前提

学校訪問をきっかけに6〜7人の会社見学が集まり、採用する側が選ぶ段階に入った北陸の専門工事会社

北陸地方で造作家具や内装工事を手がける、40名弱の専門工事会社があります。工場での製作と現場での施工管理を担い、数年後には50名規模の組織を見据えています。

以前は新卒採用に苦戦していましたが、関連分野を学べる学校を調べ、直接訪問して仕事を説明したところ、先生との接点が生まれました。その後、学校での説明機会や会社見学につながり、高校生を中心に6〜7人が見学に訪れ、県外の大学生からも応募が入るようになりました。

「こんなに来てくれるとは思わなかった」という状況です。求人票を出して待つ採用から、会社側が学生や先生に仕事を伝える採用へ切り替えたことで、接点が一気に増えました。

一方、応募が増えると別の悩みも出てきます。すでに複数人の採用を進めるなかで、さらに候補者が残っており、「来てくれた一人を落とすのはかわいそうだ」という迷いが生まれていました。

新卒採用は、応募を集めた時点で終わりではありません。学校との関係づくり、選考、配属、育成、定着までを一つの仕組みとして設計して、初めて毎年続けられる採用になります。

1週間で 21件の相談 がありました

  • 8月6日リフォーム会社千葉県高卒採用の相談
  • 8月6日工務店兵庫県業務効率化システムの相談
  • 8月6日総合建築広島県案件獲得の相談
  • 8月6日内装工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月5日設備保全会社滋賀県人材確保の相談
  • 8月5日プラント工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 8月4日プラント工事会社埼玉県利益率向上の相談
  • 8月4日防水工事会社京都府原価管理の相談
  • 8月4日造園会社群馬県原価管理の相談
  • 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
  • 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
  • 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
  • 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
  • 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
  • 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
  • 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
  • 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
  • 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
  • 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
  • 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
  • 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
  • 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
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課題

応募が増えた後に、情ではなく必要人数と育成余力で採用を判断する難しさ

採用活動がうまくいくほど、「何人まで採用するか」という判断が難しくなります。

建設会社では、若手が増えればそのまま受注や生産能力が増えるわけではありません。入社後には、仕事を教える担当者、配属先、現場や工場で経験させる仕事、日々のフォローが必要です。

この会社でも、工場勤務を希望する学生が多い一方、現場を担当する人材にはプレッシャーがかかりやすいという認識がありました。本人の希望だけで配属を決めても、特定部門に人が偏れば、社内の仕事量とのバランスが崩れます。

また、既存の若手について「相棒を早く探さないと、一人で抱えて潰れてしまうのが心配」という声もありました。若手が一人だけの状態では、相談相手が限られ、退職や異動があったときに再びゼロから採用し直すことになります。

応募者に好感を持つことと、会社として採用できることは分けて考える必要があります。

判断したいのは、主に次の点です。

  • 数年後の組織で、どの部門に何人必要なのか
  • 工場、施工管理、設計、営業のどこへ配属するのか
  • 誰が日常的な育成を担うのか
  • 配属先に教える時間と仕事量があるのか
  • 同期や年齢の近い社員を含め、孤立を防げるか

「来てくれたから採る」ではなく、「この配属先で育てられるから採る」と判断できる状態をつくることが、採用後の定着を守ります。

背景

求人票では伝わらなかった仕事の魅力が、先生への説明と会社見学で届き始めたこと

応募が増えた背景には、待遇を大きく変えたことよりも、学生が会社を知る経路を増やしたことがあります。

きっかけは、同業者が若い女性を採用していることを知り、「どこで学んだ人なのか」を調べたことでした。関連する学科やコースのある学校を見つけ、会社側から足を運びました。

学校には、造作家具や専門工事の仕事が十分に知られていないことがあります。学生だけでなく、進路を支える先生も、製作から施工までの仕事や、卒業後のキャリアを具体的に把握しているとは限りません。

そこで、学校を訪問して仕事内容をプレゼンテーションし、「もしよければ説明会をしませんか」と提案しました。先生にも関心を持ってもらえたことで、学生への説明や会社見学へ進みました。

学校採用では、求人票の枚数よりも、先生が「この会社なら、この学生に紹介できる」と理解できる関係をつくることが重要です。

さらに、ウェブ上の写真も接点になっていました。ある学生は会社説明の前から会社を知っており、家具や造作に関する情報を調べるなかで、SNS上の写真に触れていた可能性がありました。会社側からも「ウェブ上の写真の効果は大きい」という話が出ています。

建設業の求人票だけでは、工場の雰囲気、製作しているもの、完成品の質感、若手が担う仕事までは伝わりにくいものです。学校で知り、ウェブで確認し、会社見学で実物を見る。この流れができると、学生は自分が働く姿を想像しやすくなります。

ただし、この成果を単年で終わらせないことが大切です。学校との関係は、一度訪問しただけで固定されるものではありません。対話のなかでも、「3年ほど通い続けると、求人票を送るだけでも候補者が集まる状態になることがある」「毎年つないでいくことが大事」という見方が示されていました。

応募が増えた理由は、偶然ではなく、学校訪問、先生との関係、説明会、会社見学、ウェブ上の写真がつながったことにあります。

解決

学校との年間接点と将来の組織図を結び、採用人数を毎年決められる体制づくり

単発採用から抜け出すには、集める仕組みと受け入れる仕組みを同時に整える必要があります。どちらか一方だけを強くすると、応募不足か育成負荷のどちらかが起きやすくなります。

1.採用人数より先に、数年後の組織図を描く

まず、3〜5年後の事業と組織を簡単な図にします。精密な人員計画でなくても構いません。工場、施工管理、設計、営業などの部門ごとに、必要な役割と人数を置いていきます。

そのうえで、今年の採用人数を逆算します。

  • どの部門を増やしたいのか
  • 若手を誰の下につけるのか
  • 一人前になるまで何年を見込むのか
  • 既存社員の指導負担はどこまで許容できるか
  • 受注量や工場の生産能力と釣り合っているか

応募が多い年でも、この枠を超えて採る場合は、配属先と育成担当者を追加で用意できるかを確認します。

採用枠は応募者数に合わせるのではなく、将来の組織図と現場の育成能力から決めます。

2.全員を採るか迷ったときほど、共通の選考基準を置く

候補者が少ないときは、面接した人をそのまま採用しがちです。しかし、複数人から選べるようになった段階では、適性検査や共通質問などを使い、同じ基準で確認した方が判断しやすくなります。

見るべきなのは、優劣だけではありません。

  • 製作、施工管理、設計のどこに適性や関心があるか
  • 地道な習得を続けられそうか
  • 希望する働き方と配属先の実態が合うか
  • 県外出身者であれば、転居や通勤をどう考えているか
  • 会社が用意できるキャリアと本人の方向性が重なるか

不採用を避けるために基準を曖昧にすると、入社後に本人と配属先の双方が困ります。早めに結果を伝えることも、学生が次の進路を選ぶために必要です。

3.学校との接点を年間予定にする

学校との関係づくりは、採用時期だけの訪問にしない方が続きやすくなります。

年間の動きとしては、次の接点を組み合わせます。

  1. 関連学科やコースのある学校を整理する
  2. 先生を訪問し、自社の仕事と求める人物像を説明する
  3. 校内での出張説明会を提案する
  4. 工場や施工事例を見られる会社見学を受け入れる
  5. 採用結果や入社後の様子を先生へ共有する
  6. 翌年度も訪問し、関係をつなぐ

夏の求人イベントなど、地域で学生が企業を知る機会にも継続して参加します。前年に参加できなかった機会があるなら、翌年の予定を早めに押さえておくと動きやすくなります。

学校側にとっても、卒業生がどのように働いているかは大切な情報です。採用時だけお願いに行くのではなく、入社後の状況を返すことで、次の紹介につながる関係になります。

4.採用サイトやSNSでは「若手が入社後に見る仕事」を写真で伝える

ウェブ発信は、見栄えのよい完成写真だけで終わらせないことがポイントです。学生が知りたいのは、自分がどこで何をするのかだからです。

発信する内容は、求人票や学校説明で伝えている内容とそろえます。

  • 工場や事務所の様子
  • 製作している家具や内装部材
  • 完成品や施工事例
  • 工場勤務と現場勤務の違い
  • 若手が担当している仕事
  • 会社見学で確認できる内容

採用サイト、会社ホームページ、SNSの情報がばらばらだと、学生は判断しにくくなります。写真を入口にして、会社見学で実物を見てもらう流れをつくります。

5.若手を一人にせず、複数人採用と育成担当をセットで考える

新卒を一人だけ採用すると、本人も会社も負担を感じやすくなります。同期がいなくても、同じ部門や近い年代に相談できる社員がいれば、孤立は防ぎやすくなります。

ただし、複数人採用は人数を増やせばよいわけではありません。配属先ごとに育成担当を決め、誰が何を教えるかまで置く必要があります。

女性を含む若手の定着では、トイレなどの職場環境、結婚や育児後に戻りやすい働き方も採用体制の一部です。この会社では、女性活躍に関する制度を活用したトイレ改修を行い、将来的な託児環境も構想していました。

すべてを一度に整える必要はありません。まずは現在いる若手が困っていることを確認し、採用予定人数に応じて優先順位を決めます。

学校との関係を増やすだけでなく、若手が一人にならない配属と、女性を含めて働き続けやすい環境まで整えることで、採用が定着につながります。

まとめ

求人票を出すだけでは応募が集まりにくい建設会社でも、関連分野を学べる学校へ足を運び、先生に仕事を理解してもらうことで状況は変わります。出張説明会、会社見学、採用サイトやSNSの写真をつなげれば、学生が働く姿を具体的に想像できるようになります。

一方、応募が増えた後は、情だけで採用人数を増やさないことも大切です。将来の組織図、配属先の仕事量、育成担当者、必要人数を確認し、共通の基準で選考します。

毎年の新卒採用を続ける鍵は、学校との継続的な関係と、採用後に無理なく育てられる組織体制を同時につくることです。

一度に完成させる必要はありません。今年つながった学校を来年も訪問する。見学でよく聞かれたことをウェブに載せる。採用予定者の配属先と育成担当を決める。こうした一つひとつの積み重ねが、単発ではない採用の土台になります。

自社に合う採用人数と学校との関係づくりを整理したい方へ

新卒採用は、応募数だけを追うと、配属や育成で無理が出ることがあります。反対に、受け入れ準備を優先しすぎると、学校との接点をつくる時期を逃してしまいます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用課題を、将来の組織図、配属、教育体制、職場環境まで横断して整理し、実行を支援しています。

「うちの場合は何人採るのが適切か」「どの学校から関係をつくればよいか」といった初期段階でも構いません。状況を伺ったうえで一緒に整理し、無理にサービスを勧めることはありません。

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