社員10名弱で番頭ゼロ、長期現場を社長とベテランで回している会社の現在地
東海地方のある専門工事会社では、社員は10名弱、そこに数名の協力メンバーが加わる体制で現場を回していました。職人の腕はよく、長く付き合っている元請け・取引先もあります。一方で、現場全体を見て段取りし、客先とも話せる「番頭」にあたる人材は社内にいませんでした。
社内の年齢構成も偏っています。一番若い職人でも40代前半、上は70代近く。今すぐ現場が止まるわけではありませんが、5年、10年先を考えると、上の世代が抜けたときに誰が現場を束ねるのかが見えにくい状態です。
相談の中でも、経営者からはこんな言葉がありました。
「職人はうちにもいる。今いちばん欲しいのは番頭なんだよね」
「1週間、2週間で終わる現場なら他の人にお願いして、顔を出す程度でもいい。でも、半年くらいの現場はしっかり回せる人がいないときつい」
この状況は、決して珍しくありません。中小の専門工事会社では、施工力そのものよりも、現場を任せられる中間層がいないことが成長の詰まりどころになりやすいです。
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- 7月2日防水工事会社茨城県
- 6月30日ビルメンテナンス北海道
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- 6月29日総合建築千葉県
- 6月29日総合建築東京都
- 6月28日配管工事会社富山県
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- 6月26日配管工事会社三重県
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人を増やす話ではなく、半年現場を任せる役割が社内にないこと
この会社の課題は、単純に「人手が足りない」ではありません。本質は、社長の代わりに長期現場を任せられる役割が社内にないことです。
職人を1人、2人採れば、短期的な人工は増えます。けれど、半年単位の現場、病院や大型施設のように段取り替えや客先調整が多い現場では、手を動かす人だけでは足りません。
必要になるのは、次のような役割です。
- 図面を見て、必要な作業量や段取りをつかめる
- 材料、人員、工程の流れを先に読める
- 職人に仕事を振り、現場内の優先順位を決められる
- 元請けや客先と最低限の会話ができる
- 社長に確認すべきこと、現場で判断してよいことを分けられる
経営者も「もう少し図面が見られたり、段取りができたりする人が欲しい」と話していました。ここで大事なのは、最初から完璧な施工管理者を求めることではありません。自社にとっての番頭とは何を担う人なのかを、採用前に決めておくことです。
番頭を「何でもできる人」と置いてしまうと、採用は一気に難しくなります。逆に、長期現場を任せるために最低限必要な力を分解できれば、中途採用でも、社内育成でも、見るべきポイントがはっきりします。
職人採用を急ぐ前に、社長が直接教えられる時間が限られていること
この会社では、若手職人の採用にも関心がありました。ただ、話を深く聞くと、職人を増やす前に番頭候補を入れたい理由が見えてきます。
ひとつは、既存の職人層との年齢差です。若い人を1人、2人採っても、社内に近い年代の先輩が少なく、教える側も昔ながらの感覚になりやすい。実際に「入ってはいるけれど、うちの職人と肌感が合わなくて辞めてしまう」という話もありました。
もうひとつは、社長がまだ現場感を持って直接教えられる時期にあることです。
「俺の体が動くうちに、一人、二人は入れておきたい」
この言葉には、かなり大事な示唆があります。番頭候補は、採って終わりではありません。図面の見方、現場での気の配り方、客先との距離感、協力会社への頼み方、トラブルの芽の見つけ方。こうしたものは、マニュアルだけでは伝わりにくい部分です。
番頭育成は、社長が動けなくなってから始めるものではなく、社長が一緒に現場を見ながら教えられるうちに始めるものです。
加えて、地域や業界特性として、独立リスクもあります。技術がつき、客先との関係もできると、独立を考える人は出てきます。相談の中でも「頭が良すぎる人だと、独立という頭も出てくる」「番頭が客先だけ持っていくのは困る」という懸念が出ていました。
ここも現実的に見ておく必要があります。職人であれば、将来的に独立して協力会社になる道を設計する考え方もあります。しかし、番頭は客先・工程・原価・現場ノウハウに近い立場です。番頭候補は、独立前提で育てる人材ではなく、会社の中核として残る理由を設計して受け入れる人材です。
番頭候補は採用要件、教える順番、顧客接点の持たせ方を決めてから迎える
番頭不在の会社が最初にやるべきことは、求人を出すことそのものではありません。まず、自社に必要な番頭像を「業務」と「リスク」の両面から定義することです。
たとえば、次の3段階で整理すると進めやすくなります。
1. 任せたい現場を具体的に決める
最初から会社全体を任せる必要はありません。まずは、どの現場を任せたいのかを決めます。
この会社で言えば、1〜2週間の小さな現場ではなく、半年程度続く長期現場が論点でした。つまり、採るべき人は「とにかく手が速い職人」ではなく、長期現場で工程を追い、社長の確認頻度を減らせる人です。
任せたい現場を決めると、必要な能力も具体化します。図面がどこまで読めればいいのか。客先との打ち合わせに同席できればよいのか、単独で話せる必要があるのか。材料拾いまで任せるのか。こうした線引きが見えてきます。
2. 採用要件を「必須」と「育成前提」に分ける
番頭候補にすべてを求めると、採用市場ではかなり難しくなります。そこで、要件を分けます。
必須に近いのは、現場経験、図面への抵抗のなさ、職人との会話ができること、報連相の素直さです。一方で、客先対応、材料手配、原価意識、若手への指示出しは、入社後に社長やベテランが教える余地があります。
採用時点では完成度よりも、「社長のやり方を吸収できるか」「現場を任せる方向に育てられるか」を見ることが重要です。
特に中途採用では、経験がある人ほど前職のやり方を持っています。それが自社に合えば強いですが、合わない場合は現場が乱れます。過去の実績だけで判断せず、自社の現場でどう動くかを面接や試用期間で確認する必要があります。
3. 顧客接点を一人に閉じず、会社の接点として設計する
番頭候補を育てるうえで、避けて通れないのが独立リスクです。これは疑ってかかるという話ではなく、会社として仕組みにしておく話です。
具体的には、客先との関係をその人だけに閉じないことです。打ち合わせには最初は社長も同席する。重要な見積や条件交渉は会社として確認する。現場日報や打ち合わせ内容を社内に残す。顧客からの評価や要望も、個人の頭の中だけに置かない。
同時に、残る理由も作る必要があります。役割に応じた評価、給与、裁量、将来のポジションを曖昧にしないことです。
相談者が言っていた「その子たちに還元できるメリットを多くして、独立しなくてもいいと思ってくれれば」という感覚は、とても現実的です。独立を禁止する発想よりも、会社にいるほうが成長できる、稼げる、よい現場を任されると思える状態を作るほうが強いです。
職人採用との優先順位で言えば、今のように「職人はいるが、仕事を振る人がいない」状態では、番頭候補が先です。番頭が立てば、若手職人を入れたときにも教育の受け皿ができます。逆に、番頭不在のまま若手だけ増やすと、社長と一部ベテランの負担がさらに増える可能性があります。
まとめ
番頭がいない会社の採用は、「誰か1人雇えば楽になる」という話ではありません。半年現場を任せる役割を定義し、その役割に合う人を採り、社長が直接教えられるうちに育て始めることが大事です。
特に、社員10名前後の専門工事会社では、社長が現場、客先、段取り、採用まで見ていることが多くあります。その状態で長期現場が増えると、どこかで社長の時間が足りなくなります。
最初に整理したいのは、次の4つです。
- どの現場を社長以外に任せたいのか
- 番頭候補に最初から求める力は何か
- 入社後に誰が、何を、どの順番で教えるのか
- 客先との関係を個人任せにしない仕組みをどう作るのか
番頭採用は、将来の現場運営を社長一人の体力から切り離すための準備です。すぐに完璧な人を採ることより、自社に合う人を見極め、育てられる状態を先に作ることが、結果的にいちばん近道になります。
うちの会社なら番頭候補をどう採るべきか整理したい方へ
番頭・職長候補の採用は、求人票だけでは決まりません。現場の任せ方、既存職人との相性、社長が教えられる範囲、独立リスクへの備えまで含めて整理すると、採るべき人材像が見えやすくなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。「まだ採用すると決めたわけではない」「まず何から整理すべきかわからない」という段階でも大丈夫です。
無理な営業はいたしませんので、うちの場合は番頭候補を先に採るべきか、職人採用から始めるべきかを考えたい方は、次の整理先としてご相談ください。































