前提

近畿圏の設備系専門工事会社が、工事を増やす前に収益源の持ち方を見直している状況

近畿圏で設備・内装まわりの専門工事を手がける、20名規模の建設会社の話です。代々続く会社で、社長自身も同業で経験を積んでから戻り、長く現場と経営の両方を見てきました。

本業は今も会社の中心です。ただ、今後を考えると、既存工事だけに売上を寄せ続けることに少しずつ限界も見えています。

社長の言葉を借りると、「人が足りていないので、案件がいっぱい来たからといって、できるわけではない」という状態です。

ここで大事なのは、営業を強化すればよい、受注を増やせばよい、という単純な話ではないことです。施工管理者や職人が不足している会社にとって、新規事業の判断軸は「売上が増えるか」より先に、「本業の人員制約を悪化させないか」です。

検討されていた方向性は、大きく見ると次のようなものでした。

  • 設計領域へ入り、より上流から案件に関わる
  • 元請け・直請けに近い顧客接点を開拓する
  • 余剰建材や在庫を業者間で流通させるマッチングサービスを育てる

どれも可能性があります。ただし、同じ「新規事業」でも、必要な人員、収益化までの時間、本業との相性はまったく違います。

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  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
  • 6月8日防水工事会社兵庫県
  • 6月8日電気設備工事会社神奈川県
  • 6月8日内装工事会社大阪府
  • 6月5日リフォーム会社愛知県
  • 6月5日プラント工事会社香川県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

案件を増やしても受けきれない会社では、新規開拓がそのまま成長策にならない

人手不足の会社では、受注機会を増やすほど現場が苦しくなることがあります。

たとえば、設計事務所を開拓したり、地場の工場・管理会社・不動産会社から直請けを増やしたりする動きは、利益率を改善するうえで有効です。下請け構造から少し抜け出し、見積もりや提案の主導権を取りやすくなるからです。

一方で、最終的に工事を請けるのであれば、施工管理者や職人の稼働は必要になります。受注が増えても、現場を回す人が足りなければ、利益率の高い案件を選ぶどころか、既存顧客への対応品質まで落ちかねません。

この会社でも、設計領域への上流展開や直請け開拓には関心がありました。しかし、社長の本音は明確でした。

「それも大事だけど、もう一つのアプリのほうに注力したい。施工管理の人間が本当に少ないので、この事業は全く別で、軌道に乗ればあまりマンパワーを必要としない」

この発言には、中小建設会社が新規事業を考えるうえでの重要な視点が含まれています。既存工事の延長で売上を増やす施策は、利益率改善には効いても、人員不足の根本的な制約からは逃れにくいということです。

つまり、新規事業を選ぶときは、「儲かりそうか」だけでなく、次の問いを置く必要があります。

  • 受注が増えたとき、誰が現場を見られるのか
  • 社長や幹部が動かないと回らない事業ではないか
  • 本業の施工体制を圧迫しない収益源になり得るか
  • 立ち上げ時の泥臭さと、軌道に乗った後の省人化を分けて考えられているか

人が足りない会社ほど、「売れる事業」ではなく「人に依存しすぎない形に育つ事業」を選ぶ必要があります。

背景

若手不足と施工管理者不足が、既存工事依存からの転換を迫っている

背景にあるのは、建設業全体の人材不足です。若い人材の採用が難しく、社員募集をしても思うように集まらない。施工管理も職人も足りない。これは多くの会社で共通する悩みです。

この会社でも、社長は「建設業界全体だと思うが、人手不足や若い人材の不足がある」と話していました。そのうえで、代表になった以上、できることをやっておきたいという思いもありました。

ここで注目したいのが、建材在庫のマッチングサービスという発想です。

工事会社では、現場が終わった後に材料が余ることがあります。品番違い、仕様変更、ロット違い、余裕を見た発注などによって、まだ使える材料が倉庫に残ります。返品できないものも多く、置き場がなければ処分されることもあります。

「倉庫にいっぱいあるけれど、次にいつ出ていくかわからない。会社の中では資産のように残っているが、お金をいつ生むかわからない」

こうした余剰建材は、売る側にとっては現金化したい在庫です。一方で、リフォーム会社や小規模工事会社にとっては、「少量だけ欲しい」「近くなら取りに行ける」「新品同様なら安く使いたい」という需要があります。

ただし、一般向けのフリマアプリに出せばよい、という話ではありません。建設業者同士の取引では、相手の顔が見えること、請求・税務処理ができること、メーカーや問屋との関係を崩さないことが大事になります。転売のように見える形ではなく、あくまで余った材料をプロ同士で融通する設計が必要です。

この事業には、本業との接点があります。材料が余る構造、倉庫に眠る在庫、ロット違いの扱い、リフォーム会社の少量需要、配送しづらい建材の地域性。これらは、現場を知っている会社だからこそ理解できる論点です。

一方で、難しさもあります。社長は「店はできたけれど、商品が並んでいない状態」と表現していました。マッチングサービスは、出品者と購入者の両方がいなければ動きません。最初のユーザーをどう作るかが大きな課題になります。

この事業の本質は、工事を増やすことではなく、建設業の中に眠っている非稼働資産を流通させることです。だからこそ、本業の人員不足と衝突しにくい可能性があります。

解決

新規事業は「人員制約」「既存知見」「立ち上げ順序」の3点で絞り込む

中小建設会社が新規事業を選ぶときは、候補を広げるよりも、先に判断軸を固定したほうが進めやすくなります。特に人手不足が前提にある会社では、次の3つで整理するのが現実的です。

1つ目は、本業の人員制約を悪化させないことです。

設計領域への上流展開や直請け開拓は、利益率改善に向いています。既存の施工力を活かせますし、顧客接点も強くなります。ただ、最終的に工事量が増えるなら、施工管理者や職人の稼働を使います。

そのため、今すぐ大きく進めるなら、受注量を増やすよりも「利益率の低い案件を置き換える」「対応できる範囲で直請け比率を上げる」といった使い方が合います。人が足りない会社で、単純に新規案件数を増やす営業は慎重に考えるべきです。

2つ目は、既存の知見や顧客接点を活かせることです。

建材在庫のマッチングサービスは、まったくの異業種ではありません。現場で材料が余る理由、返品できない商習慣、倉庫に残る資材、プロ同士でないと取引しづらい心理。こうした業界内の理解が、そのまま事業設計に活きます。

この場合、最初の対象は広げすぎないほうがよいです。たとえば、全国の建設会社すべてを狙うのではなく、まずは近畿圏の内装・リフォーム・水回り系など、在庫が発生しやすく、少量需要も見込める工種に絞る。さらに、売上規模も大手ではなく、数億円以下の小規模事業者を中心に見る。

大手は在庫を持ちにくく、購買ルールも固いことが多い一方、小規模なリフォーム会社や内装会社は、余剰材の処分にも少量調達にも関心を持ちやすいからです。

3つ目は、立ち上げ時のマンパワーと、軌道に乗った後のマンパワーを分けて考えることです。

省人化できる事業でも、立ち上げ初期は必ず泥臭い動きが必要です。広告を出せば自然に登録が増える、という段階ではありません。特に業者間サービスでは、最初に「本当に使えるのか」「誰が出品しているのか」「買う側はいるのか」という不安を超える必要があります。

この会社でも、最初は地域と工種を絞り、ジャンルごとに3〜4社ずつ参加してもらい、売買の実績を作る必要があるという見立てでした。ここは非常に現実的です。

進め方としては、次の順番が取りやすいです。

  1. 対象エリアを絞る

まずは自社の商圏に近いエリアに限定し、引き取りが現実的な範囲で始める。

  1. 工種を絞る

内装、リフォーム、水回り、電材など、在庫が発生しやすく、少量需要がありそうな領域に集中する。

  1. 出品者と購入者を同時に集める

出品だけ増えても買い手がいなければ動かず、買い手だけ集めても商品がなければ使われないため、両面を同時に開拓する。

  1. 初期ユーザーの声を拾う

登録の手間、手数料への納得感、名刺や事業者番号による確認、引き取り方法など、使う前に引っかかる点を潰す。

  1. 小さな取引実績を見せられる状態にする

「実際に売れた」「倉庫在庫が現金化できた」「近場で安く買えた」という事例が出ると、次の営業がしやすくなる。

新規事業は、最初から大きく当てにいくより、勝ち筋が見える小さな市場で流れを作るほうが成功確率が上がります。

この整理で見ると、3つの方向性は次のように位置づけられます。

  • 設計領域への上流展開:利益率改善には有効。ただし施工体制への負荷を見ながら進める。
  • 直請け開拓:下請け依存の改善に有効。ただし受けきれないほど案件を増やさない設計が必要。
  • 建材在庫マッチング:本業の知見を活かしつつ、軌道に乗れば施工人員に依存しにくい。ただし初期ユーザー獲得は泥臭く行う必要がある。

人手不足を前提にするなら、まず集中すべきは「人を増やさないと売上が伸びない事業」ではなく、「立ち上げ後に少ない人員で回る可能性がある事業」です。

まとめ

人手不足の建設会社にとって、新規事業は「本業以外で売上を作る手段」であると同時に、「本業の制約をどう和らげるか」という経営判断でもあります。

既存工事の新規開拓は、利益率を上げる可能性があります。設計領域への展開も、上流から案件に関われる魅力があります。ただし、どちらも最終的に工事量が増えるなら、施工管理者や職人の不足という制約を受けます。

一方、建材在庫のマッチングのように、現場で培った知見を使いながら、施工そのものとは別の収益源を作る考え方もあります。もちろん、立ち上げは簡単ではありません。最初の出品者、購入者、取引実績をどう作るかが勝負になります。

それでも、判断軸は明確です。

新規事業を選ぶときは、「売上規模」だけでなく、「本業の人員制約を悪化させないか」「自社の知見を活かせるか」「軌道に乗った後にマンパワーを抑えられるか」で見ることが大切です。

この3つを満たす方向性が見えてくると、あとは対象エリア、工種、初期ユーザー、営業活動の順番を決めていく段階に入れます。

新規事業の優先順位を、現場の人員制約から整理したいときは

新規事業は、アイデアの良し悪しだけでは判断しにくいものです。特に建設業では、現場の人員、既存顧客、協力会社、材料の流れ、原価管理までつながっているため、「どれから始めるべきか」が見えづらくなります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。新規事業についても、売上を増やす話だけでなく、本業の負荷をどう見ながら進めるか、どの顧客層から検証するか、外部の力をどこまで使うかを一緒に整理できます。

「うちの場合は、設計領域に行くべきか」「直請けを増やす余力があるのか」「本業と別の収益源を考えたいが、何から決めればよいかわからない」という段階でも大丈夫です。無理に進める前提ではなく、状況を整理するところからお話しできます。

必要に応じて、お問い合わせはこちらからご相談ください。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、会社ごとの現実に合う進め方を一緒に考えていきます。