前提

約50人の職人ネットワークを持ち、設備工事一式を受ける「ミニサブコン」を目指す創業間もない会社

兵庫県を中心に設備工事を手がける、正社員と一人親方を合わせて6名ほどの専門工事会社があります。創業からまだ日が浅いものの、前期売上は約1億5,000万円。ホテル、倉庫、病院、オフィスビルなどの比較的大きな現場を受注しています。

自社の人員は少数ですが、社長がつながっている職人や協力業者は約50人。空調設備を中心に、電気、足場、重量物の据付など、複数工種に対応できるネットワークがあります。

同社が目指しているのは、単一工種の施工会社ではありません。

「一つの工事だけでなく、設備関係ならまとめて相談してもらえる会社にしたい」

顧客から見れば、工種ごとに業者を探すよりも、一社に相談して必要な業者をそろえてもらえるほうが手間を減らせます。同社も以前から「困ったときに相談すれば何とかしてくれる会社」として評価され、それが受注につながっていました。

複数工種に対応できる協力業者のネットワークは、ミニサブコン化の重要な土台です。しかし、職人を集めただけでは設備工事一式を受けられる体制にはなりません。

1週間で 21件の相談 がありました

  • 9月11日工務店福岡県案件獲得の相談
  • 9月11日外構工事会社沖縄県業務効率化システムの相談
  • 9月11日解体工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月11日電気設備工事会社三重県案件獲得の相談
  • 9月10日内装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月10日外構工事会社神奈川県協力会社探しの相談
  • 9月10日総合建築宮崎県利益率向上の相談
  • 9月9日総合土木兵庫県人材育成の相談
  • 9月9日内装工事会社秋田県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
  • 9月8日工務店広島県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
  • 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
  • 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
  • 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
  • 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
  • 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
  • 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
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課題

職人と案件があっても、各業者を取りまとめる番頭がいなければ一括受注できない状態

同社のボトルネックは、施工する職人の不足ではなく、現場を取りまとめる番頭・現場管理者の不足でした。

取引先には改修工事を数多く抱えている設備会社があり、「番頭がいるなら、工事を丸ごと受けてほしい」と声をかけられています。しかし、取引先側にも管理者が少なく、同社にも任せられる人が十分にいません。そのため、受けられる可能性がある仕事を断らざるを得ない状況が生まれています。

社長自身も現場を見ていますが、価格交渉や顧客対応も担っています。ホテル、倉庫、病院、オフィスビルなど複数の現場が重なると、社長一人で管理するのは難しくなります。

「職人さんよりも、サブコンの動きができる管理者が欲しい」

この言葉に、成長段階がよく表れています。施工力が足りない段階では、職人を増やすことが受注能力の向上につながります。一方、協力業者がすでに集まり、複数工種を扱える段階では、全体を束ねる人が受注能力を左右します。

ミニサブコンを目指す会社に必要なのは、職人の人数を増やすことだけではなく、複数の業者を一つの現場として動かせる管理機能です。

背景

単一工種の延長で事業を広げると、社長に調整と判断が集中する構造

同社が複数工種への対応を広げてきた背景には、顧客から寄せられる相談がありました。以前は空調設備の一工種を中心に働いていましたが、顧客からは工事のたびに「あれはできないか」「この業者も手配できないか」と相談されていました。

単一工種に限定すれば、対応範囲は明確になります。ただし、顧客から見れば、工種が変わるたびに別の会社へ相談しなければなりません。同社はそこに機会を見いだし、知り合いの業者を集めながら対応範囲を広げてきました。

この進め方は、営業面では強みになります。一方で、仕事をまとめて受けるほど、次の役割が社長へ集まりやすくなります。

  • どの業者に何を任せるかを決める
  • 複数工種の担当者を取りまとめる
  • 発注元との窓口を担う
  • 現場が重なったときに優先順位を判断する
  • 受注できる範囲と断る範囲を決める

同社には、すでに管理を任せられる知人が2人ほどいます。しかし、複数の案件を一括で受けるには足りません。ネットワーク内の職人を増やしても、管理者が2人のままなら、同時に動かせる現場数には限界があります。

加えて、現場管理者は経験者を募集すればすぐ採用できるとは限りません。実績があり、複数業者を束ねられる人ほど他社からも求められます。採用だけを待っていると、一括受注の体制づくりが止まる可能性があります。

「案件がない」のではなく、「任せられる管理者がいないため受けられない」のであれば、営業より先に管理者の確保と育成を経営課題として置く必要があります。

解決

現場管理者の役割を定義し、即戦力採用と社内育成を並行して進める体制づくり

最初に行いたいのは、「経験のある番頭が欲しい」という条件を、実際に任せたい仕事へ分解することです。役割が曖昧なままでは、採用時の見極めも、社内での育成も難しくなります。

同社のように設備工事一式を目指す場合、少なくとも次の役割を整理しておくと、必要な人物像が見えやすくなります。

  • 発注元の窓口として工事内容を受け取れる
  • 複数工種の業者へ仕事を割り振れる
  • 各業者の動きを確認し、現場全体を取りまとめられる
  • 自社だけで対応できない部分を早めに社長へ共有できる
  • 社長に代わって、一つの現場を任せられる

すべてを最初から一人でできる人だけを探す必要はありません。まず「一人で任せたい役割」と「社長が当面補う役割」を分けることで、採用対象を広げられます。

即戦力採用か、社内育成かを判断する

即戦力採用が向いているのは、すでに一括受注の打診があり、早期に管理者を配置できれば売上につながる場合です。現場を丸ごと任せられる経験者であれば、社長の負担を減らしながら受注枠を増やせます。

一方、採用時期が読めない、または将来の案件量に不確実性がある場合は、現在の社員や協力者から候補を選び、少しずつ管理を任せる方法が現実的です。

判断するときは、次の3点を並べて考えます。

  1. 管理者がいれば受けられる案件が、どの程度見えているか
  2. 採用後も継続して任せられる現場があるか
  3. 現在の社員や協力者に、管理役を担える候補がいるか

即戦力か育成かを二者択一にせず、採用活動を進めながら社内候補にも一部を任せる形が、機会損失を抑えやすい進め方です。

社員か一人親方かは、本人の希望だけで決めない

現場管理者を社員として迎えるか、一人親方などの協力者として依頼するかも整理が必要です。同社では「社員になりたいなら社員、一人親方として動きたいならその形を尊重したい」という考えがありました。

本人の希望は大切ですが、一括受注した現場では発注元との契約や現場で求められる立場によって、選べる形が変わる場合があります。そのため、次の点を先に確認しておく必要があります。

  • 発注元が認めている契約・配置の形か
  • どの範囲まで管理を任せるのか
  • 誰が現場で指示や判断を行うのか
  • 継続的に自社案件を任せる前提か、案件単位の依頼か

契約形態を先に決めるのではなく、発注元との契約条件、実際に任せる役割、本人が希望する働き方の三つが合う形を選ぶことが大切です。判断が難しい部分は、契約や労務に詳しい関係者にも確認しながら進めると安心です。

小さな現場から段階的に任せる

社内育成を進める場合、いきなり大規模な現場を丸ごと任せる必要はありません。同社には、数千万円規模の大きな現場だけでなく、500万円前後の現場や100万円以下の小規模案件もあります。この案件構成は、管理者を育てるうえでも活用できます。

段階的には、次の順番が考えられます。

  1. 社長と一緒に現場を見て、発注元や協力業者とのやり取りを共有する
  2. 一つの業者との連絡や取りまとめを任せる
  3. 小規模案件の管理を任せ、社長が確認する
  4. 複数工種が関わる案件を、社長の支援付きで担当してもらう
  5. 一つの現場について、発注元の窓口から業者の取りまとめまで任せる

各段階で、「何を本人が判断し、何を社長へ確認するか」を決めておくことがポイントです。管理者育成は知識を教えるだけではなく、任せる範囲を徐々に広げることで進みます。

小規模案件を育成の場として使い、社長同席から単独管理へ段階的に移すことで、経験者の採用だけに頼らない管理体制をつくれます。

まとめ

複数工種を一括で受けるミニサブコンを目指すとき、成長を止めるのは職人不足とは限りません。協力業者と案件があっても、それらを取りまとめる現場管理者がいなければ、受注できる現場数は増やせません。

整理したいポイントは次の通りです。

  • 職人の人数ではなく、管理者一人あたりが動かせる現場数を見る
  • 番頭に任せたい役割を具体的な業務へ分解する
  • 即戦力採用と社内育成を並行して進める
  • 社員か一人親方かは、契約条件・役割・本人の希望を合わせて判断する
  • 小規模案件から任せ、社長への管理集中を段階的に解消する

「何でも相談できる会社」という強みを、一括受注できる事業へ育てるには、施工ネットワークの次に管理体制が必要です。職人をさらに増やす前に、今いる人と案件を誰が束ねるのかを整理することが、次の成長につながります。

自社に必要な現場管理者の役割から整理したい方へ

現場管理者が必要だと分かっていても、即戦力を採るべきか、社員を育てるべきか、協力者へ任せるべきかは、案件構成や取引先との契約によって変わります。「うちの場合は何から決めればよいか」という段階から整理しても問題ありません。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。現場管理者の役割設計や人材確保、育成体制についても、現在の案件と人員に合わせて一緒に考えます。

無理にサービスをおすすめすることはありません。まずは自社の受注体制と、管理者に任せたい範囲を整理する場としてご活用ください。

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