電気・空調工事を伸ばしたい一方、現場の5人が埋まり、新しい案件を受ける余力がない状態
東北地方を主商圏とする、10名弱の専門工事会社があります。電気工事を軸に、業務用エアコンやルームエアコンの施工、清掃や一部の内装工事を手がけています。年間売上は6,000万円前後で、今後は得意な電気・空調工事の比率を9割ほどまで高め、将来的には売上を現在の約2倍にしたいという方針です。
電気工事ではLED更新、空調工事ではテナントやオフィスビルの案件に実績があり、「空調については満足していただけるレベル」と手応えもあります。仕事がないわけではありません。むしろ、自社の現場要員はほぼ埋まっています。
「新しい案件を増やしたくても、今の5人はパンパンです」
協力会社とのつながりも複数あり、すでに仕事を振っています。ただし、自社が仲介するだけに近く、管理に見合う利益を残せていません。案件を増やす構想はあっても、受注量をそのまま売上と利益の成長につなげられる体制には、まだなっていない状態です。
この会社の成長を止めているのは案件不足ではなく、受注後の品質と管理を任せられる体制の不足です。
1週間で 15件の相談 がありました
- 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
- 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
- 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
- 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
- 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
- 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
- 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
- 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
- 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
- 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
- 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
- 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
- 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
- 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
- 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
- 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
- 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
技術がある人、顧客対応ができる人、現場を管理できる人が一人にそろっていない状況
現場要員を見ていくと、それぞれに強みと課題があります。
30代半ばの職人は技術力が高く、「安心して現場を任せられる」と評価されています。一方で、顧客や協力会社とのコミュニケーションは得意ではありません。そのため、本人が施工や指示を担い、営業と現場を兼務する担当者が間に入って意思疎通を支えています。
若手の2人は、受け答えができ、さまざまな仕事を吸収しようとしています。ただし、単独で現場を任せるには技術が足りません。別のベテラン職人には、仕事の丁寧さに不安が残ります。
つまり、人がいないというより、次の3つの能力が社内で分散しています。
- 施工を納めるための技術力
- 顧客や協力会社と調整する対人対応力
- 品質、工程、人員配置を見ながら現場を動かす管理能力
この3つを一人の万能な職人に求めると、現場責任者の候補は一気に少なくなります。現状では、高い技術を持つ一人に判断が集まり、別の担当者が仲介しなければ現場が回りません。
「一番の課題は、安心して仕事を任せられないことです。それが解決しないと、単価の交渉も自信を持ってできません」
この言葉が状況をよく表しています。品質への確信が持てなければ、営業先を増やしても受注に慎重になります。高い単価を提示するにも迷いが生まれます。
営業力を高める前に、「誰が、どの条件なら、どこまで任せられるか」を明確にする必要があります。
仕事のできる一人に施工判断と教育が集中し、採用しても育てにくい構造
採用を先行させれば解決するようにも見えますが、この会社にはもう一つ難しさがあります。技術力の高い職人が、人に教えたり、新しく入った人を受け入れたりすることを得意としていない点です。
現場で発言力が大きいのも、その職人です。経験の浅い人を採用した場合、誰が仕事を教えるのか、既存のやり方にどうなじませるのかが曖昧なままでは、採用後の教育が進みません。
「新しい人が、今いるできる人と同じか、それ以上ならなじめるかもしれません。ただ、入る人は慎重に見ないといけません」
この状態で即戦力だけを探すと、採用条件は厳しくなります。一方、若手を採用しても教育を担う人が限られるため、現場の負担がさらに増える可能性があります。
協力会社の活用にも同じ構造があります。協力会社へ指示を出せるのは、実質的に技術力の高い職人一人です。担当者がその間に入り、顧客や協力会社との調整を補っています。案件を増やすほど、この二人への負荷が高まります。
採用難そのものよりも、「技術を教える役割」「現場を管理する役割」「関係者をつなぐ役割」が整理されていないことが、拡大のボトルネックになっています。
能力を3つに分けて棚卸しし、現場責任者を一人の万能職人からチームへ変える設計
最初に整えたいのは、営業施策や求人媒体ではなく、現場を任せるための基準です。職人ごとに、技術力・対人対応力・管理能力を分けて棚卸しします。
たとえば「電気工事ができる」という大きなくくりではなく、次のように担当可能な範囲を整理します。
- LED更新を単独で完了できるか
- 業務用空調の施工判断ができるか
- 若手や協力会社へ作業指示を出せるか
- 顧客への進捗報告や変更確認ができるか
- 施工後の確認と手直し判断ができるか
評価の目的は、職人に優劣をつけることではありません。任せられる範囲と、誰かの補助があれば任せられる範囲を見えるようにすることです。
今回の会社であれば、技術力の高い職人に顧客対応まで求める必要はありません。現在行っている「技術者が施工判断と指示を担い、別の担当者が仲介する」という動きを、属人的な助け合いから正式な役割分担へ変えていきます。
現場責任者を「一人」ではなく「役割の組み合わせ」で考える
現場責任者には、必ずしも全能力を一人で持たせる必要はありません。
- 技術責任者:施工方法、品質、手直しの判断を担う
- 現場調整役:顧客、元請け、協力会社との連絡を担う
- 次期責任者候補:若手として現場確認と指示出しを段階的に経験する
この形なら、技術力の高い職人の強みを生かしながら、コミュニケーション面を別の人が補えます。同時に、若手を技術者の補助だけで終わらせず、将来の現場責任者候補として育てられます。
現場責任者の複数化とは、同じ能力の人を何人も採用することではなく、責任者が担う仕事を分け、複数人で再現できる状態をつくることです。
作業標準は、若手と協力会社に任せるために整える
次に、技術力の高い職人の頭の中にある判断を、最低限の作業標準へ落とします。分厚いマニュアルを最初から作る必要はありません。まずは、受注を増やしたいLED更新や空調工事など、得意な工事から始めます。
整理する内容は、少なくとも次の4点です。
- 着工前に確認すること
- 施工中に外してはいけない品質基準
- 完了時に確認すること
- 判断に迷ったときの報告先
これがあれば、若手に「見て覚えてもらう」だけでなく、どこまでできれば次の段階へ進めるかを共有できます。協力会社に対しても、仕上がりや報告方法の認識をそろえやすくなります。
若手2人は、現時点では単独で現場を任せられなくても、受け答えができ、仕事を吸収しています。そこで、得意工事の一部を任せ、技術責任者が確認する形から始めます。できる範囲が広がるたびに、任せる工程と判断を増やします。
若手育成は、技術を一度に教えることではなく、「補助があればできる仕事」を一つずつ「単独で任せられる仕事」に変える取り組みです。
営業、採用、協力会社活用の順番を判断する
3つの施策は、どれか一つだけを選ぶものではありません。ただし、先行させる施策は現在のボトルネックに合わせる必要があります。
営業を先行できるのは、受注後に責任者を配置でき、協力会社へ仕事を振っても管理利益が残る場合です。採用を先行できるのは、教える人と育成手順が決まっている場合です。協力会社活用を先行できるのは、施工基準と指示系統があり、自社が管理する意味を収益に反映できる場合です。
今回のように、自社職人が埋まり、教育担当も限られ、協力会社への外注で利益がほとんど残っていない場合は、広く営業を強める段階ではありません。まず役割分担と作業標準を整え、既存の得意工事について受け入れ可能な件数を把握します。そのうえで、対応できる地域・工事・規模を絞って営業を進めるほうが無理がありません。
採用では、単に「電気・空調の経験者」を求めるのではなく、不足する役割を基準にします。高度な技術者が必要なのか、顧客対応もできる現場管理者が必要なのか、標準に沿って育てられる若手が必要なのかで、採るべき人は変わります。
施策の順序は、「案件が取れるか」ではなく、「受注後に品質を守り、管理利益を残し、次の人を育てられるか」で決めます。
まとめ
案件を増やしたくても安心して現場を任せられる人がいない会社では、営業か採用かをすぐに決める必要はありません。先に確認したいのは、現在の職人が持つ能力と役割です。
技術力、対人対応力、管理能力を分けて見れば、一人の万能な現場責任者を探さなくても、既存メンバーの組み合わせで任せられる範囲が見えてきます。そのうえで得意工事の作業標準を整え、若手が担う範囲を段階的に広げれば、現場責任者を複数化する道筋もつくれます。
受注拡大の一歩目は、案件を増やすことではなく、今より一件多く受けても品質と利益を守れる仕組みをつくることです。
この土台ができると、営業、採用、協力会社活用のどこへ先に力をかけるべきかも判断しやすくなります。
自社で任せられる現場と育てる役割を一度整理したい方へ
「技術のある人はいるが、現場管理まで任せられない」「採用したくても、誰が教えるのか決まっていない」といった悩みは、人材だけでなく営業や利益の出し方にもつながっています。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。現場責任者の役割分担や教育体制について、「うちの場合は何から考えるべきか」という段階からでも一緒に整理できます。
ものづくりに集中できる建設業界へ向けた次の一手として、状況をお聞かせください。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、まずは社内の課題を整理する場としてご活用いただけます。


























