたい会社へ仕事が重なってしまうんです。考え方や品質が合うところほど、先にパンクしてしまいます」

発注先を広げれば解決するとも限りません。工事を終わらせることを優先する会社もあれば、品質や安全に対する基準が合わない会社もあります。自社の名前で現場に入ってもらう以上、価格だけでは選べません。

その結果、次の負担が重なります。

  • 希望する条件で協力会社を確保できない
  • 外注費が想定を上回る
  • 発注後の品質・安全管理に時間がかかる
  • 社長が案件と協力会社の調整を抱える
  • 売上は増えても、粗利益と時間が残りにくい

受注量を増やせることと、利益を増やせることは別です。 売上目標だけで案件を判断すると、忙しさのわりに会社へ利益が残らない状態になりやすくなります。

背景

発注者の予算と低価格競争に年間利益を左右される受注構造

薄利になりやすい背景には、受注単価を自社だけで決めにくい構造があります。

この会社は、複数の大手企業や元請けから仕事を受けています。取引先は分散されていますが、案件の予算は発注側の担当者が握っています。

「担当者が持っている予算で、こちらの年間利益がある程度決まってしまうんです」

受注前に予算があると聞いても、実際には条件が合わないことがあります。自社が必要とする最低単価を大きく下回る金額で仕事を受ける事業者もいるため、施工会社が不足していても、必ずしも単価が上がるとは限りません。

「自分たちの最低ラインよりかなり低い金額で受けるところがあります。そこへ仕事が集まって、最後は施工する人が見つからないこともあります」

既存の取引先から依頼があっても、採算が合わなければ受けない判断を始めています。

「必要な粗利率を確保できないなら、今はやらないと伝えています」

これは取引先を選り好みするという話ではありません。限られた施工力と管理時間を、利益が残る案件へ振り向けるための判断です。

売上を伸ばしてきた会社ほど、ここで難しさを感じます。案件を断れば、短期的な売上は下がります。数年以内に売上目標を掲げている場合は、なおさら迷います。

一方で、薄利案件を受け続ければ、協力会社の手配や品質管理に追われます。利益重視への転換とは、単に単価の低い案件を断ることではありません。売上目標より先に、会社として残したい利益と時間を定め直すことです。

解決

案件別採算と受注条件をそろえ、利益が残る受注経路へ切り替える進め方

最初に整理したいのは、案件ごとの売上ではなく、受注後に残った利益です。

同じ受注金額でも、自社施工できる案件と外注比率が高い案件では採算が異なります。さらに、協力会社との調整、品質確認、安全管理、手直し対応まで含めると、帳簿上の粗利益だけでは負担を捉えきれないことがあります。

まず、直近の案件を次の項目で並べます。

  • 受注金額
  • 協力会社への発注額
  • 自社が投入した人数と日数
  • 発注・進捗確認にかかった管理負担
  • 手直しや追加対応の有無
  • 最終的に残った粗利益額と粗利率

精密な原価計算から始める必要はありません。利益が残った案件と、忙しいだけで終わった案件の違いを見えるようにすることが先です。

そのうえで、受注判断を「受ける・断る」の二択にせず、次の3つに分けます。

  1. 自社施工を中心に受ける
  2. 条件の合う協力会社へ発注して受ける
  3. 単価や工期を交渉し、合わなければ断る

判断時には、最低粗利率だけでなく、最低粗利益額も見ます。粗利率が同じでも、小規模案件を多数管理する場合と、まとまった案件を管理する場合では、社内の負担が変わるからです。

受注基準として、少なくとも次の点をそろえておくと判断しやすくなります。

  • 最低限確保したい粗利率と粗利益額
  • 自社施工と外注施工のどちらが適するか
  • 品質と安全を任せられる協力会社を確保できるか
  • 管理担当者が無理なく対応できるか
  • 追加工事や条件変更の扱いが明確か
  • 継続受注を含めて、自社に残る価値があるか

「売上になるから受ける」から、「利益と管理余力が残る条件なら受ける」へ基準を変えることが、利益重視への転換点です。

同時に、受注経路も見直します。この会社が力を入れ始めているのは、従来の発注階層の中だけで案件を増やすことではありません。数百万円から数千万円規模の工事を元請けとして受けることや、メーカー、商社との連携です。

たとえば、販売網を持たないメーカーや商社に対して、製品販売後の工事を一括して担う形です。相手は施工体制を確保でき、自社は工事部分の受注経路をつくれます。

新しい取引先を検討するときも、会社の大きさや知名度だけで判断する必要はありません。

  • 自社が価格や施工条件の調整に関われるか
  • 元請けとして採算を組み立てられるか
  • 工事規模が管理負担に見合うか
  • 継続的な受注につながるか
  • 自社の品質基準と相手のニーズが合うか

この判断軸があれば、紹介で出会ったメーカーや商社についても、利益重視の方針に合う相手かを見極めやすくなります。

また、受注後の流れも社長一人に集めないことが大切です。この会社では、将来的に案件を持ってくる役割と、受注後に自社施工・外注施工を振り分ける役割を分ける構想があります。

案件を受けた後に、担当者が採算と施工体制を精査する。外注する場合は発注し、品質と安全を管理する。完了後に採算を振り返り、次の受注判断へ反映する。この循環です。

案件別採算の確認、受注判断、施工先の選定、完了後の振り返りを一つのサイクルにすると、利益重視が社長個人の感覚だけに依存しにくくなります。

まとめ

売上を伸ばせる会社ほど、利益重視への転換には迷いが生まれます。案件を断れば、目標売上から遠ざかるように見えるからです。

ただ、薄利案件を増やし、協力会社の手配や管理に追われれば、売上が伸びてもお金と時間は残りません。

「そんなに忙しすぎず、時間とお金のゆとりがある状態で成長したい」

この言葉は、売上を追わないという意味ではありません。利益の伴う売上だけを積み上げるという、成長の中身を選ぶ判断です。

そのために必要なのは、次の順番です。

  1. 案件別に実際の採算を振り返る
  2. 最低粗利率と最低粗利益額を決める
  3. 自社施工・外注施工・辞退の基準をそろえる
  4. 元請け、メーカー、商社など受注経路を広げる
  5. 受注から施工、管理、振り返りまでの担当を分ける

売上目標を下げるのではなく、利益の残らない売上を減らす。 その整理が、会社の成長と現場のゆとりを両立させる土台になります。

利益が残る案件と受注経路を一緒に整理するために

案件別の採算を見直したくても、「どこまでを原価に含めるのか」「最低利益率をどう決めるのか」「既存取引をどこまで見直すのか」は、自社だけでは整理しにくいことがあります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の収支管理や販路拡大を、現場体制や協力会社の状況も含めて横断的に整理し、実行まで支援しています。

「うちの場合は、どの案件から見直すべきか」「利益重視に切り替えたいが、売上も落としたくない」という段階でも構いません。状況を伺いながら、次に確認すべき数字と判断軸を一緒に整理します。無理にサービスを勧めることはありませんので、考えを整理する場としてご活用ください。

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