前提

売上7,000万〜8,000万円でも利益がほぼ残らない、8名弱の鉄道電気工事会社

兵庫県を拠点に、近畿圏で鉄道関連の特殊電気工事を手がける会社があります。創業から半世紀ほど。社員とアルバイトを含めて8名弱の体制で、電車を走らせるための電気設備に関わる工事を担っています。

仕事の多くは夜勤です。長年付き合ってきた取引先から継続的に依頼があり、「仕事はいくらでもあります」という状態です。一方、取引先からは「もう少し人数が必要ですね」と言われることも増えています。

年間売上は7,000万〜8,000万円ほどありますが、過去からの負債と返済負担が重く、手元に利益がほとんど残りません。そのため、現在は採用よりも資金繰りの正常化を優先している段階です。

それでも、人を増やす必要性がなくなったわけではありません。現在の8名弱から11名程度に増やし、受注金額を伸ばしたい考えがあります。社長自身も60代前半となり、長く働いてきた社員の高齢化や事業承継も視野に入っています。

「まずは今いる社員の生活を維持してやることが一番大切です」

この言葉が、経営判断の現在地をよく表しています。

1週間で 14件の相談 がありました

  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
  • 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
  • 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
  • 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
  • 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
  • 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
  • 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
  • 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
  • 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
  • 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
  • 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
  • 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
  • 7月18日リフォーム会社千葉県人材育成の相談
  • 7月17日塗装工事会社栃木県協力会社探しの相談
  • 7月17日リフォーム会社岩手県人材確保の相談
  • 7月17日総合土木山形県案件獲得の相談
  • 7月17日電気設備工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 7月16日外構工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月16日塗装工事会社大阪府人材育成の相談
  • 7月16日内装工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 7月16日総合建築岐阜県原価管理の相談
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課題

仕事はあるのに、採用すると資金繰りが先に苦しくなるジレンマ

この会社が抱えているのは、単純な人手不足ではありません。人を増やせば受注を拡大できるものの、採用直後の人件費を支える余力が小さいというジレンマです。

鉄道工事は専門性が高く、採用した人がすぐに一人前の売上をつくれるとは限りません。資格の有無だけでは判断できず、入社後に現場で育てることが前提になります。教育できる社員はいるものの、その間も給与や社会保険料は発生します。

人手不足を理由に採用を急ぐと、売上が増える前に固定費が増えます。反対に、採用を止め続けると、夜勤を担う30代・40代の社員に負荷が偏りやすくなります。若手の補充がなければ、将来の事業承継にもつながりません。

つまり、検討すべきなのは「採用か、経営改善か」という二者択一ではありません。既存社員の生活を守りながら、いつなら採用費と教育期間を吸収できるかを見極めることが本当の課題です。

背景

夜勤中心の人員負荷と返済負担が、採用を急ぎたい気持ちと止めたい判断を同時に生む構造

採用を急ぎたい理由は明確です。現場の人数が少なく、取引先からの仕事を受ける余力に限界があるからです。人数を確保できれば受注金額を上げられる見込みもあります。

一方で、売上が一定規模あっても、返済後に資金が残らなければ新たな人件費は持てません。売上高と採用余力は別の数字です。

この会社では、採用サイトに近いページを公開しても反応はほとんどありませんでした。人材サービスの提案も受けましたが、費用が折り合わず見送っています。今後は高校訪問や外国人材の採用も候補にあり、まずは社労士と会社の受け入れ体制を相談する予定です。

ただし、社長は「今年いっぱいは資金繰りの正常化に向けて動いているので、余計なことはしたくない」と判断しています。これは採用を諦めたという話ではありません。採用後に社員を守れない状態で見切り発車しないための順序づけです。

中小建設会社では、仕事量が多いほど採用を急ぎたくなります。しかし、確認すべきなのは仕事の件数だけではありません。

  • その仕事から外注費や現場経費を引いた後、いくら残るのか
  • 借入返済後の資金が毎月どの程度残るのか
  • 新人の教育期間中も既存社員の給与を維持できるか
  • 教育担当者が現場を離れる時間を確保できるか
  • 増員後に受ける仕事の粗利が、増える固定費を上回るか

「仕事がある」から一歩進めて、「人を増やした後に資金が残る仕事があるか」を見る必要があります。

解決

資金繰りの正常化を先に置き、採用準備と採用開始を分ける段階設計

進め方としては、採用活動を完全に止めるのではなく、資金を使う採用と、資金をあまり使わない準備を分けるのが現実的です。

1.受注余力ではなく、増員後の収支を確認する

まず、1人増えた場合に受けられる工事と、その工事から残る粗利を整理します。売上の増加額だけで判断せず、外注費、現場経費、人件費、社会保険料、返済額まで含めて見ます。

確認したいのは、次の流れです。

  1. 増員によって追加で受けられる工事を洗い出す
  2. 工事ごとの売上と外注費、現場経費を確認する
  3. 採用後に増える月額固定費を置く
  4. 新人が売上に貢献するまでの期間を想定する
  5. 返済後も月次の資金が減り続けないかを見る

受注金額の増加より、返済後の手元資金がプラスになるかを優先して判断します。

2.採用前に既存社員の負荷を見えるようにする

今回の会社では、ほとんどの仕事が夜勤です。若手を採りたい背景には、受注拡大だけでなく、30代・40代の社員への負荷を軽くしたい意図もあります。

そこで、夜勤回数、応援が必要な現場、断っている仕事、教育を担当できる社員を整理します。採用人数も、最初から3名増を目指すのではなく、現場負荷と資金繰りの両方に効果が出る最小人数から考えると進めやすくなります。

3.採用費をかける前に受け入れ準備を進める

高校訪問や外国人材の採用を始める前に、会社側で決めておけることがあります。

  • 夜勤を含む仕事内容をどう説明するか
  • 入社後に誰が教育するか
  • 資格取得や運転免許をどう考えるか
  • 給与や勤務条件をどこまで提示できるか
  • 既存社員に新人の受け入れ方をどう共有するか
  • 学校や応募者に渡す会社資料へ何を載せるか

この会社では、資格よりも入社後の育成を重視しています。教育できる社員もいます。これは採用開始後の大きな強みです。

採用媒体へ費用を投じる前に、仕事の伝え方と教育体制を整えることで、採用後のミスマッチを減らせます。

4.採用開始の基準を先に決める

「資金繰りが落ち着いたら採用する」だけでは、開始時期が曖昧になりがちです。次のような判断基準を先に置いておくと、採用へ切り替えやすくなります。

  • 返済後の月次資金収支が安定している
  • 採用後の固定費を含めても資金が減り続けない
  • 増員後に受ける工事と粗利の見込みがある
  • 教育担当者と教育期間を決められる
  • 既存社員の給与と勤務を守れる
  • 求人条件と会社説明資料が整っている

すべてを完璧にする必要はありません。ただし、採用後の給与を既存事業の資金だけで無理なく支えられる見通しは外せない基準です。

まとめ

資金繰りが厳しい中で人手不足が続くと、採用を急ぐべきか、経営改善を優先すべきか迷います。

今回のように仕事が豊富でも、利益がほぼ残らず返済負担がある場合は、採用費を先に増やす判断には慎重さが必要です。一方、採用を完全に止めると、既存社員の負荷や将来の事業承継が重くなります。

進め方の軸は明確です。

  • 先に返済後の資金繰りを安定させる
  • 増員によって増える売上ではなく、残る粗利を確認する
  • 採用費を使う前に、仕事内容の言語化と教育体制を整える
  • 採用開始の基準を数字と体制の両面で決める

採用と経営改善は、どちらか一方を選ぶものではありません。資金繰りの正常化を進めながら採用準備を整え、条件がそろった時点で募集を始める。この段階設計が、今いる社員を守りながら次の世代を迎える道筋になります。

採用と資金繰りを一枚の計画に整理したい方へ

「仕事はあるのに採用へ踏み切れない」「資金繰りがどこまで改善すれば人を増やせるのかわからない」という悩みは、採用だけ、財務だけを切り離しても整理しにくいものです。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、資金繰り、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用開始の基準づくりや収支の整理など、「うちの場合は何から考えるべきか」という段階でもご相談いただけます。

無理にサービスをおすすめすることはありません。ものづくりに集中できる経営体制をつくるための、次の整理先としてご活用ください。

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