創業4年ほどで公共工事への転換を進め、経験者の入社を待つ地方の土木会社
岐阜県にある創業4年ほどの土木会社では、数年後の売上拡大を見据え、民間工事中心の体制から公共工事の元請けへ軸足を移そうとしていました。
現在は、自社の直営班で施工する案件と、協力会社に依頼する案件を組み合わせています。今後、公共工事の受注を増やすには、有資格者や現場経験者を迎え、自社で施工・管理できる範囲を広げる必要があります。
一方、経験者採用は簡単ではありません。求人媒体や採用ページ、動画、Web広告などを試してきましたが、採用にはなかなかつながっていませんでした。
そこで浮上したのが、新卒や未経験の若手を採用し、自社で育てる選択肢です。ただ、社長の言葉は率直でした。
「自分がまだ現場を離れられず、教えられる人もいない。だから、今は新卒を入れられないんです」
年度末には、地場企業で長く現場監督を務めてきた経験者が入社する見込みです。その人が教育を担えるようになれば、新卒の受け入れも現実味を帯びます。
この会社の採用課題は、応募を集めることだけではなく、入社後に誰が教えるのかを決められていないことでした。
1週間で 15件の相談 がありました
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
- 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
- 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
- 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
- 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
- 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
- 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
- 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
- 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
- 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
- 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
- 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
- 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
- 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
- 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
- 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
- 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
- 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
新卒採用を始めたい時期と、現場で教えられる時期のずれ
新卒採用は、求人を出した時点ではなく、入社後に育成を続けられる状態から逆算して考える必要があります。
経験者が足りない会社ほど、新卒採用に期待したくなります。ただし、教える人がいない状態で採用だけを先行すると、新人も現場も動きにくくなります。社長が毎回説明しなければ仕事が進まない状態では、受注拡大と人材育成を同時に担うことになるからです。
一方で、「教育担当者が入社してから採用活動を始める」という順番にも注意が必要です。新卒採用は、学校との関係づくりや職場見学を重ねながら進めるため、動き始めた年度にすぐ採用できるとは限りません。
受け入れ体制が完成するまで何もしないと採用が遅れ、体制がないまま採用すると教育が回りません。必要なのは、採用と受け入れ準備を分けて考えることです。
この会社の場合、年度末に経験者が入社する可能性がありました。実際の入社時期は、担当している大型工事の進捗によって前後する見込みです。
したがって、「今すぐ新卒を採用するか、数年後まで待つか」という二択ではありません。経験者の入社予定を起点に、どこまで準備を先行できるかを整理する局面でした。
経験者採用だけでは直営班を増やせず、若手を育てる仕組みが必要な事業計画
この悩みの背景には、公共工事の受注計画と採用の優先順位がつながっていない問題があります。
同社は、まず有資格者や現場経験者を採用し、公共工事を元請けとして受注できる体制をつくろうとしていました。そのため、中途採用では複数の求人媒体や採用支援を試しています。しかし、経験者は各社が求めており、条件や知名度だけで採用するのは難しい状況です。
会社側も、「創業からまだ日が浅く、大きな事務所を構える会社でもない。その点を見られると、応募につながりにくい」と受け止めていました。求人条件は整えていても、経験者に選ばれるまでには時間がかかります。
そこで、中長期的には未経験者を採り、社内で育てる必要が出てきます。特に、公共工事を継続的に増やすなら、すべての現場を協力会社だけに頼るのではなく、自社の直営班を少しずつ厚くすることが重要になります。
ただし、新卒を採用すれば直ちに施工力が増えるわけではありません。教育担当者が現場の段取り、仕事の進め方、安全面の注意点を伝え、若手が一人で担える範囲を徐々に増やす必要があります。
中途採用は直近の資格・経験不足を埋める手段であり、新卒採用は将来の直営体制をつくる手段です。両者は目的と時間軸が異なります。
同社では以前にも新卒採用を検討しましたが、「教えられる経験者が入ってから」という判断で見送っていました。今回は、その経験者の入社が具体化してきたため、採用を再検討できる分岐点に来ています。
教育担当者の入社を待たず、受け入れ条件と学校への説明を先に整える進め方
新卒採用を始める時期は、「教育担当者がいるか」だけでなく、「入社までに教育体制をつくれる見通しがあるか」で判断すると整理しやすくなります。
教育担当者の入社時期が固まり、受け入れ可能人数と育成手順を決められるなら、実際の入社を待たずに採用準備を始められます。
反対に、次の状態であれば、まず経験者や教育責任者の確保を優先したほうが進めやすいでしょう。
- 誰が教育を担当するのか決まっていない
- 教育担当者の入社時期が見えていない
- 社長以外に仕事の判断基準を説明できる人がいない
- 新人をどの現場に配属するか決められない
- 現場が同時に受け入れられる人数を把握できていない
一方、教育担当者の入社が年度末などに見込める場合は、先に以下を整理できます。
1.公共工事の受注計画から必要な人材を分ける
最初に、直近で必要な有資格者と、数年かけて育てる若手を分けます。
たとえば、入札や施工管理のために早期配置が必要な人材は、中途採用を継続します。将来の直営班を担う人材は、新卒・未経験採用で育てます。
「採れる人を採る」のではなく、公共工事の受注計画に対して、いつまでにどの役割が必要かを決めることが出発点です。
この区分ができると、中途採用だけに予算を集中させるのか、新卒採用の立ち上げにも配分するのかを判断しやすくなります。
2.教育担当者の役割を先に決める
経験者が入社するだけでは、教育体制ができたことにはなりません。入社予定者と社長の間で、誰が何を教えるかを決めておく必要があります。
少なくとも、次の役割は明確にしておきたいところです。
- 日々の作業や現場ルールを教える人
- 配属先や習得状況を判断する人
- 教育担当者が現場を離れられないときに支える人
- 新人の相談を受ける人
教育担当者を一人に固定しすぎると、その人の現場が忙しくなったときに育成が止まります。社長と経験者が役割を分け、現場全体で支えられる範囲を決めておくことが現実的です。
3.育成手順を現場の流れに沿って言葉にする
詳細な教育マニュアルを最初から完成させる必要はありません。まずは、入社初日から現場配属後までに、何をどの順番で覚えてもらうかを並べます。
たとえば、会社や現場の基本ルール、補助作業、先輩同行、本人に任せる作業という順番です。それぞれについて、「誰が教えるか」「何ができれば次へ進めるか」を決めます。
育成の標準化とは、分厚い資料をつくることではなく、教える順番と合格ラインを社内で共有することです。
経験者が入社した後に内容を見直せば、現場に合った手順へ調整できます。
4.採用人数ではなく、受け入れ可能人数を決める
新卒を何人採りたいかよりも、教育担当者が同時に何人を見られるかを先に考えます。
初年度から人数を追いすぎると、現場同行や確認の時間が不足します。教育担当者の担当現場、社長が補助できる時間、配属可能な現場数を見ながら、無理なく受け入れられる人数を設定します。
採用目標は応募数から決めるのではなく、教育側の処理能力から決めることが定着につながります。
5.学校訪問と職場見学は、採用年度より前から準備する
新卒採用は、求人票を出しただけで決まるものではありません。学校の先生に会社を知ってもらい、職場見学につなげ、本人や保護者が安心して応募できる材料を増やす流れが必要です。
同社では、地域イベントへの参加や地元メディアへの露出など、会社の認知を高める活動をすでに進めていました。こうした実績は、学校訪問でも会社の成長性や地域との関わりを説明する材料になります。
教育担当者の入社見込みが立った段階で、会社説明の内容、見学時に見せる現場、育成の流れを整えます。そのうえで、年明けから学校との接点をつくり、6月から9月頃までを一つの区切りとして動く考え方があります。
新卒採用は、教育体制が完成してから始めるのではなく、入社までに完成させられる見通しが立った時点から準備を始めます。
まとめ
教える人がいない建設会社が、新卒採用を無理に始める必要はありません。ただし、教育担当者が入社してから学校探しを始めると、採用できる時期がさらに先へ延びる可能性があります。
整理したいのは、次の順番です。
- 公共工事の受注計画から、直近の経験者と将来の若手を分ける
- 教育担当者の入社時期と役割を固める
- 教える順番と判断基準を簡潔に標準化する
- 現場が受け入れられる人数を決める
- 学校訪問や職場見学の準備を先行する
中途採用で現在の資格・経験不足を補いながら、新卒採用で将来の直営班をつくる。この二つを事業計画から逆算して並行させることが、持続的な成長につながります。
「経験者が採れたら考える」から一歩進めて、「経験者がいつ入れば、何年度の新卒を受け入れられるか」まで具体化すると、採用予算や活動時期も決めやすくなります。
新卒を受け入れられる時期から、採用計画を整理するために
新卒採用を始めるべきか迷っているときは、求人媒体を選ぶ前に、教育担当者、受け入れ人数、公共工事の受注計画を並べてみることが大切です。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、人材確保、組織づくり、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。新卒採用では、教育体制の整理や採用計画づくりに加え、学校訪問や職場見学の進め方まで一緒に検討できます。
「うちの場合は来年度から動けるのか」「まず経験者採用を優先すべきか」といった段階でも構いません。状況を伺ったうえで次の整理先をご案内し、無理にサービスを勧めることはありません。

































