大手住宅メーカーとの取引口座は多いものの、戸建て外構工事の売上が4億円台から3億円前後まで減った会社
山口県西部で戸建て住宅の外構工事を手がける、10名弱の専門工事会社があります。新築工事が全体の約8割です。大手住宅メーカーを中心に、複数社と長く取引してきました。
社員は見積もりや現場管理を担い、施工は20名を超える協力職人のネットワークと連携して進めています。この協力体制は、創業当初から約30年かけて築いてきたものです。
過去には大型団地の共同分譲に関わり、その流れで多くの住宅メーカーに業者登録しました。団地内の工事だけでなく、「別の現場もお願いしたい」と声がかかるようになり、取引先を広げてきた経緯があります。
ところが、近年は地域の新築物件が減少。ある大手住宅メーカーでは支店が営業所規模に縮小し、元請け本体から施工子会社へ仕事を集約する流れも強まりました。
「登録は残っていても、実際の現場はほとんど回ってきません」
売上は以前の4億円台から、直近では3億円前後まで減りました。人手不足で施工できないのではありません。施工体制はあるのに、受注する仕事のボリュームが減っている状態です。
1週間で 16件の相談 がありました
- 8月4日プラント工事会社埼玉県利益率向上の相談
- 8月4日防水工事会社京都府原価管理の相談
- 8月4日造園会社群馬県原価管理の相談
- 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
- 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
- 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
- 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
- 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
- 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
- 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
- 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
- 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
- 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
- 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
取引先の数ではなく、実際に仕事が流れる発注経路をつくり直す必要性
この会社は、取引先が少ないわけではありません。大手住宅メーカーを含め、多くの会社に登録されています。それでも売上が落ちました。
業者登録や過去の取引実績があっても、現在の発注経路に入っていなければ案件は増えません。
以前は元請け本体との関係から仕事が回っていました。しかし、現在は施工子会社が案件を受け取り、その下にいる協力業者へ振り分ける構造です。元請け本体との関係が深くても、施工子会社との接点が薄ければ優先的には声がかかりません。
既存取引先でも状況は同じです。登録業者が複数いるため、案件が均等に配分されるとは限りません。物件数そのものが減れば、昔から関係の深い会社や現在の担当者が使いやすい会社へ仕事が寄りやすくなります。
「なぜ他社に仕事が流れているのでしょうか」と確認すると、「昔からの付き合いが大きいのではないか」という認識でした。
ここで必要なのは、登録先をやみくもに増やすことではありません。既存取引先のどこに案件があり、誰が発注を決め、何を満たせば再び仕事を任せてもらえるのかを整理することです。
市場縮小と発注経路の変更に、既存業者との関係性が重なった受注減
受注減の背景には、主に三つの変化があります。
- 地域の新築戸建て市場が縮小し、発注される外構工事の総量が減った
- 元請け本体から施工子会社へ、仕事を集約する形に変わった
- 施工子会社の下には既存業者が複数おり、過去からの関係性が配分に影響している
以前は、大型団地の開発に複数の住宅メーカーが参加し、販売活動や街並みづくりを共同で進める機会がありました。その場で施工に協力したことが、別案件の受注にもつながっていました。
しかし、団地開発が一段落し、市場全体の「パイ」が小さくなると、その周辺で発生していた紹介案件も減ります。
「少し別の現場もお願いします、という形でもらえていました。でも、パイが小さくなって、こちらまで回ってこなくなったのが実情です」
この状況では、以前と同じように待っていても受注は戻りにくくなります。一方で、焦って取引先を増やせばよいとも限りません。
過去には、案件数の多い大手企業でも、協力会社として良好な関係を築きにくいと判断し、取引をやめたケースがありました。大手だから必ず安定するわけではありません。
案件数だけで取引先を選ぶと、単価や収益性、発注の波、現場対応の負荷によって、売上が増えても経営が安定しない可能性があります。
重要なのは、会社名の大きさではなく、自社の施工体制と無理なくかみ合う取引先かどうかです。
既存取引先の再接続を優先し、小規模案件から発注実績を積み直す進め方
最初に取り組みたいのは、既存取引先の棚卸しです。すでに複数の大手住宅メーカーと登録・取引実績があるため、接点のない企業へ一から営業するより、過去の関係を現在の発注経路につなぎ直すほうが進めやすい可能性があります。
1.取引先を「登録の有無」ではなく現在の受注状況で分ける
取引先ごとに、少なくとも次の項目を並べます。
- 現在も継続的に案件がある
- 取引はあるが、案件数が少ない
- 登録はあるが、現在は案件がない
- 過去に取引を終了している
- 発注元や担当部署が変わっている
この会社の場合、元請け本体との関係はあっても、現在の発注を担う施工子会社との関係が薄い取引先がありました。したがって、営業先は元請け本体とは限りません。
「誰と付き合いがあるか」ではなく、「現在、誰が業者を選んでいるか」まで確認することが再開拓の起点になります。
2.既存取引先の深耕と新規開拓に優先順位をつける
既存取引先は、次の三点で優先順位をつけると整理しやすくなります。
- 今後も一定の案件数が見込めるか
- 小規模でも再発注を受けられる可能性があるか
- 単価や工程、対応負荷を踏まえて継続しやすいか
大手住宅メーカーとの取引を強めたい理由は、「安定的に現場をもらえるから」でした。この考え方は自然です。ただし、一社に大きく依存すると、その会社の物件数や発注経路が変わった際に、再び売上が揺れます。
既存取引先の深耕を先に進めながら、受注先を複数に分散し、特定元請けへの依存度を徐々に下げる形が現実的です。
新規開拓は、既存先で案件回復の余地が小さいと分かった段階で並行します。会社名だけで候補を選ばず、戸建て新築の外構案件がどの程度あるか、自社の施工エリアと合うか、継続発注が見込めるかを確認します。
3.協力会社ネットワークを「対応できる施工体制」として示す
受注を増やす場面では、施工能力を具体的に伝える必要があります。
この会社には、長年運営してきた協力職人のネットワークがあります。急に現場数が増えても一定の対応ができ、仕事量が安定すれば協力会社をさらに増やせる見込みもあります。
これは大きな強みです。ただ「職人はいます」と伝えるだけでは、発注側は判断しにくいものです。
- 社員が見積もりと現場管理を担当すること
- 20名を超える協力職人と連携していること
- 戸建ての新築外構を中心に対応してきたこと
- 土工、コンクリート、植栽など外構工事を一括で扱えること
- 案件数が増えた場合も施工体制を拡張できること
このように整理すると、発注側も「どの規模の現場なら任せられるか」を考えやすくなります。
営業で伝えるべきなのは会社紹介ではなく、発注後に現場をどう回せるかという具体的な施工体制です。
4.最初から大量受注を求めず、一現場ずつ実績を戻す
過去に取引があったとしても、発注担当者や施工管理の体制が変わっていれば、実質的には再スタートです。いきなりまとまった案件を求めるより、まず一件を任せてもらう進め方が合います。
小規模な現場で、見積もり、工程調整、施工、引き渡しまでを問題なく終える。その結果を次の案件につなげます。
「全部をこちらへ回してほしい」ではなく、「まず一現場から、もう一度実績をつくらせてほしい」と伝えるほうが、発注側の負担も抑えられます。
受注回復は案件数の交渉から始めるのではなく、発注側が再び任せやすい実績を一件ずつ積み直すことから始まります。
5.受注量だけでなく、継続性と収益性で残す取引先を選ぶ
案件が減っている時期ほど、「仕事がある会社ならどこでもよい」と考えやすくなります。ただ、売上を戻した後も取引を続けられるかは別の問題です。
取引先を選ぶ際は、次のバランスを見ます。
- 年間を通じた案件の継続性
- 一件当たりの収益性
- 工程変更や現場対応にかかる負荷
- 協力職人へ安定して仕事を出せるか
- 特定の一社へ売上が偏りすぎないか
- 発注担当者や現場管理者と長く関係を築けるか
案件数の多い大手との関係強化は有力な選択肢です。同時に、現在も案件がある複数社との取引を少しずつ太くすることも欠かせません。
目指したいのは一社から大量に受注する状態ではなく、複数の取引先から継続的に採算の合う案件が入る状態です。
まとめ
大手元請けからの受注が減ったとき、問題は営業不足だけとは限りません。市場の縮小、発注経路の変更、施工子会社との関係、既存業者への配分が重なっていることがあります。
この会社にも多くの登録先があり、長年の施工実績と20名を超える協力職人のネットワークがありました。それでも、現在の発注経路との接点が弱くなれば案件は減ります。
立て直しでは、次の順序が考えやすいでしょう。
- 既存取引先の現在の発注経路を確認する
- 案件の継続性と収益性から優先順位を決める
- 協力会社を含む施工体制を具体的に示す
- 小規模案件から発注実績を積み直す
- 複数の取引先を育て、特定元請けへの依存を抑える
売上を以前の水準へ戻すには、昔の取引関係を待つのではなく、今の発注構造に合わせて関係と実績をつくり直すことが大切です。
自社に合う取引先と開拓の順序を整理したい方へ
取引先の登録は多いのに案件が増えない。既存先を深掘りすべきか、新しい元請けを探すべきか判断しにくい。協力会社を含めた施工能力を、営業先へどう伝えればよいか分からない。こうした段階からでも整理できます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の販路拡大を、現在の取引構造や施工体制、収益性まで含めて整理し、実行まで支援しています。「うちの場合は何から手をつけるべきか」という段階でも問題ありません。
ものづくりに集中できる建設業界に向けて、無理にサービスを勧めることはせず、まず現在地と次の一手を一緒に整理します。





























