施設の空調改修を元請けで管理し、仕事を断るほど受注余力がある12名規模の会社
関西圏にある12名ほどの設備工事会社では、病院や介護施設、工場などの空調更新工事を中心に手がけています。単純な機器交換だけではなく、元請けとして計画を立て、建築や電気を含む関係業者を手配し、現場全体を管理する仕事です。
案件の引き合いには困っていません。むしろ、販路を広げなくても仕事はあり、依頼を断ることもあります。採用にも数年前から取り組み、若手社員が育ったことで業績も上向いてきました。
一方、会社として増やせる技術者は「あと1人か2人くらい」と見ています。
理由は仕事がないからではありません。現場ごとに条件が異なる工事では、受注量よりも、品質・利益・施工リスクを管理できる技術者の人数が会社の上限になるからです。
「仕事を取ろうと思えば取れます。ただ、品質を出しながら利益を残し、リスクまで管理できる人が必要です」
この言葉には、高い技術力を必要とする工事会社が直面しやすい成長の難しさが表れています。
1週間で 18件の相談 がありました
- 8月5日設備保全会社滋賀県人材確保の相談
- 8月5日プラント工事会社東京都協力会社探しの相談
- 8月4日プラント工事会社埼玉県利益率向上の相談
- 8月4日防水工事会社京都府原価管理の相談
- 8月4日造園会社群馬県原価管理の相談
- 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
- 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
- 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
- 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
- 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
- 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
- 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
- 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
- 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
- 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
受注を増やしても、技術責任者が見られる若手はあと1人か2人という成長上限
この会社では、長年現場を経験してきた技術責任者が、工事品質と技術判断の中心を担っています。空調だけでなく、関連する電気設備にも詳しく、現場の条件を見ながら施工方法を組み立てられる存在です。
ただし、その技術責任者が直接見られる若手の人数には限界があります。未経験者を一度に何人も採用しても、指導や確認が追いつかなければ、任せられる工事は増えません。
また、経験者を採ればすぐ解決するとも限りません。実際に、業界経験が長く資格も持つ人を採用したものの、以前の会社との施工方法や重視する基準の違いから、自社のやり方に合わせられないケースがありました。新築工事と改修工事でも、現場の進め方や求められる判断は異なります。
反対に、20代の未経験者が技術責任者の下で3年間働き、大きく成長した例もあります。その人は、自分で調べ、考え、学び続けられるタイプでした。
つまり、必要なのは単なる増員ではありません。現在の育成体制で伸びられる人を採り、技術責任者が品質を確認できる範囲で、一人ずつ戦力化する必要があります。
採用人数だけを追うと、社員数は増えても施工能力は増えず、指導する人の負担だけが重くなる可能性があります。高い粗利を生み出せる人材が必要な会社ほど、この違いは無視できません。
現場ごとの技術判断と工事時期の集中が、採用人数と施工能力を一致させにくい構造
成長を難しくしている背景には、現在の工事がほぼオーダーメイドであることがあります。
施設の空調改修では、建物の用途、既存設備、工事範囲、稼働条件などが現場ごとに異なります。そのため、「この条件なら、この方法で進める」といった判断を、その都度積み重ねなければなりません。
マニュアルどおりに作業すれば一定の品質になる仕事ではなく、技術者の判断そのものが商品になっています。
この構造では、採用した人がすぐ売上をつくれるわけではありません。技術責任者の判断を近くで学び、自分で考えられるようになるまでには時間がかかります。教える側にも、現場を任せながら確認する余力が必要です。
さらに、工事は年間を通じて均等に発生するとは限りません。複数案件の施工時期が重なると、普段は対応できる人数でも、一時的に管理負荷が跳ね上がります。物を仕入れて販売する事業とは異なり、翌月へ簡単にずらせない工事もあります。
そのため、組織を拡大できるかどうかは、次の要素を同時に見なければ判断できません。
- 技術責任者が直接指導・確認できる人数
- 自社の品質基準を守れる技術者の人数
- 案件ごとの施工リスクを判断できる範囲
- 必要な粗利を確保できる案件構成
- 工事が集中する時期の管理負荷
仕事があることと、安全に受注を増やせることは別の話です。
売上目標から必要人数を逆算する一般的な拡大方法よりも、「今の技術体制で、どこまで品質と利益を守れるか」から受注量を決めるほうが、この会社には合っています。
指導可能人数・品質・粗利・繁忙期を基準に、一人ずつ採用と受注を広げる進め方
まず整理したいのは、会社の成長を測る基準です。売上高や社員数だけではなく、技術責任者の判断を受け継ぎ、自社の基準で工事を任せられる人数を中心に置きます。
この会社が考えている「一人採用し、馴染んで育ったら、もう一人採用する」という進め方は、慎重すぎるものではありません。オーダーメイド型工事では、品質と利益を守りながら成長するための合理的な方法です。
実際に進める際は、採用と受注を次の順序で連動させると整理しやすくなります。
- 技術責任者が現在見られる人数を確認する
- 一人を採用し、自社の施工方法や判断基準を学んでもらう
- 現場調査、提案、工事計画、協力業者の手配など、任せられる範囲を確認する
- 品質と粗利を維持できているかを見る
- 工事が重なる時期でも管理できる状態になってから、次の採用と受注を進める
ここで重要なのは、在籍期間だけで戦力化を判断しないことです。3年働いたから任せるのではなく、自社が重視する品質、利益、施工リスクの考え方に沿って判断できるかを見ます。
採用基準も、年齢や経験年数だけでは決められません。経験者であっても自社の方法に適応できない場合がある一方、未経験でも自ら学び、技術責任者の考え方を吸収できる人は伸びる可能性があります。
採用時に見るべきなのは、完成された技術力だけではなく、自社の技術基準に適応し、自分で学び続けられるかどうかです。
既存事業を無理に大きくしない選択
もう一つの選択肢は、現在のオーダーメイド型工事を無理に拡大せず、標準化しやすい工事を別事業として設計することです。
相談企業でも、店舗向けの空調工事など、現在よりパッケージ化・マニュアル化しやすい事業への関心がありました。工事内容や判断範囲をある程度そろえられれば、必ずしも現在と同じ水準の技術判断を全員に求めずに済む可能性があります。
ただし、標準化しやすいだけで事業を選ぶのは十分ではありません。家庭用空調工事のように、繁忙期が短く、単価が厳しい領域もあります。別事業を検討するときは、少なくとも次の点を確認したいところです。
- 工事内容を一定の型にまとめられるか
- 現場ごとの技術判断をどこまで減らせるか
- 必要な粗利を確保できるか
- 特定の時期だけに案件が集中しないか
- 既存の技術責任者に確認業務が集中しないか
特に最後の点が重要です。新しい事業を始めても、すべての判断が同じ技術責任者に戻ってくるなら、組織の上限は変わりません。
既存事業は少人数の高技術・高収益型として守り、標準化できる工事は別ラインで育てるという考え方が、組織拡大の現実的な選択肢になります。
まとめ
高い技術力が必要な工事会社では、仕事を増やせば会社も大きくなるとは限りません。現場ごとの判断が多いほど、技術者の育成速度と、指導する人の確認能力が成長の上限になります。
そのため、拡大の基準は売上や受注件数だけではなく、指導可能人数、品質、粗利、施工リスク、案件が集中する時期を含めて考える必要があります。
- 採用は一度に増やさず、一人が戦力化してから次へ進む
- 経験年数より、自社の技術基準への適応力を見る
- 受注量は、技術責任者が品質とリスクを管理できる範囲で増やす
- 既存事業を無理に拡大せず、標準化しやすい工事を別事業として検討する
会社を大きくすることより、任せられる技術者を一人ずつ増やすことが、結果として持続的な成長につながります。
技術者を何人まで育てられるか、一度整理してみませんか
「仕事はあるが、何人まで採用してよいかわからない」「技術責任者に負担が集中している」「既存事業とは別に、標準化しやすい工事を検討したい」といった段階では、採用だけを切り離さず、教育体制、受注量、粗利、施工リスクを一緒に整理することが大切です。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。「うちの場合はどう考えるべきか」「何から整理すればよいかわからない」という段階でも構いません。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、状況整理の相手として気軽にお声がけください。































