前提

3年先まで仕事は見えている一方、年間の空きは合計2カ月ほどに限られる内装工事会社

北関東を中心に、工場・学校・病院などの内装改修を手がける10名未満の専門工事会社があります。売上は5,000万円から1億円ほどで推移しており、元請けや一次会社からの受注は増えています。今後2〜3年の現場も、ある程度は見えている状況です。

ただし、年間を通して均等に仕事が入っているわけではありません。夏から秋にかけて空きが生じやすく、合計すると2カ月ほどの余力があります。

一見すると、この空きを埋めるために新規取引先を増やせばよいように見えます。しかし、社長からは次のような話がありました。

「頼もうと思えば仕事を頼める会社はある。でも、受けてしまうと今の職人では年間を通して動けなくなる」

つまり、仕事がない会社ではありません。受注機会はあるものの、現在の職人数では継続的に受けられる量に限界がある会社です。

一方、自社職人を増やせば給与や社会保険などの固定費が増えます。繁忙期だけを見て採用すると、閑散期に人件費が重くなる可能性もあります。

「仕事を取ってから人を増やすのか、人を増やしてから仕事を取るのか」という問題は、受注量ではなく、年間を通じた施工能力の設計として考える必要があります。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
  • 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
  • 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
  • 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
  • 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
  • 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
  • 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
  • 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
  • 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
  • 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
  • 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
  • 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
  • 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
  • 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
  • 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
建設業界のプロ人材による360度経営支援 資料ダウンロード
課題

施工体制がいっぱいのまま営業を強めると、受注できない会社として見られる可能性

現在の施工体制に余裕がない状態で新規開拓を進めても、増えた引き合いを受けられるとは限りません。

とくに、数百万円単位の改修工事や継続案件を発注する会社は、価格や施工実績だけでなく、「必要な時期に必要な人数を出せるか」を見ています。見積もりを求められた段階で「今は職人がいないので難しい」と断ることが続けば、その後の声がかかりにくくなることもあります。

建設業では、同じ元請けや一次会社の現場で複数の協力会社が顔を合わせます。横のつながりがあるため、対応力に関する評価も共有されやすい業界です。

営業でつくった接点を信用に変えるには、見積もり依頼を受けたときに施工可否を判断し、受ける案件には確実に人を配置できる体制が必要です。

今回の会社の場合、年間の大半は既存案件で埋まっています。新規取引先に「空いている2カ月だけ仕事をください」と伝えても、相手の工程がその期間に合うとは限りません。

営業先を増やすほど、次のようなずれが生じます。

  • 既存現場と新規案件の工程が重なる
  • 見積もりはできても施工人員を確保できない
  • 単発案件は受けられても継続取引には対応できない
  • せっかく接点を持った発注会社の依頼を断る

閑散期を埋めるためだけの営業は、年間の施工能力との整合が取れていなければ、売上の安定につながりにくい打ち手です。

背景

固定費を避けたい判断と、仕事を断りたくない判断が同時に存在する経営構造

職人を先に採用することをためらうのは、自然な判断です。仕事量に波がある会社ほど、人件費を固定化することには慎重になります。

一方で、人を増やさずに仕事だけを取りにいけば、現場を納める力が不足します。このジレンマが生まれる背景には、仕事と人を一対一で考えてしまいやすい構造があります。

たとえば「一人採用したら、その一人を年間通して稼働させなければならない」と考えると、採用のハードルは高くなります。しかし、施工能力は自社職人だけでつくるものではありません。一人親方や協力会社を含めて考えると、固定費を抑えながら受注可能な範囲を広げられます。

今回の会社にも、仕事を取ろうと思えば相談できる取引先や知り合いがありました。足りないのは営業先そのものより、受注後に現場へ向けられる職人の基盤です。

新規開拓の前に確認したいのは「仕事があるか」ではなく、「受注したときに自社職人と外部人材をどう組み合わせて納めるか」です。

また、数年先まで案件が見えていることは、採用を検討するうえで重要な材料です。受注見込みがほとんどない状態と、既存案件で年間の大半が埋まっている状態では、同じ固定費でも意味が異なります。

年間の仕事量がある程度見えており、現在の職人がすでに高い稼働状態にあるなら、採用は単なる先行投資ではありません。既存案件を安定して納めつつ、新しい仕事を受ける余力をつくるための基盤整備になります。

人を抱えるリスクだけでなく、人がいないことで受注機会と取引先からの信用を失うリスクも、同じ表に置いて比べることが大切です。

解決

年間稼働率と外注可能範囲を整理し、自社職人と協力会社を段階的に増やす進め方

仕事か人かを一律に決めるのではなく、まず現在の施工能力を月別に見えるようにします。そのうえで、自社採用と一人親方・協力会社のネットワーク構築を組み合わせるのが現実的です。

1.今後12カ月の施工余力を月別に出す

最初に整理したいのは売上目標ではなく、人の稼働です。今後12カ月について、次の項目を月別に並べます。

  • 受注が確定している現場
  • 見込みの高い現場
  • 現場ごとに必要な人数と期間
  • 現在の自社職人で対応できる人数
  • すでに頼める一人親方・協力会社
  • 人手が余る月と不足する月

年間で2カ月空くとしても、全員が同じ2カ月に空くとは限りません。反対に、特定の月だけ複数現場が重なり、数人足りなくなることもあります。

年間平均ではなく月別の不足人数を見ることで、固定雇用が必要なのか、外部の応援で対応できるのかを判断しやすくなります。

2.自社で持つ仕事と外部に任せられる仕事を分ける

次に、現在受けている工事を、自社職人で担いたい範囲と外部に任せられる範囲に分けます。

内装工事であれば、現場管理や品質の中心を自社側で持ちつつ、工程や工種に応じて一人親方・協力会社へ応援を依頼する形が考えられます。大切なのは、単に人数を集めることではなく、自社の施工方法や品質基準に合う相手を増やすことです。

判断軸は次の4点です。

  • 年間を通して必要になる役割か
  • 品質や取引先対応の中核を担う役割か
  • 案件ごとの波が大きい仕事か
  • 既存の協力会社へ安定して頼める仕事か

通年で必要になり、品質の核になる役割は自社採用を検討し、案件ごとの増減が大きい部分は一人親方や協力会社で補うのが基本です。

3.採用だけに寄せず、協力会社の厚みを先につくる

自社職人の採用には時間がかかります。採用できても、すぐにすべての現場を任せられるとは限りません。そのため、採用活動と並行して、一人親方や専門工事会社との接点を増やしておく必要があります。

ここで重要なのは、案件が決まってから慌てて探すのではなく、平時から関係をつくることです。

  • 対応可能な工種とエリアを確認する
  • 稼働できる時期や人数を把握する
  • 小規模な工事や応援から相性を見る
  • 見積もりや支払いなどの条件を事前に整理する
  • 継続して頼める相手を複数確保する

一社だけに依存すると、その会社が埋まった時点で受注能力が止まります。複数の一人親方・協力会社と関係をつくり、工種やエリアごとに頼れる先を持つことが施工能力の安定につながります。

協力会社の厚みとは登録社数ではなく、「いつ、どの工事を、何人で頼めるか」が分かっている関係の数です。

4.施工能力を一段増やしてから営業範囲を広げる

施工体制を完全に整えてから営業を始める必要はありません。ただし、少なくとも新しい案件を一つ受けられる余力をつくってから、営業を強める方が安全です。

進め方としては、次の順序が考えられます。

  1. 既存案件の月別稼働を確認する
  2. 不足する工種と人数を特定する
  3. 一人親方・協力会社の候補を増やす
  4. 必要に応じて中核となる自社職人を採用する
  5. 小規模な応援や分離発注の工事で体制を試す
  6. 対応可能な工事量を確認して営業先を広げる

施工能力が増えれば、これまで断っていた取引先へも声をかけやすくなります。大手設備会社の一次会社や、内装一式を管理している地域の工事会社など、より継続性のある取引先も検討できます。

営業開始の基準は「人が採用できたか」ではなく、「見積もり依頼を受けたとき、誰を配置して納めるかを説明できるか」です。

5.固定費は採用人数ではなく、確度の高い仕事量と比べる

固定費の判断では、将来取れるかもしれない仕事を前提にしすぎないことも大切です。次の順番で受注見込みを分けます。

  • すでに契約・発注されている仕事
  • 発注時期と規模が具体的な仕事
  • 継続取引先から相談されている仕事
  • 新規開拓によって今後獲得したい仕事

上から順に確度が高くなります。確定案件と具体的な見込み案件だけで一定の稼働を確保できるなら、自社採用を検討しやすくなります。新規開拓による未確定案件への対応は、まず一人親方や協力会社を含む柔軟な体制で備える方法があります。

確度の高い仕事で自社職人の固定費を支え、上振れする案件を外部ネットワークで受ける設計にすると、成長と固定費管理を両立しやすくなります。

まとめ

仕事を増やすのが先か、職人を増やすのが先かは、二者択一ではありません。

現在の職人が年間の大半で埋まっており、取ろうと思えば相談できる仕事もあるなら、営業先を増やす前に施工体制を一段強くする意味があります。ただし、必要な人数をすべて正社員で抱える必要もありません。

判断の要点は次の通りです。

  • 今後12カ月の受注見込みと必要人数を月別に整理する
  • 通年で必要な中核人材は自社採用を検討する
  • 仕事量の波は一人親方・協力会社のネットワークで補う
  • 小規模な工事から新しい施工体制を試す
  • もう一件受けられる体制をつくってから営業範囲を広げる

人を増やすこと自体が目的ではありません。受けたい仕事を断らず、任された現場を確実に納められる状態をつくることが、売上の安定と取引先からの信用につながります。

自社に合う施工体制の組み方を整理したい方へ

「採用すべき人数が分からない」「一人親方や協力会社をどう増やせばよいか」「営業を始められる体制なのか判断できない」といった段階では、受注計画と施工能力を一緒に並べるところから始められます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、人材確保、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。自社採用と協力会社ネットワークのどちらに軸足を置くべきかも、現在の案件、人員、固定費負担に合わせて検討できます。

まだ方針が固まっていなくても問題ありません。状況を整理する場としてご利用いただけます。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、今後の施工体制を考える際の選択肢としてお声がけください。

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