前提

九州北部の専門工事会社で、仕事量よりも社員数と管理できる人数が受注上限になっている状態

九州北部で専門工事を手がける、20名弱規模の建設会社の話です。

この会社では、営業を強くかけなくても仕事の相談は継続的に入ってきています。むしろ悩みは逆で、仕事がないのではなく、人が足りないために受注を増やせないという状態でした。

代表は、現状をこう話していました。

「自分の社員数と協力業者数、管理できる人数に合わせた仕事の受け方をしているんです。おかげさまで営業しなくても仕事は回ってくるんですけど、一番のネックは社員数が少ないところですね」

さらに、採用が進めば会社の伸びしろは大きいという手応えもあります。

「50人おったら、50人分の仕事はあるんですよ」

ここで大事なのは、単に「採用がうまくいかない会社」という話ではないことです。需要はある。現場もある。けれど、受け切るための人員と管理体制が足りない。この順番で課題が起きています。

必要としている人材も、現場作業員だけではありません。

代表が挙げていたのは、たとえば次のような人材です。

  • 代表の代わりに外回りができる人
  • 見積もり・積算まで見られる人
  • その補助ができる人
  • 数字に強い建築事務・内勤人材
  • 外で動ける作業員

特に印象的だったのは、内勤や管理側が整えば、外で働く作業員40名規模までは十分に回せるという見立てです。採用すべき人を「作業員何名」とだけ見るのではなく、受注を増やすために詰まっている職種を分解している点が、この会社の現在地をよく表しています。

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  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
  • 6月8日防水工事会社兵庫県
  • 6月8日電気設備工事会社神奈川県
  • 6月8日内装工事会社大阪府
  • 6月5日リフォーム会社愛知県
  • 6月5日プラント工事会社香川県
  • 6月5日ビルメンテナンス兵庫県
  • 6月5日内装工事会社長崎県
  • 6月4日防水工事会社東京都
  • 6月4日内装工事会社東京都
  • 6月3日総合建築埼玉県
  • 6月3日空調設備工事会社香川県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

求人媒体には出しているのに、応募数も定着も読みづらく採用が経営計画に組み込めない

この会社でも、採用活動を何もしてこなかったわけではありません。

ハローワーク、Indeed、求人ボックスのような求人検索系サービス、新卒向け媒体など、複数の経路を試してきました。それでも、採用の手応えは安定していません。

代表の言葉は率直でした。

「いろんな媒体に求人を出したりもしたけど、まず効果ないよね」

実績としては、ハローワーク経由で入った人が今も働いている一方で、Indeed経由で来た人はすぐに退職。求人ボックスでは問い合わせはあったものの、その後連絡がつかないケースもあったそうです。

「問い合わせはあったけど、連絡つかずみたいな。業者さんやろうねって」

こうした経験が続くと、経営者側の感覚としては、求人媒体に費用や時間をかけること自体に慎重になります。これは自然な反応です。

ただ、ここで整理したいのは、媒体が悪いかどうかより先に、自社に合う応募経路を検証できる状態になっているかです。

採用媒体は増えています。ハローワーク、Indeed、求人ボックス、新卒系媒体、紹介、人材会社、SNS、学校経由など、選択肢は多くなりました。一方で、建設業の求職者の母数は限られています。

建設業の有効求人倍率は全産業より高く、技能者・技術者の採用難は年々強まっています。求人サービスが増えたから採用しやすくなったのではなく、少ない求職者に対して、会社側の求人が大量に並ぶ状態になっています。

そのため、今は「どの媒体に載せるか」だけでは採用は決まりません。

必要なのは、次の問いに答えられる状態です。

  • どの職種を、何名、どの順番で採るのか
  • その人は地域内にどの程度いるのか
  • 未経験、新卒、中途、外国人材のどこを狙うのか
  • 求職者に何を伝えれば応募理由になるのか
  • ハローワーク、求人検索エンジン、新卒媒体のどこで反応が出ているのか
  • 応募後、面接・入社・定着までどこで落ちているのか

採用を「媒体選び」から始めると、成果が出ない理由が見えにくくなります。採用を経営計画に組み込むには、必要人数と採用経路を数字で見られる形にしていく必要があります。

背景

地方では都市部の採用成功事例をそのまま持ち込んでも母集団が違う

この会社の採用課題で、もう一つ重要だったのが地域性です。

採用支援の話では、よく「建設業に特化しています」「このやり方で採れました」という成功事例が語られます。ただ、地方の建設会社からすると、そこに違和感が残ることがあります。

代表も、はっきりこう話していました。

「よく建設業に特化したって言うけど、それは東京、大阪、名古屋とか、そういう地域がたくさんあるよって話じゃないですか。九州の地方都市でどれだけ差があるのかって話やから。人口の母数が違うから」

これは非常に大事な視点です。

都市部では、求職者数も転職者数も、学校数も、競合企業数も多くなります。地方では、そもそもの母集団が限られます。通勤距離、家族事情、地元志向、給与相場、外国人材の受け入れ環境なども変わります。

この会社では、若手が入りにくい中で、技能実習や特定技能の外国人材にも頼ってきました。代表は、日本人だけにこだわっているわけではありません。

「外国人の労働者を長期で雇用できるように、居心地よくしてやって。日本人が4割、外国人が6割の会社でも全然いいと思うし、日本人だけが欲しいというこだわりは特にないんです」

一方で、管理側や現場をまとめる役割には、日本人社員を一定数置きたいという考えもあります。

「日本人の人数の4倍までの外国人は大丈夫かな」

ここから見えるのは、単純な国籍の話ではありません。現場作業を担う人、現場をまとめる人、数字を見る人、外回りをする人をどう組み合わせるかという組織設計の話です。

また、定着についても、この会社では一方的に「若い人がすぐ辞める」と片づけてはいませんでした。辞める理由を聞き、改善も続けています。

「辞めていく理由はもちろん聞いていて、その辺はずっと改善しているし、長い人は長いですよ」

家族の事情で地元に帰る人とは退職後もコミュニケーションがある一方で、会社と合わなかった人とは自然に距離ができる。そうした温度感も含めて、採用と定着を見ています。

つまり、この会社の課題は「採用に無関心」でも「受け入れ体制がまったくない」でもありません。地域の母集団が限られる中で、必要人材をどう定義し、どの経路で、どんなメッセージで出会うかが整理しきれていないことが本質に近い課題です。

解決

採用媒体を増やす前に、必要職種・地域母集団・訴求・応募経路を順番に見直す

採用を前に進めるには、求人媒体を追加する前に、採用戦略を組み直すことが先です。

ここでいう採用戦略は、難しい計画書を作ることではありません。「誰を、なぜ、どこから、どう口説くか」を会社の実情に合わせて決めることです。

この会社のように仕事量がある場合、まず見るべきは売上目標から逆算した人数ではなく、受注上限を決めているボトルネックです。

たとえば、代表の話からは、次のような整理ができます。

  • 代表が担っている外回り・見積もり・積算を誰に移すのか
  • 内勤を何名増やせば、現場作業員を何名まで支えられるのか
  • 日本人社員と外国人材の比率をどう設計するのか
  • 新卒、未経験、中途、外国人材のどこを優先するのか
  • すぐに必要な人材と、育てていく人材を分けるのか

この順番で整理すると、採用すべき人材像が変わります。

「作業員が足りない」だけで考えると、求人票も作業内容と給与条件の説明に寄りがちです。しかし実際には、会社の成長に必要なのは、見積もり・積算ができる人、数字に強い内勤、現場を支える管理人材かもしれません。

採用したい職種を分けるほど、訴求内容も応募経路も変わります。

たとえば、現場作業員を採る場合と、積算・見積もりができる人を採る場合では、響く言葉が違います。未経験者には「何を覚えれば一人前になれるか」が必要です。経験者には「任される範囲」「裁量」「評価」「働き方」が重要になります。内勤人材には「建設業未経験でも数字や事務経験が活きるのか」が伝わる必要があります。

次に、地域の母集団を見ます。

地方採用では、都市部の成功事例をそのまま使うのではなく、通勤可能圏内にどの層がいるかを前提にする必要があります。ハローワークで反応があったなら、その地域ではハローワークが求職行動の起点になっている可能性があります。

一方で、Indeedや求人ボックスのような求人検索エンジンは、求人票の内容、職種名、勤務地、給与表示、更新頻度、応募導線によって反応が大きく変わります。「出したけど来ない」で終わらせず、表示回数、クリック、応募、連絡率、面接率まで見ていくと、改善点が見えます。

進め方としては、いきなり大きく広告費をかけるより、次の流れが現実的です。

  1. 必要職種と人数を、受注上限から逆算する
  2. 職種ごとにターゲットを分ける
  3. 地域内の母集団と通勤圏を確認する
  4. 求人票の訴求内容を職種別に作り分ける
  5. ハローワークや無料掲載で反応を見る
  6. 反応が出た経路に絞って有料投資する
  7. 応募後の連絡率・面接率・定着率を確認する

ポイントは、最初から「この媒体が正解」と決めないことです。

無料媒体やハローワークを漫然と使うのではなく、反応を検証するために使う。反応が見えたら、そこに投資する。この順番にすると、採用費が「賭け」ではなく「検証と改善」に変わります。

また、外国人材を長期雇用する方針がある会社では、採用戦略の中に受け入れ設計も入れておく必要があります。住まい、生活面、現場での指示系統、言語、資格、将来的な役割などです。ここも求人票だけで完結する話ではありません。

ただし、この会社のように「居心地よくして長期で働いてほしい」という考えがすでにある場合、それ自体が訴求になります。会社が大事にしている受け入れ姿勢を、求職者に伝わる言葉に変えることが採用広報の第一歩です。

まとめ

仕事があるのに人が足りず、受注を抑えざるを得ない建設会社にとって、採用は単なる人手不足対策ではありません。受けられる仕事の量、代表の時間、内勤体制、協力業者との関係、外国人材の活用までつながる経営課題です。

求人媒体に出しても応募が少ない。来ても続かない。地方では都市部の成功事例がそのまま使えない。こうした悩みは、建設業では珍しくありません。

ただ、打ち手がないわけではありません。

まずは、次の順番で整理することが大切です。

  • 受注を増やすうえで、どの職種が詰まりになっているか
  • 今すぐ必要な人と、育てる前提の人を分けられているか
  • 地域の母集団に合った採用経路を選べているか
  • 求人票が、求職者にとって応募理由になる内容になっているか
  • 無料媒体やハローワークの反応を数字で見られているか
  • 反応がある経路に採用費を寄せられているか

採用媒体を増やす前に、採用の設計図を作る。これだけで、同じハローワークや求人検索エンジンでも使い方が変わります。

仕事がある会社ほど、採用が前に進むと成長の余地が一気に広がります。だからこそ、「とりあえず掲載する」から一歩進めて、自社の地域・職種・受け入れ体制に合った採用戦略として組み立てていきたいところです。

自社に合う採用戦略を整理したいときに

「うちの場合、まず作業員を採るべきなのか、管理側を先に採るべきなのか」「ハローワークは続けるべきか、有料媒体に投資すべきか」「外国人材も含めて、どんな体制を作ればよいか」など、採用の悩みは会社ごとに順番が違います。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用についても、媒体ありきではなく、必要職種、地域の母集団、ターゲット、訴求内容、応募経路の整理から一緒に進めることができます。

「何から整理すべきかわからない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、自社の状況を一度整理する場としてご活用ください。

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