前提

首都圏の電気工事会社で起きた「第二新卒2名が入社したが続かなかった」という採用のつまずき

若手職人を採用したい。けれど、採用しても続くか不安がある。

これは多くの専門工事会社で起きている悩みです。ある首都圏の電気工事会社でも、過去に第二新卒の若手を2名採用したものの、受け入れ後の教育体制が整っておらず、結果的に退職につながってしまいました。

新卒のノウハウが全くない」 「教育体制がなく、退職されてしまった

この言葉には、採用そのものよりも深い課題が出ています。

若手採用は、求人を出せば終わりではありません。紹介会社、求人媒体、学校訪問、SNS。入口はいくつもあります。ただ、入社後に誰が教えるのか。何をどの順番で覚えてもらうのか。どの時点で独り立ちと見るのか。そこが曖昧なままだと、せっかく入った若手も会社も苦しくなります。

つまり、若手採用で最初に見るべきなのは、応募数だけではありません。「採った後に育て切れる状態か」です。

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課題

求人媒体や紹介に頼っても、受け入れ側の設計がないと若手は定着しにくい

若手採用を考えると、まず「どこに求人を出すか」に目が向きます。

新卒媒体に載せるのか。第二新卒向けの求人を出すのか。紹介会社を使うのか。知人経由で探すのか。もちろん、採用チャネルの選定は大事です。

ただ、現場の本音としては、そこに費用がかかることへの不安もあります。

紹介してもらったら、別途またお金もかかるんですよね

この感覚は自然です。中小の建設会社にとって、採用費は軽い支出ではありません。だからこそ、採用にお金をかける前に、考えておきたいことがあります。

それは、採用費をかける前に、定着の受け皿をつくることです。

特に若手職人の場合、入社直後から即戦力として動けるわけではありません。工具の名前、現場での立ち回り、安全の感覚、先輩との距離感、元請けや他業者との接し方。覚えることは多いです。

にもかかわらず、教育が「見て覚えろ」「空いている人が教える」「忙しい現場に同行させるだけ」になっていると、若手は自分が成長している実感を持ちにくくなります。

会社側も同じです。「最近の若い子は続かない」と感じる前に、若手が続けやすい入口になっていたかを一度見直す余地があります。

背景

人事部長が社内にいない中小建設会社では、採用戦略と教育設計が社長の頭の中に残りやすい

中小の専門工事会社では、専任の人事担当がいないことが珍しくありません。

社長が採用も見る。番頭や職長が教育も見る。事務方が求人票のやり取りをする。現場は日々動いているので、採用や教育だけに時間を割くのは難しいです。

そのため、採用活動がどうしても場当たり的になりやすくなります。

たとえば、次のような状態です。

  • どんな若手なら自社に合うのかが言語化されていない
  • 求人票に書く魅力が、給与や休日だけになっている
  • 入社後1か月、3か月、半年で覚えることが決まっていない
  • 教える担当者が決まっておらず、現場ごとに任せている
  • 退職の兆しを拾う面談や声かけのタイミングがない

どれも、会社が悪いという話ではありません。

むしろ、現場を回しながら採用まで担っている会社ではよく起きます。問題は、採用と教育が別々の話として扱われてしまうことです。

若手から見ると、入社前に聞いていた話と入社後の現場がつながっているかが大事です。「未経験歓迎」と言われて入ったのに、何を聞いてよいかわからない。誰に相談すればよいかわからない。成長の目安も見えない。そうなると、本人のやる気があっても不安が大きくなります。

会社側から見ると、「せっかく採ったのに、なぜ続かないのか」となります。

このすれ違いを減らすには、求人を強くする前に、入社後の育成ルートを先に描くことが必要です。

解決

若手採用は「誰を採るか」より先に「誰がどう育てるか」から逆算する

若手採用を進めるときは、いきなり媒体選びから始めない方が進めやすいです。

まずは、採用前に次の4つを整理します。

1. 求める若手像を現場の言葉で決める

「若くてやる気がある人」だけでは、採用基準として弱くなります。

たとえば、未経験でもよいのか。第二新卒で社会人経験が少しある人がよいのか。普通免許は必要か。朝が早い現場に抵抗がない人か。細かい作業が好きな人か。チームで動くことに向いている人か。

ここを決めると、求人票の言葉が変わります。面接で見るポイントも変わります。

大事なのは、立派な人物像をつくることではありません。自社の現場で無理なく育ちやすい人を決めることです。

2. 採用チャネルは「欲しい人材像」から選ぶ

人材像が決まると、どこに出すべきかも見えやすくなります。

新卒を採りたいなら、学校との接点や新卒向け媒体が候補になります。第二新卒なら、若手中途向けの媒体や地域の求人導線が合うかもしれません。経験者に近い人材を求めるなら、紹介やダイレクトな声かけも選択肢になります。

ここで大切なのは、媒体ありきにしないことです。

「有名な媒体だから載せる」ではなく、「この人材に届く場所だから使う」と考えます。採用費をかける場合も、応募数だけでなく、入社後に育つ可能性まで含めて判断しやすくなります。

3. 育成担当を決め、現場任せにしすぎない

若手が入った後に一番不安になるのは、「誰に聞けばいいかわからない」状態です。

職長、番頭、先輩職人。誰でもよいので、最初の窓口を決めます。ただし、忙しい人に丸投げするだけでは続きません。

育成担当には、最低限の役割を決めておくとよいです。

  • 初日の説明をする
  • 1週間ごとに困りごとを聞く
  • 現場で覚える作業を確認する
  • 社長や責任者に状況を共有する

これだけでも、若手の安心感は変わります。会社としても、早い段階でつまずきを拾いやすくなります。

4. 入社後3か月までの教育手順を見える化する

若手教育は、最初から完璧なマニュアルをつくる必要はありません。

まずは、入社から3か月までで十分です。

初日に何を説明するか。1週目に何を覚えるか。1か月目でどの作業に触れるか。3か月目にどんな状態なら順調と見るか。

この程度でも、若手本人にとっては道しるべになります。

特に建設業では、現場ごとに状況が変わります。だからこそ、細かい作業手順よりも、成長の目安と相談の流れを決めることが効きます。

教育体制がある会社は、若手にとって「この会社で覚えていけそうだ」と感じやすくなります。採用の魅力も、言葉だけでなく実態として伝わります。

まとめ

若手採用でつまずく会社は、採用力がないというより、採用と教育がつながっていないことが多いです。

新卒や第二新卒を採りたいなら、求人媒体や紹介を検討する前に、まずは自社の受け入れ体制を見直すことが大切です。

整理する順番はシンプルです。

  • どんな若手なら自社で育ちやすいかを決める
  • その若手に届く採用チャネルを選ぶ
  • 入社後に誰が教えるかを決める
  • 最初の3か月の教育手順を見える化する
  • 困りごとを拾う面談や声かけを続ける

若手は、最初から一人前ではありません。だからこそ、会社側が「育つ道筋」を用意できると、採用の成果は変わります。

採用は入口です。定着は仕組みです。

この2つを分けずに考えることが、若手職人を迎えるうえでの大きな一歩になります。

若手採用と教育体制を、うちの会社の順番で整理したい方へ

「若手を採りたいが、何から整えるべきかわからない」 「求人を出す前に、受け入れ体制を見直したい」 「社長や番頭の頭の中にある教育を、会社の仕組みにしたい」

そのような段階でも、整理できることは多くあります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、採用、組織、現場、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。若手採用についても、採用チャネル選びだけでなく、求める人材像、教育担当、入社後の育成手順まで一緒に組み立てていきます。

無理な営業を前提にした案内ではありません。まずは「うちの場合は、どこから考えるべきか」を整理する場としてご活用ください。

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