埼玉県南部で原状回復を直受けする一人会社が、職人育成講座も社長自身で担っている状態
埼玉県南部で、賃貸物件の原状回復や住宅リフォームを手がける、ある小規模な建設会社の話です。取引の中心は地場の不動産会社、管理会社、オーナーからの直受けです。BtoBが8割ほど、BtoCが2割ほど。水回り、クロス、塗装、修繕まで、地域密着で対応してきました。
もともとはハウスクリーニングから始まり、賃貸物件の退去後清掃をきっかけに、クロスや設備、内装提案まで仕事の幅が広がっていった会社です。
社長は、ただ元に戻すだけではなく、入居者が「ここに住みたい」と思える状態に整えることを大事にしています。たとえば、古いハンドル式の水栓をシングルレバーに替える。トイレや水回りを清潔に見せる。内見の一回目で決まりやすい部屋にする。そうした小さな提案を積み重ねて、紹介中心で仕事が続いてきました。
一方で、社長は職人育成にも力を入れています。多能工職人育成講座やクロス職人育成講座を開き、未経験者や他業種の職人に向けて、ものづくりの楽しさや実務の入口を伝えています。
ただ、会社には従業員がいません。講座で教えるのも、現場を見るのも、基本的には社長本人です。
社長の言葉にも、その構造がよく表れていました。
「私が講習をやっているときに、現場を見てくれる人がいればいいんです。結局、マネタイズの部分はリフォームや原状回復なので。講座自体は、ほとんど儲けが出ないんですよね」
職人育成講座を広げたい一方で、本業の施工体制が社長一人に依存している。ここが最初にそろえるべき前提です。
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- 7月16日外構工事会社東京都
- 7月16日塗装工事会社大阪府
- 7月16日内装工事会社群馬県
- 7月16日総合建築岐阜県
- 7月15日工務店東京都
- 7月15日内装工事会社神奈川県
- 7月15日塗装工事会社奈良県
- 7月15日内装工事会社鳥取県
- 7月14日配管工事会社高知県
- 7月14日配管工事会社広島県
- 7月14日防水工事会社神奈川県
- 7月12日配管工事会社京都府
- 7月12日ビルメンテナンス佐賀県
- 7月12日リフォーム会社茨城県
- 7月11日総合建築福島県
- 7月11日総合土木大阪府
- 7月11日造園会社愛知県
- 7月11日外構工事会社茨城県
- 7月10日電気設備工事会社京都府
- 7月8日総合土木愛知県
- 7月8日工務店山形県
- 7月8日外構工事会社群馬県
- 7月6日工務店兵庫県
- 7月6日電気設備工事会社神奈川県
- 7月6日防水工事会社東京都
- 7月5日塗装工事会社神奈川県
- 7月5日プラント工事会社福島県
- 7月5日リフォーム会社東京都
- 7月5日総合土木福井県
- 7月4日外構工事会社千葉県
講座を増やすほど、本業のリフォーム・原状回復が社長不在で回りにくくなる
一番の課題は、教育事業そのものではありません。講座を広げるほど、利益の柱である本業の現場管理と施工判断が薄くなることです。
職人育成講座は、意義のある取り組みです。若手や未経験者に対して、昔ながらの「見て覚えろ」ではなく、手順や考え方を伝える場をつくることは、これからの建設業にとって大切です。
実際、社長も「職人スタイルの教育は欠けている」と感じていました。先輩の背中を見て覚えるだけでは、若い人が入りにくい。技術が属人化し、会社にも業界にも残りにくい。だから、ワークショップや講座を通じて、職人の入口を広げようとしていました。
ただし、講座は収益面だけを見ると重たい事業です。
準備が必要です。教える時間もかかります。受講者の理解度に合わせて、手を止めて説明する必要もあります。会場や材料、告知、日程調整もあります。それでいて、単価を大きく上げにくい場合もあります。
社長自身も、こう話していました。
「人を育てるって大変だなって。いろいろ労力を使っても、ああ、こんなものか、みたいな感じになるんです」
一方で、本業の原状回復やリフォームは、すでに地域で信頼があります。地場の不動産会社との関係もあり、対応の早さやコスト面、多能工的に一式で動けることが評価されています。
講座は将来への投資、本業は現在の利益の柱。社長一人で両方を担うと、時間の取り合いが起きます。
ここで無理に講座を拡大すると、次のような状態になりやすくなります。
- 講座の日は、現場確認や緊急対応に社長が動けない
- 現場の判断を協力会社任せにせざるを得ない
- 見積り、段取り、品質確認が後ろ倒しになる
- 講座の満足度は上がっても、本業の利益が伸びにくい
- 社長の稼働だけが増え、会社としての余力が残らない
講座をやること自体が悪いわけではありません。むしろ、会社の思想や技術を外に伝える強みになります。
ただ、順番が大切です。教育事業を伸ばす前に、本業を社長不在でも一定程度回せる状態に近づけることが、事業全体を守る一手になります。
多能工の価値を伝えられる社長ほど、技術も判断も社長に集まりやすい
背景には、この会社ならではの強みがあります。社長自身が、ハウスクリーニング、水道まわり、クロス、設備、原状回復を現場で覚えてきた人です。身を見真似で積み上げ、30年近く経験を重ねてきました。
だからこそ、ただ作業するだけではなく、現場全体を見て判断できます。
たとえば、トイレ交換の話が出ていました。通常であれば、設備屋が便器を外し、クロス屋が入り、また設備屋が戻って取り付ける。職種ごとに入れ替わりが起き、スケジュール調整も必要になります。
しかし、クロスも設備もできる人がいれば、段取りは大きく変わります。朝から一人、または少人数で進められる。待ち時間が減る。別の仕事に時間を使える。結果として、コストパフォーマンスも上がります。
社長は、そうした多能工の価値を講座でも伝えています。
「クロスと設備を覚えれば、トイレのリフォームも丸一日かからずにできることがあるんです。時間のロスがほとんどないんですよ」
この考え方は、原状回復や小規模リフォームではとても相性が良いです。地場の不動産会社やオーナーにとっても、対応が早く、話が早く、複数業者の調整が少ない会社は頼みやすい存在です。
ただし、強みがそのまま属人化の原因にもなります。
社長が一式で見られる。社長が教えられる。社長が提案できる。社長が現場の納まりを判断できる。だから仕事が回ってきた一方で、社長以外に同じ目線で現場を見られる人がいない状態になりやすいのです。
さらに、社長は講座を通じて「職人の入口を広げたい」という思いも持っています。AIが進んでも、手を動かしてものを作る仕事はなくならない。むしろ、価値が上がる。そうした見立てもあります。
その考え自体は、とても前向きです。
ただ、ここでも順番が問われます。職人育成の場を外に広げるほど、社長の時間は外に出ます。講師としての時間が増えます。外部の受講者や企業向け教育に対応するほど、本業の現場を見る時間は減ります。
社長が技術者であり、講師であり、営業であり、現場監督でもある会社では、まず「社長の代わりに何を任せるか」を決めないと、拡大が負担に変わりやすいです。
ここで必要になるのが、右腕候補の育成です。
会社を継ぐ人をすぐ探す、という話ではありません。まずは、社長が講座に入っている間でも、本業の現場を一定範囲で見られる人です。社長の考え方を理解し、品質や段取りの基準を共有できる人です。
社長も「自分と同じように考えて動ける人がいればありがたい」と話していました。
この右腕がいないまま講座を広げると、社長の時間は分散します。逆に、右腕候補が育ってくると、講座は会社の採用・育成・ブランディングにもつながります。
講座を広げるためにも、先に本業側の任せどころをつくる。ここが構造上の分かれ目です。
未経験者を右腕候補として採用し、社長の外向け講座を社内教育に落とし込む
進め方としては、いきなり講座事業を大きくするより、本業の施工体制を安定させるための右腕候補を1〜2名育てることが現実的です。
この会社の場合、経験者を採ることだけが正解とは限りません。むしろ、社長の考え方や仕事の進め方に共感する未経験者を採り、社内で育てるほうが合う可能性があります。
理由はシンプルです。
経験者は即戦力になりやすい一方で、前職のやり方や職人観を持っています。もちろん良い人もいますが、「自分はこうやってきた」という考えが強いと、社長が大切にしている提案型の原状回復や多能工育成と噛み合わないことがあります。
一方で、未経験者は時間がかかります。ただ、最初から会社の考え方を共有できます。
たとえば、採用時に伝える軸は、技術だけではありません。
- 原状回復は、ただ元に戻す仕事ではないこと
- 不動産会社、オーナー、入居者の三者にとって良い状態をつくること
- クロス、設備、水回りなどを横断して覚えると、現場の価値が上がること
- 将来的には現場を任せる、講座を手伝う、独立も含めた道があること
採用で見るべきなのは、最初から何ができるかだけではなく、社長の仕事観に共感して続けられるかです。
そのうえで、社長がすでに外部向けに行っている講座を、社内教育プログラムに変換します。
難しく考えすぎる必要はありません。すでに教えている内容があるなら、それを「社員用」に並べ替えるイメージです。
たとえば、最初の1年は次のように分けられます。
- 1〜3か月目:現場同行、道具、材料、清掃、養生、基本動作
- 4〜6か月目:クロス補修、簡単な設備交換、原状回復の段取り補助
- 7〜9か月目:小規模現場の一部担当、写真報告、協力会社との連絡
- 10〜12か月目:社長確認のもとで、退去後工事の段取りと品質確認を担当
ここで大切なのは、いきなり「一人前の職人」にしようとしないことです。まずは、社長が講座や見積りに入っている間でも、現場の状況を正しく見て、社長に報告できる人を育てることです。
右腕候補の最初の役割は、社長の完全な代役ではなく、社長の目と手を増やすことです。
任せる業務範囲も、段階的に決めると進めやすくなります。
最初に任せる範囲は、次のようなものが向いています。
- 現場写真の撮影と整理
- 材料や道具の準備
- 協力会社との日程確認
- 簡単な補修や清掃後の確認
- 退去後のチェック項目の記録
次に、社長の基準を理解してきたら、部分的に任せます。
- クロスや設備の簡単な作業
- 小規模修繕の段取り
- 不動産会社への一次報告
- 見積り前の現地確認メモ
- 講座の準備や受講者サポート
最後に、右腕として任せる範囲を広げます。
- 原状回復工事の現場管理
- 協力会社の手配と進行確認
- 品質チェック
- 小規模案件の顧客対応
- 講座の一部講師・実演補助
この順番なら、社長がいきなり現場を手放す必要はありません。少しずつ判断基準を共有できます。
また、採用時には1年後と5年後の姿を見せることも大切です。
1年後は、「原状回復の現場で基本的な段取りと報告ができる人」。5年後は、「多能工として現場を持つ人」「社内で後輩を教える人」「独立して協力会社としてつながる人」など、複数の道を用意できます。
社長の講座や思想と相性が良いのは、このキャリア設計です。
外部向けに伝えている多能工育成の考え方を、まず自社の若手に適用する。これが、講座拡大と本業安定をつなぐ現実的な進め方です。
まとめ
職人育成講座は、建設業の未来に向けた価値ある取り組みです。特に、原状回復や小規模リフォームの現場では、多能工的に動ける人材の価値は高くなります。
ただ、一人社長が講師も現場も営業も担っている状態では、講座を広げるほど本業の時間が削られます。講座単体で大きな利益を出しにくい場合は、なおさら順番が大切です。
先に考えたいのは、講座の集客ではなく、右腕候補の育成です。
本業のリフォーム・原状回復が安定して回る。社長が講座に入っても、現場の確認や段取りが止まらない。そこまで整ってから講座を広げると、教育事業は会社の負担ではなく強みに変わります。
そのためには、未経験者を採用し、社長の外向け講座を社内教育プログラムに落とし込み、1年後・5年後のキャリアを見せることです。
右腕は、最初から完成された人でなくてかまいません。社長の代わりをすぐに務める人でもありません。
まずは、社長の考え方を理解し、現場を一緒に見て、少しずつ任せられる範囲を増やしていく人です。
講座を広げるためにこそ、先に本業を任せられる人を育てる。小さな会社ほど、この順番が効いてきます。
自社の教育事業と本業の任せ方を整理したいときは
職人育成講座、未経験者採用、社内教育、右腕づくりは、それぞれ別の話に見えて、実際にはつながっています。
「講座を広げたいが、現場が社長依存になっている」「未経験者を採りたいが、何を教える順番にすればよいかわからない」「右腕に何を任せればよいか決めきれない」という段階でも、まずは現状を整理するだけで次の一手が見えやすくなります。
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