前提

社員12名ほどの内装工事会社が、複数媒体を動かしても施工管理2〜3名の採用に届いていない現在地

埼玉県南部でオフィス内装を中心に手がける、社員12名ほどの専門工事会社の話です。

現場はオフィス内装が中心です。たまに店舗もあります。小さな会社なので、社長と社員の距離は近い。顔を合わせる機会も多く、連絡もこまめに取れている。担当者の方からも「社長との距離はすごく近くて、何でも言える感じです」という言葉がありました。

一方で、採用はかなり苦戦していました。

すでに複数の手を打っています。

  • ミイダス
  • dodaのスカウト機能
  • ビズリーチのスカウト
  • ハローワーク
  • Indeedの無料・有料掲載
  • 人材紹介会社

担当者の方は、こう話していました。

「採用がなかなか厳しくて。ただ、動いてはいるんです。媒体にも結構投資しているんですけど」

結果もゼロではありません。ミイダス経由で1名採用できたものの、その方は早期離職。dodaでは20件以上の応募があり、1名に内定を出したものの、承諾には至りませんでした。ビズリーチは始めたばかりで、まだ大きな反応はない状態です。

採りたいのは、施工管理です。できれば経験者を2名ほど。未経験者も1名なら育てられるかもしれない。ただ、未経験を2名、3名と一気に受け入れると、今いる社員の負担が増えてしまう。

この感覚は、多くの中小建設会社に近いのではないでしょうか。

「媒体を使っていない」のではなく、「使っているのに採れない」。ここが今の施工管理採用の難しさです。

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課題

求人媒体を増やしても、応募・内定承諾・定着のどこかで止まってしまう採用の詰まり

この会社の課題は、単に応募数が少ないことだけではありません。

応募は来ています。内定も出しています。採用できたこともあります。それでも、採用成功にはつながり切っていません。

具体的には、次のような詰まりが起きています。

  • 応募は来るが、求める経験者に届きにくい
  • 内定を出しても、承諾してもらえない
  • 採用できても、早期離職で人数が戻ってしまう
  • 既存社員の負担が減らず、採用活動が長引く

担当者の方は、「今いる皆さんの負担がすごく大きい」と話していました。

売上をどんどん伸ばすためだけの採用ではありません。もちろん人が増えれば仕事量も取りやすくなります。ただ、それ以上に、今いる社員が疲弊しないようにしたい。負担が重くなりすぎて、既存社員が辞めてしまう状況は避けたい。

「今後どんどん増やしていこうというよりは、今の状況を穏やかにしたい」

この言葉が、とても現実的です。

中小建設会社の施工管理採用では、採用目標が「事業拡大」だけではないことが多いです。現場を回す。既存社員を守る。属人的な負担を少し軽くする。そういう切実な理由があります。

だからこそ、採用が長引くと、求人費だけでなく社内の疲労も積み上がります。

施工管理採用で見るべきなのは、応募数だけではなく、「応募から承諾まで」「入社から定着まで」のどこで止まっているかです。

背景

施工管理経験者の取り合いが激しくなり、媒体選びだけでは差がつきにくくなっている採用市場

施工管理の採用が難しい理由は、会社の努力不足ではありません。

建設業では、技術者・技能者の求人倍率が高い状態が続いています。特に施工管理は、多くの会社が欲しがっています。中小企業だけでなく、大手も欲しい。元請も専門工事会社も欲しい。改修も新築も内装も設備も欲しい。

つまり、施工管理経験者は、常に複数社から声がかかりやすい人材です。

その中で、求人媒体やスカウトサービスも増えました。

昔は「まず大手媒体に載せる」「広告費をかける」という考え方でも、一定の反応がありました。今は違います。媒体が増え、スカウトも増え、成果報酬型の紹介も増え、SNSや検索経由の求人接点も増えています。

求職者がいる場所が、ひとつではなくなりました。

たとえば、同じ施工管理経験者でも、次のように見ている場所が違います。

  • 転職意欲が高く、dodaやビズリーチを見る人
  • 近場の仕事を探し、Indeedやハローワークを見る人
  • 積極的には探していないが、スカウトには反応する人
  • 知人紹介や業界内のつながりでしか動かない人
  • 会社の雰囲気を見てから応募したい人

この状態で「どの媒体が一番いいですか」と考えると、判断が難しくなります。

A社にはIndeedが合うかもしれません。B社にはスカウトが合うかもしれません。C社には紹介会社よりも、既存社員からの紹介や採用ページの見直しが効くかもしれません。

今回の会社も、媒体自体は十分に使っています。問題は、媒体の数ではなく、自社が採りたい施工管理がどこにいて、その人に何を伝えるべきかが整理され切っていないことにあります。

もうひとつ、大事な背景があります。

この会社には、魅力もあります。社長との距離が近い。意見を言いやすい。社員の顔が見える。評価も昔よりははっきりしてきている。現場もオフィス内装中心で、毎回まったく同じものをつくるわけではなく、考える面白さがあります。

ただ、担当者の方はこうも話していました。

「全く同じ内装を作っているわけではないので、マニュアル化がどうしても難しいところはあります」

これは弱みでもあり、見せ方次第では魅力にもなります。

毎回同じ作業を繰り返す仕事ではない。現場ごとに考える。社長や先輩と近い距離で相談できる。任される範囲も見えやすい。

こうした自社らしさが求人票やスカウト文面に出ていないと、求職者から見ると「よくある施工管理募集」に埋もれてしまいます。

採用市場が厳しいほど、媒体の前に、自社の魅力と言葉を整える必要があります。

解決

媒体を選ぶ前に「どこにいる、どんな人材に、何を伝えるか」を決める採用設計

施工管理採用を見直すときは、いきなり媒体を変えるよりも、先に採用設計を整理したほうが進めやすくなります。

軸はシンプルです。

「どこにいる、どんな人材に、何を伝えるか」です。

この3つを決める前に媒体を増やすと、求人費だけが増えやすくなります。逆に、ここが整理できると、今使っている媒体も活かしやすくなります。

1. 「施工管理経験者」をもう一段具体化する

まずは、採りたい人材を分けます。

今回の会社では、「2〜3名ほしい」という話がありました。ただし、その中身は同じではありません。

  • すぐ現場を任せたい経験者
  • 一部経験があり、内装に慣れれば戦力化できる人
  • 未経験だが、1名なら育てられる人

この3つは、求人票もスカウト文面も変えるべきです。

「施工管理経験者募集」とだけ出すと、対象が広すぎます。経験者から見ると、自分に合う会社かどうかが判断しにくくなります。未経験者から見ると、応募してよいのか分かりません。

たとえば経験者向けなら、次のような観点を整理します。

  • オフィス内装の経験が必須なのか、建築施工管理の経験があればよいのか
  • どの程度、現場を一人で見られる人がほしいのか
  • 元請とのやり取りまで任せたいのか
  • 図面・工程・協力会社調整のどこまで求めるのか
  • 年齢よりも何を重視するのか

未経験者向けなら、別の整理が必要です。

  • 入社後、誰が教えるのか
  • 最初の3か月で何を覚えてもらうのか
  • 現場同行から始めるのか
  • どのタイミングで小さな担当を持つのか

「経験者がほしい」と言うだけでは、求職者にも社内にも伝わりません。どの経験を、どの場面で活かしてほしいのかまで言語化することが大切です。

2. 媒体ごとの役割を決める

すでに複数媒体を使っている会社ほど、媒体ごとの役割を決める必要があります。

ミイダス、doda、ビズリーチ、Indeed、ハローワーク、人材紹介。これらを同じ目的で使うと、管理が大変になります。

たとえば、次のように分けます。

  • doda・ビズリーチ:転職意欲のある経験者に直接声をかける
  • Indeed:検索経由で、地域や職種に関心のある層を拾う
  • ハローワーク:地元志向の応募者との接点を持つ
  • 人材紹介:条件に合う人が出たときの補完ルートにする
  • 自社採用ページ:応募前に会社の雰囲気を確認してもらう場所にする

大事なのは、媒体を「良い・悪い」で見ないことです。

同じ媒体でも、求人票が弱ければ反応は落ちます。スカウト文面が一般的すぎれば返信は来ません。逆に、対象者と訴求が合えば、無料枠や小さな改善でも反応が変わることがあります。

見るべき数字も、応募数だけでは足りません。

  • 表示数
  • 応募数
  • 面接設定数
  • 内定数
  • 内定承諾数
  • 入社数
  • 入社後の定着状況

ここまで分けると、「応募は来るが承諾されない」のか、「そもそも求める人に届いていない」のかが見えてきます。

媒体を増やす前に、今の媒体が採用プロセスのどこで止まっているかを確認することが先です。

3. 自社の魅力を、求職者目線の言葉に変える

中小建設会社の採用では、「うちには大手のような条件は出せない」と感じることがあります。

もちろん給与や休日は大切です。ただ、施工管理経験者が見ているのは条件だけではありません。

特に中小企業に合う人は、次のような点を見ています。

  • 社長や上司との距離感
  • 現場での裁量
  • 無理な放置をされないか
  • 人間関係が悪くないか
  • 評価や昇給の考え方が見えるか
  • 自分の経験がどこで活きるか

今回の会社には、「小さい会社なので顔を合わせやすい」「意見を言いやすい」「その人を見て仕事を任せている」という良さがありました。

これを求人票に書くなら、単に「風通しの良い職場です」では弱いです。

たとえば、こういう方向に具体化できます。

  • 社長との距離が近く、現場の相談をしやすい
  • オフィス内装中心のため、現場ごとに違う納まりや段取りを考える面白さがある
  • 少人数なので、担当範囲が見えやすく、経験を活かしやすい
  • 評価の考え方を少しずつ明確にしており、頑張りを話し合いやすい

もちろん、実態以上によく見せる必要はありません。むしろ、入社後に違和感が出る表現は避けたほうがよいです。

採用で強い言葉は、きれいな言葉ではなく、実態に合った具体的な言葉です。

4. スカウト文面は「誰にでも送れる文章」から変える

施工管理経験者には、多くのスカウトが届きます。

その中で、会社説明を長く書いただけの文章は埋もれます。特に中小企業の場合、知名度で勝つのは難しい。だからこそ、相手に合わせた一文が必要です。

たとえば、オフィス内装や改修経験がある人に送るなら、冒頭でその経験に触れる。ゼネコンや内装会社で現場調整をしてきた人なら、「現場ごとの段取りや協力会社調整の経験を活かしてほしい」と伝える。

逆に、経験が浅い人に送るなら、「いきなり一人で丸投げするのではなく、先輩と一緒に現場を見ながら覚える」という安心材料を伝える。

スカウトは数も大事です。ただ、施工管理経験者に対しては、数だけでは限界があります。

スカウト文面は、自社の説明ではなく、「あなたの経験を、うちではこう活かせる」という提案に近づけることが重要です。

5. 面接では、魅力だけでなく入社後の現実も伝える

内定承諾につながらない場合、面接での伝え方も見直したいところです。

求職者は、面接で会社の空気を見ています。条件だけでなく、「ここで働くイメージが持てるか」を見ています。

今回のような少人数の内装工事会社なら、面接で伝えるべきことは多くあります。

  • なぜ今、施工管理を採用したいのか
  • 既存社員の負担をどう減らしたいのか
  • 入社後、最初に任せる仕事は何か
  • 社長や先輩とはどのように関わるのか
  • マニュアル化しにくい仕事を、どう教えていくのか

ここを曖昧にすると、求職者は不安になります。

「入ってから何を任されるのか分からない」 「少人数だから、全部自分に来るのではないか」 「教育体制がないのではないか」

こうした不安を、面接の中で丁寧にほどいていく必要があります。

内定承諾率を上げるには、会社の良さを話すだけでなく、入社後の働き方を具体的に見せることが大切です。

まとめ

施工管理採用が難しいのは、媒体を使っていないからではありません。

むしろ、多くの中小建設会社はすでに動いています。求人媒体も使っている。スカウトも送っている。人材紹介にも依頼している。それでも採れない。

その原因は、媒体そのものよりも前段にあることが多いです。

採用を見直す順番は、「媒体を増やす」ではなく、「誰に、どこで、何を伝えるか」を整理することです。

特に施工管理経験者を採りたい場合は、次の点を確認したいところです。

  • 求める経験者像が具体化されているか
  • 経験者向けと未経験者向けの求人が分かれているか
  • 媒体ごとの役割を決めているか
  • 応募数だけでなく、内定承諾まで見ているか
  • 自社の魅力が具体的な言葉になっているか
  • スカウト文面が相手の経験に合わせた内容になっているか
  • 面接で入社後の働き方を伝えられているか

小さな会社には、小さな会社の良さがあります。

社長との距離が近い。相談しやすい。任される範囲が見えやすい。現場ごとに違う仕事の面白さがある。こうした魅力は、求人票に自然には出てきません。言語化して、届ける必要があります。

施工管理採用は、求人媒体の勝負ではなく、自社に合う人へ自社らしい言葉を届ける勝負に変わってきています。

施工管理採用の進め方を、自社の状況に合わせて整理したいときは

「媒体は使っているのに採れない」「求人票やスカウト文面をどう直せばよいか分からない」「経験者と未経験者をどう分けて募集すべきか迷っている」。

こうした段階でも、採用の整理は始められます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用についても、媒体選定だけでなく、人材像の整理、求人票・スカウト文面の見直し、自社の魅力の言語化まで、会社の状況に合わせて一緒に考えます。

「うちの場合は、まず何から見直すべきか」を整理するだけでも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、必要なタイミングでお気軽にご相談ください。

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