前提

20名弱の電気工事会社で、社員は増えているが入口はほぼ紹介に限られている状態

首都圏近郊で電気工事を手がける、社員20名弱の専門工事会社の話です。協力会社も10社ほどあり、社長は「外注さんというより横一線の並びで考えている」と話していました。

社員数は以前より増えており、仕事も一定以上あります。繁忙が読みにくい時期でも予定は埋まり、数年先の案件も見えている。人も仕事も、まったく困っている会社ではありません。

ただ、採用の入口にははっきりした特徴がありました。

「社員は全員紹介です」

求人広告、SNS、ホームページなども試してきたものの、そこから直接応募につながった実感はほとんどない。むしろ入社しているのは、現場で一度一緒に働いた人、別の会社にいた職人、知人経由で声がかかった人です。

この会社では、採用は求人媒体ではなく、現場で会社を見てもらうところから始まっていました。

これは建設業では珍しい話ではありません。特に専門工事会社では、求職者が求人票だけを見て応募するよりも、現場での雰囲気、社長や社員の人柄、段取り、職人同士の関係性を見て「この会社いいな」と感じるほうが、入社のきっかけになりやすいです。

一方で、紹介で人が入ってくる会社ほど、採用を「自然に増えているから大丈夫」と捉えがちです。ここに、次の成長に向けた整理ポイントがあります。

紹介で採れている会社ほど、紹介を偶然任せにせず、採用導線として整える余地があります。

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  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
  • 6月8日防水工事会社兵庫県
  • 6月8日電気設備工事会社神奈川県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

求人広告ではなく紹介で採れているからこそ、紹介が属人的になりやすい

紹介採用の一番の強みは、入社前から会社の空気が伝わっていることです。求人広告から来た人よりも、働くイメージがズレにくい。知人や現場つながりを通じて入ってくるため、まったく知らない人を採るより安心感もあります。

実際、この会社でも入社の流れはかなり現場寄りでした。

「一度一緒に仕事をして、うちを見てもらって、いいなと思って直接連絡が来ることが多いです」

これは非常に強い採用導線です。求人票でどれだけ良いことを書いても、現場での評判には勝てません。特に電気工事や設備工事のように、現場での動き方、職人同士の距離感、元請けとの関係性が見えやすい仕事では、「一緒に働いた感触」がそのまま会社の信用になります。

ただし、紹介採用には弱点もあります。

  • 誰が、どんな人に声をかけているか見えにくい
  • 会社としてほしい人物像が曖昧になりやすい
  • 紹介者への遠慮で、選考が甘くなりやすい
  • 入社後に合わなかった場合、紹介者との関係にも気を使う
  • 社長個人の人脈や現場での評判に依存しやすい

紹介で採れている状態は、とても良い状態です。ただ、紹介採用は「良い人が来たら採る」だけにしておくと、社長や一部社員の人脈に依存します。

この会社の社長も、採用や出会いの場を自分で作る力がありました。異業種の場や人とのつながりから、若い人との接点を持つことも考えていました。しかし同時に、こうも話しています。

「僕一人がそれをずっとやり続けることが正解かとしたら、それは違うと思っています」

ここが大事な分岐点です。

紹介で採れている会社が次に考えるべきなのは、求人広告を増やすことではありません。まずは、社長個人の動きで生まれている紹介を、会社として再現できる形に変えることです。

背景

応募が来ない理由は発信不足ではなく、求職者が会社を信じる順番が違うことにある

求人広告やSNS、ホームページに力を入れても応募が来ない。これは「発信が下手だから」と片づける話ではありません。

建設業、とくに中小の専門工事会社では、求職者が会社を信じる順番が違います。

一般的な採用では、求人を見て、会社を調べて、応募して、面接で判断する流れが想定されます。しかし現場職の場合、特に経験者や職人に近い人ほど、求人情報よりも先に「実際どうなのか」を見ています。

この会社で起きていたのも、まさにその流れでした。

  • 現場で一緒になる
  • 仕事ぶりや雰囲気を見る
  • 社員同士の関係を見る
  • 社長や職長の考え方に触れる
  • 「ここなら良さそう」と思う
  • 直接連絡が来る

つまり、求人広告の前に、現場が採用広報になっているということです。

社長は、ホームページなどにもかなり投資してきたものの、直接的な採用効果は感じにくかったと話していました。

「ホームページを見てくれる方は増えました。でも増えたのは営業電話ばかりで、社員からすると『そんなことより僕らを見てくれよ』という話にもなってしまう」

この感覚は、多くの中小建設会社にとってかなりリアルだと思います。

ホームページやSNSは不要、という話ではありません。むしろ必要です。ただし、役割を間違えると投資対効果が見えにくくなります。

求人広告やホームページだけで応募を取りにいくのではなく、紹介で興味を持った人が最後に安心するための信用補完として使う。この捉え方のほうが、専門工事会社には合いやすいです。

たとえば、現場で会社に興味を持った人は、その場では応募しなくても、あとで会社名を検索します。そのときに、ホームページに次の情報があるだけで安心感は変わります。

  • どんな工事をしている会社か
  • どんな人が働いているか
  • 未経験者や若手がどう育っているか
  • 社長が社員をどう見ているか
  • 協力会社や現場との関係をどう考えているか
  • 休日、給与、資格支援、安全面などの基本情報

反対に、現場で良い印象を持っても、検索したときに情報が少なかったり、実態と違うきれいな言葉ばかりだったりすると、応募の気持ちは弱まります。

紹介採用におけるホームページやSNSの役割は、知らない人を大量に集めることではなく、「知っている人の背中を押すこと」です。

解決

紹介が生まれる条件を分解し、現場の評判・声かけ・見学・選考基準を会社の型にする

紹介採用を安定させるには、紹介を「人の善意」だけに任せないことです。紹介料を出す、社員に声かけを頼む、といった施策だけでは足りません。

まず整理したいのは、なぜ今の社員は紹介で入ってきたのかです。

この会社の場合、ポイントは明確でした。入社前に会社を見ていたことです。一緒に働いた。現場で雰囲気を見た。社員や協力会社との関係を見た。そのうえで「いいな」と感じて連絡が来た。

であれば、紹介採用の仕組み化は、次の4つに分けて考えると進めやすくなります。

1. 現場で「紹介したくなる会社」に見えているかを確認する

紹介採用の出発点は、社員や協力会社が「この会社なら紹介しても大丈夫」と思えることです。

社長がどれだけ採用したくても、現場の人が紹介に前向きでなければ紹介は増えません。逆に、社員が会社に納得していれば、強く頼まなくても自然に声がけが生まれます。

確認したいのは、きれいな理念よりも日常の実感です。

  • 現場で無理な段取りが続いていないか
  • 若手にきつい仕事だけが偏っていないか
  • 給与や手当への納得感があるか
  • 休みや移動の負担が放置されていないか
  • 社長や職長に相談しやすい空気があるか
  • 協力会社を下請け扱いせず、同じ現場の仲間として接しているか

この会社の社長は「従業員にもっと還元したい」「従業員との時間を作りたい」と話していました。これは紹介採用の土台として、とても重要です。

社員に還元されている実感がある会社は、社員が知人に紹介しやすくなります。

紹介制度を作る前に、まず社員が「うちに来ても大丈夫」と言える状態をつくる。ここが最初の一手です。

2. 誰に紹介してほしいかを具体化する

紹介採用でよくある失敗は、「誰かいい人いたら紹介して」とだけ伝えることです。これでは、紹介する側も動きにくくなります。

紹介してほしい人を、現場の言葉で具体化する必要があります。

たとえば、次のように整理できます。

  • 経験者なら、どの工種・どのレベルまで任せられる人か
  • 未経験者なら、どんな性格や生活リズムの人が合うか
  • 年齢層はどこを増やしたいか
  • 将来的に職人として伸ばしたいのか、管理側も視野に入れるのか
  • 既存社員と合いやすいタイプはどんな人か
  • 逆に、技術があっても合いにくい人はどんな人か

この会社では、社長が42歳で、社員は社長より若い人が多く、20代前半の社員もいました。将来的には、さらに若い層を入れて「3段目の層」をつくりたいという考えもありました。

このように年齢構成まで見えている場合は、紹介してほしい人も絞りやすくなります。

紹介採用は、人数を増やすためだけでなく、会社の年齢構成と技術継承を整えるために使うべきです。

「若い人がほしい」ではなく、「今いる30代前後の社員の下に、20代前半の層を数年かけてつくりたい」まで言語化すると、社員や協力会社も紹介しやすくなります。

3. 入社前に会社を見てもらう機会を意図的につくる

この会社の強みは、入社前に現場で会社を見てもらえていることでした。であれば、その機会を意図的につくることが大切です。

紹介された人をいきなり面接に呼ぶのではなく、会社を知ってもらう段階を用意します。

たとえば、次のような流れです。

  • 紹介者から簡単に人柄や状況を聞く
  • 会社側から一度カジュアルに話す
  • 可能であれば現場や事務所を見てもらう
  • 社員や若手と少し話す時間をつくる
  • 仕事内容、きつい点、期待することを正直に伝える
  • そのうえで本人の意思を確認する

建設業の採用では、良いところだけを見せても長続きしません。朝が早い、現場が遠い日がある、夏冬がきつい、資格取得が必要になる。こうした現実も含めて見てもらったほうが、入社後のズレは小さくなります。

紹介された人ほど、入社前に会社の良い面と大変な面の両方を見てもらうことが大切です。

紹介だからこそ、遠慮して説明を省かない。ここが定着につながります。

4. 紹介者任せにせず、会社として採る基準を持つ

紹介採用で一番気をつけたいのは、紹介者との関係を気にして選考が甘くなることです。

「社員の知り合いだから」 「協力会社からの紹介だから」 「昔一緒に働いたことがあるから」

こうした理由で採用を決めると、入社後に合わなかったとき、本人だけでなく紹介者との関係にも影響します。

紹介採用を安定させるには、最低限の選考基準を会社として持つ必要があります。

基準は難しくしすぎなくて構いません。たとえば、次のようなものです。

  • 時間や約束を守れるか
  • 安全面の指示を受け入れられるか
  • 分からないことを聞けるか
  • 周囲と最低限のコミュニケーションが取れるか
  • 仕事を覚える姿勢があるか
  • 会社が大事にしている現場の進め方に合うか

経験者の場合は、技術力だけでなく、前の現場での働き方や人との関わり方も確認したいところです。未経験者の場合は、今できることよりも、続けられる生活リズムや素直に覚える姿勢のほうが重要になることもあります。

紹介は入口であり、採用判断は会社が責任を持って行う。

この線引きをしておくと、紹介者も安心して人をつなぎやすくなります。

5. ホームページやSNSは「応募を取る場所」ではなく「安心してもらう場所」にする

求人広告やSNSで応募が来なかった会社ほど、「発信しても意味がない」と感じやすいです。ただ、紹介採用が中心の会社にとって、発信の目的は直接応募だけではありません。

紹介された人が会社名を検索したときに、実態に近い情報が出てくること。これが大きな役割です。

特に載せたいのは、現場の空気が伝わる情報です。

  • 社員の年齢層
  • 未経験から入った人の成長
  • 資格取得の考え方
  • 協力会社との関係性
  • 社長が社員に還元したいと考えていること
  • 会社が今後どんな層を増やしたいか

きれいな採用コピーよりも、実際の言葉のほうが伝わります。

たとえば、「うちは協力会社も横一線の仲間として考えています」「一度現場を見てもらって、合うかどうか判断してほしいです」といった言葉は、求人広告の定型文よりも会社の姿勢が伝わります。

紹介採用における発信は、会社を大きく見せるためではなく、現場で感じた良さを確認してもらうために使うのが効果的です。

まとめ

求人広告やSNS、ホームページから応募が来ないからといって、採用が弱いとは限りません。建設業では、むしろ現場で一緒に働いた人や知人からの紹介で入社が決まる会社のほうが、実態に合った採用ができている場合もあります。

大切なのは、紹介で採れている状態を偶然で終わらせないことです。

紹介採用を安定させるには、現場での評判、社員の納得感、紹介してほしい人物像、入社前に会社を見てもらう機会、採用判断の基準を整える必要があります。

求人広告を増やす前に、今なぜ紹介が生まれているのかを振り返る。誰が、どんな場面で、どんな人をつないでくれているのかを把握する。そのうえで、社員や協力会社が紹介しやすい言葉と流れを用意する。

これだけでも、紹介採用はかなり安定します。

そしてホームページやSNSは、紹介の代わりではなく、紹介を後押しする信用補完として使う。現場で「この会社いいな」と思った人が、検索したときに安心できる状態をつくる。

紹介で人が入ってくる会社は、すでに採用の強みを持っています。次にやるべきことは、その強みを会社の仕組みに変えることです。

自社の紹介採用を一度整理してみたいときは

紹介で採れている会社ほど、「何となく人が入ってきている」状態のまま走り続けていることがあります。今は困っていなくても、社長の人脈や現場での偶然に依存しすぎると、若手層を計画的に増やしたいタイミングで整理が必要になります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用、人材定着、組織づくり、原価管理、デジタル活用まで、現場の事情を踏まえて横断的に整理し、実行まで支援しています。

「求人広告を出すべきか」だけでなく、「うちの場合、紹介採用をどう仕組みにすればよいか」「社員や協力会社から紹介が生まれる状態をどう作るか」といった段階から一緒に整理できます。

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