前提

30名弱で集合住宅の内装一式を請け負い、将来は買取再販まで見据える建設会社の現在地

首都圏近郊で集合住宅の内装工事を手がける、30名弱の建設会社があります。大手住宅会社からの新築案件が売上の半分ほどを占め、そのほかにも不動産会社や大手発注元との取引があります。内装を一式で請けられることに加え、短期間で多くの職人を集められる動員力が強みです。

その先に描いているのが、自社で物件を仕入れ、設計・施工・販売まで担う買取再販事業です。ただし、着手時期はまだ決めていません。

理由は明確でした。

「今の人数では既存事業と新規事業の両方を取れません。まずは、私たちがいなくても建築の仕事が回るようにしておきたいです」

新規事業を始められない原因は、構想が足りないことではありません。経営者が既存事業から離れたときに、売上・利益・施工品質を維持できるかが見えていないことです。

買取再販は、仕入れ資金だけでなく、物件を探し、収支を判断し、設計・施工・販売を管理する時間も必要です。既存の請負事業で経営者が受注判断や人員手配、施工上の調整を抱えたままでは、新規事業に時間を振り向けにくくなります。

そのため、先に目指すべき状態は単なる増収ではありません。経営者が現場を離れても、既存事業が一定の利益を残しながら回る状態をつくることです。

1週間で 14件の相談 がありました

  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
  • 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
  • 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
  • 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
  • 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
  • 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
  • 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
  • 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
  • 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
  • 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
  • 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
  • 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
  • 7月18日リフォーム会社千葉県人材育成の相談
  • 7月17日塗装工事会社栃木県協力会社探しの相談
  • 7月17日リフォーム会社岩手県人材確保の相談
  • 7月17日総合土木山形県案件獲得の相談
  • 7月17日電気設備工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 7月16日外構工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月16日塗装工事会社大阪府人材育成の相談
  • 7月16日内装工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 7月16日総合建築岐阜県原価管理の相談
建設業界のプロ人材による360度経営支援 資料ダウンロード
課題

売上を増やしても受注判断と人員手配が経営者に残れば、新規事業へ進む余力は生まれない構造

既存事業の基盤づくりというと、安定した発注元を増やし、売上と利益を伸ばすことが最初に浮かびます。この会社でも、職人を遊ばせないこと、買取再販の資金をつくることを目的に、修繕工事などの継続案件を増やす方向が検討されていました。

ただし、案件が増えれば、そのまま経営者の余力が増えるとは限りません。受注量が増えるほど、次の判断も増えるためです。

  • この工事を今の体制で受けられるか
  • 社内の施工管理者を誰にするか
  • 何人の職人を、いつまで確保するか
  • 外注を増やしても利益が残るか
  • 工期が重なったときにどの案件を優先するか
  • 発注元ごとの要求水準に対応できるか

これらを経営者だけが判断している場合、売上が伸びるほど経営者の時間が埋まります。新規事業に投資する資金は増えても、仕入れや事業設計に使う時間がなくなる状態です。

特に注意したいのが、動員力と収益力を同じものとして見ないことです。この会社には「1日、2日あれば70名ほど集められる」という強みがありました。一方で、外注比率が高くなれば外注費が膨らみ、売上が立っても利益率が下がる可能性があります。

また、大手ゼネコンなどから一次で大きな案件を受ける場合は、動員できるかだけでなく、自社の施工管理体制で責任を負えるかも確認しなければなりません。実際に「一次請けになったとき、うちで本当に対応できるのかを先に見てほしい」という慎重な声もありました。

必要なのは案件数を増やすことではなく、自社が安全に受けられる案件の条件を定め、その範囲で再現性のある運営をつくることです。

背景

人を集められる強みがある一方で、施工管理・採算・権限の受け皿が追いつきにくい成長局面

経営者不在で既存事業を回しにくい背景には、営業だけでは解決できない複数の制約があります。

この会社は、大手発注元との関係や内装一式の施工実績を持ち、必要に応じて協力会社を集められます。受注機会をつくる力と工事を動かす力は、すでに一定程度あります。

一方で、受注先の規模が大きくなるほど、現場に求められる管理責任も重くなります。案件を紹介してもらえることと、継続的に利益を残して施工できることは別です。

たとえば、発注元の口座を開設できたとしても、実際の運営では次の条件が問われます。

  • 必要資格や施工実績を備えているか
  • 現場を任せられる施工管理者がいるか
  • 工期の重複を見ながら配置を決められるか
  • 協力会社の品質、単価、稼働状況を把握できているか
  • 見積段階で外注費を含む採算を判断できるか
  • 初回受注後の対応を標準化し、継続受注につなげられるか

このどこかを経営者が個人で補っていると、会社としては回っているように見えても、経営者が抜けた瞬間に判断が止まります。

採用によって人数を増やす場合も同じです。人が増えれば施工能力は高まりますが、配置を決める人、育成する人、品質を確認する人が不足すれば、経営者の管理負担がむしろ増えることがあります。

既存事業の仕組み化で詰まりやすいのは、人員の不足だけではなく、経営者が担っている判断を組織として受け取る準備ができていないことです。

そのため、新規事業に進む前の基盤づくりは、売上、採用、営業のどれか一つだけでは完結しません。受注から施工、収支確認までを一つの流れとして見直す必要があります。

解決

受注上限の把握から施工管理、協力会社、権限移譲までを順番に整える既存事業の仕組み化

仕組み化は、いきなり経営者の仕事をすべて手放すことではありません。まず既存事業の処理能力を見えるようにし、その範囲で受注判断を標準化してから、現場運営と権限を段階的に移す進め方が現実的です。

1.売上目標より先に、現在の受注上限を確認する

最初に整理したいのは、自社が同時に管理できる工事量です。受注上限は、職人の人数だけでは決まりません。

次の項目を案件ごとに並べると、現在の制約が見えやすくなります。

  • 工事種別と工期
  • 必要な施工管理者数
  • 社員と協力会社の必要人数
  • 見込売上、外注費、材料費、粗利益
  • 資金の入出金時期
  • 発注元ごとの提出物や管理負荷

動員できる人数が多くても、管理者が足りなければ受注上限には達しています。反対に、管理体制に余裕があっても、外注単価が上がって利益が残らないなら、受注を増やす意味は薄くなります。

受注上限は「何人集められるか」ではなく、「誰が管理し、いくら利益を残し、資金を回収できるか」で判断します。

2.案件を受ける条件と断る条件を決める

次に、経営者の経験に依存している受注判断を言語化します。すべての案件を同じ基準で見る必要はありません。自社の強みが出る条件を基準にします。

この会社であれば、戸建てよりも集合住宅などの中規模以上の工事が望ましく、内装一式や動員力を生かせる案件との相性がよいという方向が見えていました。

受注基準には、少なくとも次の項目を含めます。

  • 得意な施工領域と建物規模
  • 最低限必要な粗利益率または粗利益額
  • 確保できる施工管理者
  • 協力会社を含む必要人員
  • 工期と既存案件との重複
  • 支払条件と先行支出額
  • 初回取引時に許容できるリスク

基準をつくる目的は、現場に機械的な判断をさせることではありません。経営者へ確認すべき案件と、担当者が判断できる案件を分けることです。

3.施工管理の責任者と代替者を決める

経営者不在でも回る状態をつくるうえで、施工管理の受け皿は欠かせません。案件ごとに責任者を置くだけでなく、その人が不在のときに誰が代わるかまで決めておきます。

責任者に移す業務は、段階を分けると進めやすくなります。

  1. 工程と人員の確認
  2. 協力会社への連絡・調整
  3. 発注元への定例報告
  4. 原価の途中確認
  5. 工期変更や追加工事への一次判断

最初からすべての判断を任せる必要はありません。たとえば、一定金額以上の追加工事や、予定粗利益を下回る変更だけを経営者決裁に残す方法があります。

権限移譲は役職を与えることではなく、「どこまで自分で決め、どこから上げるか」を明確にすることです。

4.協力会社を人数ではなく、対応条件で管理する

短期間で多くの職人を集められる力は大きな強みです。ただし、経営者の個人的なつながりだけで手配していると、経営者不在時に再現できません。

協力会社については、名簿をつくるだけでなく、次の条件を整理します。

  • 対応できる工種
  • 対応可能な人数と地域
  • 単価の目安
  • 現場責任者の有無
  • 得意な建物規模
  • 過去の品質、工期、安全面の実績
  • 連絡窓口と手配方法

これにより、「70名集められる」という強みを、経営者個人の人脈から会社の供給力へ変えられます。同時に、外注費を含めた採算判断もしやすくなります。

5.経営者が抜ける時間を少しずつ増やす

仕組みができたかどうかは、マニュアルの数ではなく、経営者が離れても業務が止まらないかで確認します。

まずは一部の案件や一定期間に限り、経営者が日常判断へ入らない運用を試します。その間に発生した確認事項を記録すると、まだ経営者に依存している業務が見えてきます。

確認したいのは、次のような点です。

  • 受注可否を担当者だけで整理できたか
  • 人員配置が予定どおり決まったか
  • 原価超過を途中で把握できたか
  • 発注元への報告が滞らなかったか
  • 経営者に判断が集中した項目は何か

残った判断を一つずつ基準化し、再度試します。経営者不在の状態は、一度に完成させるものではなく、不在時間を伸ばしながら依存箇所を見つけることでつくられます。

6.時間と資金の両方が残るかで新規事業への投資を判断する

買取再販などへの進出可否は、既存事業の売上だけでは判断できません。少なくとも、次の状態が一定期間続いているかを確認します。

  • 経営者が日常の人員手配から離れられている
  • 受注可否を基準に沿って判断できている
  • 案件別の粗利益を途中で確認できている
  • 施工管理責任者と代替者が決まっている
  • 協力会社の手配を経営者以外が行える
  • 既存事業の運転資金とは別に投資余力がある
  • 経営者が新規事業に使える時間を継続的に確保できる

売上が増えても経営者の稼働が増え続けるなら、まだ投資前の段階です。反対に、既存事業の利益を維持しながら経営者の時間が空き始めているなら、新規事業の調査や小さな検証へ進みやすくなります。

まとめ

買取再販などの事業多角化を目指す建設会社にとって、既存事業の成長は重要な準備です。ただし、売上を増やすだけでは、新規事業へ使える時間が生まれない場合があります。

先に整えるべきなのは、受注上限の把握、受注基準、施工管理の責任体制、協力会社の管理、権限移譲です。

この順番で既存事業を見直すと、経営者が抱えている判断を切り分けやすくなります。また、一次請けや大型案件への挑戦についても、紹介の有無ではなく、自社の管理能力と採算から判断できるようになります。

新規事業を急いで始めないことは、消極的な判断ではありません。既存事業から時間と資金を安定して生み出せる状態をつくることが、次の事業を続けられる形で始めるための土台になります。

新規事業に進む前に、既存事業のどこが経営者に依存しているかを整理する

「自社の場合、何から任せればよいのか」「売上はあるのに経営者の時間が空かない」と感じている場合は、受注、施工管理、人員配置、原価、協力会社のどこに判断が集中しているかを整理するところから始められます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。まだ新規事業の時期が決まっていない段階や、何から仕組み化すべきかわからない段階でも問題ありません。無理にサービスを勧めることはありませんので、社内だけでは整理しにくい論点があれば気軽にお聞かせください。

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