三重県の専門工事会社が3D CADやAIを自分で試しながらも事業化に悩んでいた状況
三重県を拠点に、仮設・足場まわりの工事を手がける十数名規模の専門工事会社では、3D CAD、3Dスキャナー、3Dプリンター、AI、ロボットまで、かなり早い段階から試していました。
大手ゼネコンでCADが一気に普及していく時代を現場で見てきたこともあり、社長自身のデジタル感度は高い会社です。実際に、複雑な建物で3D CADを使い、モデルを作って、足場の申請書まで持っていった経験もありました。
一方で、社長の言葉は率直です。
「3Dスキャナーとか3Dプリンターを使いますと言っても、それにお金を払わないんですよ」
ここに、中小建設会社のDXでよく起きるズレがあります。技術として面白いことと、発注者が費用を認めることは別物です。
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- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
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- 6月11日総合土木静岡県
- 6月11日プラント工事会社京都府
- 6月11日空調設備工事会社神奈川県
- 6月11日空調設備工事会社茨城県
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- 6月10日総合建築広島県
- 6月10日総合土木奈良県
- 6月10日総合建築東京都
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- 6月9日総合土木北海道
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先進的な技術を試しても発注者が価値を認めず継続収益になりにくいこと
課題は、3D CADやAIを使えるかどうかではありません。誰がその価値を買うのかが決まらないまま導入してしまうことです。
この会社では、3D CADでモデルを作り、申請業務まで対応したことがありました。ただ、その後の継続案件にはつながりませんでした。社長も「それ以後はない」「あまりお金をもらった覚えがない」と話しています。
これは珍しい話ではありません。建設DXは、導入する側から見ると合理的です。図面の見える化、手戻り削減、安全確認、申請書類の品質向上。メリットはあります。
ただし、元請けや発注者側から見ると、次のように受け止められることがあります。
- 便利なのは分かるが、別費用としては見にくい
- 小規模現場では従来のやり方で十分に回る
- 支店や現場単位では判断できても、会社全体の方針にならない
- 施工会社の工夫として吸収され、価格には反映されにくい
特に印象的だったのは、社長の「支店の上の方が持ってこないことには、仕事にはならない」という言葉です。現場担当者が良いと思っても、費用負担を認める決裁ラインに乗らなければ、事業にはなりにくいということです。
小規模現場では手作業の方が早くDXの価値が見えにくいこと
背景には、現場規模と作業内容の問題があります。
社長は、韓国の現場を見に行った際、足場まわりは2Dで対応している場面を見たそうです。理由を聞くと、「そこまでする必要はない」という返答だったといいます。
この感覚は、現場に近い会社ほど分かりやすいはずです。小さい建物、小さい現場であれば、わざわざ3D化するより、手で拾って、頭で段取りした方が早いことがあります。
社長もこう話していました。
「小さい建物だったら、それより減数を引いた方が早いじゃないですか。どうせ引くんだから」
つまり、DXの失敗は“使えない技術”だから起きるのではなく、“使う場面を選んでいない”ことで起きやすいのです。
原価管理も同じです。小規模な会社では、現場で残ればよい、頭の中で十分管理できる、という場面があります。その状態で大きなシステムを入れても、入力の手間だけが増えます。
3D CADもAIも同じです。全現場に広げる前に、どの現場なら手作業より明らかに効果が出るのかを見極める必要があります。
技術の先進性ではなく減らす業務と下げるリスクと費用負担者で導入範囲を決めること
建設DXを投資に変えるには、技術名から考えない方が進めやすいです。「誰の、どの業務を減らすのか」「どのリスクを下げるのか」「誰が費用を認めるのか」から逆算することが大切です。
この会社で可能性が見えていたのは、AIによる現場写真の確認です。社長はローカル環境でAIを動かし、現場写真を読み込ませて、基準や対策を出させる実験をしていました。
背景には、安全指摘のばらつきがあります。
「人によって言うことが違うんです。あの人はこう言ったけど、この人はこう言っている、となる」
安全巡回で指摘が人によって変わると、現場は振り回されます。そこでAIに写真を見せ、危険箇所や確認ポイントを出させる。完璧な判定を求めるのではなく、安全確認のたたき台をそろえる道具として使う発想です。
この進め方なら、導入目的がはっきりします。
- 安全担当者ごとの指摘のばらつきを減らす
- 写真確認の初動を早くする
- 指摘漏れを確認する補助線にする
- 若手や協力会社への説明材料にする
3D CADも同じです。全現場で使うのではなく、効果が出る場面に絞るべきです。
たとえば、複雑な建物、納まりの説明が難しい現場、申請書類の作成負荷が高い案件。こうした場面であれば、3D化の価値を説明しやすくなります。反対に、小規模で単純な現場では、2Dや手拾いの方が合理的なこともあります。
進め方としては、まず次の3点を1枚に整理すると判断しやすくなります。
- 現場側の削減効果:誰の作業時間が何時間減るのか
- 元請け側の安心材料:安全、申請、手戻りのどのリスクが下がるのか
- 費用の置き場所:工事原価に含めるのか、別項目で見積もるのか、元請けの標準運用に乗せるのか
特に重要なのは3つ目です。便利なだけでは、施工会社のサービスに見られます。見積項目、標準手順、元請け側の評価指標のどこに乗せるかまで決めて、初めて投資回収の話になります。
ロボットも同じです。「かっこいいから使う」ではなく、「5人必要だった巡回や確認を2人で回せるのか」「人が行きにくい場所を代替できるのか」まで落とすと、検討の土台に乗ります。
まとめ
建設DXは、先に技術を選ぶと空回りしやすくなります。
3D CAD、3Dスキャナー、AI、ロボット。どれも可能性はあります。ただし、中小の専門工事会社にとって大事なのは、先進的に見えることではなく、現場の負担が減り、リスクが下がり、費用を認めてもらえる形にすることです。
小規模現場では手作業の方が早いことがあります。そこに無理にDXを入れる必要はありません。一方で、複雑な現場、申請負荷の高い仕事、安全指摘がばらつく現場では、技術が効く余地があります。
まずは全社導入ではなく、使う場面を絞る。次に、削減できる業務と下げられるリスクを言語化する。最後に、誰が費用を負担するのかを確認する。
この順番で整理すると、DXは「試して終わり」ではなく、現場で役立つ投資に近づいていきます。
自社のDX投資を現場起点で整理したいときは
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。
3D CADやAIを入れるべきか、どの現場から試すべきか、元請けにどう価値を伝えるべきか。まだ考えがまとまっていない段階でも大丈夫です。
「うちの場合は、どこまでデジタル化すべきか」「今やっている実験を事業につなげられるのか」といった整理から、一緒に進められます。無理な営業はいたしませんので、情報交換に近い温度感でお声がけください。




























