専属の外注職人が高齢化し、社員職人の採用を検討し始めた関東圏の建設会社
関東圏で複数の工事部門を持つ、ある建設会社では、職人の確保方法を見直そうとしていました。
これまでは、一人親方に近い外注職人へ施工を依頼してきました。実態としては自社の仕事が中心で、毎月の仕事量も大きくは変わりません。一方、外注職人の高齢化が進み、以前のように新しい担い手を確保しにくくなっています。
そこで候補に挙がったのが社員職人です。ただし、会社側には「社員として雇った場合、どのくらいの給与が適切なのか」「外注との違いをどうつくるのか」という迷いがありました。
同社には、外注職人から社員職人へ切り替わった前例もありました。その方は収入の上限よりも毎月の安定を選び、10年ほど社員として勤務しています。
「職人として一番稼いでいた時期より収入が下がっても、安定したい人はいると思う」
この言葉が示すように、社員職人と一人親方の違いは、単純な給与額ではなく、収入の安定と働き方の自由度をどう組み合わせるかにあります。
1週間で 15件の相談 がありました
- 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
- 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
- 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
- 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
- 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
- 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
- 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
- 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
- 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
- 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
- 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
- 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
- 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
- 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
- 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
- 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
社員職人と一人親方の条件が曖昧なままでは、選択制で募集しても違いが伝わらない状態
社員職人と一人親方の両方を募集すれば、応募の間口は広がります。ただし、名称だけを二つに分けても、仕事内容や収入の仕組みがほぼ同じなら、求職者は選びようがありません。
同社では、外注職人に対して日給を基本とし、休んだ日の補填はしていません。一方、仕事量は毎月おおむね安定しており、自社以外の仕事をする機会もほとんどありませんでした。
この状態から社員職人を募集するなら、少なくとも次の違いを明確にする必要があります。
- 毎月の収入を固定するのか、働いた日数や仕事量で変動させるのか
- 現場がない日や休んだ日の収入をどう扱うのか
- 休日をどの程度確保するのか
- 社会保険などの社会保障をどのように整えるのか
- 技量や担当量に応じて、収入が増える余地をどう設けるのか
- 将来も社員として働くのか、独立を目指せるようにするのか
二つの働き方を募集するなら、会社にとっての違いではなく、働く本人が選べる違いに翻訳する必要があります。
「社員でも外注でも選べます」と書くだけでは足りません。安定を選ぶと何が得られ、出来高や独立性を選ぶと何が変わるのかまで示すことが重要です。
職人が求めるものは年代や生活状況で異なり、全員に同じ条件を出しても選ばれにくい構造
社員職人の採用に踏み切りにくい背景には、「職人は稼げることを重視する」という固定的な見方があります。実際には、職人が働き方に求めるものは一様ではありません。
たとえば、若手や未経験者にとっては、会社に所属して毎月給与を受け取りながら技術を身につけられることが安心材料になります。休日や社会保障、教育の見通しも判断材料になります。
経験を積んだ中途人材のなかには、腕や働いた量に応じて収入を増やしたい人もいます。会社に所属する安心感より、自分の技量を収入へ反映できることや、将来独立できることを重視する人もいるでしょう。
一方、年齢や家族構成の変化によって、収入の上限より毎月の安定を優先する人もいます。同社で外注から社員へ移った職人も、この層に当てはまります。
整理すると、主な対象は次のように分けられます。
- 若手・未経験者:安定した給与、休日、社会保障、技術習得の道筋を重視しやすい層
- 経験者:腕や仕事量に応じた収入、裁量、働いた分だけ稼げる余地を重視しやすい層
- 安定志向へ変わったベテラン:収入の波を抑え、無理なく働き続けられる環境を重視しやすい層
- 独立志向の人材:一定期間で技術を身につけ、その先に独立を描きたい層
社員職人だから若手、一人親方だからベテランと決めつける必要はありません。採用条件は年齢だけで分けるのではなく、求職者が求める安定、収入、休日、独立の優先順位で分ける方が実態に合います。
また、社員職人を募集するなら、その先のキャリアも欠かせません。「ずっと職人として働いてください」だけでは、若手にとって将来像が見えにくくなります。
管理職を目指す道だけを用意する必要はありません。技術を高め続ける、後輩を育てる、施工管理など周辺業務を学ぶ、一定期間後に独立を目指すなど、自社で実現できる選択肢を示すことが大切です。
二つの雇用区分を先に決めるのではなく、安定と収入のどちらを提供するかを条件表に落とす進め方
最初に行いたいのは、社員職人と一人親方の求人原稿を書くことではありません。現在の外注職人の働き方を基準に、社員へ切り替えた場合に何が変わるのかを条件表にすることです。
1.現在の外注条件を事実ベースで整理する
まず、現在の運用を次の項目で確認します。
- 日給、日給月給、固定月給のどれに近いか
- 現場がない日にも支払いがあるか
- 月ごとの収入にどの程度の波があるか
- 休んだ日の補填があるか
- 自社以外の仕事を受けられるか
- 経験や腕によって単価がどう変わるか
同社では「専属に近い」「仕事量は毎月おおむね同じ」「休みの補填はない」という実態が見えてきました。このように事実を並べると、社員職人に変えた際の強みと負担が整理しやすくなります。
2.社員職人として提供する安定を決める
次に、社員職人だから提供できる内容を決めます。
中心になるのは、固定的な月給、休日、社会保障、教育機会、長期的なキャリアです。ただし、制度を手厚く見せることより、実際に運用できる内容を示す方が大切です。
特に休日は、求人票上の数字と現場の実態をそろえる必要があります。土曜日に現場が動く場合は、代休をどう取るのかまで説明できる状態にしておくと、入社後の行き違いを抑えられます。
社員職人の魅力は最高月収ではなく、仕事量や休日に左右されにくい収入と、働き続ける見通しを示せることです。
3.一人親方として働くメリットを明確にする
一人親方の募集も続けるなら、社員職人にはないメリットが必要です。
たとえば、経験や技量に応じて日給を設定する、担当できる仕事量が増えれば収入へ反映する、独立した立場を維持できるといった違いです。
反対に、仕事がない日や休んだ日の収入、社会保障、休日の扱いなど、本人が負う部分も曖昧にしないことが重要です。契約上の名称だけでなく、実際の働き方と条件が一致しているかも確認しておきたいところです。
一人親方の募集では「社員より自由」という抽象表現ではなく、どのように働けば、どの程度収入を伸ばせるのかを説明できる状態が必要です。
4.対象者別に求人を分ける
条件を整理したら、社員職人と一人親方を一つの求人へ詰め込まず、対象者別に分けて伝えます。
社員職人の求人では、次のような内容が中心になります。
- 毎月の収入の安定性
- 休日と社会保障
- 未経験者が技術を身につける流れ
- 経験や技量が給与へ反映される基準
- 将来選べるキャリア
一人親方の求人では、次のような内容が中心です。
- 経験者に求める技術水準
- 日給や収入の決まり方
- 仕事量の見通し
- 技量や担当量に応じた収入の伸び
- 専属性や独立性の考え方
募集後は、応募数だけでなく、どちらの条件に反応があったかを確認します。社員職人への応募が少なければ、給与額だけでなく、休日やキャリアが伝わっているかを見直します。一人親方への反応が弱ければ、外注として働くメリットが社員職人と十分に分かれているかを確認します。
5.採用前にキャリアの出口を用意する
社員職人の制度は、入社時の給与を決めて終わりではありません。少なくとも、次の段階を説明できるようにします。
- 未経験または経験の浅い状態から、基本作業を身につける段階
- 一人で任せられる作業や現場を増やす段階
- 技量や担当範囲を給与へ反映する段階
- 技術を深める、後輩を育てる、関連業務を学ぶ、独立を目指すなど進路を選ぶ段階
独立支援を掲げる場合は、年数だけを先に約束するのではなく、どの技術を身につけ、どの状態になれば独立を検討できるのかを整理します。
社員職人の採用は雇用区分を増やす取り組みではなく、職人が自社で働く理由と、その先の成長を設計する取り組みです。
まとめ
外注職人の高齢化を受けて社員職人を採用する際は、社員か一人親方かを先に決めるより、求職者が何を選べるのかを整理することが出発点になります。
- 社員職人は、収入、休日、社会保障、キャリアの安定を示す
- 一人親方は、技量や仕事量に応じて稼げる余地と独立性を示す
- 両方を募集する場合は、同じ仕事内容でも条件と将来像を分ける
- 求人票に書く内容と実際の運用をそろえる
- 入社後に技量や役割がどう給与へ反映されるかを決める
「安定したい職人」と「働いた分だけ稼ぎたい職人」の双方に、違いが伝わる制度を用意できれば、募集の間口を広げながら採用後の行き違いも減らせます。
最初から完成された制度をつくる必要はありません。現在の外注条件を棚卸しし、社員へ切り替えた場合に何が変わるのかを一つずつ言葉にするところから始めると進めやすくなります。
自社に合う社員職人の条件を整理するために
社員職人の採用を考えていても、「月給をいくらにすればよいか」「一人親方との違いをどうつくるか」「独立支援まで用意すべきか」と迷うことがあります。会社ごとに現在の外注条件、仕事量、休日、教育体制が異なるため、他社の制度をそのまま当てはめるのが難しいテーマです。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、人材確保、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。「うちの場合は社員職人と一人親方のどちらを募集すべきか」「何から条件を決めればよいかわからない」という段階でも構いません。
状況を伺いながら次に整理すべきことを一緒に確認します。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、検討材料をそろえたいときにお声がけください。






























