前提

人を増やしたい意思は強い一方、求人掲載と応募対応の担当が分かれていた関東圏の小規模建設会社

関東圏で施工を手がける、10名未満の建設会社の事例です。高卒採用では高校訪問と求人票の提出、中途採用では求人媒体の無料掲載を進めており、今後は有料掲載も検討していました。

採用への意思が弱かったわけではありません。現場は既存社員の踏ん張りに支えられ、経営側からも「本気で人材が欲しい。今いる社員の負担を減らしたい」という声が出ていました。

一方、実際の採用活動では、経営者、別の役員、事務担当者がそれぞれ一部を担っていました。職種によって欲しい人材像も異なり、求人原稿を作る人、掲載を決める人、応募者へ連絡する人が一続きになっていませんでした。

その結果、高卒向けの求人票が作成済みでも公開まで進まなかったり、求人媒体の設定変更に必要な認証が経営者のメールに届き、実務担当者だけでは作業できなかったりする状態が生じていました。

採用意欲があっても、決裁・掲載作業・応募対応の担当がつながっていなければ、採用活動は途中で止まります。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
  • 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
  • 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
  • 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
  • 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
  • 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
  • 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
  • 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
  • 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
  • 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
  • 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
  • 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
  • 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
  • 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
  • 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
  • 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
  • 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
  • 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
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課題

採用方針を決める人と実際に手を動かす人が曖昧なまま進む求人活動

採用が進まなかった中心的な要因は、媒体や求人原稿の良し悪しよりも、社内の責任分担でした。

たとえば、中途採用の求人を有料掲載へ切り替えるには、予算、募集職種、原稿、掲載開始時期を決める必要があります。しかし、予算を判断する人と、求人媒体を操作する人が別で、どこまで誰が決めてよいのかが明確ではありませんでした。

さらに、採りたい職種も一つではありません。職人を採るのか、施工管理を採るのかによって、採用条件を最終判断できる人や、応募後に仕事内容を説明できる人は変わります。社内でも「社長が望む人材」と「別の役員が望む人材」を分け、それぞれが対応する案が出ていましたが、事務作業には担当者の協力が欠かせない状況でした。

ここで整理したいのは、採用担当を一人に集約することではありません。小規模な建設会社では、経営判断、職種への理解、日々の事務作業を一人ですべて担うのは難しいからです。

必要なのは、次の役割を分けたうえで、受け渡し方を決めることです。

  • 採用する職種、条件、予算を決める人
  • 求人原稿や掲載媒体を管理する人
  • 応募通知を確認する人
  • 応募者へ最初に連絡する人
  • 面接日程や次の対応を管理する人

「採用担当は誰か」ではなく、「どの判断と作業を誰が持つか」まで分けることが必要です。

背景

通常業務を抱えた経営者と事務担当者の間で止まる確認・認証・応募連絡

役割が曖昧になる背景には、建設会社ならではの働き方があります。経営者や現場責任者は外出が多く、常にパソコンを確認できるとは限りません。事務担当者は社内にいても、採用条件や予算を単独では決められません。

この会社でも、求人媒体のアカウントは経営者が登録していました。実務担当者が求人を修正しようとしても、ログイン時の追加認証が経営者のメールへ届くため、その都度連絡を取り合う必要がありました。求人原稿の変更一つでも、経営者の確認待ちになりやすい状態です。

応募後も同様です。求人媒体からの応募は電話ではなく、オンライン経由が中心になります。応募が完了すると、氏名、電話番号、メールアドレスなどが登録先へ届きますが、通知を見る人が一人だけでは、現場に出ている間に確認が遅れる可能性があります。

一方、複数人へ通知するだけでは、二人が同じ応募者へ連絡する重複対応も起こり得ます。「どちらか対応できる人が先に連絡する」という運用にするなら、対応したことをもう一人へ知らせるルールまで必要です。

採用では初回連絡の速さも重要です。昼休みや業務終了後に応募が入ることもあるため、日中の応募には当日中、夜間の応募には翌朝早く連絡する体制が現実的です。

応募通知の共有だけでは不十分で、誰が先に動き、どこに対応済みと残すかまで決めて初めて機能します。

解決

職種別の決裁者と共通の実務窓口を定め、応募対応まで一本につなぐ役割設計

採用活動を動かすには、求人を出す前に「決裁」「運用」「初動」の三段階を整理します。一人にすべて任せるのではなく、それぞれの責任者を決めてつなぐ考え方です。

1.職種ごとに採用条件の最終決裁者を一人決める

最初に、募集職種ごとの決裁者を決めます。職人採用は現場をよく知る役員、施工管理採用は経営者というように、仕事内容や必要な経験を判断できる人を置きます。

最終決裁者が決める項目は、少なくとも次のとおりです。

  • 募集する職種と人数
  • 経験者・未経験者のどちらを対象にするか
  • 給与や勤務条件
  • 掲載媒体と予算
  • 面接へ進める基準

複数人が意見を出すこと自体は問題ありません。ただし、最後に誰の確認を取れば原稿を公開できるのかは一人に絞ります。

職種ごとに最終決裁者を一人置くと、求人原稿が社内確認の途中で止まりにくくなります。

2.媒体管理は共通の実務担当者へ集約する

求人原稿の入力、画像の差し替え、掲載開始・停止、応募情報の整理といった作業は、共通の実務担当者が持つと流れが安定します。この会社では、経営側だけでなく事務担当者の協力が必要だと整理されました。

ただし、実務担当者へ作業を任せるだけでは足りません。経営者個人のメールに認証が集中している場合、担当者が操作できないからです。

そこで、採用専用の共有アドレスを用意し、求人媒体の管理に使う方法が検討されました。応募通知は経営者と役員の携帯にも届くように複数設定し、外出中でも確認できる状態にします。

管理方法を決める際は、次の点を確認します。

  • 求人媒体の管理用アドレスを誰が保有するか
  • 原稿を変更できる人と閲覧だけする人をどう分けるか
  • 追加認証の通知を誰が確認できるか
  • 応募通知を誰の携帯とパソコンへ送るか

求人媒体のアカウントは個人任せにせず、会社として継続管理できる窓口をつくることが大切です。

3.応募対応は主担当と副担当を職種別に置く

応募後の初回連絡は、職種ごとに主担当を決めます。ただし、主担当が現場や打ち合わせで動けない場合に備え、副担当も置きます。

この会社では、二人の経営側メンバーへ通知し、応募職種に応じて担当を分ける形が検討されました。そのうえで、対応できる人が先に連絡し、もう一人へメッセージで対応済みと伝える運用です。

最低限、次のルールを共有しておくと重複や放置を防げます。

  1. 応募通知は主担当と副担当の両方へ送る
  2. 先に確認した人が「対応します」と共有する
  3. 日中の応募には原則として当日中に初回連絡する
  4. 夜間の応募には翌朝早く連絡する
  5. 連絡後は、日時と次の対応を共有する

初回連絡の目的は、その場で採否を決めることではありません。応募へのお礼を伝え、電話できる時間や面接候補日を確認し、次のやり取りへつなぐことです。内容を定型化しておけば、経営者以外でも初動を担いやすくなります。

応募対応は「気づいた人が対応する」だけで終わらせず、主担当・副担当・対応済みの共有までを一つのルールにします。

4.求人公開から面接までを一枚で確認する

役割分担を決めるときは、担当者名だけでなく、完了の状態も揃えます。

段階

主な責任者

完了とする状態

採用方針

職種別の決裁者

職種、条件、予算が確定している

原稿作成

実務担当者

決裁者が確認できる原稿が完成している

求人公開

実務担当者

求職者が閲覧できる状態になっている

応募確認

主担当・副担当

通知を両者が確認できる

初回連絡

先に対応できる担当者

応募者へ連絡し、対応済みを共有している

面接調整

職種別の担当者

面接日時と対応者が決まっている

高卒採用でも中途採用でも、基本となる考え方は同じです。求人票や原稿を作成した段階ではなく、公開され、応募後の連絡までできる状態を「採用活動が動いている」と捉えます。

役割分担は担当者名だけでなく、各工程の完了条件まで決めると一気通貫で動かせます。

まとめ

採用したいのに社内で話が進まないときは、意欲や媒体選びより先に、採用活動の責任分担を確認する必要があります。

特に小規模な建設会社では、経営者が決裁し、事務担当者が求人媒体を操作し、現場を理解する人が応募者へ説明する形が自然です。問題は役割が分かれることではなく、その間の受け渡しが決まっていないことです。

整理する要点は次の四つです。

  • 職種ごとに採用条件の最終決裁者を決める
  • 求人原稿と媒体を管理する実務担当者を決める
  • 応募通知を主担当と副担当へ共有する
  • 当日中の初回連絡と、対応済みを伝えるルールを決める

採用を前へ進める土台は、求人媒体への掲載そのものではなく、決裁から応募対応までを止めない社内体制です。

自社の採用体制をどこから整理するか迷ったときに

「社長と現場、事務のどこまでを分けるべきか」「職種ごとの窓口をどう決めるべきか」など、自社だけでは整理しにくいこともあります。媒体を選ぶ前の段階や、何から決めればよいかわからない状態でも問題ありません。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用課題を、現場や組織の実情と合わせて整理し、役割分担や応募対応の運用まで支援しています。建設企業の持続的成長を支える立場として、無理にサービスを勧めることはありません。まずは自社の採用活動がどこで止まっているか、一緒に整理するところから始められます。

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