前提

10名ほどで年間1億円台の工事を担う、少数精鋭の専門工事会社

鳥取県内を主な商圏とする、10名ほどの専門工事会社があります。長年にわたりインフラ設備工事を手がけ、有資格者と施工実績を強みに、自治体関係、準大手ゼネコン、設備会社などから受注してきました。

会社を大きくすること自体が目的ではありません。現在の人数を大きく増やさず、必要に応じて外部の協力会社と連携しながら、工事売上1億円台を安定してつくる方針です。

そのため、案件が増えた場合も「すべて受ける」のではなく、受注する工事を選ぶことになります。実際に経営者からも「仕事が増えれば、そこは選択になると思います」という言葉がありました。

少数精鋭の会社では、受注量を増やすこと以上に、限られた施工能力をどの案件へ振り向けるかが重要です。

1週間で 16件の相談 がありました

  • 8月4日プラント工事会社埼玉県利益率向上の相談
  • 8月4日防水工事会社京都府原価管理の相談
  • 8月4日造園会社群馬県原価管理の相談
  • 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
  • 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
  • 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
  • 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
  • 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
  • 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
  • 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
  • 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
  • 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
  • 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
  • 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
  • 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
  • 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
  • 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
建設業界のプロ人材による360度経営支援 資料ダウンロード
課題

1,000万円の工事は売上をつくりやすい一方、利益率まで高いとは限らない現実

狙いたい案件を尋ねたとき、答えは大型工事でした。その理由は明快です。

「1,000万円の工事を1件受けるのと、10万円の工事を100件受けるのとでは違います。太い工事があるかないかで、成績にはだいぶ差が出ます」

小口工事を多数こなす場合、現地確認、見積もり、日程調整、請求などが案件ごとに発生します。一定規模の工事を確保できれば、少ない案件数で年間売上をつくりやすくなります。少人数で運営する会社にとって、大型工事を増やしたいという判断は自然です。

ただし、この会社の経営者は「大型だから、単純に利益率がよいとは限らない」とも話しています。原価に労務費を含めた見方では、決算時に2割残るかどうかという感覚であり、理想としてはさらに利益を確保したいという状況でした。

大型工事は売上高が大きい分、次のような条件も大きくなります。

  • 工期中に拘束される職人の人数と日数
  • 材料費や外注費の先行支出
  • 工程変更や待機による人工の増加
  • 追加工事を請求できる条件
  • 他の案件を断ることによる機会損失

見るべきなのは受注金額の大きさではなく、その工事によって最終的に残る粗利と、会社の施工能力をどれだけ使うかです。

背景

太い工事で業績をつくりながら、一社依存は避けたいという受注構造

大型工事を求める背景には、過去の業績から得た実感があります。年間の成績は、一定規模の工事がある年とない年で大きく変わります。小口工事だけで同じ売上を積み上げようとすると、現場だけでなく、見積もりや管理にかかる負担も増えていきます。

一方で、太い工事を安定して発注してくれる取引先へ売上が集中すると、別の課題が生まれます。この会社も、以前は特定の発注先が売上の大きな割合を占めていました。

経営者自身も「主要な取引先が売上の2割を大きく超える状態はまずいと考えていました」と振り返っています。発注者側の体制や予算が変われば、自社の品質や施工力とは関係なく、仕事量が減る可能性があるためです。

ここで難しいのは、大型工事を避ければよいわけではないことです。少数精鋭で売上をつくるには太い案件が必要ですが、一つの案件や一社の発注者に寄りすぎると、翌期以降の振れ幅が大きくなります。

また、工事部門として対応できる売上には上限があります。この会社でも、現在の人数で無理なく担える工事売上は1億円台までという認識でした。案件金額が大きいほど、一件の受注判断が年間の人員配置と収支を左右します。

大型工事の受注判断は、単体の採算だけでなく、年間の案件構成と発注者構成まで含めて考える必要があります。

解決

粗利・人工・資金繰り・実績効果・依存度を一枚で比べる受注判断

大型工事を選ぶときは、売上高から検討を始めても、売上高だけで決めないことが大切です。案件ごとに同じ項目を並べ、受注前の想定と完工後の実績を比較できる形にすると、判断の精度を上げやすくなります。

1.粗利率と粗利額を分けて見る

利益率が同じでも、工事金額が違えば残る粗利額は変わります。一方、粗利額が大きくても、長期間にわたり多くの職人を拘束するなら、効率がよいとは限りません。

受注前には、少なくとも次を見積もります。

  • 契約予定額
  • 材料費、外注費、労務費、現場経費
  • 想定粗利額と想定粗利率
  • 工期と必要人工
  • 1人工当たりの粗利額

大型工事では「いくら売れるか」と同時に、「1人工当たりでいくら残るか」を確認すると、案件間の比較がしやすくなります。

2.工期と人員の拘束期間を確認する

少人数の会社では、工期の長さが他案件の受注余力に直結します。必要人工を月別に置き、既存案件と重ねてみると、繁忙期の偏りや外注が必要になる時期が見えてきます。

判断時には、次の点を確認します。

  • 自社の有資格者を何人配置する必要があるか
  • 他の継続案件と工程が重ならないか
  • 工程変更が起きた場合に人員を動かせるか
  • 外注を使った場合も想定粗利を確保できるか

売上が大きくても、特定の資格者が長期間固定され、既存取引先の仕事を断る状態になるなら、その影響まで含めて採算を見る必要があります。

3.入金までの資金負担を把握する

大型工事では、材料費や外注費の支払いが先行しやすくなります。利益が出る予定でも、入金前の資金負担が大きければ、同時期に受けられる案件が制限されます。

契約前に、前払金や出来高払いの有無、請求と入金の時期、材料・外注費の支払時期を並べます。工程変更で入金が後ろ倒しになった場合も想定しておくと、受注可能な案件規模を判断しやすくなります。

案件の採算と資金繰りは別の論点です。黒字になる工事でも、入出金の時期によっては経営負担が大きくなります。

4.追加工事を利益に反映できる条件を確認する

大型工事ほど、当初の見積もりに含まれない対応が生じたときの影響も大きくなります。追加作業の承認方法、単価、記録、請求時期が曖昧なままだと、現場は動いているのに利益が残らない状態になりかねません。

着工前に、工事範囲と除外範囲を確認し、追加や変更が生じたときに誰の承認を得るかを決めます。日報、写真、使用材料、追加人工を記録し、完工時にまとめて交渉するのではなく、発生時点で共有できる形が望ましいです。

5.次の受注につながる実績かを評価する

大型工事には、当該案件の利益以外にも価値があります。自社の専門性を示せる施工実績になれば、自治体、ゼネコン、設備会社など、別の発注者へ提案するときの根拠になります。

ただし、「大型だから実績になる」とは限りません。評価したいのは、次の受注先に対して自社の施工領域、資格、対応可能な規模を説明できる案件かどうかです。

多少利益率が低くても、今後狙いたい発注者への波及効果が明確なら、戦略的に受ける余地があります。反対に、採算が低く、実績としても活用しにくい案件なら、売上高だけを理由に受ける必要はありません。

6.一案件・一発注者への依存度を受注前に計算する

新しい大型工事を受けた結果、特定の発注者が年間売上の大半を占めるなら、受注後の会社は再び依存度の高い状態になります。

案件単体の評価に加え、受注した場合の年間売上構成を確認します。

  • 最大案件が年間工事売上に占める割合
  • 最大発注者が年間工事売上に占める割合
  • 上位3社への売上集中度
  • 翌期も継続する案件と単年度で終わる案件の比率

大型工事をなくすのではなく、自治体関係、ゼネコン、設備会社など、異なる発注経路から太い案件を持てる状態を目指します。

理想は大型工事を分散して持つことであり、小口工事だけに戻すことではありません。

最初から精密な管理表を作る必要はありません。まずは過去の大型工事を数件並べ、受注額、粗利、工期、人工、入金条件、追加工事、次の受注への波及を振り返ります。そのうえで「利益が残った大型工事」と「売上は大きかったが負担も大きかった工事」の違いを見つけると、自社なりの判断基準をつくれます。

まとめ

大型工事は、少数精鋭の専門工事会社が年間売上をつくるうえで重要です。1,000万円の工事1件と10万円の工事100件では、現場以外の管理負担も大きく異なります。

ただし、大型工事だから利益率が高いとは限りません。受注金額だけでなく、粗利額と粗利率、工期、必要人工、資金繰り、追加工事の条件、実績としての波及効果を確認する必要があります。

さらに、受注後の案件構成と発注者構成まで見なければ、太い工事を獲得した結果、再び一社依存へ戻ることもあります。

大型工事は「大きいから受ける」のではなく、限られた人員と資金を使う価値があるか、受注後も安定した案件構成を保てるかで選ぶことが大切です。

自社に合う大型工事の判断基準を整理するために

「大型案件を増やしたいが、どの条件なら受けるべきか」「粗利と人工をどう比べればよいか」「太い案件を持ちながら発注者依存をどう抑えるか」といった悩みは、会社の規模や施工領域によって答えが変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の案件獲得、原価管理、資金面、組織体制を横断して整理し、実行まで支援しています。まだ課題が明確でなく、「うちの場合は何から整理すべきか」という段階でも問題ありません。

無理に契約や施策を勧めることはありませんので、自社の受注基準や案件構成を見直したいときの整理先としてご活用ください。

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