前提

求人媒体と紹介会社を8社弱まで広げ、ようやく採用の入口がそろい始めた状態

ある中小の建設会社では、施工管理や技術職の採用に向けて、求人媒体と人材紹介会社を一気に広げていました。大手スカウト媒体、総合型の紹介会社、建設領域に比較的強い紹介会社など、候補は8社弱まで増えています。

一方で、まだ全媒体がきれいに稼働しているわけではありません。アカウントの確認待ち、求人票の出し直し、スカウト条件の調整、紹介会社との初回面談などが並行して動いている状態です。

担当者からは「一通り開けたので、あとは回していく感じですね」という言葉も出ていました。ここで大事なのは、媒体数が増えたこと自体をゴールにしないことです。採用は、掲載先を増やした瞬間ではなく、応募状況を見ながら運用を回し始めたところから本番になります。

課題

求人を出しっぱなしにすると、応募数も候補者の質も改善しにくい

建設業の採用では、「媒体を増やせば応募が増えるはず」と考えたくなります。もちろん、露出先を増やすことは大切です。1社だけに頼るより、複数の入口を持つほうが可能性は広がります。

ただ、実際には求人を出しただけでは応募が伸びないことも多いです。特に中小建設会社の場合、候補者から見ると、会社の違いが求人票だけでは伝わりにくいからです。

今回も、ある紹介会社とのやり取りの中で、「40代ならこういう方がいます」「ただ、年収レンジや会社の将来像まで出していかないと、興味を持ってもらうのは難しいですね」という話が出ていました。

これはかなり現実的な指摘です。候補者は、給与だけを見ているわけではありません。とはいえ、給与レンジが曖昧で、仕事内容も一般的で、会社としてどこに向かうのかが見えない求人票では、比較検討の土俵に乗りにくくなります。

つまり課題は、媒体数ではなく、媒体ごとの反応を見て、求人票・スカウト・紹介会社への伝え方を調整する運用があるかです。

背景

中小建設会社の採用では、社長のビジョンや年収レンジまで候補者に届かないと興味を持たれにくい

建設業の採用、とくに施工管理や技術職の採用では、候補者側も慎重です。転職後の現場、給与、働き方、会社の安定性、将来のポジションなどを見ています。

大手企業であれば、会社名や制度だけで一定の安心感を持たれやすいです。しかし中小建設会社では、求人票の中に会社の魅力がきちんと入っていないと、候補者に届きません。

今回も、「一回、社長のビジョンとか、どういう会社にしたいかも含めて求職者に伝えていかないと、中小企業だと難しい」という話が出ていました。

これは、きれいな採用広報を作るという意味ではありません。候補者が知りたいのは、たとえば次のようなことです。

  • この会社は、今後どの領域を伸ばしていくのか
  • 入社した人に、どんな役割を期待しているのか
  • 40代、経験者、未経験者など、どの層を本当に求めているのか
  • 年収レンジは現実的にどこまで見られるのか
  • 入社後に任せたい仕事と、将来のポジションは何か

紹介会社も、ここが見えていないと候補者に会社を紹介しづらくなります。求人票に書いていない情報が多いほど、担当者は無難な説明しかできません。結果として、候補者に刺さらない紹介になります。

採用が止まっているように見えるとき、実際には応募が少ないのではなく、紹介会社や媒体側が候補者に語れる材料が不足していることがあります。

解決

反応の良い3社を選び、2週間に1回の定例で求人票とスカウト条件をチューニングする

媒体や紹介会社を増やした後にやるべきことは、全部を同じ熱量で追いかけることではありません。まずは、動きが良い会社、担当者が候補者像まで踏み込んでくれる会社、やり取りが早い会社を見極めます。

今回のケースでも、初回から丁寧に面談し、「この年代ならこういう人がいる」と具体的に話してくれる紹介会社がありました。こうした会社とは、2週間に1回、30分程度の定例を組む価値があります。

定例で確認することは、難しく考えすぎなくて大丈夫です。見るべきポイントは、主に次の4つです。

1つ目は、応募・推薦の数です。どの求人に何件反応があったのか。紹介会社から何名推薦されたのか。まず事実を見ます。

2つ目は、候補者の質です。経験年数、年齢層、希望年収、転職理由が、自社の採用したい層と合っているかを確認します。応募数だけ増えても、面接につながらない層ばかりでは採用は進みません。

3つ目は、求人票の見せ方です。仕事内容、年収レンジ、入社後の役割、会社の方向性が伝わっているかを確認します。特に中小建設会社では、社長が何を考えている会社なのかが候補者の判断材料になります。

4つ目は、スカウト条件です。経験者だけを狙うのか、未経験層も見るのか。40代の即戦力を狙うのか、少しくすぶっている若手層まで広げるのか。ここは媒体ごとに調整が必要です。

進め方としては、まず反応の良さそうな3社を選びます。全社と定例を組むと、社内の負担が重くなります。最初は、紹介会社2社、スカウト媒体1社くらいでも十分です。

そのうえで、定例では毎回この順番で確認します。

  • この2週間で応募・推薦は何件あったか
  • 候補者はどの条件で止まっているか
  • 求人票のどこを変えるべきか
  • スカウト条件を広げるか、絞るか
  • 次の2週間で誰が何を直すか

大切なのは、求人票を一度作って終わりにしないことです。「募集団を伸ばすために何が足りないのか」を紹介会社と一緒に確認し、小さく直して、また反応を見る。この繰り返しが採用運用です。

まとめ

求人媒体や人材紹介会社を増やすことは、採用の入口づくりとして有効です。ただし、建設業の中小企業では、出しっぱなしの求人だけで応募が増え続けることは多くありません。

特に施工管理や技術職では、候補者が会社を慎重に見ています。年収レンジ、仕事内容、社長の考え、将来の役割まで伝わって、ようやく興味を持ってもらえることがあります。

採用を前に進めるには、まず反応の良い紹介会社や媒体を見極めることです。そのうえで、2週間に1回の定例で応募状況を確認し、求人票とスカウト条件を調整する。この地味な運用が、結果的には一番効いてきます。

媒体を増やすだけではなく、採用の運用を持つ。ここが、応募数と候補者の質を変える分かれ目になります。

自社の採用運用をどこから整えるかを一緒に整理する

「媒体は増やしたけれど、どこが効いているのか分からない」「紹介会社との定例で何を話せばいいか分からない」という段階でも、整理できることはあります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用、人材確保、組織づくり、原価管理、デジタル活用まで、建設業の経営課題を横断して整理し、実行まで支援しています。

求人票の見直し、紹介会社との付き合い方、スカウト条件の設計など、まずは自社の場合に何から手をつけるべきかを一緒に確認できます。無理な営業はいたしませんので、「うちの場合はどう考えるべきか」という段階でもお気軽にご相談ください。

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