地元採用に限界を感じ、東北・九州まで募集地域を広げようとしている20名弱の土木系専門工事会社
茨城県にある20名弱の土木系専門工事会社では、勤務地周辺に求人を出しても応募がほとんど集まらない状態が続いていました。近隣の同業他社でも同じ傾向があり、経営者からは「地元に出しても来ない。東北や九州から来てもらうことを考えたい」という声が出ています。
一方で、地方から採用する構想だけが先行しているわけではありません。会社では、外国人材を含む複数の社員が利用できる宿舎を準備し、個室と共同キッチンを備える計画を進めていました。必要に応じてアパートを社宅として借り、引っ越し費用を会社が負担する案も検討しています。
勤務地周辺で採用できない会社が募集地域を広げる場合、求人の配信先だけでなく、移住後の住居・生活・育成までを一つの採用条件として設計する必要があります。
1週間で 16件の相談 がありました
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
- 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
- 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
- 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
- 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
- 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
- 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
- 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
- 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
- 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
- 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
- 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
- 7月18日リフォーム会社千葉県人材育成の相談
- 7月17日塗装工事会社栃木県協力会社探しの相談
- 7月17日リフォーム会社岩手県人材確保の相談
- 7月17日総合土木山形県案件獲得の相談
- 7月17日電気設備工事会社愛知県利益率向上の相談
- 7月16日外構工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月16日塗装工事会社大阪府人材育成の相談
「地方に求人を出す」だけでは、遠方の求職者が転職を決める材料が足りない状態
地方採用で起きやすいのは、求人の掲載地域だけを広げ、受け入れ条件の説明が追いつかないことです。
遠方の求職者にとって、転職は勤務先を変えるだけではありません。住む場所を決め、引っ越し、地域での生活を始め、人間関係もつくり直す意思決定です。給与や仕事内容がよくても、次の情報が見えなければ応募には踏み切りにくくなります。
- どのような住居に、いくらで住めるのか
- 個室か相部屋か、キッチンなどの共用部分はどうなっているか
- 引っ越し費用は誰がどこまで負担するのか
- 車が必要な地域なのか、通勤方法はどうなるのか
- 入社後は誰が仕事を教えるのか
- 未経験者は何年ほどで一人前や職長を目指せるのか
- 仕事や生活で困ったときに誰へ相談できるのか
相談企業では宿舎や引っ越し支援の構想がありましたが、こうした情報が求人や採用ページに整理されていなければ、求職者には存在しないのと同じです。
また、「地方から出てくる人は覚悟があるから辞めにくい」という見方だけで採用するのは避けたいところです。移住した人ほど、退職すると住居まで失う可能性があります。会社に残らざるを得ない状態をつくるのではなく、安心して働き続けられる条件を整えることが重要です。
地方採用の課題は応募数だけではなく、求職者が移住後の生活と成長を具体的に想像できないことにあります。
近隣企業との競争や地元の人間関係が強く、給与を上げるだけでは動かない採用市場
採用対象地域は、人口の多さだけで決められません。地域ごとに、建設人材の給与水準、競合企業の数、地元でのつながり、都市部への移動しやすさが異なるためです。
相談企業の周辺は都心にも出やすく、求職者から見れば勤務先の選択肢が多い地域でした。条件を少し上げても、より通いやすい会社や知人のいる会社へ流れやすい構造があります。地元の先輩や仲間から声をかけられて入社する採用も多く、求人媒体だけではそのつながりに勝ちにくい面があります。
そのため、経営者は東北や九州のIターン人材まで対象を広げようとしていました。ただし、「地方なら採れる」と一括りにすることもできません。地域によっては地元志向が強く、条件差があっても転居を選ばない人がいます。反対に、現在の給与や働き方に選択肢が少なく、技術を生かせる環境を探している人もいます。
採用対象地域を決める際は、少なくとも次の点を地域別に確認します。
- 同じ職種の求人件数と給与・休日・手当の水準
- 地元企業に残る人と県外転職を選ぶ人の傾向
- 自社の勤務地まで移動する理由をつくれるか
- 宿舎や社宅、引っ越し支援を含めた実質的な条件差
- 求人媒体で対象地域へ情報を届けられるか
求人媒体には配信範囲や検索表示の限界もあります。自社が見せたい地域と、実際に求人が表示される地域が一致しているかを確認し、必要に応じて採用サイト、求人媒体、学校訪問などを組み合わせる視点が必要です。
採用対象地域は「人がいそうな地方」ではなく、自社の条件が選ばれる余地と、移住する理由がある地域から決めます。
採用地域の選定、住居と生活の設計、入社後の育成を順番に整える進め方
地方採用は、求人掲載から始めるより、受け入れ条件を固めてから発信した方が進めやすくなります。順番は次のように整理できます。
1.採用したい人物像と地域をセットで決める
まず、即戦力の職長を採るのか、未経験の若手を育てるのかを明確にします。必要な経験や資格が違えば、選ぶ地域と伝える内容も変わるためです。
そのうえで、候補地域ごとに同職種の求人条件を調べます。給与額だけでなく、休日、手当、通勤、住居支援まで並べ、自社がどこで選ばれる可能性があるかを見ます。
「誰を採るか」と「どの地域から採るか」は別々に決めず、地域ごとの競合条件と合わせて設計します。
2.住居と引っ越し支援を曖昧な福利厚生にしない
宿舎や社宅は、用意しているだけでは十分に伝わりません。相談企業のように個室と共同キッチンを備えるのであれば、写真や間取りとともに具体化します。
整理したい項目は、家賃や水道光熱費の本人負担、入居可能な期間、家具・家電の有無、職場までの距離、引っ越し費用の負担範囲です。アパートを会社で借りる場合も、契約名義や退職時の扱いまで先に決めておくと、入社後の行き違いを減らせます。
周辺の買い物環境、医療機関、交通手段など、生活を始めるために必要な情報も採用ページにまとめます。遠方の求職者にとっては、会社案内と同じくらい大切な情報です。
社宅・宿舎は「あります」で終わらせず、費用、設備、通勤、周辺生活まで判断できる情報にします。
3.入社後の育成と相談先を決める
地方から迎える人に限らず、入社後に「誰が教えるのか」が曖昧な会社では定着しにくくなります。特に未経験者には、一人前や職長になるまでの道筋を見せる必要があります。
相談企業でも、「何年で技術を身につけられるのか」「どうすれば職長になれるのか」が明確でないことが課題として挙がっていました。そこで、入社後に身につける作業、必要な資格、任せる役割を段階ごとに整理します。
あわせて、現場の指導担当と、生活面を含めた相談窓口を決めます。同じ人が担当しても構いませんが、本人が困ったときに誰へ話せばよいかは明示しておきます。
移住後の定着は本人の覚悟に頼らず、育成担当、相談先、職長までの道筋によって支えます。
4.求人と採用サイトの情報を一つにそろえる
相談企業では複数のホームページや求人情報があり、給与や勤務条件の表記が異なる可能性がありました。遠方から応募する人ほど、複数の情報を慎重に比較します。内容が違えば、それだけで不信感につながります。
新しい採用サイトを増やす前に、既存のページを一つに絞り、求人媒体と条件を統一します。そのうえで、次の内容を具体的に掲載します。
- 実際の仕事内容を未経験者にも分かる言葉で説明する
- 自社の職人や社員が働いている写真・動画を使う
- 社長がどのような会社をつくりたいかを伝える
- 宿舎・社宅と引っ越し支援の条件を掲載する
- 入社後の教育内容とキャリアの流れを示す
- 遠方者向けのオンライン面談や現地見学の進め方を示す
「土木作業員募集」だけでは、仕事を知らない人には、暑い、寒い、きついといった印象しか残らないことがあります。何を施工し、どんな技術が身につき、どのような役割を任されるのかまで言葉にすることが必要です。
求人広告は入口にすぎず、遠方応募者が移住から入社後まで確認できる一貫した情報が応募を後押しします。
まとめ
勤務地周辺で応募が集まらない場合、採用地域を広げることは有効な選択肢になります。ただし、東北や九州に求人を表示するだけでは、地方採用の準備が整ったとはいえません。
地域ごとの採用市場と競合条件を確認し、自社が選ばれる可能性のある地域を定める。そのうえで、社宅・宿舎、引っ越し支援、生活情報、育成担当、相談体制を具体化し、求人と採用サイトで同じ内容を伝えます。
地方採用の成否を分けるのは募集範囲の広さではなく、遠方の人が安心して移住し、働き続けられる受け入れ体制です。
地方採用を始める前に、自社の受け入れ条件を整理するために
地方採用を検討していても、「どの地域を狙うべきか」「宿舎や引っ越し支援をどこまで整えるべきか」「求人で何を伝えればよいか」は、会社の工種や勤務地、育成体制によって変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用要件、受け入れ体制、育成計画、求人や採用サイトでの発信内容を横断して整理し、実行まで支援しています。「うちの場合は地方採用が合うのか」という段階からでも一緒に整理できます。無理にサービスを勧めることはありませんので、次の採用方針を考える際の整理先としてお声がけください。































