前提

60歳前後の社長と同年代の専属職人が支える、後継者未定の軽鉄・ボード工事会社

栃木県南部を中心に、軽鉄工事とボード工事を手がける専門工事会社があります。創業から20年以上。売上は直近数年で6,000万円から9,000万円ほどを推移しています。

社内は社長と現場社員1名。そこに専属の職人が4名ほど加わる施工体制です。社長は現場から離れ、事務作業や取引先との調整などを一手に担っています。

主要取引先との付き合いは約20年。工場や学校、病院などの新築工事を中心に、2年先、3年先の現場情報まで見えています。ただし、実際の施工時期には偏りがあります。夏場は仕事が薄く、10月以降は現場が重なるほど忙しくなる年もあります。

社長は60歳前後。専属職人も同年代が中心で、「10年は難しいだろう」と見ています。自身は65歳頃を一つの区切りとして考えていますが、その後の会社については決めていません。

「会社の借金を全部清算して閉めるのも一つの手です。社員が社長をやると言うなら、そのまま譲る方法もあります」

後継者が決まっていなくても、事業承継の準備は始められます。むしろ、承継・第三者への譲渡・廃業のどれにも移れる状態をつくることが、最初の準備です。

1週間で 18件の相談 がありました

  • 8月5日設備保全会社滋賀県人材確保の相談
  • 8月5日プラント工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 8月4日プラント工事会社埼玉県利益率向上の相談
  • 8月4日防水工事会社京都府原価管理の相談
  • 8月4日造園会社群馬県原価管理の相談
  • 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
  • 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
  • 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
  • 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
  • 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
  • 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
  • 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
  • 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
  • 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
  • 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
  • 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
  • 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
  • 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
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課題

65歳で閉めるか社員に譲るかを「その時」に決めるほど、選べる道は少なくなる

この会社の悩みは、後継者がいないことだけではありません。引退時点の会社の状態がまだ読めず、誰に譲るか、そもそも残すべきかを判断できないことが本質です。

社長は「5年後、10年後のために、今から焦って人を入れるより、その時の状況で決めてもいいのではないか」と話します。会社を必要以上に大きくしたいわけではなく、現状を維持しながら仕事が安定していればよい、という考えです。

その感覚は自然です。社員が承継を希望するとは限りません。専属職人の年齢を考えると、今の施工体制がそのまま残るとも限りません。忙しい時期に合わせて人を抱えれば、閑散期の固定費が重くなります。

一方で、65歳になってから社員の意思を確認し、借入金を調べ、取引先や職人に説明し始めるのでは、準備できる時間が限られます。社員が引き継がないと分かってから第三者への譲渡を考えても、利益や施工体制が不安定であれば、会社を残す選択が難しくなることもあります。

問題は、今すぐ承継か廃業かを決めていないことではありません。判断に必要な材料が、引退までにそろう状態になっていないことです。

背景

借入清算の見通しと仕事の波、施工体制の高齢化が承継判断を難しくする

承継の判断が難しい背景には、売上だけでは測れない会社の事情があります。

まず、仕事量には季節的な波があります。主要取引先の受注自体は伸び、数年先の現場も見えています。それでも建設会社の工程に沿って軽鉄・ボード工事へ入るため、仕事が集中する月と空く月が生まれます。

「3カ月びっちり仕事をして、その後2カ月ほど暇になることがあります。忙しくても、自社でできる量は人数で決まっています」

この状態では、一時的な売上よりも、年間を通じてどれだけ利益と資金が残るかが重要です。社長自身も、引退時には借入金を清算し、赤字を残さず会社を閉じられる状態を望んでいます。

次に、会社の仕事が社長個人に集まっています。現場には出ていないものの、事務作業や経営判断、長年のつながりを通じた受注は社長が担っています。社員は現場作業が中心です。そのため、社員が施工を続けられることと、会社を経営できることは分けて考える必要があります。

さらに、専属職人も社長と同年代です。会社だけを引き継げても、施工を担う人が同時期に離れれば、受注を継続できません。長年の取引先があっても、現場を納められる体制がなければ承継は成り立ちにくくなります。

整理すべきなのは、次の五つです。

  • 65歳時点で借入金がどこまで減っているか
  • 閑散期を含め、年間で利益と資金が残っているか
  • 主要取引先との関係を次の人へ引き継げるか
  • 社員と専属職人で施工体制を維持できるか
  • 社員本人に経営を引き受ける意思があるか

借入金、利益、取引先、施工体制、社員の意思。この五つが見えれば、承継・譲渡・廃業のどこへ進むべきかを判断しやすくなります。

解決

承継・譲渡・廃業のどれにも移れる状態を65歳まで段階的につくる

準備を始める時期は、後継者が決まった後ではありません。引退まで5年から7年ほどあるなら、今から会社の状態を整理し、毎年更新していくのが現実的です。

大がかりな組織変更や採用から始める必要はありません。まずは、三つの段階に分けて進めます。

1.今から半年で、会社の現在地を一枚にまとめる

最初に行うのは、将来予測を完璧に当てることではなく、判断材料を同じ場所に集めることです。

具体的には、次の内容を整理します。

  • 借入金の残高と返済予定
  • 過去3年程度の売上、利益、閑散期の資金状況
  • 主要取引先ごとの売上、受注時期、今後見えている現場
  • 社員と専属職人の年齢、担当業務、今後働ける見込み
  • 社長が担当している事務、受注調整、取引先対応

この会社の場合、売上には幅がありますが、2年先、3年先の現場情報はあります。年間売上だけを見るのではなく、どの取引先から、どの時期に、誰が施工する仕事が入るのかまで分けると、引退時点の姿を考えやすくなります。

借入金についても、「65歳までに返す」という目標だけでなく、現在の利益水準が続いた場合の残高を年ごとに確認します。廃業を選んだ場合に清算できるか、承継を選んだ場合に次の経営者へ負担を残しすぎないかを見ていきます。

2.毎年、社員の意思と施工体制を少しずつ確認する

社員への承継は、社長の希望だけでは決まりません。社員本人が現場を続けたいのか、職長や管理側へ進みたいのか、経営まで担いたいのかによって準備が変わります。

いきなり「会社を継ぐか」と結論を求める必要はありません。まずは今後の働き方を聞き、経営に関心があるなら、社長が担っている業務を一部共有していきます。

確認したいのは、例えば次のような内容です。

  • 取引先との打ち合わせを担えるか
  • 現場と職人の配置を判断できるか
  • 見積もりや事務作業に関わる意思があるか
  • 会社の借入金や収支を理解する意思があるか

同時に、専属職人とも今後の働き方を確認します。社員が承継を希望しても、施工体制が維持できなければ受注は引き継げません。新たな人員を急いで増やすのではなく、誰が何年ほど働けそうかを把握し、必要な施工量とのずれを見ることが先です。

3.引退の3年ほど前から、優先する道を絞る

65歳を区切りとするなら、62歳頃までには優先する選択肢を絞っておきたいところです。最終決定ではなく、第一候補と第二候補を決めるイメージです。

社員に意思があり、取引先と施工体制を引き継げるなら、社内承継を軸にします。社員への承継が難しくても、利益が残り、継続的な取引と施工体制があるなら、第三者への譲渡を検討できます。

どちらも難しい場合は、廃業を後ろ向きに捉える必要はありません。借入金を清算し、進行中の工事や取引先、社員、専属職人への対応を余裕を持って進められるなら、計画的な選択になります。

判断の目安は、次のように分けられます。

選択肢

主に確認したい状態

社員への承継

本人の意思があり、経営実務と取引先対応を段階的に引き継げる

第三者への譲渡

利益、取引先、施工体制に継続性があり、社長が離れても事業が回る見込みがある

廃業

借入金を清算でき、工事・取引先・働く人への対応を計画的に終えられる

承継準備と廃業準備は、途中まで共通しています。借入金を減らし、利益を残し、取引先と施工体制を整理するほど、どの道も選びやすくなります。

まとめ

後継者が決まっていない段階で、無理に「会社を残す」「閉める」と決める必要はありません。ただし、判断材料の整理まで先送りすると、引退時に選べる道が少なくなります。

今回のように、長年の取引先があり、数年先の現場も見えている会社には、積み上げてきた事業基盤があります。一方で、仕事の波や職人の高齢化、社長に集まった業務を考えると、売上だけで将来を判断することもできません。

まず整理したいのは、次の五つです。

  • 借入金を引退時までに清算できるか
  • 閑散期を含めて利益が残っているか
  • 取引先との関係を引き継げるか
  • 施工体制を維持できるか
  • 社員に承継の意思があるか

今決めるべきなのは会社の最終的な行き先ではなく、数年後にも承継・譲渡・廃業を選べる会社の状態です。

承継か廃業かを決める前に、会社の現在地から整理する

「社員に継いでもらえるのか分からない」「借入金をどこまで減らせばよいか」「会社を残す価値があるのか判断できない」といった段階でも、整理は始められます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、組織、原価、資金、人材、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。事業承継だけを切り離さず、現在の利益や取引先、施工体制を踏まえて、将来の選択肢を一緒に組み立てます。

まだ方向性が決まっていなくても問題ありません。何から確認すべきかを整理するところから進められます。無理にサービスを勧めることはありませんので、会社のこれからを考える際の情報整理先としてご活用ください。

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