前提

中国地方の30名弱の専門工事会社が、一次・二次請け中心から大手プラント系との直接取引を増やそうとしている状況

中国地方に拠点を置く、30名弱の専門工事会社の話です。主な工事は、プラント・工場内の足場、とび、配管、電気まわり。売上は3億円台前半で、工種別の比率もおおむね均等に近い状態でした。

強みは、単一工種だけでなく、関連する工事をまとめて受けられることです。社長は自社の強みについて、こう話していました。

「大体、一式の工事が行えるところですね。お客さんからしても楽なんじゃないですか。分離発注しなくていいので」

この言葉には、専門工事会社が上のレイヤーに上がっていくうえで大事な要素が詰まっています。元請け側・上位会社側から見ると、“分けて頼まなくてよい会社”は現場調整の手間を減らせる存在です。

一方で、一式で受けられる会社ほど、受注後の責任範囲は広がります。現場に入る人数、工程の段取り、協力会社の手配、安全書類、品質管理、追加変更への対応まで、自社が見なければならない範囲が増えていきます。

この会社も、すでに数千万円規模の工事から、自社担当分が1億円を超えるような大型現場まで対応していました。さらに、首都圏のデータセンター関連で数億円規模の見積もりにも関わっており、売上は伸びている状況です。

つまり、課題は「仕事がない」ことではなく、「より大きな仕事を取りに行く前に、いまの体制でどこまで受け切れるか」をどう見極めるかにあります。

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  • 6月25日内装工事会社長野県
  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
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課題

大手ゼネコン・サブコン・プラント系の案件は、取れた後に現場が回らなくなるリスクがある

大型案件を取りに行くとき、多くの会社がまず考えるのは「どことつながるか」です。大手ゼネコン、サブコン、プラント系企業、エネルギー関連、データセンター、物流倉庫など、伸びている領域に入っていけるかは大きなテーマです。

ただ、営業先の選定より先に確認したいことがあります。受注後に、既存の職人・協力会社・現場管理者で本当に回せるかです。

実際、販路開拓の話では、次のようなズレが起きやすくなります。

  • 大手との接点はできたが、現場に出せる職人が足りない
  • 見積もりは通りそうだが、常駐できる管理者がいない
  • 既存案件を抱えたまま大型案件を受け、社内がキャパオーバーになる
  • 協力会社を急いで集めた結果、品質や安全管理の目線が揃わない
  • 大手の書類・安全・工程管理の要求水準に対応しきれない

この会社の社長は「特に問題ないです」と話していました。すでに一定規模の現場を経験しており、一式工事の実績もあるため、体制面に大きな不安を感じている状況ではありませんでした。

それでも、上のレイヤーに進むほど、確認すべき粒度は変わります。“今まで回っていた”と“大手案件を継続して回せる”は、似ているようで別物です。

大手案件は、単発で受けるだけなら何とかなる場合があります。問題は、継続取引になったときです。ひとつの大型現場に主力職人や番頭格が張り付くと、既存顧客の現場が薄くなることがあります。急な追加、工程変更、夜間・休日対応が重なると、社長や限られた管理者に負荷が集中します。

大型案件を狙うこと自体は、前向きな成長戦略です。ただし、営業強化だけを先に進めると、受注できた瞬間に組織の弱い部分が表に出ることがあります。

背景

一式対応できる強みがある会社ほど、職人・協力会社・管理者の余力を数字で見えにくくしやすい

この会社の強みは、足場・とび・配管・電気まわりを一式で受けられることでした。プラントや工場の現場では、この幅の広さは大きな武器になります。発注側からすれば、工種ごとに発注先を分けずに済み、工程のつなぎも相談しやすくなります。

一方で、複数工種を扱う会社ほど、キャパシティが見えにくくなります。

たとえば、足場だけを見れば余力があるように見えても、配管側の職人が詰まっている場合があります。電気まわりの対応はできても、現場管理者が別現場に入っていて新規案件に張れないこともあります。協力会社を使えば人数は集まるとしても、プラント現場の安全基準や元請けのルールに慣れている会社ばかりとは限りません。

一式対応の会社は、“できる工事の幅”と“同時に回せる工事の量”を分けて考える必要があります。

今回の会社では、数千万円規模から1億円超の担当工事まで実績があり、首都圏のデータセンター関連の見積もりにも関わっていました。売上も伸びている。だからこそ、次の成長を考える段階では、単に「もっと大きい会社とつながる」だけでは足りません。

見るべきは、次のような現実的な問いです。

  • いま主力で動ける職人は何名いるか
  • そのうち大型プラント・工場案件に慣れている職人は何名か
  • 協力会社を含めると、繁忙期に何名まで動かせるか
  • 現場を任せられる管理者・職長は何名いるか
  • 1億円規模の担当工事を同時に何本まで持てるか
  • 安全書類、施工計画、工程調整を誰が見るか
  • 既存顧客の仕事を落とさずに新規大型案件を入れられるか

こうした問いは、頭の中では何となく分かっていても、数字や表に落ちていないことが多いです。社長の感覚としては「たぶんいける」。現場側も「何とかします」と言う。けれど、大手との取引では、曖昧な余力のまま進めるほど、あとから調整が難しくなります。

大手案件の前に必要なのは、やる気の確認ではなく、稼働余力の見える化です。

解決

販路開拓の前に、受注可能な工事規模と管理体制を棚卸ししてから狙う先を決める

大型案件を取りに行く前にやるべきことは、営業を止めることではありません。営業と並行して、自社が安全に受け切れる案件の条件を決めることです。

特に、一次・二次請け中心から、大手ゼネコン・サブコン・プラント系企業との取引を増やす場合は、次の5つを棚卸しすると判断しやすくなります。

1. 既存職人の稼働余力を、人数ではなく「現場単位」で見る

職人が30名弱いるとしても、全員が同じ現場に入れるわけではありません。既存案件、資格、経験工種、地域、夜間対応、出張可否によって、実際に動かせる人数は変わります。

見たいのは、単純な在籍人数ではなく、“大型案件に投入できる実働人数”です。

たとえば、次のように分けると見えやすくなります。

  • 自社職人のうち、プラント・工場案件に慣れている人数
  • 職長として現場を見られる人数
  • 足場、とび、配管、電気まわりでそれぞれ主力になる人数
  • 繁忙期でも新規案件に出せる人数
  • 既存案件を守るために残すべき人数

ここを整理すると、「この規模なら自社中心でいける」「この規模からは協力会社前提」「この工期では管理者が足りない」といった判断がしやすくなります。

2. 協力会社網を、人数調達ではなく品質・安全の目線で見る

大型案件では、協力会社の存在が欠かせません。ただし、人数を集められるだけでは不十分です。大手案件では、安全書類、入場教育、KY、資格確認、施工手順、報告体制など、現場ごとの要求水準が上がります。

そのため、協力会社は次の観点で見ておく必要があります。

  • プラント・工場現場の経験があるか
  • 大手元請け・サブコンの安全ルールに慣れているか
  • 職長クラスを出せるか
  • 繁忙期にも優先的に応援してくれる関係性があるか
  • 品質トラブル時に一緒に改善できるか

協力会社網は、“何人呼べるか”よりも“どの水準で任せられるか”が重要です。

3. 現場管理者の数を、売上目標より先に確認する

大型案件を受けるとき、職人より先に詰まりやすいのが現場管理者です。社長、専務、工事部長、番頭格が現場を見ている会社では、売上が伸びるほど管理者に負荷が集中します。

特に一式対応の会社では、管理者が見る範囲も広くなります。足場だけでなく、配管や電気まわりとの取り合い、工程調整、他業者との段取り、安全面の確認まで必要になります。

受注できる上限は、職人数だけでなく、現場管理者の数で決まります。

確認したいのは、次のような点です。

  • 1人の管理者が同時に見られる現場数
  • 大型案件に張り付ける管理者の有無
  • 社長が現場管理からどこまで離れられるか
  • 見積、工程、書類、安全対応を分担できているか
  • 次の管理者候補を育てているか

売上を3億円台からさらに伸ばす場合、営業先を増やすだけでなく、管理者の育成・採用・役割分担がセットになります。

4. 対応可能な工事規模を「金額」「工期」「同時本数」で決める

「1億円規模の工事を受けたことがある」ことと、「1億円規模を安定して複数回せる」ことは違います。

大型案件を狙う前に、対応可能な工事規模を次の3つで整理しておくと、無理な受注を避けやすくなります。

  • 金額:自社担当分でいくらまでなら安全に受けられるか
  • 工期:短工期の場合、どの規模まで対応できるか
  • 同時本数:既存案件を含め、何本まで並行できるか

今回の会社のように、数千万円から1億円超の担当工事まで経験がある場合でも、次に狙う大手案件では条件が変わります。首都圏のデータセンター、工場改修、プラント更新などは、工期や安全管理の要求が厳しくなることがあります。

“受けられる最大金額”ではなく、“利益と品質を守って受けられる標準規模”を決めることが大切です。

5. 営業強化と組織強化のどちらを先に進めるかを判断する

営業を先に進めるべき会社と、組織強化を先に進めるべき会社があります。ここを間違えると、せっかく良い取引先とつながっても、継続につながりにくくなります。

営業強化を先に進めやすいのは、次のような会社です。

  • 既存職人と協力会社に一定の余力がある
  • 現場管理者が複数名いる
  • 大型案件の実績がすでにある
  • 安全・品質・書類対応の基本が整っている
  • 既存顧客を守りながら新規案件を入れられる

一方で、組織強化を先に進めた方がよいのは、次のような会社です。

  • 社長や一部の番頭に現場管理が集中している
  • 協力会社の品質にばらつきがある
  • 工程変更や追加対応で毎回社内が混乱する
  • 安全書類や施工管理が属人的になっている
  • 大型案件を受けると既存案件が薄くなる

今回の会社は、一式対応の強みがあり、すでに大型現場の経験もありました。そのため、営業先の開拓は十分に検討できる段階です。ただし、狙う先を決める前に、自社の受注上限と管理体制を言語化しておくほど、商談の精度は上がります。

「うちは何ができます」だけでなく、「この規模、この工期、この体制なら安定して対応できます」と言える会社は、発注側から見ても相談しやすくなります。

まとめ

大手ゼネコン・サブコン・プラント系企業との取引を増やすことは、専門工事会社にとって大きな成長機会です。特に、足場・とび・配管・電気まわりを一式で受けられる会社は、発注側にとっても価値が伝わりやすい存在です。

ただし、販路開拓の前提として、職人の稼働余力、協力会社網、現場管理者の数、対応可能な工事規模、品質・安全管理体制を棚卸しすることが欠かせません。

大型案件は、取ることよりも、取り続けることの方が難しいです。最初の1件を無理して受けるより、自社が利益と品質を守れる条件を整理したうえで、相性のよい取引先を狙う方が、長い目で見て強い営業になります。

営業強化と組織強化は、どちらか一方ではなく順番の問題です。すでに体制がある会社は販路開拓を前に進める。体制に不安がある会社は、先に管理者・協力会社・安全品質の仕組みを整える。その判断ができるだけで、大型案件への向き合い方はかなり変わります。

大型案件を狙う前に、自社の受注キャパを一緒に整理する

「大手との接点を増やしたいが、いまの体制で受け切れるかも見ておきたい」「営業を先に進めるべきか、管理体制を整えるべきか判断したい」という段階であれば、一度、自社の現状を外から整理してみるのも一つの方法です。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、人材確保、組織活性化、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、現場と経営の両方を見ながら、次に取るべき打ち手を一緒に考えます。

「うちの場合はどう考えるべきか」「何から整理すべきかわからない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、状況整理の場としてご活用ください。

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